2018年11月7日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
早くも11月、晩秋に突入です。カケレコ事務所のある寄居を囲む山々も、徐々に紅葉に色付いてまいりました。
さて秋といえば読書の秋。今年はプログレを文字の視点から楽しんでみませんか?
という事で先月から行っておりました、webマガジン募集企画「好きなプログレの歌詞」。
今回もカケレコユーザーの皆様から沢山の素晴らしいご投稿を頂きましたので、ここに発表いたします♪
抒情的な歌詞、シュールな歌詞、勇気付けられる歌詞・・・。
アーティストの様々な意図が込められた珠玉のリリックを、どうぞ曲を聴きつつお楽しみください。
プログレは、文学だ!
中学だか高校の頃、グレッグ・レイクの声を聴きながら、全部、片仮名で覚えちゃいました。中学生英語能力で十分。
シンプルだけど深い歌詞。今もなお宇宙スケールですばらしい。
by zosojhさん
まずはKING CRIMSON「風に語りて」。作詞はご存知の通り詩人としてクリムゾンに雇われていたピート・シンフィールド。
彼の描き出す幻想的な詩世界あってこそ『宮殿』が完成したのはもちろん、KING CRIMSONという名称もシンフィールド発案なんですよね。
静謐なバンド・アンサンブルとグレッグ・レイクの儚い歌声、そしてシンフィールドの文学的な歌詞・・・全てが奇跡的に結びついた一曲。
口ずさむと歌詞とメロディの美しさがより胸に染みます。
続けて『宮殿』より「エピタフ」。同じくシンフィールドの作詞ですが、「風に語りて」とは打って変わって暗く破滅的な内容を描いています。「Confusion will be my epitaph」・・・なんて格好いい一節なんだ・・・。
クリムゾンと同じくルネッサンスもまた「専任作詞家」を雇っていたことで知られるグループ。女性詩人Betty Thactherの紡ぎ出す繊細で幻想的な詩は、女性ヴォーカルをフィーチャーしたルネッサンスの美麗なプログレ・サウンドにこれ以上なく調和していますね。
本曲は79年作『AZURE D’OR』より。悠久の時を感じさせる、壮大で暖かなナンバーです。
ルネッサンスは「Let It Grow」もご投稿いただきました♪(MapiaBOCさんより)
GENESISの70年作2nd『TRESPASS(侵入)』より。サウンドは清流のように澄んでいて美しいのに曲に付けられたタイトルは「Stagnation(よどみ)」、さらに歌詞の人物は何やら自らの内部に停滞する鬱積や罪悪感、渇きに苦しんでいる様子。
そんな矛盾も実に文学的で、GENESIS、そしてピーター・ガブリエルらしい世界観と言えるかもしれません。
中盤の訴えかけるようなヴォーカルも真に迫っていて、人々が胸に抱えている苦しみを代弁してくれているかのようです。
ピーター・ガブリエル脱退後の第一作目となった76年作『A TRICK OF THE TALE』。ジャケットは各楽曲の歌詞の登場人物がモチーフになっています。
唯一無二の個性を持ったガブリエルの歌詞はもちろん素晴らしいのですが、残されたマイク・ラザフォードやトニー・バンクスらによる、叙情的なサウンドに見合ったファンタジックな歌詞もまた魅力的ですよね。
お二人から投稿をいただいた「Mad Man Moon」はバンクス作。サウンドを聴きつつ詩を読むと、砂漠に囚われた砂男が月に飛翔するロマンチックな情景が浮かんできます。
レミングスより~対訳
今 逃げる奴は臆病者だ。
戦いは今始まった!
剣では無く 生命をかけて 僕らは戦う。
レミングには何も教えられない。
まして 死が希望を指し示すはずはなく
その未知の解答を僕らは手探りで探し求める
僕らの血を一つにして
その流れを抑え
この悲劇を食い止められるならば・・・・・・
生きる以外に 何を選べと言うの?
僕らの子供達を
子供達を救うという希望
他に 何が残されているの??
by N.Kさん
最高傑作と名高い71年4th『PAWN HEARTS』より。ヴォーカリストにして孤高の詩人、ピーター・ハミル・・・彼の創り出す難解な哲学詩と、各楽器がぶつかり合い火花を散らすようなバンド・アンサンブルが合わさった音世界はまさに壮絶。
曲のタイトルになっている「レミング」とはタビネズミの事で、彼らはかつて大量繁殖すると集団自殺を行う習性があると考えられていたとか。そんなレミングたちには従わず、絶望の中にも希望を見出し立ち上がる。人々を奮い立たせる演説のようなハミルのヴォーカルも合わせて、力強い意志がひしひしと伝わってくるような内容です。
プログレの歌詞といえど、必ずしも抽象的だったり哲学的でなければならない訳ではありません!私小説的でもオッケー、昔の恋人への未練を赤裸々に綴ってもオッケー。むしろ難解で抽象化していたプログレの歌詞へのワイアット流意趣返しだったりして?
愛らしくメルヘンなサウンドと共に、彼らしいユーモア・センスが存分に発揮されているナンバーです。
HENRY COWのJohn Greaves&SLAPP HAPPYのPeter Blegvadが77年に制作したアルバム『キュー・ローン』より。
この二人が揃ったら一筋縄で行かないサウンドが飛び出してくることは予想できますが、まさか歌詞まで実験精神溢れているとは!
前半も後半も見事な言葉遊び。それにしても英語の回文って母音と子音が分かれているせいで日本語より難しそうですが、どうなんでしょうか。
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非凡なる才能を持ったボーカリストPeter Hammillを擁し、難解な哲学詩と前衛的なアプローチ、初期のKING CRIMSONに負けず劣らずのへヴィネスと神秘性を兼ね備えたイギリスのプログレッシブ・ロックバンドの71年4th。前期VAN DER GRAAF GENERATORの総括的作品として名盤の誉れ高い本作は、20分を超える大作を中心にした3曲で構成され、Peter Hammillはもちろんのこと、Hugh Bantonの痛ましいほどに強烈なオルガンさばき、David Jacksonの荒々しいダブル・ホーンが刺激的な1枚。ゲスト参加したKING CRIMSONのRobert Frippでさえ霞みかけるほどに、一節一節強烈なインパクトを残しています。
カンタベリー・シーンを代表するグループであり、SOFT MACHINEで4枚のアルバムに参加後脱退したRobert Wyattにより結成。独特のポップセンスを持った音楽性が魅力の72年デビュー作である本作は、元CARAVANのDave Sinclair、元QUIET SUNのBill MacCormick、後にHATFIELD AND THE NORTHに参加するPhil Millerといったビッグネームが集い製作された名盤であり、非常にポップな魅力に溢れたユーモラスなジャズ・ロック作品という趣です。インプロヴィゼーション色も強く現れており、淡いサイケデリアを描きつつ進行する様はとても個性的。大きくメロトロンが取り上げられている作品としても有名な名盤です。
2枚組、12年新規リマスター、ボーナス・トラックとして「O Caroline」のシングルverや20分を超える未発表スタジオ音源を収録、DISC2には71年12月/72年1月のスタジオ・セッション音源、72年1月/4月のBBC音源を収録(スリップケースは付いていません)
ジャケットにケース形状上によるケースツメ跡、折れなどがある場合がございます。ご了承ください。
ギタリストRobert Frippを中心に結成され、ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック・シーンの頂点に君臨し続けるグループ。プログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルを構成する要素の多くは彼らがロック・シーンに持ち込んだものであり、現在もなお数多くのミュージシャンたちに影響を与え続けています。1969年に発表されたデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』は、プログレッシヴ・ロックのスタート地点となった大名盤であり、プログレッシヴ・ロックを聴くならまずはこのアルバムからと断言できる作品です。メンバーはギタリストRobert Fripp、ベース・ヴォーカリストGreg Lake、ドラマーMichael Giles、管楽器に加えて鍵盤楽器(メロトロン)も担当するIan McDonald、そして作詞家Peter Sinfieldという布陣。「21世紀のスキッツォイド・マン」のオープニングから緊張感のある変拍子アンサンブルやユニゾン・フレーズが畳み掛け、「風に語りて」では牧歌的でありながら浮世離れした音世界を構築。“混沌こそ我が墓碑銘”の一節があまりに有名な「エピタフ (墓碑銘)」と、同じくリリックの幻想美に酔いしれる「ムーンチャイルド」を経て、メロトロンの洪水に溺れるシンフォニックな最終曲「クリムゾン・キングの宮殿」へ。“THE BEATLESの『Abbey Road』をチャート・トップから陥落させた”というエピソードの真偽はともかくとして、プログレッシヴ・ロック時代の幕開けを告げる衝撃的な作品であることは間違いありません。『クリムゾン・キングの宮殿』に触れずにプログレッシヴ・ロックを語ることは、まず不可能でしょう。
紙ジャケット仕様、HDCD、デジタル・リマスター、ブックレット・ステッカー付仕様、定価2500+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干圧痕あり
79年作。クラシカルなテイストはそのままに、ポップ色が増し、クラシカル・ポップというべき洗練された心踊るサウンドが素晴らしい逸品。
PECLEC32820(ESOTERIC RECORDINGS)
2CD+ブルーレイディスクの3枚組ボックス、ボーナス・トラック10曲、ブルーレイには本編の5.1chサラウンド/ステレオ・ミックス音源 & 79年ライヴ映像を収録
盤質:未開封
状態:良好
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