2020年1月22日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
ストリングス・シンセサイザーの名機ソリーナ・ストリング・アンサンブル。
優雅な中に独特の甘やかさを帯びた出音によって人気の高い機種で、生ストリングスの単なる代用という役割を大きく超えた魅力を放っています。
そんなソリーナの音色が堪能できるプログレ作品を各国よりピックアップしてまいりましょう☆
いきなりプログレじゃありませんが、のちのYESファミリーということで、このシンセ・ポップ金字塔からご紹介。
ポップ・ミュージックを代表すると言ってもいい名曲「ラジオスターの悲劇」は、全編をファンタジックに彩るソリーナの音色が印象的。
「Welcome To The Machine」にて、1分半付近から鳴り出すのがソリーナ。重厚かつ不穏な世界観の中で、ソリーナの清廉な音色が一際鮮やかに響きわたります。折り重ねられるシンセサイザーのプレイに注目して聴くとクラウト・ロックのような深遠さがある、リック・ライトの天性の音作りセンスを実感できるナンバーですね。
ローマ法王の御前ではじめて演奏したロック・バンドと云われる、ジェノヴァのキーボード・プログレ・グループ、「マタイ受難曲」を題材にした1stアルバム。オルガン、ピアノ、メロトロン、そしてソリーナといった各種キーボード群を用いて壮大に繰り広げられるクラシカルなアンサンブルが見事。演奏力は決して高いとは言えないのですが、ドラマチックに展開する楽曲構成と場面ごとの音色選びのセンスが光りまくっています。
イタリアの名バンドCELESTEのキーボーディストが、78年に録音していた未発表作!ミニモーグ/ソリーナ/ARPなど8種類のシンセサイザーとメロトロンだけを贅沢に使って描き出されるスケール大きくもファンタジックで叙情性も帯びた、愛すべきシンセ・ミュージックの逸品です。
ハモンドとムーグを弾き倒すELPばりのキーボード・プログレ!と思ったら、エレピやソリーナはまるでHAPPY THE MANみたいな美しくロマンチックに弾いていて、このkey奏者は只者じゃありません。幻の米プログレ78年作、こりゃ凄いですよ。
エレピとソリーナがメインの夢想的なキーボードワークとジャジーで緊張感あるギターが対比する、フレンチ・マイナー・プログレ82年作。70年代に出ていれば名を残していたであろう完成度にビックリ!
いや、このジャケは・・・なしだろう・・・。荘厳なハモンド、深遠なトーンのソリーナ、静謐なピアノなどが深い陰影とともに織り上げる、幻想的でメロディアスなケベック産プログレの秘宝盤なんだけどなぁ・・・。
ANGLAGARDから受け継いだ攻撃的な北欧ヘヴィ・シンフォを鳴らす09年2nd。ということで凄まじい音圧で迫りくるメロトロンに耳が行きがちなのですが、密かに鳴らされるソリーナもかえって邪悪さを増幅させる役割を担います。またオルガンはキース・エマーソン風の音運びを聴かせたりと、メロトロン一辺倒にならない多彩なキーボードワークも聴き所!
メロトロン、ソリーナ、ローズ、ハモンドなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかと溢れるファンタスティックなフランス新鋭!全編に溢れるメロトロンと、そこに気品高く絡むソリーナが特に印象的。緊張感の中にいかにもフランスって感じのアンニュイな雰囲気もあって堪りません♪
これぞスパニッシュ・プログレ!と言える哀愁に満ちた必殺盤がこちら。ソリーナを中心に幻想的にたなびくキーボード・ワークをフィーチャーしたシンフォニック・ロックに、フラメンコなどアンダルシア地方の伝統音楽、そしてフュージョンが融合したサウンドは驚きの完成度に達しています。
絶え間なく胸を打つ、泉のように溢れ出る美旋律。そしてソリーナやメロトロンが柔らかに空間を広げ、ギターが優しくリリカルなフレーズを紡ぎます。プログレ・ハード的な激しいパートでも、対比的に奏でられるソリーナの美しい音色が聴きどころ。
リターン・トゥ・フォーエヴァーばりのキレ味 meets ユーロ・プログレの翳り、と言えるかなぁ。スイス(ドイツ)出身のテクニカル・シンフォ・トリオで、ライヴ音源を聴いたフランク・ザッパがプロデュースを申し出たという逸話も残るバンドによる76年作。宇宙的な広がりが素晴らしいソリーナやダブル・メロトロンをフューチャーしながら、モーグ・シンセサイザーの早弾きやテクニカルなリズム・セクションでスリリングに聴かせる名盤です。
ソリーナをフィーチャーし、いかにも東欧的なほの暗い叙情性に包まれた楽曲は、シンフォニックな魅力がグッと増しています。ハンガリーを代表する名グループによる74年作
プログレで3兄弟と言えばジェントル・ジャイアントのシャルマン兄弟ですが、このハンガリー出身のボコル3兄弟が率いるプログレ・バンドも素晴らしい~。ソリーナをはじめとする翳りあるメランコリックなキーボードの音色を弦楽器が優雅に彩る、東欧プログレの隠れた傑作!
ウンガヴァ!って読むのかなぁ・・・。このケベックのギター・トリオ、ジェフ・ベック『ブロウ・バイ・ブロウ』をユーロ・ジャズ寄りにした感じ?
一方でソリーナが彩るシンフォニックな味付けも印象的で、シンフォ・ファンにもアピールする好盤です。
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年発表の『狂気』の大ヒットを経て、PINK FLOYDは日用品を使った前衛音楽「Household Objects」を企画。しかし、これは実際にレコーディングも行われていましたが、途中で頓挫しました。そして、1975年に発表された『炎〜あなたがここにいてほしい』は、全米および全英1位を獲得した前作『狂気』と並ぶPINK FLOYDの代表作のひとつとなりました。最大の聴きどころは、アルバム冒頭と最後に収められた9つのパートから成る「クレイジー・ダイアモンド」でしょう。この大曲は、(Roger Waters自身は否定しているものの)早くにグループを離脱することになってしまったSyd Barrettに捧げられた楽曲だと言われています。さらに、79年にリリースされる傑作『ザ・ウォール』につながるテーマが登場する「ようこそマシーンへ」、プログレ・フォーク・ミュージシャンRoy Harperをゲスト・ヴォーカリストに迎えた「葉巻はいかが」、そしてRoger WatersとDavid Gilmourが揃って「グループの最高の楽曲のひとつ」と胸を張る「あなたがここにいてほしい」が収められています。『狂気』に続き、本作も間違いなく名盤です。
紙ジャケット仕様、黒色の外ビニール付き、外ビニールにシール帯貼り付け仕様、内袋付仕様、ポスター・ポストカード封入、定価2667+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
カビあり、外ビニールに折れ跡
廃盤希少!SPECIAL LIMITED EDITION、デジパック仕様(トールサイズ)、SACD/CDハイブリッド、ポストカード6枚付き仕様
盤質:傷あり
状態:良好
若干黄ばみあり
70年代にLE ORMEなどと並んで、イタリアンキーボードプログレの名盤を生み出したジェノヴァ出身バンドの72年作1st。その内容は新約聖書に登場するキリストの「受難劇」をモチーフに製作された大掛かりなコンセプトアルバムであり、イタリアンシンフォニックロック屈指の名盤です。荘厳な混声合唱団を大きく取り入れた劇的なオープニングで幕を開け、キーボードトリオの醍醐味を存分に味わうことが出来るELP系キーボードロックからジャズトリオ、ハードロックの攻撃的なアンサンブルから哀愁のメロディーを紡ぐバラードまで、手を替え品を替えシンフォニックロックの洪水で畳み掛けます。ロック然としたファジーなギターも登場するものの、やはりその中心はあくまでもオルガン、ピアノ、メロトロン、ソリーナといった各種ヴィンテージキーボードによるクラシカルで時にジャジーなサウンド。全プログレファン必聴の作品にして、イタリアンシンフォニックロックの大仰な魅力が全て詰め込まれた大名盤です。
EDISONレーベル旧規格、解説元から無し、定価3360
盤質:無傷/小傷
状態:並
帯無
帯無、ケースツメ跡あり、カビあり
ヴィンテージ・キーボードやエレクトリック・ブズーキを操るマルチインストゥルメント奏者、MOTISことEmmanuel Tissot率いるグループ。2014年作6th。ANGE直系のシアトリカルなシンフォニック・ロックを軸に、MALICORNEに通じるフレンチ・トラッドのフレイヴァーが香るサウンドが持ち味。とにかくメロトロンM400やソリーナやローズやハモンドなどヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされていて、特にメロトロンが大活躍!幻想的に溢れるメロトロンをバックにリリカルに紡がれるハモンド、そして、スティーヴ・ハケットを彷彿させる格調高いマンドリンやブズーキが織り成すファンタスティックなアンサンブルは、ジェネシス〜アンジェあたりのファンはたまらないでしょう。MOTISによるフランス印象派絵画のように柔らかで親しみやすいハイ・トーンのヴォーカルとフックあるメロディも特筆。なんと、アトールの名ヴォーカリスト、アンドレ・バルザーがゲスト参加し、1曲でヴォーカルを担当。この曲がまた素晴らしい!アナログ的な温かなサウンドプロダクションも印象的で、70年代の発掘作品と言っても分からないでしょう。これはシンフォニック・ロックのファンは必聴の快作!
ケベックのギター・トリオ。77年の唯一作。楽曲によってキーボード奏者、サックス&フルート奏者がサポート。Jeff Beckを彷彿とさせるフュージョン・タッチの流麗かつテクニカルなギター、変拍子を軽くこなす切れ味抜群のリズム隊によるスリリングなプログレ。アコースティカルなパートも魅力で、端正なタッチのアコギにリリカルなエレピが絡み、美しいメロディがたゆたいます。テクニカルなパートでもソリーナをフィーチャーしたり、シンフォニックなエッセンスもたっぷり。ケベック恐るべし奥行きのある好グループです。
メロトロン溢れるイタリアン・ロック名盤として愛される76年作で知られるグループCELESTEのキーボーディストが、78年に録音しながらも未発表となっていた作品がこちら。CELESTEの作風とは大きく変わって、タイトルが示すとおりのスペイシーなシンセサイザー・ミュージックが広がります。ミニモーグ/ソリーナ/ARPといった8種のシンセサイザーにメロトロンを加えたキーボード群のみで作り上げられていますが、電子音楽特有の無機質感はなく、種々のシンセが丹念に折り重なって築かれていくサウンドにはファンタジックで叙情的な人肌の温かみが宿っていて素晴らしいです。CELESTEの名盤から2年後にこのサウンドというのは驚きですが、TANGERINE DREAM好きの方にはぜひ聴いていただきたい秀作です。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!