2020年3月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
本日3月22日は、ブリティッシュ・ロックの立役者とも言うべきミュージシャン、キース・レルフの誕生日です。
ブルースハープの名手として知られ、ヤードバーズ、ルネッサンス、イリュージョンといったバンドを率いたことで、ブルース・ロック、ハード・ロック、サイケデリック・ロック、プログレッシヴ・ロックなどの形成に大きく関わった英国ロックシーンの重要ミュージシャンですよね。
76年に自宅での演奏中の事故により33歳という若さでこの世を去った彼ですが、十数年の活動によって英国ロックの歴史に深く刻まれたその足跡を辿ってみたいと思います。
70年代にかけて隆盛を極めることになるブリティッシュ・ロックの発展に大きく寄与したのがレルフが率いたヤードバーズ。62年結成、64年のデビュー以来、メンバーチェンジを繰り返しながらも、R&Bを基盤に持つサウンドをロック・ミュージックとして先鋭化させていった手腕は特筆。各年代でいわゆる3大ギタリスト、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジを擁していた事実は、ヤードバーズなくしてロックの発展はあり得なかったことの最大の証明と言えるのではないでしょうか。
このバンドがなければレッド・ツェッペリンというバンドも、『いとしのレイラ』や『ブロウ・バイ・ブロウ』といった名盤も、今知られているような形ではなかったかもと考えると凄さが分かります。
記念すべき64年のデビュー作にしてライヴ・アルバムという大胆不敵な一枚。クラプトンのスリリングで熱気ほとばしるギターはもちろん素晴らしいですが、ブルースハープを交えてややハスキーな渋い声で歌いあげるレルフのカッコよさが際立ちます!
ジェフ・ベック在籍期と言えばこのアルバム。最高傑作とも言われる一枚ですね。すでに完成形に近い超個性的なベックのプレイに耳を奪われます。
ジミー・ペイジ在籍時代の唯一となるスタジオ・アルバム。ジャケットに象徴されるサイケ/ポップな要素も加味したカラフルな印象を持つ作品。レルフのヴォーカルの表現力は初期に比べ大きく進化してます。そしてカミソリのようなキレの良さを持つペイジのプレイはすでにツェッペリンに通じていますね。
発売後すぐに回収となった、初期ペイジ関連音源中でも幻と云われた68年のライヴ音源。ジミー・ペイジ弾きまくり!
ヤードバーズの活動が終了し、同年にYB時代の同僚だったジム・マッカーティと組んだトゥゲザーとしてシングルを残した後、翌69年にレルフが立ち上げたのがルネッサンス。その音楽性はクラシカルな格調高さを持つフォーキーなプログレッシヴ・ロック。ルネッサンスと言えば、マイケル・ダンフォードを除くメンバーが一新された第2期が有名ですが、第1期でレルフらが提示したサウンドを発展させたことがわかります。通称オリジナル・ルネッサンス。
69年の1st。クラシカルで躍動感に溢れたピアノ、荘厳なコーラス・ワークをフィーチャーしたサウンドはたいへんに幻想的。ただ前年までのヤードバーズでのブルージーなサウンドもチラチラと垣間見れるのが面白いところ。
妹ジェーンの陰影ある美声もフィーチャーし、クラシカルな幻想性にさらに磨きがかかった名作。レコーディング中すでに解散状態にあったと言われるバンドの内情を反映してなのかそうでないのか、粛々と内省的なサウンドが胸に沁みます。
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第一期ルネッサンス解散から数年、レルフがルネッサンスのベーシスト=ルイス・セナモらと結成したバンドがこのアルマゲドン。またもやルネッサンス時代とは打って変わったサウンドで、重くブルージーなハード・ロックを展開。お得意のブルースハープも炸裂していて、ハード・ロック版ヤードバーズを目指したのかはわかりませんが、後期ヤードバーズの延長線上でも楽しめる一枚と言えるかもしれません。圧倒的なカッコよさ!
レルフとジム・マッカーティを中心とするオリジナル・ルネッサンスのメンバーによる活動再開を計画していた矢先の76年、自宅で演奏中の感電死という悲劇がレルフに降りかかります。享年33歳。悲しみを乗り越えてメンバーたちはバンド名をイリュージョンとして活動を開始。77年作『醒めた炎』、78年作『幻想の翼』をリリースします。両作とも深い陰影を湛えたブリティッシュ然としたサウンドが美しい名作です。
79年に録音されながらもお蔵入りとなり、90年に日の目を見た3rdアルバム。本作のラストに収録されている「All The Falling Angels」はレルフが死の12日前にレコーディングした、彼が生前最後に残した楽曲。メロトロンを伴ったリリシズム溢れる演奏、崇高なメロディ、そしてレルフの切ない歌声が相まってぐっと胸に迫ってくる一曲です。こんな美しい楽曲を最後に聴かせてくれたことに感謝せずにはいられません…。
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アウターケース付き仕様、2枚組、全40曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
1枚は無傷〜傷少なめ、1枚は傷あり、若干圧痕あり
1964年3月、ロンドンはマーキー・クラブでのライヴ盤。全曲がブルースとR&Bのカバーで占められ、スピード感と熱気に溢れた演奏が楽しめます。クラプトンのスリリングで熱気ほとばしるギターはもちろん素晴らしいですが、ブルースハープを交えてややハスキーな渋い声で歌いあげるレルフも大変格好いいです。
67年にアメリカのみでリリースされた、5作目のアルバム。ERIC CLAPTON、JEFF BECK脱退後、JIMMY PAGE参加直後の作品。JOHN PAUL JONESのアレンジによる表題曲、JIMMY PAGEのオリジナルでシタール、タブラ、オーボエなどが活躍し新たなサウンドの展開を魅せる「WHITE SUMMER」、弓弾きプレイが印象的な「GLIMPSES」等、後のLED ZEPPELINスタイルが早くも顔を覗かせている点も特筆すべき点。またシカゴ・ブルースの御大MUDDY WATERSの「ROLLIN&TUMBLIN」の改作、「DRINKING MUDDY WATERS(泥水、あるいはマディを飲み込むいうダブル・ミーニング)」を収録。次第にハードな方向へと進む世のバンド群れの姿勢に反発を感じていたKEITH RELFとJIM MCCARTYの主張を強く押し通した意欲作だったとも言われています。
68年に録音され、71年にリリースされながらジミー・ペイジの反対ですぐに回収となったアルバム。ジミー・ペイジ、弾きまくってます!もの凄いエネルギー!
2001年3月16日、東京厚生年金会館でのライヴ。残念ながらフル収録ではないようですが、往年の名曲、アニーのソロ名曲、トスカーナ収録の名曲と、さすがの名曲づくし。心配されていたアニーの声も全く衰えが感じられず、一曲目の「Carpet Of The Sun」から、あの伸びやかで透き通ったハイトーンに感動しきりです。サウンドの方も文句無しで、特にキーボードワークが素晴らしく、往年のオーケストラとの共演ライヴにも劣らない重厚なサウンドを聴かせています。ライヴ盤の「傑作」と言って差し支えないでしょう。
元YARDBIRDSのKeith RelfとJim McCartyを中心に結成されたオリジナル・ルネッサンス。69年のデビュー作。ビート・ポップがベースにありますが、クラシカルで躍動感に溢れたピアノ、荘厳なコーラス・ワークをフィーチャーしたサウンドはたいへん幻想的。変拍子の中をピアノがコロコロと転がるキメのパートから、一転して「月光」のピアノ・ソロへと移行するなど、鮮やかなアレンジも素晴らしい。Keith Relfのヴォーカル、紅一点Jane Relfのヴォーカル、どちらも気品に満ちているのも特筆ものです。レイト60sの英国シーンに華麗に咲いた逸品。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は72年にリリースされたデビューアルバム。「革命のエチュード」からの引用によるオープニングからクラシカルな味わいと英国ロックの気品、アコースティックな感性を全面に、Annie Haslamの伸びやかなスキャットが映えます。楽曲のふくよかさ、トータルプロダクションの上手さは後の作品に譲るも、彼らにしか作りえない素朴な叙情の片鱗を既に窺うことが出来る好盤です。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は73年にリリースされた2nd。クラシカルな中に多少のサイケデリック感覚を残したデビュー作から方向性が定まり、牧歌的なのどかさと英国叙情、オーケストラを従えたシンフォニック・ロックの世界を作り上げています。以降ライブでも取り上げられる機会の多い名曲となった「カーペット・オブ・ザ・サン」「燃ゆる灰」などを収録。
YARDBIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は74年にリリースされた3rd。前作「燃ゆる灰」で作り上げた優美なシンフォニック・サウンドにさらに磨きをかけ、また、バンドのプロダクションに大いに貢献してきたMichael Dunfordがついに正式加入。「アルビノーニのアダージョ」を取り上げた「冷たい世界」や前作には無かったスケール感を持つ「母なるロシア」などを収録し、バンドは一気にその人気を不動のものとします。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は75年にリリースされた4thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。特にリムスキー・コルサコフの同名交響曲に端を発した「シェエラザード夜話」は、「アラビアン・ナイト」の世界をコンセプトに据えた20分を超える超大作であり、オーケストラ・サウンドとロックの融合を目指した英国ロックの1つの結論と呼ぶべき傑作。米国での成功で勢いに乗った彼らの生み出したシンフォニック・ロックの世界は他の追随を許しません。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は76年にリリースされたライブ作であり、アメリカのカーネギー・ホールにてオーケストラを率いて録音(75年6月)された名盤です。デビューアルバムから、アメリカへの足がかりとなった名盤「Scheherazade And Other Stories」までの代表作が余すことなく並んでおり、Annie HaslamのソプラノボーカルとNYフィルのオーケストラが絶妙に溶け合い、孤高のシンフォニック・ロックを作り上げています。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は77年にリリースされた6thであり、彼らの代表作の呼び声も多い名盤。「Scheherazade And Other Stories」の評価とアメリカでのコンサートの成功によってWEAとワールドワイド・リリースを契約、まさに絶頂を迎えた彼らの自信に溢れた作品となっています。ロック・フォーク・クラシックという彼らの3大要素が惜しみなく発揮されており、女性ボーカル系シンフォニック・ロックの金字塔的な作品といえるでしょう。
19年リイシュー、77年10月ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴを加えた3枚組ボックス、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、ブックレット・ミニポスター付き仕様
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成されるも、2枚のアルバムを残し解散したイギリスのグループ。72年にソプラノ・ボーカルAnnie Haslamを擁し新体制で活動を再開、ロック・フォーク・クラシックが交差する幻想的な楽曲は今なお色褪せることはありません。本作は78年にリリースされた7thであり、前作同様にオーケストラを取り入れたシンフォニック・ロックを披露。アコースティックな味わいとAnnie Haslamのソプラノボーカルが彩るトラッディーな味わいは相変わらず心地良く響いており、明るくきらびやかな作風となっています。音楽的にはやや意図的なポップ・センスが感じられており、バンドで重要な位置を占めるキーボードはシンセサイザーなどエレクトリックな方向性が見え始めるなど、時代の流れと共に変化する彼らの姿が見受けられます。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、HDCD、歌詞付仕様、定価1905+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
軽微なスレあり、帯に軽微な折れあり
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、HDCD、歌詞付仕様、定価1905+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
紙ジャケに色褪せあり
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、内袋・リーフレット付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
内袋に若干折れあり、軽微なスレあり、側面部に色褪せあり
79年作。クラシカルなテイストはそのままに、ポップ色が増し、クラシカル・ポップというべき洗練された心踊るサウンドが素晴らしい逸品。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、内袋付仕様
盤質:傷あり
状態:良好
側面部に色褪せあり、内袋に若干圧痕あり
ご存じ英国クラシカル・プログレの代表的グループ、70年フィルモア・ウェストでのライヴを収録した全8曲。
YARD BIRDSのKeith Relf、Jim McCartyを中心に結成され2枚のアルバムを残したRENAISSANCEが解散、RENAISSANCEはAnnie Haslamを擁した新体制で成功を収めていきますが、オリジナルRENAISSANCEは2ndアルバムのタイトルをバンド名に再結成。Keith Relfの死を乗り越えてのリリースとなる本77年デビュー作は、Jane RelfとJim McCartyのボーカルが切なく響く作品であり、ブリティッシュ・フォーク・ロックの名盤と言えるでしょう。時代がパンク・ロックへと足並みを揃える時期であり、商業的には成功とは言えなかったものの、英国然とした叙情を感じさせる作品です。
元ヤードバーズのキース・レルフとジム・マッカーティを中心に69年に結成したオリジナル・ルネサンス。そのメンバーが76年に再度集結して結成されたイリュージョンによる79年録音90年リリースの3rd。パンク〜ニューウェーヴ・ムーヴメントが吹き荒れていた時期とは思えない、70年代ブリティッシュ・ロックの豊潤かつ陰影に富んだサウンドが堪能できる一枚。栄華を極めた70’sブリティッシュ・ロック最後の輝きと言うべき名品に仕上がっています。
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