2018年11月10日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
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読書の秋。今年はプログレの歌詞とともに、秋を味わってみませんか?カケレコ・ユーザーの皆様から寄せられた「プログレの好きな歌詞」を大発表!
お待たせいたしました。ここからは怒涛のピンク・フロイド・コーナー!
71年作『おせっかい』のクライマックスを飾る23分半の大曲「Echoes」。ピンク・フロイドと言えばロジャー・ウォーターズの哲学的でテーマ性のある歌詞のイメージが強いですが、本楽曲の作詞者にはウォーターズ、ライト、メイスン、ギルモアの4人がクレジットされており、静謐なサウンドに合った夢想的で抽象的な歌詞世界が展開されています。
歌いだしから「頭上で静止しているアホウドリ」って、一体どういうこと?という感じですが…。壮大かつ虚無感に満ちた曲調と神秘的な歌詞内容によって、非常にイマジネーションが掻き立てられる一曲ですよね。
単純明快に楽しめる音楽ももちろん良いのですが、細部まで考え抜かれた楽曲構成や詩を慎重に読み解いていくような楽しさがあるのも、プログレの素晴らしい所です。
ピンク・フロイドの中でも特にショッキングな歌詞と言えるのではないでしょうか。本作『狂気』からロジャー・ウォーターズが全作詞を手掛けるようになり、哲学的かつ社会的なメッセージ性も含んだピンク・フロイドの世界観が構築され始めました。
「you are young and life is long」とあるように、この曲はロックのメインリスナーであった若者に向けた内容なのでしょうが・・・書かれているのは未来への夢や希望ではなく、無為に時間を浪費しているという現実。
これを読んで焦燥感を得るか無常感を得るかは人それぞれですが、どちらにせよ心に重く伸し掛かる歌です。
ロック界を変えてしまうほどの傑作を生み出したアーティストはどうしても次回作への期待に苦しめられるもの。
人間の精神世界という壮大なテーマを扱った『狂気』で一気にスターダムへと上り詰めたPINK FLOYDも同様ですが、その次回作では彼らはあえて「ありのままのバンドの姿」をコンセプトに選び、『狂気』にも劣らぬクオリティを誇った名作『炎』を生み出しました。
この「葉巻はいかが」はPINK FLOYDの中でも特に自虐的というか皮肉に富んだ楽曲ですが、それをバンド外の人物ロイ・ハーパーに歌わせるというのがまた・・・。
「ところでどっちがピンクなの?」は実際に言われたことがあるのかな・・・と気になりました。
デヴィッド・ギルモアがリーダーシップを摂り、バンド初のグラミー賞を獲得した94年作『対』より。
ほとんどの歌詞には後にギルモアと結婚する女性ポリー・サムスンが関わっており、本曲も同様。
ロジャー・ウォーターズは抜けたものの、相変わらず一筋縄では行かない人生の紆余曲折を書いたような歌詞が実にPINK FLOYDらしいです。
ただ『対』というタイトルやコンセプトから、どうしてもギルモアとウォーターズの対立構造が歌詞にちらついてしまいますね・・・。そんなプライヴェートな部分もあるのがPINK FLOYDの魅力かも?
ご存知カナダを代表するスリーピース・プログレ・バンド、RUSH。
テクニカルな音楽性もさることながら、「哲人」と呼ばれるドラマー、ニール・パートによる知的な歌詞も特徴的で、かつての早稲田大学にはRUSHの歌詞を研究するサークルもあったとか。
Comezoidmanさんの仰る通り、80年代に入りややポップな路線にシフトした本作『PERMANENT WAVES』ですが、読めば読むほど心に染み込んでくるような深遠な歌詞は健在。
この1曲目「The Spirit of Radio」もキャッチーな曲調に合わせて歌詞も明るいものかと思いきや、実は商業主義に飲み込まれたロック(そして自分たち?)への批判もほのかに込められていて流石ですね。
同年ですが、RUSH版「ラジオスターの悲劇」と言える・・・のでしょうか。
クラウトロックを代表するバンド、FAUSTの72年2ndより。
ノイズやテープ・コラージュを駆使し前衛性を極めた1stよりは聴きやすくコンパクトに仕上げられた作品ですが、それでもやっぱり尖った実験性とおちゃらけたユーモアが共存するユニークなサウンドを聴かせています。
「パパ!バナナを食べて!明日は日曜日」・・・意味不明ですが、6、7分間延々と繰り返されるビートと共になんだか楽しげで踊りたくなるような雰囲気が漂っていて、非常にキャッチーと言えるかも!?
ここまでは英語詞ばかりでしたが、やっぱり日本人としては日本語詞を噛み締めねば!
ということで日本屈指のプログレ傑作、四人囃子の74年デビュー作『一触即発』よりご投稿いただきました。
強いメッセージ性があるわけではなく、ただ日常のとある日を淡々と綴ったかのような彼らの歌詞。
しかし幻想的なサウンドもあいまって非常にノスタルジックな哀愁を感じさせ、日本人としての情感をこれでもかと震わせてきます。
本作収録の「おまつり」の歌詞は初めて読んだ時思わず泣いてしまいそうになりました・・・。
76年に結成された日本を代表するシンフォ・バンド、79年デビュー作より。
GENESISを思わせる粛々としたアルペジオに乗せて歌われる柔らかな日本語詞が美しい・・・。
しんしんと雪降る北国の情景が浮かんできます。
関西出身のプログレシヴ・ロック・バンド、81年作の『パラダイス・ロスト』より。
伸びやかかつはっきりと歌い上げる叙情的な歌声が胸に沁みますね。最後の畳み掛けるようなサビのフレーズがドラマチック!
「Island」はI.Hさんからもご投稿いだたきました。
ロバート・フリップとの対立により、この71年作4th『アイランズ』をもってクリムゾンを離れることになったシンフィールド。
アルバムのラストを飾るこの楽曲の美しくももの哀しい歌詞は、まるでシンフィールドからの別れの手紙のように感じられます。
クリムゾンの中でも最も儚く、そして優しさに満ち溢れたナンバーです。
愛と尊敬に溢れたコメントをありがとうございます!
SOFT MACHINEの結成に携わった「永遠のボヘミアン」ケヴィン・エアーズ。
その緩やかなバリトン・ボイスから発せられる知的なユーモアに溢れた詩は、我々に何かを問いかけ、時には煙に巻きつつ、時には優しく励ましてくれます。
69年ソロデビュー作に収録されている「All This Crazy Gift of Time(この狂おしき時)」。記念すべき第1作目の作品だというのに、まるで自分の死期を悟っていたかのような・・・。
それでも決して自分の殻に籠るのではなく、「我々みんな」を気にかけてくれているような、そんな歌詞。
哲学的で社会的だったり幽玄な情景を描いた詩ももちろん素晴らしいのですが、まるで隣に座ってお喋りしているかのようなエアーズの歌詞は、心の中にいつまでも暖かく残りますね。
他にも「YES/Close to the Edge」(by by 武井伸吾さん)「FORMURA 3/夢のまた夢」(by T.Sさん)、「Kansas / Carry On Wayward Son」(by Kerry LivgrenManさん)などの投稿を頂きました!素晴らしいコメントと共にたくさんのご投稿をいただき、誠にありがとうございました。
私自身、普段プログレを聴いているとどうしても音楽性の方ばかりに意識が向いてしまい、その曲のテーマだったり歌詞は二の次になってしまうことが多かったのですが・・・。
今回の企画を経て、改めて歌詞の重要性、そしてその内容の高度さや美しさを再認識する事が出来ました。
今後お気に入りの作品を聴く際は、じっくり歌詞カードと向き合いながら聴いてみようと思います。
それでは皆様、良い秋をお過ごし下さい♪
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1971年に発表された5thアルバム『おせっかい』は、ヒプノシスによる耳と波紋を重ね焼きしたアートワークが印象的な作品です。本作の最も大きなポイントは、4人体制のPINK FLOYDが初めて、彼らだけの手で作り上げた純粋なスタジオ・アルバムであるということでしょう。なぜなら『モア』はサウンドトラックであり、『ウマグマ』はライブ・レコーディングとメンバーたちのソロ作品から成る変則的なアルバム、『原子心母』は前衛作曲家Ron Geesinがアルバムの出来栄えに大きく関与していたためです。やはりオープニングに置かれた「吹けよ風、呼べよ嵐」と、エンディングに置かれた「エコーズ」が、本作を名盤に押し上げています。「吹けよ風、呼べよ嵐」は、広がりのあるRoger Watersのベースの反復とフェードイン・フェードアウトを繰り返すRick Wrightのオルガンを核とする前半、そしてDave Gilmourのヘヴィーなギターが加わる中盤から一瞬の静寂を経て、Nick Masonのハード・ロック・ドラムが加わる後半から成る名曲。一方の「エコーズ」は23分を超える大曲であり、現在多くの音楽ファンがPINK FLOYD「らしさ」と受け止める音楽的な振る舞いが確立された重要な楽曲です。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、解説元から無し、年表・歌詞対訳付き仕様、定価2427+税
盤質:無傷/小傷
状態:
帯有
2か所に小さいカビあり、その他は状態良好です
ペーパーケース仕様、James Guthrieによる新規デジタル・リマスター、Storm Thorgersonがブックレットを監修した2011年リイシュー盤
盤質:傷あり
状態:
スレ・圧痕あり
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年発表の『狂気』の大ヒットを経て、PINK FLOYDは日用品を使った前衛音楽「Household Objects」を企画。しかし、これは実際にレコーディングも行われていましたが、途中で頓挫しました。そして、1975年に発表された『炎〜あなたがここにいてほしい』は、全米および全英1位を獲得した前作『狂気』と並ぶPINK FLOYDの代表作のひとつとなりました。最大の聴きどころは、アルバム冒頭と最後に収められた9つのパートから成る「クレイジー・ダイアモンド」でしょう。この大曲は、(Roger Waters自身は否定しているものの)早くにグループを離脱することになってしまったSyd Barrettに捧げられた楽曲だと言われています。さらに、79年にリリースされる傑作『ザ・ウォール』につながるテーマが登場する「ようこそマシーンへ」、プログレ・フォーク・ミュージシャンRoy Harperをゲスト・ヴォーカリストに迎えた「葉巻はいかが」、そしてRoger WatersとDavid Gilmourが揃って「グループの最高の楽曲のひとつ」と胸を張る「あなたがここにいてほしい」が収められています。『狂気』に続き、本作も間違いなく名盤です。
紙ジャケット仕様、黒色の外ビニール付き、外ビニールにシール帯貼り付け仕様、内袋付仕様、ポスター・ポストカード封入、定価2667+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
カビあり、外ビニールに折れ跡
廃盤希少!SPECIAL LIMITED EDITION、デジパック仕様(トールサイズ)、SACD/CDハイブリッド、ポストカード6枚付き仕様
盤質:傷あり
状態:良好
若干黄ばみあり
サイケデリック・ロック全盛期に登場しデビュー・アルバム『夜明けの口笛吹き』をリリースするも、中心メンバーのギタリストSyd Barrettが脱退。以降、ベーシストRoger Waters、ギタリストDave Gilmour、キーボーディストRick Wright、ドラマーNick Masonという布陣でブリティッシュ・ロック史に残る傑作を連発し、1996年には「ロックの殿堂」入りも果たした世界的なグループ。奥深いテーマに基づいたコンセプト・アルバムの数々は、現在に至るまで多くのミュージシャンたちに影響を与えて続けています。1973年に発表された『狂気』は、“人間の内面に潜む狂気”をテーマに制作されたPINK FLOYDの代表作のひとつ。このクラスの名盤ともなれば、もはやプログレッシヴ・ロックという音楽ジャンルに限定する必要すらありません。本作は、世界で最も売れた音楽アルバム(推定5000万枚以上)のひとつであり、ビルボード・チャートに741週(15年)連続チャート・イン、さらに発売から2年を経過したアルバムのみを扱うカタログ・チャートに至っては1630週(30年)以上チャート・インするというギネス記録を打ち立てた大傑作です。あえてプログレッシヴ・ロックの側面から指摘するならば、本作は「コンセプト・アルバム」という表現方法を象徴するアルバムだということでしょう。本作の成功によって、コンセプトの中核を担ったベーシストRoger Watersのグループ内での発言権が増し、次作以降のPINK FLOYDにも大きな影響をもたらすことになります。ロック・ミュージックの歴史に燦然と輝く名盤であり、当然ながらプログレッシヴ・ロックを語る上で外すことはできない作品です。
日本を代表するプログレッシブ・ロック・バンド。「18歳の若さでPINK FLOYDの“Echoes”を完璧に演奏できるバンド」としてライヴ会場を震撼させていた、森園勝敏/岡井大二/中村真一によるバンド「ザ・サンニン」を母体に71年に結成。本作は、74年リリースのメジャー・デビュー作。PINK FLOYD影響下のサウンド、日本語の持つ語感/情感を生かした抽象的な詞世界、そして若干21-22歳とは信じ難い卓越した演奏力。ジャパニーズ・プログレ永遠の金字塔。
2枚組(本編CD+「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ/ブエンディア」収録の8cmシングルCD付)、88年規格、定価3300
盤質:傷あり
状態:良好
帯無
帯無
デジパック仕様、3枚組、HQCD、オリジナル・アナログ・マスターからのK2HID PRO マスタリング、定価6000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
デジパック仕様、3枚組、HQCD、オリジナル・アナログ・マスターからのK2HID PRO マスタリング、定価6000+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ソフト・マシーンを脱退後、69年にリリースした1stソロ。全曲でドラムを叩いているのは、ワイアット。ラトリッジ、ヒュー・ホッパーも参加しています。「永遠のボヘミアン」ケヴィン節全開で、全編に流れる緩やかなムードと一つ所に収まらないユーモア感覚溢れるアレンジがたいへん心地良い作品。優しくささやくようなテナーボイスもたまりません。代表曲「LADY RACHEL」収録の名作。
廃校でコミューンを形成しながらセッションを重ね、CANをはじめとしたクラウト・ロックの台頭に触発されるようにデビューし、ノイズ、インダストリアル・ロックの源流に位置づけられる名盤を生み出したグループによる72年作。デビュー作からかなり聴きやすさが増し楽曲もコンパクトにまとめられた1枚であり、ポップな魅力を放つ作品となっています。とは言ってもそこはやはり彼ららしく一筋縄ではいかない内容となっており、一見自然に見えるアプローチが実は不自然さの連鎖によるものであったりするなど、デビュー作と同様の精神性を受け継ぎながら製作されていることを伺わせる名盤です。
精緻なアレンジと吟味されたメロディが織り成す日本の叙情派シンフォニック・ロックの屈指の名作。
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