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【ユーロロック周遊日記・特別編】来日記念!イタリアン・プログレの代表バンドP.F.M.を特集!

いよいよ今月末に迫ってきたP.F.M.の来日公演。3年ぶり5回目の来日となる今回は、人気の高い初期作品を中心に構成されたセットリストになることが伝えられており、イタリアン・プログレ・ファンにとっては見逃せないライヴとなること必至ですよね!

今回はそんなP.F.M.の来日を記念して、彼らのこれまでの主要なキャリアを作品とともに振り返ってまいりたいと思います。

P.F.M.は、1970年に結成され現在に至るまで第一線で活動を続ける、名実ともにイタリアン・プログレを代表するグループ。73年の世界デビュー以後は、オランダのFOCUSらと並び英米以外のプログレ・バンドとしては最も名の知られたバンドの一つとなりました。世界デビュー以降は、カンサスやボストン、スティクスなどの米プログレ・ハード勢やTOTOなどの米国のグループを始め、多くのバンドがP.F.M.や彼らが持つイタリアならではの音楽性に影響を受けたといわれているんです。



さて、そんなP.F.M.の前に触れておきたいのが、その前身バンドであるI QUELLI。I QUELLIは64年結成のビート・グループで、P.F.M.のオリジナルメンバーであるFranz Di Cioccio、Franco Mussida、Flavio Premoliが在籍していました。

10枚近くのシングルリリースや大御所カンタゥトーレLucio Battistiのレコーディングに参加するなど次第にシーンの中で頭角を現し始め、69年には唯一作となるアルバムを残しています。ちなみに活動後期に在籍したのがFORMULA TREやIL VOLOで活躍することになるギタリストALBERTO RADIUS。のちのイタリアン・プログレ・シーンが形成されるうえでも重要なバンドだったことがわかります。

まずは本作より、彼らの実力がよく分かるDEEP PURPLE「HUSH」の名カバーをどうぞ。

I Quelli / I Quelli(1969)

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Battistiからの助言もあってメンバーの再編と改名を決めた彼らは、70年に上記3人以外のメンバーと別れて新バンド結成へと動きます。
ここからP.F.M.(PREMIATA FORNERIA MARCONI)の約40年に及ぶ歴史がスタートします。PREMIATA FORNERIA MARCONIというバンド名は、トップ画像にも写っているベーカリーに因んで名付けられたそう。

結成時のメンバーは、ドラマーのFranz Di Cioccio、ギターのFranco Mussida、キーボードのFlavio PremoliというQUELLIからのメンバーに加え、ベースのGiorgio Piazza、そしてヴァイオリンのMauro Paganiという5人組。当時のメンバーへのインタビューによると、どのメンバーがどの楽器を担当してもほぼ同じレベルの演奏が行えたそうで、その発言からは彼らのミュージシャンシップの高さを感じさせますよね。

P.F.M.は世界デビューの前年に当たる72年に、イタリア国内で2枚の作品をリリースしています。1st『Storia di un minuto(幻想物語)』は、国内のアルバムチャートで4位を記録するヒットで迎えられ、バンドに大きな自信を与えたと言われます。実際、西洋の伝統音楽に根差したクラシカルでエレガントな音楽性やそれを繊細かつ叙情的に紡ぐ演奏技術、表現力の高さからは、イタリアン・プログレならではと言える情感が豊かに溢れ出してきますよね。まさにイタリアン・プログレの歴史にその名を刻む名盤です。

Storia di un minuto(1972)

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勢いに乗ったP.F.M.は、同年中に2nd『Per un amico(友よ)』をリリース。本作に収録された楽曲はいずれも世界デビュー盤『幻の映像』に再録されたもので、先に『幻の映像』を聴いた多くのプログレファンにとってはそのイタリア語版という位置づけの作品と言えるかもしれません。とは言えイタリア語の詩情に満ちた響きはやはり格別で、こちらを高く評価するファンも少なくない一枚です。

Per un amico(1972)

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ちょうどこの時期、P.F.Mに転機が訪れます。英国プログレを代表するグループであるELPのイタリア公演前座に起用された際に、メンバーのGreg LakeがP.F.M.の音楽性の高さを目に留め、KING CRIMSONの作詞家として知られるPete Sinfieldに紹介。73年には、ELPが運営するマンティコア・レーベルからSinfield英作詞によってワールドデビュー作をリリースするという大躍進を遂げたのです。その作品こそ、イタリアン・プログレのみならず70年代プログレッシヴ・ロックそのものを代表する作品の一つとして語られてきた大名盤『Photos of Ghosts(幻の映像)』です。

Photos of Ghosts(1973)

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その内容は、まるでCRIMSONの重厚なドラマティシズムとELPの躍動感や疾走感を足しあわせ、ルネサンスの国イタリアならではのクラシカルで艶のある叙情美で包み込んだような極めてオリジナルかつ高い完成度を誇るもの。

前述のとおり楽曲自体は前2作品から採用されたものなのですが、イタリア版が情感のあるイタリア語の響きを生かした繊細なアンサンブルを主としていたのに対し、本作は聴き手に迫ってくるようなよりダイナミックでテクニカルな演奏が披露されており、繊細なパートとのコントラストがより鮮やかに立ち上ってくるのが印象的。特にこの1曲目はまさにルネッサンス音楽のエレガンスを纏った初期KING CRIMSONと言うべきサウンドを聴かせる超名曲!

英米のプログレ・シーンしか知らなかったリスナーにとって、この作品を聴いた時の衝撃度は並のものではなかったはず。今の耳で聴いても、イタリアン・プログレここに在り!と言わんばかりの存在感を放つ完成された作品なんですよね。

本作リリース後、ベースのGiorgio Piazzaが脱退し、AREAのオリジナル・メンバーだったPatrick Djivasが加入。翌74年にワールドデビュー第2作/通算4作目となる『The World Became the World(甦る世界)』がリリースされます。

The World Became the World(1974)

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コラールが渦巻く荘厳な幕開けから、イタリアンな情感を保ったままにシリアスに展開していく演奏が素晴らしい「The Mountain」、温かみいっぱいのアコースティックな佳曲「Just Look Away」、目まぐるしくも鮮やかな変拍子アンサンブルが圧巻な「Four Holes In The Ground」など前作に劣らぬクオリティのナンバーが揃う作品。イタリアらしい叙情美を纏いつつもよりプログレッシヴなサウンドの比重が高まった一枚です。なお、本作はイタリア語バージョンが同時リリースされたことでも知られています。

さらに同年にはアメリカ・ツアーが実施され、その圧倒的な演奏能力とはちきれんばかりのイタリア叙情を持つ彼らのサウンドが、より世界中に知られるところとなりました。その熱狂の模様はライヴ・アルバム『COOK』に収録されています。ライヴでこの演奏は驚愕ですね~。

Live in USA(COOK)(1974)

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バンドは次作に向けての構想を練る過程で、英語詞を流暢に歌いこなせるヴォーカルの存在が必要だと判断し、弟分的バンドだったACQUA FRAGILEのシンガーBernardo Lanzettiを迎えます。Peter Gabrielも彷彿させるアクの強めなスタイルのヴォーカリストですが、彼らは従来作で自分たちが担当していたヴォーカルを「軽い」と感じていたそうで、より特徴的なヴォーカルを欲していたという意味合いがあったといいます。

Chocolate Kings(1975)

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新たなメンバーを得て75年にリリースされたのが『Chocolate Kings』。本作は、これまでのイタリアンな叙情を全面に感じさせる作風から、テクニカルな演奏のカッコよさをよりフィーチャーした骨太な作風へと変化した作品。この強靭な演奏に見事に歌を乗せるLanzettiも素晴らしいですよね。テクニカルながらも一体感抜群の演奏を聴かせる、生粋のプログレ・バンドとしての資質が発揮された力作に仕上がっています。

「Chocolate Kings」リリース後にヴァイオリン奏者のPaganiが脱退。アメリカ人ヴァイオリニストGregory Blochを迎えて、77年にフュージョン/ジャズ・ロック路線の『Jet Lag』をリリースします。初期のクラシカルでデリケートに紡ぐイタリア叙情は影を潜めたものの、ラテン風味も加味された軽やかにしてテクニカルなフュージョンタッチが心地いい好作品に仕上がっています。

Jet Lag(1977)

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翌年には、民族音楽フレイヴァーを取り入れた賑々しいサウンドと数作ぶりにイタリア語へと回帰したヴォーカルが絶妙に絡む『PASSPARTU』をリリース。初期のシンフォニックな要素こそありませんが、全編活き活きと躍動感に富んだアンサンブルによって紡がれる力作です。

Passpartù(1978)

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80年にはP.F.M.流の正統派ポップ・ミュージックと言うべき『Suonare suonare』をリリースします。本作レコーディングまでにヴォーカルのLanzettiが脱退、ヴァイオリンにLucio Fabbriが加入して製作されたのが本作で、プログレ・バンドとしてのイメージは払拭され、キャッチーなメロディをさりげない超絶技巧で包み込んだ極上ポップ作となっています。またフィドル調の軽快なプレイを聴かせるFabbriのヴァイオリンもポップなサウンドに見事にハマってるんですよね~。

Suonare suonare(1980)

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前作を最後にキーボードのPremoliが脱退。その後80年代には3作品をリリースしています。81年の『Come ti va in riva alla città』は、シンセをはじめ80年代らしい軽めのデジタルなサウンドによるキャッチーなポップスアルバム。84年作『PFM? PFM!』ではさらにその質感が強まり、当時の売れ線だったシンセポップ作に。87年作『Miss Baker』は、キレのある演奏が印象に残るAOR的アプローチを聴かせる作品となっています。

P.F.M.だけあっていずれもクオリティこそ高い作品ですが、P.F.M.らしさをこの時代の作品に求めるにはやはり厳しいものがあるのも確か。87年作を最後にバンドは活動休止に入ります。

Come ti va in riva alla città(1981)

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PFM?PFM!(1984)

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Miss Baker(1987)

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実に10年ぶりの活動再開とともにリリースされた97年作『Ulisse』は、プログレッシヴなアプローチこそないものの、ロック本来のダイナミズムに溢れた溌剌とした演奏とイタリアらしい情感たっぷりのメロディが楽しめる快心作となりました。70年代と姿は違えど、その音からは時代に左右されない普遍的な輝きが感じられます。

Ulisse(1997)

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『Ulisse』以降3年の休止を経てリリースされた00年作『Serendipity』もさすがの出来。いずれの楽曲も現代的なグルーヴ感を大胆に取り入れながら、P.F.M.サウンドに仕立てあげてしまっているところが何ともすごいところ。活動30年目とは思えない若々しいパフォーマンスが炸裂する好作品!

Serendipity(2000)

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00年代以降は、05年作『 Dracula Opera Rock』や06年作『Stati di immaginazione』をリリース。また02年、06年、11年と00年代以降すでに3回の来日公演を実施するなど、断続的とは言え70年代の全盛期以来と言える精力的な活動を行っている彼ら。

Dracula Opera Rock(2005)

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Stati di immaginazione(2006)

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また昨年リリースされた、オーケストラとの共演盤も記憶に新しいところですよね。クラシック古典のバンドによるアレンジやバンドの過去の名曲をオーケストラとともにスケール感たっぷりに再現したりと、旧来のファンにとっても素晴らしい贈り物と言える逸品に仕上がっていました。

PFM in Classic – Da Mozart a Celebration(2013)

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彼らのキャリアをざっと振り返ってまいりました。こうしてみると、ユーロロックの代表格とされこれだけの高度な音楽性と演奏技術をもったバンドながら、時代の移り変わりと共に実に紆余曲折の道のりを経てきたことがわかりますよね。

きっとそんな今の彼らが出す音には、40年という歳月が生んだ深みと重みが宿っているんでしょうね~。是非ライヴでそのあたりも感じてみたいものです!

PFMの在庫

  • PFM / STORIA DI UN MINUTO

    71年リリース、イタリア本国でのデビュー作、イタリアらしい芸術的な感性が発揮された傑作!

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの71年デビュー作。イタリア盤としてリリースとなった本作はイタリアン・シンフォニック・ロックの職人気質の極地といった趣の傑作。当時のブリティッシュ・ロックフィールドのアーティストたちと比べてもその技巧は抜きん出ており、クラシカルに、丹念に編みこまれたアンサンブルの妙技に酔いしれるばかりの名盤です。

  • PFM / PHOTOS OF GHOSTS

    「イタリアン・ロック」の存在を全世界に知らしめた衝撃の73年ワールドデビュー作!

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの73年3rd。本作はまさにそのMANTICOREからの世界リリース作となった、ヨーロピアン・ロック屈指の1枚であり、Pete Sinfieldが英語詞を担当した傑作です。先にイタリアでリリースされていた2nd「Per Un Amico」の再録音と、デビュー作「Storia Di Un Minuto」より1曲、そして前2作には未収録の新曲1曲で構成されており、イタリアらしいバロック色とダイナミックなロックを融合した奇跡的なサウンドを提示。テクニカルな変拍子と呼応する凄まじい叙情の嵐は唯一無二のものです。

  • PFM / WORLD BECAME THE WORLD

    『幻の映像』に続く世界進出第2弾、74年作

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの74年4th。AREAのPatrick Djivasを新ベーシストとして迎えた世界リリース2作目であり、イタリア盤も製作された名盤。前作が旧作からの再録音を中心にしていただけに、PFMの真価が問われることになった本作は、バロックを強く意識したクラシカルな前作から、プログレッシブな魅力はそのままに、よりポピュラリティーを持ったサウンドを提示した傑作であり、前作同様、イタリアのシンフォニック・ロックを代表する1枚となっています。

  • PFM / CHOCOLATE KINGS

    75年作、スリリングかつダイナミックなアンサンブルが楽しめる、プログレッシヴ・ロック然とした名作

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年作。ACQUA FRAGILEからBernardo Lanzettiを迎えて製作されたその内容は、それまでの彼らの個性であったクラシカルな側面が落ち着きを見せ、よりロックのダイナミズムを押し出した作風へとシフトした良盤であり、星条旗に包まれたチョコレートが印象的な英語盤ジャケットからも分かるとおり、アメリカの音楽産業を意識した明快でパワフルなサウンドが素晴らしい傑作となっています。

  • PFM / COOK

    アレアやマハヴィシュヌすら凌駕しかねない圧倒的な演奏力を見せつける75年傑作ライヴ・アルバム、これは凄まじいです…!

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの75年ライブ作。「The World Became The World」をリリースしたツアーからアメリカ公演の模様を収録しており、スタジオ作の丹念な織物のようなアンサンブルから一転、凄まじいドライブ感とダイナミズムを持った名演を披露しています。非常にテクニカルにもかかわらず全くブレることなく、地中海ロックのダイナミズムとイタリア叙情をを聴かせながら突っ走る様子は、さすがの一言です。

  • PFM / JET LAG

    名実共にイタリアを代表するグループ、当時隆盛を極めていたフュージョンへと接近した77年作

    QUELLIを母体に結成され、後にバンドの顔となるMauro Paganiを迎えて改名。英国とはまた違ったイタリアの素晴らしい叙情性を放ち、EL&PのMANTICOREからPete Sinfieldの戦略で世界デビューまで果たしたイタリアン・シンフォニック・ロック代表グループの77年作。Mauro Paganiが脱退したあとの本作は、ヴァイオリニストにGregory Blochを迎えてラテン・フレーバーを散りばめたジャズ・フュージョン色濃いサウンドを提示。前作からの流れでシンフォニックな音像は姿を消していますが、軽快でテクニカルなジャズ・フュージョンサウンドの中にもイタリアの叙情をほのかに感じられるなど、過渡期とは思えない個性はやはり彼ららしい佳作と言えるでしょう。

  • PFM / ABSOLUTELY LIVE 1971-1978

    全51曲、全盛期の71-78年における圧巻のライヴ音源集!

  • PFM / www.pfmpfm.it (il Best)

    98年ライヴ、全19曲

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