2020年9月28日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
【3月29日~4月4日の3枚】
まずはこの素晴らしい2020年作から。94年結成、地中海に浮かぶイギリス領の島国マルタ共和国出身で、現在はチェコを拠点とするグループによる通算4枚目のアルバムとなります。
全編を彩るコロコロしたピアノ、叙情たっぷりのフレーズを奏でるドラマチックなギターが印象的なメロディアス・プログレなのですが、特筆はビックリするくらいにポップで親しみやすいメロディ。
少年のような実直さと優しさを感じるヴォーカルに瑞々しいコーラスが絡むスタイルは、メロディの良さも相まって、MOON SAFARIも想起させるほど。そんなサウンドを雄大に盛り上げるメロトロンの使い方も見事です。
21分の大作は、GENESIS的な英国叙情やSPOCK’S BEARDに通じる洗練されたモダンな構築性を発揮しながら、ひたすらキャッチ―なメロディが紡がれ続ける名曲で興奮必至。
四半世紀を超えるバンドとは思えないサウンドの鮮度に驚かされる愛すべき一枚。これは文句なしにカケレコメンド!
続いてもベテラン・バンドによる力作をご紹介。こちらは85年に結成された英国のベテラン・シンフォ・グループによる20年作8thになります。
キャリア35年の風格を湛える、ゆったりと構えたスケール大きなメロディアス・シンフォニック・ロックは大変な気持ちよさ。
YES的なタイトさで疾走するリズム隊、GENESISの薫り高いファンタジーを宿すキーボード、MARILLIONのS.ロザリーに通じる叙情的な中に英国的気品を秘めたギター、そしてハートウォームに歌い上げる男性ヴォーカル。派手に展開せずとも、いつまでも浸っていたくなる包み込むようなジェントルな世界観が魅力です。
奇を衒うことなく実直に紡がれるサウンドが静かな感動をもたらすさすがの秀作に仕上がっていますよ!
Claudio RocchiやEQUIPE 84の作品への参加したセッション・ギタリストにして、80年代にはイタリアン・シンセ・ポップのパイオニアとして名を馳せることになるAlberto Camerini。
彼が77年に発表した2ndソロが本作です。
ヴァイオリンにPFMで知られるLucio Fabbri、ベースとプロデュースにAREAのAres Tavolazziなど、著名なミュージシャンが参加。
そのサウンドは、スッと染み入る素朴で誠実さが滲むイタリア語ヴォーカルと、地中海音楽のエキゾチズムや祝祭感を含んだ見事なアコースティック・ギター演奏をメインにした、柔らかく芳醇なカンタゥトーレ作品。
地中海の風を感じるような爽やかでほのかにエキゾチックなサウンドは、PFMで言うと78年作『PASSPARTU』あたりに通じる印象があります。
これは実に味わい深い良い作品ですねぇ。
【3月22日~28日の3枚】
まずは、4タイトルがまとめてリイシューされた、北欧はデンマークが誇るジャズ・ロック・グループSECRET OYSTERから1stアルバムをご紹介しましょう。
ジョン・ピールが気に入り彼主宰のダンデリオン・レーベルからアルバムもリリースしたオルガン・ロック・バンドBURNIN RED IVANHOEのメンバーを中心に結成されたのがこのSECRET OYSTER。
デビュー・アルバムで聴けるそのサウンドは、全編テンション高く疾走する豪快なアンサンブルに圧倒される痛快無比なジャズ・ロック!
手数多くまくしたてるようなドラム&ベース、サイケやハード・ロックの熱量を飲み込んだ縦横無尽すぎるギター、乱舞するオルガン&エレピ、そしてDavid Jackson並みに生々しい音のサックスと、どの楽器も一癖も二癖もある個性派揃い。ゆえに、途方もなくテクニカルながら、滑らかさはなく火花が散るようにゴリゴリしたアンサンブルで押し寄せてきます。
数曲ではSOFT MACHINE『Third』あたりに通じる浮遊感さと凶暴さが同居するジャズ・ロックも披露しており、ゴリ押しジャズ・ロックだけじゃない懐の深さを示します。
しかしこの嵐が吹き荒れるかの如く凄まじい演奏は、プログレ・ファンなら一度は聴いてほしいです。数ある北欧ジャズ・ロックの中でも演奏のすさまじさは間違いなく最高峰!
ご存じ、現スペインを代表するプログレッシヴ・ロック・バンドKOTEBELが、99年にリリースした記念すべき1stアルバム。
現在はバンド編成で活動しており、12年作は権威ある世界的アワード「INDEPENDENT MUSIC AWARDS」を受賞するなどその実力を遺憾なく発揮してきた彼らですが、発足当時は中心人物であるヴェネズエラ出身のキーボーディストCarlos Plazaによるソロ・プロジェクトでした。
本作も一部楽曲でのフルートやパーカッションを除き、彼がキーボードとリズム・セクションを多重録音して制作しています。
元々クラシックのコンポーザー/演奏家なだけあって、輝かしい気品に満ちたピアノとシンセサイザーが丹念に折り重ねられ形作られていく、「美麗」という一言に尽きるクラシカル・シンフォニック・ロックはさすがの完成度。
特に注目は息をのむほどにデリケートなタッチで奏でられる表現力豊かなピアノで、クラシック演奏家としての矜持に満ちた素晴らしい演奏です。この後KOTEBEL作品に毎回参加するOmar Acostaによる幽玄のフルートも一層の格調高さを加えていて見事。
格調高くも柔らかな聴き心地の良さを持っており、CAMELやENIDあたりのファンにも響くサウンドかもしれません。後の作品のようなアグレッシヴな力強さはなくとも、Carlos Plazaという稀有なミュージシャンの才能を十二分に感じることができる好作品です。
ラストは、久々に入荷した彼らの19年作をチョイス。
キーボード奏者でコンポーザーのMats Benderを中心に、息子のMattias Bender(ドラム&バッキングVo)、娘のJohanna Bender(リードVo)、そしてゲスト・ヴォーカルとしてMatsの妻Johanna Benderが参加という、Benderファミリーを中心とするスウェーデンのシンフォ・グループ、19年作4th。
アグレッシヴに疾走するリズム、シンセサイザー、オルガン、ピアノを幾重にも折り重ね圧倒的なスケールを生み出すキーボード、ゴリゴリとヘヴィにもメロディアスにも自在なギター、そして声量豊かに少し厳かな表情で歌い上げる女性ヴォーカル。従来の作風を踏襲しつつも、アコーディオンやフルートが哀愁たっぷりに奏でられる北欧然としたトラッド風味も織り込んだ懐の深いシンフォニック・ロックを提示しています。
特に素晴らしいのが、多彩な音色でアンサンブルに豊かな色彩をもたらすシンセサイザー。スピード感ある曲での怒涛のごとき早弾きから、リリカルな曲でのフワッと柔らかいタッチまで、幅のあるプレイでイマジネーション溢れるサウンド作りをけん引しています。
どの曲もドラマチックでキャッチーなメロディが満載で、同系シンフォの中でも抜群に聴きやすい点も好印象。ファミリーバンドならではの呼吸の良さにも注目の過去最高作と呼びたい一品です。
【3月15日~21日の3枚】
まずは、今年発掘リリースされたアルゼンチン・ロックの逸品をピックアップ。
のちにはPOLIFEMOの1stやESPIRITUの2nd『Libre y Natural』に参加するキーボーディストJuan Ciro Fogliattaが在籍したグループの、未発表となっていた73年録音の2ndアルバムが本作です。
スペイン語の野性味あるヴォーカルこそ辺境らしさたっぷりですが、オルガンがこれでもかと豪快に唸るハード・ロックから軽快なパブ・ロック調まで、70年代初頭の英国ロックを下敷きにしたサウンドが特徴的。
構築性あるドラマチックな楽曲展開が素晴らしく、辺境色と英国憧憬とのバランスの絶妙さは、ブラジルのO TERCOに近いセンスと言えるかも。
曲によっては「南米版CRESSIDA」と呼びたくなる哀愁ほとばしるオルガン・ロックも聴くことができて、遠く南米の地で英国ロックの精神を宿すサウンドが鳴らされていたことに感動します。
オルガン・ロック好きならこれは是非!
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お蔵入りという悲運を辿りながらも、数十年の歳月を経てリリースされリスナーのもとに届けられた名作たちを探求しましょう!
注目の再入荷タイトルも多数ありましたので、ご紹介してまいりましょう。
スペイン出身はマヨルカ島出身のサイケ・フォーク・グループが残した78年作の唯一作なのですが、プロデュースを務めたのがGONGで知られる奇才デヴィッド・アレン。
ソフト・マシーン離脱後の60年代末期に拠点としたり、76年には同地でソロアルバムを制作するなど、彼とは縁のある島だったため、現地バンドとの交流にも積極的だったのかもしれません。
あのアレンがプロデュースしているとなるとなかなか一筋縄ではいかないサウンドを想像しますが、流れてくるのは地中海の豊かな風土を反映したようなひたすらに美しくドリーミーなフォーク・ロック。
優美なコーラス・ワーク、リコーダーやハーモニカが素朴な味わいも、温かいサウンドに彩りを加えます。
きっとグループ本来の繊細にしてハートフルな音楽性を最大限に生かすプロデュースをおこなったのだろうと考えると、アレンのプロデューサーとしての優れたバランス感覚もうかがえる一枚です。
今や中南米プログレ・シーンのトップ・グループとなった彼らの02年作が久々に入荷できましたのでご紹介したいと思います。
本作は10作目という節目の作品であるとともに、デビュー以来初のメンバーチェンジを経て制作されたバンドにとって転機となった一枚。
本作より、新たなドラマーとその後のCASTサウンドに欠かせない存在となるギタリストCarlos Humaranを迎えています。
初期GENESISへの憧れを宿すファンタジックで色彩にあふれたLuis Alfonso Vidalesのキーボード、新加入のギタリストCarlos Humaranによるテクニカルな中にメロディアスで繊細なタッチも見せるギター、そして凛とリリカルに鳴らすフルート。激しさとデリケートさがごく自然に同居したサウンドは、さすが70年代結成のベテランです。
間違いなく彼らの持つ幻想性、叙情性が一つの頂点を極めたといえる名品。
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90年代以降のプログレ・バンドではフラワー・キングスと双璧と言っても過言ではないバンドへと成長した、プログレ辺境の地メキシコの雄、CASTを大特集!
【3月8日~14日の3枚】
まずはこのニューグループをご紹介しましょう。
トラッドを取り入れたシンフォニック・ロックを持ち味とする英国屈指の人気バンドMOSTLY AUTUMN。そのキーボーディストIain Jenningsが、同じく英国出身のプログレ・バンドRIVERSEAのヴォーカリストMarc AtkinsonとベーシストDavid Clementsと共に立ち上げた注目プロジェクトがこのMOON HALOです。
そのサウンドは、エレクトロニクスを散りばめたモダンな音作りと、Jenningsのピアノを軸とする凛と静謐な音空間がセンスよく調和する、良質なシンフォニック・ロック。
多くの楽曲で大胆なデジタルビートを導入していますが、上記の気品あるピアノをメインとするキーボードやゲストプレイヤーによるメロディアスな泣きのギターそしてMarcの温かくジェントルな歌声と、生演奏のほうは人間味に溢れており、その両者のバランス感覚がとにかく秀逸。
冒頭から打ち込みを大胆に取り入れたスピード感あるナンバーでカッコよく決める一方、中盤~後半での湧き上がるオーケストラをバックにリリカルなピアノと泣きを帯びた伸びやかなギターがナンバーも実に感動的に響きます。
デジタリィな硬質感と生演奏が持つ格調高さや温かみが有機的に結びついたさすがの一枚となっています!
ここからは、最近入荷した70年代ロックからのオススメタイトルをピックアップ!
ウェールズと言えば、BUDGIEにMAN、BLONDE ON BLONDEといったグループが真っ先に挙がりますが、70年代中盤に3作品を残したこのグループもチェックしてみてほしいところ。
フリートウッド・マックやピーター・フランプトンらと米ツアーを回った経験も持つ隠れた実力派バンドによる、75年作の2ndと76年作の3rdを収録したのが本作です。
ツインギター編成を生かしたSTATUS QUOばりのブギ・ロックに、EAGLESを思わせる西海岸フレイヴァーをまぶしたような骨太ながらメロディアスで抜けのいいサウンドが実に気持ちよし。
残念なことに商業的成功には恵まれなかったバンドですが、サウンドはまぎれもなく一級品!
現在も南米諸国でレジェンドとして愛されているウルグアイの最重要ミュージシャンが故Eduardo Mateo。本作は唄、アコギ、パーカッションというシンプルな素材をエンジニアが再構築して完成させた、Mateoの1stソロアルバムになります。
素朴さの中に言い知れぬ憂いと郷愁を帯びたMateoの唄声、飾らないギター・ストロークと瑞々しく弾かれるアルペジオ、心地よく響くパーカッション。
ボサノヴァの様式を溶かし込んだフォーク・スタイルに、自国の伝統打楽器音楽であるカンドンベの要素も生かされています。
そして心に安らぎを与えてくれるような優しい音空間を創り出す音響処理が、また素晴らしい仕事なんですよね。
陽だまりのような温かさを感じさせる無垢な歌声と演奏に、落涙を禁じ得ない永遠の名作です。
【3月1日~7日の3枚】
02年にデビューしたイタリアン・プログレ・バンド、8年ぶりの新作となった2020年作4thアルバム。
BIG BIG TRAINやSPOCK’S BEARDなどのグループに通じる、GENESIS影響下の70年代プログレ的ヴィンテージ・テイストと、明快かつスケール大きく広がるモダンな音作りが見事に共存する、聴きやすくも風格に満ち満ちたサウンドを提示します。
どっしりと抜群の安定感を誇るリズム・セクションを土台にして、初参加のキーボーディストによるジョワーっと芳醇に鳴るヴィンテージなオルガンと艶やかで輝かしい音色を響かせるシンセ、シャープながらエモーションいっぱいのメロディアスなプレイで躍動するギター、スタイリッシュさと繊細さが絶妙に共存する男性ヴォーカルらが力強く紡ぐシンフォニック・ロックが感動を呼びます。
パワフルなアンサンブルが不意に静まり、アコギやピアノによる気品あるパートへと切り替わるしなやかさを持つ演奏も特筆。
8年という年月は、単なるブランクではなく進化のための時間であったことが実感できる内容ですね。
上記2バンドやアメリカのECHOLYNあたりがお好きな方ならグッとくる事間違いない傑作です!
ブルース・ロック、プログレ、サイケをゴッタ煮にしたような一筋縄ではいかないサウンドが特色のスイス産クラウトロック、70年作2nd。
ベースとなるのはグルーヴィーかつちょっぴり気だるげなブルース・ロックなのですが、そこに格調高いヴァイオリンやフルートが混ざり合ったり、突如オリエンタルなシタールやパーカッションがぶっ込まれたりなどの「とにかく何でもあり」感は他では味わえない個性。
とはいえキワモノ臭さはそれほどなく、コクのある英詩ヴォーカル、ジミヘン影響下のファンキー&ソリッドなギター、フォーキーなアコギやジャジーなオルガンが叙情たっぷりに重なり合うアンサンブルはかなりハイレベル!
ところどころ実験要素はありますが、題名の通りスワンプ・ロックのファンにもオススメできそう。バランスの取れた名作です。
フランスの新鋭ジャズ・ロック・グループによる2019年デビュー作ですが、これは素晴らしいです。
これぞフランス!と言いたくなる、うっすら漂うダークな質感とヨーロピアンな哀愁を孕んだ情感溢れるジャズ・ロックが絶品。
変拍子を驚くほどしなやかに叩き出すドラムスに芳醇な響きのベース、うつむき加減なタッチで幻想的なフレーズを紡ぐギター、そしてトルコ系フランス人奏者が吹くエキゾチックな哀感が滲むサックスらが織りなす演奏には「異郷の地で鳴らされたカンタベリー・ロック」といった趣があります。
ギターが荒々しく疾走する場面も現代的なゴリゴリした感じにはならず、70年代ジャズ・ロック的に通じる硬質感で渋く聴かせる感性も素晴らしい。
耽美なフランス語ヴォーカルが一層に異国情緒を掻き立てます。デビュー作とは思えぬ完成度に驚く、ダークなロマンに満ちた名品です!
2月の「今週の3枚」は次ページでお楽しみください☆
2019年12月以前の「今週の3枚」は下記ページにてチェックどうぞ!
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「これは聴いてもらいたい!」というカケレコメンドな作品を毎週3枚ご紹介。2019年7月~12月に取り上げた作品はこちらでチェックどうぞ♪
スペイン出身のサイケ・フォーク・グループ。78年作の唯一作。デヴィッド・アレンによるプロデュースで、ドリーミーなメロディー、美しいコーラス・ワーク、リコーダーやハーモニカによる黄昏のアンサンブルが印象的な名作。どの曲もメロディーが素晴らしく、佳曲揃いです。
94年結成、地中海に浮かぶ島国マルタ共和国出身で、現在はチェコを拠点とする新鋭グループによる2020年作。これは素晴らしいです!全編を彩る流麗なピアノ、叙情たっぷりのフレーズを次々と奏でるドラマチックなギターが印象的なメロディアス・プログレなのですが、特筆はビックリするくらいにポップで親しみやすいメロディ。少年のような実直さと優しさを感じるヴォーカルに瑞々しいコーラスが絡むスタイルは、メロディの良さも相まって、MOON SAFARIも想起させるほど。そんなサウンドを雄大に盛り上げるメロトロンの使い方も見事です。21分の大作は、GENESIS的な英国叙情やSPOCK’S BEARDに通じる洗練されたモダンな構築性を発揮しながら、ひたすらキャッチ―なメロディが紡がれ続ける名曲で興奮必至です。演奏面ではピアノの存在が大きく、Ben Foldsばりのピアノ弾き語りポップスにシンフォニックな味付けをしたようなスタイルとも言えるかも。四半世紀の活動歴を持つバンドとは思えないサウンドの鮮度に驚かされる愛すべき一枚。カケレコメンド!
02年にデビューしたイタリアン・プログレ・バンド、2020年作4thアルバム。BIG BIG TRAINやSPOCK’S BEARDあたりのグループに通じる、GENESISをはじめとする70年代プログレ的ヴィンテージ・テイストと、明快かつスケール大きく広がるモダンな音作りが見事に共存する、聴きやすくも風格に満ち満ちたシンフォニック・ロックは、8年というブランクを微塵も感じさせない素晴らしさです。どっしり安定感のあるリズム・セクションを土台に、新加入のキーボーディストによるジョワーっと芳醇に鳴るヴィンテージなオルガンと艶やかで輝かしい音色を響かせるシンセ、シャープながらエモーションいっぱいのメロディアスなプレイで躍動するギター、スタイリッシュさと繊細さが絶妙に共存する男性ヴォーカルらが力強く紡ぐシンフォニック・ロックには、終始感動が収まりません。パワフルなアンサンブルが不意に静まり、アコギやピアノによる気品あるパートへと切り替わるしなやかさを持つ演奏も特筆。上記2バンドやアメリカのECHOLYNなどがお好きな方ならグッとくる事間違いない傑作です!
EL KINTOでの活動でも知られる、ウルグアイを代表するSSW。本作は、唄、アコギ、パーカッションというシンプルな素材をエンジニアが再構築して完成したという、彼のファースト・ソロ。72年発表。南米独特の憂いと郷愁を帯びたMateoの唄声、飾らないギター・ストロークと瑞々しく弾かれるアルペジオ、優しく響く朴訥としたパーカッション。MATEO Y TRASANTE名義の作品同様、心やすらぐ音空間を創り出す音響処理が、また素晴らしい塩梅。ウルグアイ・ボッサの系譜としても聴きつがれてほしい永遠の名作。
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