5月30日に行われたP.F.M.の来日公演1日目に行ってまいりました!
大盛況だったライヴの模様を、オリジナル楽曲動画・過去のライヴ動画を交えつつお伝えしてまいります!
P.F.M.(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)は、ご存知イタリアン・プログレ・シーンを代表する名バンド。彼らのこれまでの歩みに関してはこちらの特集記事にまとめてありますので、合わせてご覧いただければ幸いです♪
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P.F.M.の来日を記念して、彼らのこれまでの主要なキャリアを作品とともに振り返ってまいりたいと思います!
世界にイタリアン・プログレのレベルの高さを知らしめた『幻の映像』のリリース&世界デビュー40周年を記念した今回の来日公演。英語盤ALMUB DAYと称された1日目は、73年作『幻の映像』と74年作『甦る世界』の完全再現&ベストセレクションの3部構成というこれ以上ない贅沢なプログラムとなっています。
開演20分ほど前に会場に入ると、約3000席ある客席はすでにほぼ満員状態。開演前より客席を相当な熱気が覆っており観客の期待の高さが否応なく伝わってきます。客層は50代~60代あたりとみられる男性客が多くを占めており、やはりリアルタイムで彼らのサウンドを体験し衝撃を受けた方々であろうことがうかがえます。
開演時間の19:00を少し回ったところでBGMのニック・ドレイクが不意に途切れ、会場が暗転。ストレンジデイズ編集長の岩本晃市郎さんがステージに登場し大きな拍手を受けます。P.F.M.への愛を感じさせる熱のこもったバンド紹介が終わると、ステージ上についにP.F.M.のメンバーたちが登場!
ステージがライトに照らされると、そこには5人のミュージシャンが。ドラマーのフランツ・ディ・チョッチョ、ベースのパトリック・ジヴァス、ギターのフランコ・ムッシーダという70年代よりP.F.M.を担ってきた3人と、それぞれキーボードとヴァイオリンを担当する準メンバー/サポートメンバーの若手2人です。そう、これはまさに70年代当初のP.F.M.のバンド編成なんですよね。目の前でこれから繰り広げられる夢のようなステージがいよいよ現実感を伴いはじめます。
シンセとアコギによる幻想的なプロローグ演奏を経て、ついにムッシーダがあのヨーロピアンな哀愁溢れるフレーズを紡ぎ始めます。フルートを模すキーボードが絡み、ヴァイオリン、ジヴァスのベース、チャーチオルガン風のシンセが続いて、大名曲「RIVER OF LIFE」のエレガントな導入が悠然と立ち上がってきます。もうこの時点ですでに興奮を抑えられません!そこから一転チョッチョのドラムスがダイナミックに入ってきてクラシカルにしてへヴィネスみなぎる全体演奏へと雪崩れ込みます。ここはライヴということもあってオリジナル以上のド迫力!
ムッシーダが歌うヴォーカルパートを経てシンセが溢れ出す雄大なテーマに会場中が酔いしれます。エレキギターに持ち替えたムッシーダのプレイは、スタジオ版での淡く繊細なタッチとは趣の異なるエモーショナルなタッチが印象的で、D.ギルモアにヨーロピアンなエレガンスを加えたようななんとも味のあるプレイを披露します。
あっという間に1曲目が終了し拍手と歓声が会場に大きく響きわたります。ルネサンス音楽からの流れを汲むこのあまりに格式高いサウンド、P.F.M.以外では絶対に味わえないものだと改めて実感します。40年も前に生み出されたこの名曲が今目の前で演奏されていることに、感慨を覚えずにはいられませんでした!
続いてはELPのイタリア的解釈とも言うべきスピード感いっぱいの賑々しいナンバー「CELEBRATION」。ここではなによりオリジナルメンバーだったキーボード奏者のF.プレモリ独特のトーンを見事再現したキーボードが圧巻!温かく厚みのあるトーンでタイトル通り祝祭感溢れるカラーを生み出します。チョッチョのリズミカルに刻むドラミングも快調そのもの!ライヴの定番曲なだけあって会場は一気に高揚感に包まれます。う~ん素晴らしい!
タイトルナンバー「PHOTOS OF GHOST」を経て、英語盤のみに収録された「OLD RAIN」へ。静謐感に満ちた繊細なアンサンブルをバックにクラシカルなヴァイオリンが優雅に舞います。このヴァイオリン奏者、テクニックはもちろん情感の豊かさも申し分なしで、往年のM.パガーニと比較しても遜色のない美しいプレイを堪能させてくれました。ここまでの楽曲がライヴならではのダイナミズムが満載だったため、ここではしばし心を落ち着けて聴き入ります。
クラシカルで幻想性に富んだ「IL BANCHETTO」の次は、バンド屈指のテクニカルナンバーとして知られる「MR.9’TILL 5」を演奏。ここでチョッチョによるものすごい手数とスピード感のドラミングが炸裂!オリジナルを凌駕する勢いで叩きまくるプレイは60代という年齢を微塵も感じさせない驚異的なものです。それに呼応するようにムッシーダ、ジヴァスのプレイも熱を帯びます。怒涛のドラミングと同時にエネルギッシュなヴォーカルを披露するチョッチョさんのカッコよさと言ったらなかったですね~。
第2部は74年リリースの『甦る世界』の全曲演奏。最初にチョッチョによる紹介でステージに登場したのが男女8人からなる混声合唱団。今回のステージの目玉の一つである「MOUNTAIN」のコラールパートの生演奏を担当します。
オリジナル版を忠実に再現した荘厳なコラールがホールに響きわたり、張りつめた空気に思わず息をのみます。それを受けてバンド演奏がパワフルに雪崩れ込みドライブ感溢れるアンサンブルへと突入。P.F.M.の中では比較的エッジの立ったハードな演奏が続きますが、イタリアン・ロックらしい叙情的なパートへと流れるように移り変わっていく展開はやはり見事。サポートメンバーを含めたバンドの一体感があってこその素晴らしい演奏です。最後は再び荘厳なコラールが登場して重厚さを残したまま終了。荘厳なコラールとスリリングなバンド・アンサンブルとの対比が鮮烈でしたね~!名曲!
プログレ然としていた前曲から一転して「Just Look Away」はチョッチョがヴォーカルを取るアコースティカルな名品。ここでは温かな響きを持ったムッシーダのアコギがとにかくたまりません!そこに絡む優雅なヴァイオリンもまた絶品で、演奏からは格調高くも繊細なイタリア叙情がとめどなく溢れ出してきます。終盤にはジヴァスの縦笛が柔らかな音色を加えアンサンブルに彩りを添えます。温かなトーンの中にもセンチメンタルな情感が滲むオリジナルバージョンの雰囲気が再現されていて素晴らしかった~。
表題曲「THE WORLD BECAME THE WORLD」は前作の「RIVER OF LIFE」に相当する叙情的でシンフォニックなナンバー。ムッシーダの切々としたヴォーカルパートを経て、一気に劇的なテーマへとなだれ込む演奏が胸を打ちます。オリジナル版よりタメて歌われる「AND THE WORLD BECAME THE WORLD~」のフレーズがよりドラマティックさを引き立てていたのもよかったです。またここでもプレモリによるオリジナルを再現した厚みがあって少しスペイシーなトーンのシンセ演奏が光っていましたね。
続く「FOUR HOLES IN THE GROUND」でもこの艶やかなシンセの疾走感溢れるプレイがたいへん気持ちよく、ギター、ヴァイオリンのユニゾンを含め変拍子満載にしてひたすら流麗に紡がれていくインストパートは圧巻の一言。
『幻の映像』&『甦る世界』の再現ステージが終わると、第3部のベストセレクションに突入。最初のナンバーは、75年作「CHOCOLATE KINGS」より「OUT OF THE ROUNDABOUT」。そして彼らが敬愛する故人の名カンタゥトーレ、ファブリツィオ・デ・アンドレのカバー作品『A.D.2010』からのナンバーや、06年作『STATI DI IMMAGINAZIONE』収録曲などを披露していきます。
そんな中個人的にも嬉しかったのがアンコール前の最終曲、80年作『SUONARE SUONARE』からの名曲「MAESTRO DELLA VOCE」。チョッチョがマイクを客席に向けてコール&レスポンスを促し、会場中が一つになって盛り上がるライヴの定番曲で、今回も観客とバンドが一体となって最高潮の盛り上がりを見せたところで幕引きとなりました。観客はもちろん総立ちで拍手と大歓声に包まれます。拍手がお約束のアンコールの手拍子に変わると、チョッチョが子供のようにステージへと飛び込んできて、再度メンバーが楽器を構えます。
アンコールは最新作となる13年作『PFM IN CLASSIC』より「ROMEO E GIULIETTA(ロミオとジュリエット)」、そして名ライヴ盤『COOK』でもおなじみの「ウィリアム・テル序曲」でした。特に前者では、本来フルオーケストラと共に演奏しているナンバーにもかかわらず存在感溢れるヴァイオリンのプレイが見事にそれをカバー。最新作ということもあり、バンドの演奏もクオリティの高いものでクラシック本来の艶やかさも内包した充実のパフォーマンスを披露してくれていましたよ。
通算5回目となる来日公演、存分に堪能させていただきました~!『幻の映像』&『甦る世界』完全再現は全編通して感動ものだったし、ベストセレクションもいいパフォーマンスばかりで本当に素晴らしい150分のステージだったと思います。もちろん月日を重ねたことに加えメンバーや機材などが異なるぶん往年通りというわけではありませんが、その演奏やパフォーマンスからは日本のファンを喜ばせようという意欲が伝わってくるように感じました。3人からすれば息子くらいの年齢であろうサポートメンバーたちとの一体感のある演奏も見事だったし、曲の合間やことあるごとに「ありがとうございます!」と日本語で言ってくれるチョッチョさんやメンバーの人柄含め、本当に魅力的なバンドなのだと実感できました。
このぶんならまだまだイタリアン・プログレの最高峰バンドとしての地位は揺るぎなさそうですね!こちらこそありがとうP.F.M.!今後も益々の活躍を楽しみにしています!
『SUONARE SUONARE』リリース後、80年11月25日にテレビ放送用に収録されたスタジオ・ライヴ音源&映像。新たに加入したヴァイオリン奏者のルキオ・ファブリの躍動感いっぱいのヴァイオリンが気持ちいい「Celebration」をはじめ、往年の代表曲も良い感じ!収録曲は、1:LA LUNA NUOVA、2:VOLO A VELA、3:IL BANCHETTO、4:TANTI AUGURI、5:MAESTRO DELLA VOCE、6:SI PUO FARE、7:CELEBRATION
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの71年デビュー作。イタリア盤としてリリースとなった本作はイタリアン・シンフォニック・ロックの職人気質の極地といった趣の傑作。当時のブリティッシュ・ロックフィールドのアーティストたちと比べてもその技巧は抜きん出ており、クラシカルに、丹念に編みこまれたアンサンブルの妙技に酔いしれるばかりの名盤です。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの73年3rd。本作はまさにそのMANTICOREからの世界リリース作となった、ヨーロピアン・ロック屈指の1枚であり、Pete Sinfieldが英語詞を担当した傑作です。先にイタリアでリリースされていた2nd「Per Un Amico」の再録音と、デビュー作「Storia Di Un Minuto」より1曲、そして前2作には未収録の新曲1曲で構成されており、イタリアらしいバロック色とダイナミックなロックを融合した奇跡的なサウンドを提示。テクニカルな変拍子と呼応する凄まじい叙情の嵐は唯一無二のものです。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、定価2100+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
情報記載シール付き、側面部に色褪せ・軽微なカビあり
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの74年4th。バロックを強く意識したクラシカルな前作から、プログレッシブな魅力はそのままに、よりポピュラリティーを持ったサウンドを提示した傑作であり、前作同様、イタリアのシンフォニック・ロックを代表する1枚となっています。本作は、イタリア語盤。シンフィールド作詞の「Is My Face On Straight」以外はイタリア語詞。英語版収録の「World Became The World」は収録されていません。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの74年4th。AREAのPatrick Djivasを新ベーシストとして迎えた世界リリース2作目であり、イタリア盤も製作された名盤。前作が旧作からの再録音を中心にしていただけに、PFMの真価が問われることになった本作は、バロックを強く意識したクラシカルな前作から、プログレッシブな魅力はそのままに、よりポピュラリティーを持ったサウンドを提示した傑作であり、前作同様、イタリアのシンフォニック・ロックを代表する1枚となっています。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年作。ACQUA FRAGILEからBernardo Lanzettiを迎えて製作されたその内容は、それまでの彼らの個性であったクラシカルな側面が落ち着きを見せ、よりロックのダイナミズムを押し出した作風へとシフトした良盤であり、星条旗に包まれたチョコレートが印象的な英語盤ジャケットからも分かるとおり、アメリカの音楽産業を意識した明快でパワフルなサウンドが素晴らしい傑作となっています。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年ライブ作。「The World Became The World」をリリースしたツアーからアメリカ公演の模様を収録しており、スタジオ作の丹念な織物のようなアンサンブルから一転、凄まじいドライブ感とダイナミズムを持った名演を披露しています。非常にテクニカルにもかかわらず全くブレることなく、地中海ロックのダイナミズムとイタリア叙情をを聴かせながら突っ走る様子は、さすがの一言です。
QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの77年作。Mauro Paganiが脱退したあとの本作は、ヴァイオリニストにGregory Blochを迎えてラテン・フレーバーを散りばめたジャズ・フュージョン色濃いサウンドを提示。前作からの流れでシンフォニックな音像は姿を消していますが、軽快でテクニカルなジャズ・フュージョンサウンドの中にもイタリアの叙情をほのかに感じられるなど、過渡期とは思えない個性はやはり彼ららしい佳作と言えるでしょう。
1987年作。ゆっくりと制作が続けられて世に出たアルバム。80年台、試行錯誤を繰返していきついた音楽性が打ち出されている。ホーン、コーラスなども加え当時のポップスの中にもPFMの姿勢をはっきりと示した。しかしこのアルバムを最後に10年間活動を休止する。
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