2021年10月12日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
英国プログレを代表するヴァイオリニストを3人挙げるとすれば、多くの人が思い浮かべるのがダリル・ウェイ、デヴィッド・クロス、そしてエディ・ジョブソンですよね。
今日はその中からエディ・ジョブソンに着目、個人的に彼のヴァイオリンのプレイが特に際立っているように思うU.K.『憂国の四士』を起点にして、スリリングで気品みなぎるヴァイオリン・プログレを探求していきたいと思います!
まずは、アルバムの中でもヴァイオリンのクリエイティヴなプレイが一際冴えわたるこのナンバーをお聴きください♪
ジョン・ウェットン、ビル・ブルフォード、エディ・ジョブソン、そしてアラン・ホールズワース。
言うまでもなく英国プログレ界のレジェンドたちによるスーパー・グループであり、ポップさとドラマチックさ、技巧と躍動感が結集した70年代後期の英国プログレッシヴ・ロックを代表する傑作デビュー・アルバム。
この最終曲の終盤で聴けるエレキ・ヴァイオリンの長尺ソロが本当に見事で、緊張感ある硬質なリズム・セクションに乗って繰り出される、ナイフのような切れ味と蝶が舞うような軽やかさを両立したプレイに痺れます!
ユーロ・シーンにも沢山のヴァイオリン・プログレがありますが、スリリングさと気品高さを備えた作品と言えばこれかな~。
ワールドツアーを成功させ絶頂期を迎えたP.F.Mを脱退、地中海沿岸の伝統音楽と真摯に向き合う中で作り上げた、ロック×民族音楽の最高峰と言うべき大傑作。
とにかく冒頭、アラビックなフレーズで畳みかけるヴァイオリンにゾクゾクする「Europa Minor」でやられます!
辺境からは、このイスラエル・プログレの古典的名作をチョイス!
イスラエル・プログレの古典にして至宝ですね。
たおやかかつスリルもはらんだヴァイオリンをフィーチャーした、ファンタジックさの中にほのかにエキゾな香りも匂い立つアンサンブルは、まるでイエスとアルティ・エ・メスティエリがイスラエルの楽団と一緒に演奏したかのよう。
本作を携えての英・欧州デビュー&ツアーが計画されていたという話も納得の大傑作プログレ絵巻!
ロシアにもいますよね、圧倒的にカッコいいヴァイオリン・プログレの人気バンドが!
ロシアのみならず現プログレ・シーンを代表する人気グループが、デビュー以前の録音をリメイクした21年作!
華やかなクラシカル・シンフォを聴かせる近作とは趣を異にする、70s英ロック影響下のソリッドかつ哀愁溢れるサウンドが最高にカッコいい!
縦横無尽すぎるヴァイオリンの切れ味鋭いプレイも相変わらず絶好調!
ラストは我が国日本の素晴らしいヴァイオリン・プログレ21年作をご紹介!
ハードSFの金字塔『星を継ぐもの』を題材にした21年作。
凛と気品溢れる表情の中にパッションを秘めた圧倒的技巧のヴァイオリンが疾走する興奮のインスト・プログレ!
これはまさに、U.K.やLOST WORLD BANDのファンには是非おすすめです!
いかがだったでしょうか。
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KING CRIMSONで製作を共にしたJohn WettonとBill Brufordが、インプロヴィゼーション主体のキーボード・ロックグループを画策し、ROXY MUSICでの交流からEddie Jobson、そしてJohn Wettonのソロ作に参加したAllan Holdsworthを迎えて結成されたスーパー・バンドの78年デビュー作。プログレッシブ・ロックが確実に衰退していく中でリリースされた傑作であり、John Wettonのポップ志向とBill Brufordのジャズ・ロック的な躍動感、Allan Holdsworthの技巧とEddie Jobsonの奔放できらびやかなサウンドが結集した作品であり、プログレッシブ・ロック復興を賭けた傑作です。
元PFMのヴァイオリン/フルート奏者。77年にPFMを脱退した後は、自身の音楽的ルーツを求め、地中海の民族音楽を探求。その成果として制作された79年作の1stソロ。イスラム文明とキリスト教文明とが幾重にも重なった地中海で育まれた地中海音楽と、ロックやジャズとを結びつけた地中海ロックの頂点に君臨する一枚。マウロは、ヴァイオリン、フルートの他、ギター、オルガン、ピアノ、ピッコロ、ブズーキ、ウード、サズを操るなど、マルチ・インストゥルメンタル奏者としての才能を見事に開花。そこに、AREAやPFMのメンバー、地中海プログレの名グループCANZONIERE DEL LAZIOのメンバーが加わり、アラビックな旋律が渦巻くエキゾチズムとロックのダイナミズムとがぶつかりあった芳醇かつ強靱なサウンドが生み出されています。特にアレアが参加したオープニング・ナンバーは、ヴァイオリンと民族弦楽器とのユニゾンによるこぶしを効かせたようにウネる旋律を軸に、強靱なジャズ・ロック・パート、CANZONIERE〜のメンバーのパーカッションが北アフリカの祝祭に紛れ込んでしまったような土着フレイヴァーを奏でるパートとを対比させながら展開するスケールの大きな名曲。PFMのメンバーが参加したクラシックとジャズと地中海音楽の豊かなフュージョンの豊かなフュージョンを聴かせる4曲目や、デメトリオ・ストラトスの超絶スキャット、マハビシュヌばりのソロの応酬が凄まじい5曲目もまた必聴。様々な時代・地域・民族が交差し溶け込んだコスモポリタン・ロックと言える傑作です!
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
今やロシアを代表するプログレ・グループとして人気を確立した彼らが、1stアルバム以前の92年に残していたテープ音源を元に完全新録した21年作!ヴァイオリンやフルートが格調高く舞い踊るクラシカルなナンバーの素晴らしさは近年の作風に通じますが、武骨なリズムが導くヴォーカル・ナンバーでは、70年代のブリティッシュ・ロックのようなソリッドかつ哀愁溢れるアンサンブルを聴かせていて驚き。そこに「Epitaph」のダークな叙情から「Discipline」のクセのあるリズムセンスまでを散りばめたクリムゾン譲りのエッセンスが効いていて、思わずニンマリしてしまいます。叙情的な曲での心ここにあらずといった趣の冷たく浮遊感あるメロディもいかにもロシア的で印象的。ブリティッシュ・ロック影響下の高品質なロシアン・ロック作品として素晴らしい出来栄えであると共に、怒涛のテクニカル・シンフォを聴かせてきた彼らの原点に触れることができる点でも興味深い一枚です。
09年に結成された日本のヴァイオリン・プログレ・バンド、ハードSFの金字塔『星を継ぐもの』をコンセプトにした21年作4thアルバム。凛とした気品溢れる表情の中にパッションを秘めた圧倒的技巧のヴァイオリンを軸に駆け抜ける、美しく壮大なインスト・プログレを紡ぎます。注目はやはり過去作に増して冴え渡るヴァイオリンのプレイ。クラシックの素養を生かした湖面を舞うように美麗なプレイに息をのむと、一転激しいリズム・セクションがタイトになだれ込み、それを合図にヴァイオリンも速弾きを交えてハードに疾走する、その切り替わりがとにかく見事。緩急自在なパフォーマンスはEddie Jobsonやロシア新鋭LOST WORLD BANDのAndrii Didorenkoにも比肩します。ヴァイオリンに負けじと力強く鳴るオルガン、クリアな響きのピアノを自在に操るキーボードワークも特筆。さらに印象的なのがアナログ・シンセの活躍で、独特のうねりと広がりを持つサウンドが壮大な宇宙空間のイメージを聴き手に想起させます。これはU.K.ファンやLOST WORLD BANDのファンに一押ししたいヴァイオリン・プログレ傑作!(バンドのセルフライナーノーツ動画あります)
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