こんにちは。スタッフ増田です。
なかなか旅行に行きづらいこのご時世。ならせめて音楽で旅気分を楽しもうと、この三連休は「カケレコ春のミュージック・ジャーニー」を連載中です。
南欧、英国と旅してきましたが、今回は米国編。それも、伝説のルート66を通って米国大陸を横断しようという企画です!
洋楽ファンならば、「ルート66」の名を知っている人は多いでしょう。イリノイ州シカゴからカリフォルニア州サンタモニカまでを結ぶ旧国道66号線、通称「マザー・ロード」。高速道路の発展などにより現在は廃線になってしまったようですが、古くからいくつもの小説やポップ・カルチャーの題材となってきた歴史的な道路です。
今日はそんなルート66に沿って、米国大陸音楽の旅にご案内。名曲「ルート66」のストーンズ・カヴァーを聴きながら、いざ出発!
出発地点はイリノイ州シカゴ。この街の音楽といえば、やはりシカゴ・ブルースが有名ですね。1930〜50年代にかけてアフリカ系黒人が多く移住し、南部のデルタ・ブルースを都会的に発展させて誕生したシカゴ・ブルース。60年代に入ると、マディ・ウォーターズ等から影響を受けたポール・バターフィールドやマイク・ブルームフィールドといった白人ミュージシャンが活躍し、シカゴ・ブルースの伝統をロックと結び付けていきました。
またシカゴといえば、シカゴの学生によって結成された「シカゴ」がいますね。デビュー以降はロサンゼルスを拠点に活動する彼らですが、ソウルフルなヴォーカル、コシのあるグルーヴや溌剌としたブラス・セクションなどはジャズ、ブルースなどの黒人音楽が盛んだったシカゴという都市からの影響を感じます。
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1969年からちょうど50年を記念して、70年代を代表する名バンドによる69年リリースのデビュー作をピックアップ。第三弾は4月28日にリリースされたシカゴの1st『CHICAGO TRANSIT AUTHORITY(シカゴの軌跡)』!
70年代初頭に盛んなフォーク・リバイバル運動が起こっていたシカゴ。Steve Goodman、John Prine、そして女性シンガーBonnie Kolocの三人は「シカゴ・フォークの三傑」とも呼ばれ、シーンの形成に大きな役割を果たしました。
イリノイ州を南西に向かい、お隣のミズーリ州へ。本当はルート66は通ってないのですが、ルート66から少し北上した位置にあるカンザス・シティのニッチなハード・ポップ・バンド、「ミズーリ」をご紹介。
さらに南西に向かうと、米国南部の州オクラホマに辿り着きます。オクラホマはかつてネイティブ・アメリカンが強制移住させられていたという歴史を持ち、その名残で現在もネイティブ・アメリカンが多く在住する土地。また西部開拓時代やカウボーイの文化も強く根付いており、カントリーなどのルーツ・ミュージックが今現在も盛んに演奏されています。
そんなオクラホマ州西部のタルサでは50年代後半から60年代初頭にかけて、ブルース、ロカビリー、ルーツ・ミュージック等をミックスした「タルサ・サウンド」と呼ばれる独自のロック・サウンドが誕生しました。70年代に入ると、J.J.ケール、レオン・ラッセル、そしてネイティブ・アメリカンのジェシ・エド・デイヴィスといったオクラホマ出身の若きミュージシャンたちがこのタルサ・サウンドを継承。かのエリック・クラプトンもタルサ・サウンドの影響を強く受け、「コカイン」「アフター・ミッドナイト」といったJ.J.ケイルの楽曲をカヴァーし大ヒットを収めています。
クラプトンによる「アフター・ミッドナイト」のカヴァーで知名度を上げたJ.J.ケールが72年にリリースしたデビュー・アルバムがこちら。米南部的ルーツ・ミュージックの旨味がたっぷりと染み込んだ、タルサ・サウンドを代表する名作のひとつです。
さあ、ここから長い長い一本道を西へ突き進んでまいります!ワイルドさ満点のニッチなサザン・ロックとハード・ロックをお供に、レッツゴー。
オクラホマのグループ。ツイン・ギター・スタイルのサザン・ロック・バンドには、80年代初頭にも良いバンドがたくさんいるんです。こちらはLYNYRD SKYNYRDの演奏の中に、突如へヴィー・ウェイト級のボクサーが乱入して来たかのような、アグレッシヴなサウンドが素晴らしい力作。
このジャケの写真、もしかしてルート66ですかね!? バンド名の通り、ロケットの如くハイテンションに突き進んでいくサウンドが特徴。ワイルドさ満点の米ニューメキシコ出身サザン・ハード・バンド、79年唯一作!
ア、アリゾナのクリーム!? 1969年作。ボコスカ・ドラムも鋭角なファズ・ギターもいいし、哀愁溢れる歌メロ、巧みなコーラスもいいなぁ。
ついに長い長い荒野を抜け、夢の西海岸ロサンゼルスへ!ハリウッドを代表とする映画産業はもちろん、キャピトル、ワーナーといった大手レコード会社が本拠を構える音楽産業のメッカでもあるLA。60年代からバーズ、ドアーズ、バッファロー・スプリングフィールドといった主要なアーティストを数多く排出してきましたが、LAを代表するサウンドといえばやはりイーグルスなどに象徴される「ウエストコースト・ロック」。旅の締めくくりに、爽やかな風吹く海岸線をドライブしながらウエストコースト・ロックの名盤を聴いてまいりましょう。
記念すべき72年デビュー作。古き良きカントリー・テイストを取り入れつつも軽やかで洗練されたサウンドは、まさに「新時代のウエスト・コースト・ロックの幕開け」と言えますね。ジャクソン・ブラウンと共作の「テイク・イット・イージー」はウエストコースト・ロック屈指の名曲ですね。
ウエストコースト・ロックの名グループによる、最高傑作との誉れ高い77年作。コクたっぷりのスティール・ギターをふんだんに取り入れつつ、カントリー調になりすぎず穏やかなポップ・サウンドの中に自然に溶け込ませているのが見事。STEELY DANのドナルド・フェイゲンがストリングス・シンセサイザーで参加している点も特筆です。
西海岸を代表するシンガー、全米1位を獲得したシングル「悪いあなた」収録の74年作。ウェストコーストシーン屈指のメロディ・メイカーとして知られるアンドリュー・ゴールドがバックに参加し、ポップさとカントリー・テイストが混ざり合った芳醇なサウンドを聴かせています。
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ホワイト・ブルースの幕を開けた65年のデビュー作に続き、66年にリリースされた2nd。ブルース・ナンバーをエネルギッシュにストレートに聴かせた1stに比べ、アレンジにグッと幅が広がりました。特筆は12分を超えるタイトル・トラックで、ラーガ風味の長尺ギター・ソロが炸裂!1stと並び、米ロック史上に残る傑作です。
アリゾナ出身のヘヴィ・サイケ/ハード・トリオ。69年作。硬質なトーンで切れ味鋭いファズ・ギターと前のめりにアグレッシヴなリズム隊による塊のようなアンサンブルはCREAMを彷彿させます。ブルージーで哀愁溢れる歌メロ、巧みなコーラス・ワークも魅力的。
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