スタッフ佐藤です。
「スピーカーに向き合って聴くロック」の筆頭と言える(?)プログレですが、実はけっこう「踊れちゃうプログレ」も存在するんです。
今回は、そんな踊れるプログレを各地からピックアップしていきたいと思います☆
フランスからまいりましょう~
中世音楽や舞曲をベースにした個性派シンフォを聴かせるフランスのベテラン・グループ。
地中海エッセンスもたっぷり巻き込んでリズミカルに畳みかけるサウンドは、ずばり「踊れるプログレ」の急先鋒!
まだこんなフレンチ・プログレ・バンドが存在していたのか…。70sフレンチ・シンフォと80sフレンチ・ポップの間の子と言った具合のサウンドを聴かせてくれる81年作。
特筆は冒頭19分に及ぶ大作で、ダンサブルなシンセ・ポップ調サウンドを絶妙に展開させ飽きずに聴かせきる手腕が見事です。
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フレンチ・シンフォの名バンドASIA MINORを起点に、冷たく仄暗い幻想性を感じさせるシンフォの秘宝的名盤をご紹介してまいります!
ジミヘンやペイジからの影響を軸に陶酔のフレーズへと昇華させたギターが良いなぁ。
サイケデリックだけど混沌とした感じはなく、非常に尖った音は、70年代初期の音とは思えないほどオルタナティブ。
ずばり踊れるサイケ・ハード!さすがドイツと唸る傑作!
バルセロナの地が生み出したスパニッシュ・ジャズ・ロックの傑作がこれ。
そのサウンドは、ずばり「マイルス・バンドがチンドン屋をやったら?」
サムラ的舞踏音楽フレイヴァー、アレアに通じる硬質なウネリ、イスラエルのシェシェットを彷彿させる地中海のたおやかさとがブレンドしたようなサウンドは個性抜群!
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地域ごとに多彩なサウンドを聴かせてくれるスペインのロック・シーン。今回は、バルセロナがあるカタルーニャ州をメインに作品を取り上げてまいります!
ノルウェーの踊れそうな作品がこちら。
一聴ではクラブでも重宝されそうな踊れるグルーヴを聴かせているようでいて、さりげなく突っ込まれる変拍子に足がもつれそうになる感じ。
このノルウェー産ジャズ・ロック、RTFファンからH.ハンコック『HEADHUNTERS』ファンまで是非!
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ノルウェー・プログレ代表格バンドの一つですね。
初期からスタイルは変化しましたが、粘っこく跳ねるジャズ・ロックの熱気と北欧的幻想性を帯びたクールネスが見事に共存するこの77年作も完成度高いです。
ファンキー&ダンサブル!
トルコからドイツへと渡った移民によるデュオの85年作なんですが、これターキッシュ変態フォーク・ロックの極めつけ迷盤。
副題が「Disco Folk」となっていて、結婚披露宴などでのフォーク・ダンスのサントラを意識して制作されたようです。
確かにダンサンブルなリズムと言えばそうですが、あまりにエキゾチックにバタバタとしていて、これで踊れるのはかなりの達人に限られるかもしれません・・・。
新鋭からも3枚をご紹介!
ポーランドからは現代らしいエレクトロニックな踊れるプログレ逸品を。
ダンサブルなエレクトロ・ミュージック+哀愁を帯びた生演奏。
ポーランドらしい深遠な音空間をスタイリッシュに駆け抜ける21年作2nd!
オランダからはこの新鋭グループをピックアップ。
デジタリーなリズムとかっ飛ばすモダンなギターリフが組み合わさった踊れるビート、70年代の英プログレのエッセンスを感じる流麗なメロディとハートウォームでメランコリックなヴォーカル。
70年代英国プログレ + 80年代エレ・ポップ + 90年代ギターロックと言えちゃうようなサウンドで、「お、そこでメロトロン鳴らしちゃうの!?」というような驚きがいっぱい!
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70年代の楽器と見なされている節があるメロトロンですが、プログレにおいては現在も現役バリバリの楽器であることはご存知でしょうか。今回は、そのあたりが実感していただけるメロトロンが溢れまくりの新鋭プログレ作品をご紹介してまいりましょう~。
最後はアルゼンチンからタンゴを取り入れたこのグループをご紹介します。
スリリングかつ哀愁に満ちたバンドネオンの音色をリードに、キレのあるリズムに乗ってつややかに疾走するスタイルは、まさしく「タンゴ・プログレ」と言う他なし。
SERU GIRANばりのリリシズムや、ヒップホップまで取り込んだクリエイティヴなサウンドが素晴らしい!
いかがでしたか?
踊りに覚えのある方は、ぜひ踊ってみていただければと思います☆
3rd『ホシアナ・マントラ』よりポポル・ヴーに加入して活躍するギタリストConny Veitが率いるジャーマン・ロック・バンド。71年のデビュー作。グルーヴ感のあるリズム、明瞭なトーンで空間を広げるハモンド・オルガン、ジミ・ヘンドリックスやジミー・ペイジからの影響を軸に陶酔のフレーズへと昇華させたエレクトリック・ギター。サイケデリックながら混沌とした感じはなく、非常に尖った「踊れる」サイケ・ハード・サウンドが印象的です。初期ピンク・フロイド的な瞑想ロックもクールだし、70年代初期のサウンドとは思えないほどオルタナティブ。これは傑作です。
スペインはバルセロナ出身、ギター、サックス、ドラムのFortuny3兄弟を中心とするグループで、70年代半ばにバルセロナのライヴハウスZELESTEを中心に起こったジャズ/アヴァン・ロック・ムーヴメントの代表格。76年作にZelesteよりリリースされた2nd。デビュー作は、英ブランドXにも負けないテクニカルかつ流麗なジャズ・ロック傑作でしたが、オリジナリティに欠ける、として本人達は納得できていなかったようです。そこで、カタルーニャ地方の民族音楽や地中海音楽のエッセンスとジャズ&ロックを結びついたサウンドを改めて指向し、出来上がったのが本作。ハーモニカやウッドベースやテノーラというスペインの民族木管楽器(チャルメラ風!)やアコーディオンやスパニッシュ・ギターが彩るたおやかな地中海ロックが印象的。ここぞではキレのあるジャズ・ロック・アンサンブルも飛び出し、まるで「マイルス・バンドがチンドン屋をやったら?」といった感じの痛快かつ流麗なサウンドを聴かせます。サムラ的舞踏音楽フレイヴァー、アレアに通じる硬質なウネリ、イスラエルのシェシェットを彷彿させる地中海のたおやかさとがブレンドしたようなサウンドは個性抜群。もっともっと評価されてしかるべき恐るべしグループです。
ノルウェーのジャズ・ロック・グループによる76年2ndアルバム。ファンキー&ダンサブルなリズム感覚で心地よく跳ねるドラム、Percy Jonesばりにうねるベース、ギラギラしたプレイで絡み合うサックス&ギター&キーボードが繰り広げるテクニカルなジャズ・ファンク/フュージョン。一聴クラブでも重宝されそうな踊れるグルーヴを聴かせているようでいて、さりげなく突っ込まれる変拍子に足がもつれそうになる感じ。RTFファンからHerbie Hancock『HEAD HUNTERS』ファンまで、是非!
Thierry Payssan(Key)とJean-Luc Payssan(ギター)、双子のPayssan兄弟を中心に、80年代初頭より活動するフレンチ・シンフォニック・ロックの代表的バンド、19年作10th。同郷MALICORNEや英国のGRYPHONの流れを汲む、中世音楽、トラッド、舞曲をベースにした”踊れるプログレ”を本作でも追及しており、デビュー時より変わらぬアプローチをさらに推し進めたサウンドが魅力です。前のめり気味に畳みかける躍動感いっぱいのリズムに乗って、民族音楽のように賑々しく奏でられるシンセ&オルガンと、Mike Oldfieldばりにシャープで流麗にフレーズを弾くギター&緻密なアコギらが絡み合い、思わず体が動いてしまうようなリズミカルで華やかなシンフォニック・ロックを紡ぎます。アコギがジャカジャカとかき鳴らされシンセが高らかに舞う、地中海エッセンスも香る祝祭感に満ちた演奏は「CELEBRATION」のP.F.Mにも通じていてエキゾチズムたっぷり。一方、合間では技巧が炸裂するスリリングなテクニカル・シンフォも飛び出し、トラッド調ナンバーとの間に鮮やかなコントラストを作り上げていて素晴らしい。今回も期待を裏切らないサウンドを届けてくれる一枚!
70年代後半から80年代初頭にかけ活動したフレンチ・シンフォ・グループによる81年2nd。若干シンセ・ポップ色を見せつつも正統派叙情シンフォと言えた前年の1stから、一気にNW色全開のカラフルな80sサウンドへと変身しています。冒頭は19分に及ぶ大作ですが、ダンサブルなシンセ・ポップ調サウンドを絶妙に展開させ飽きずに聴かせきる手腕が見事。途中1st彷彿の幻想的なシンフォ・パートを挟む演出も憎いです。以降は純シンセ・ポップなナンバーと、NW然としたシンプルなリズムにシンフォ・タッチの厚みあるシンセを乗せたハイブリッドなナンバーが代わるがわる飛び出してきて、総じてポップな音ながらも聴き応えはたっぷりです。70sフレンチ・シンフォと80sフレンチ・ポップの間の子と言った具合の、ありそうでないサウンドを聴かせてくれる一枚。
70年代ノルウェーを代表するプログレ・バンド、前作に続きTerje Rypdalプロデュース、key奏者と女性voが交代し制作された77年作4th。前作で提示したジャズ・ロック/フュージョン路線に、本作ではファンク・テイストもプラスした、躍動感みなぎるサウンドが特徴。ジャジーなタイトさと跳ねるリズム感覚を備えた硬軟自在のリズム隊を土台にして、熱量たっぷりに畳みかけるギターとクールに刻むエレピが対比するアンサンブル。そこに絞り出すようにソウルフルな女性Voが乗るスタイルがとにかく痛快です。一方、さっきとは別人のようにツンと尖ったシャープなトーンのギターと甘いソリーナが絡み合う、北欧らしいファンタジックなパートも随所に登場、北欧プログレならではの幻想性も際立ちます。ファンク・テイストと北欧的美意識が共存する名品です。
90年代はじめに結成されたオランダのベテラン新鋭バンド、2014年デビュー作。デジタリーなリズムとかっ飛ばすモダンなギターリフが組み合わさった踊れるビート、70年代の英プログレのエッセンスを感じる流麗なメロディとハートウォームでメランコリックなヴォーカル。ジェネシスやイエスやキャメルのファンだったメンバーで結成されたようで、結成当初はオーソドックスなシンフォニック・ロックを演奏していたようですが、徐々にXTCやTALK TALKなどの80年代ポップのエッセンスや90年代以降のギター・ロックのエッセンスなどを加えながら、オリジナリティ溢れるサウンドに到達したようです。お、そこでメロトロン鳴らしちゃうの!?というような驚きいっぱいの愛すべき快作!
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