2020年1月21日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
「米ブルース・ロックの裏番長」としてカケレコでもたびたびご紹介している、カナダ生まれの名ベーシスト/ヴォーカリスト、Neil Merryweather。
60年代から様々なグループや自身のプロジェクト・バンドで活躍し、スティーブ・ミラーやリタ・フォード、ビリー・ジョエルらとも共演。70歳を過ぎた今もコンスタントに活動を続けている、エネルギッシュな人物です。
バンド名義やソロ、当時の恋人Lynn Careyとの共作・・・ずばりどの作品もハズレなし。今回はそんな彼の魅力に迫ってまいりましょう。
ニール・メリーウェザー(本名:Robert Neilson Lillie)はカナダの中南部に位置するマニトバ州ウィニペグ生まれ。
60年代初頭にトロントに移り、”Bobby Neilson”や”Neil Lillie”といった名前で音楽活動を開始。JUST US(後にTHE TRIPPに改名)やMYNAH BIRDS、FLYING CIRCUSといったグループでベーシストとして加入します。(ちなみにMYNAH BIRDSはアルバムこそ残さなかったものの、その後BUFFALO SPRINGFIELDに参加するニール・ヤング&ブルース・パーマー、ファンク・ミュージシャンとして大成するリック・ジェームズなど数々の名ミュージシャンを輩出したグループ!)
彼が”メリーウェザー”の名を名乗るきっかけとなったのは68年。フォーク・ロック路線のFLYING CIRCUSを脱退し、よりヘヴィなロックを追求するため元THE TRIPPのバンドメイトと共に新しいグループを結成。NEW KING BOILERと名付けられたそのグループはHEATHER MERRYWEATHER、そしてMERRYWEATHERと名前を変え、レコード・デビューの為にLAへと渡米。さらに彼も”Neil Merryweather”へと名を改め、心機一転米国デビューを果たします。
MERRYWEATHERは69年に1stアルバム『MERRYWEATHER』、2nd『WORD OF MOUTH』を発表。特に2ndはスティーブ・ミラーにバリー・ゴールドバーグ、元TRAFFICのデイヴ・メイスンなど早々たるゲストを迎えて録音された2枚組の傑作ジャム・アルバム!売上も成功といってよかったものの、バンド内の軋轢によりMERRYWEATHERは2枚のアルバムを残して解散。
MERRYWEATHER脱退後、NeilはギターのJohn Richardson、ドラムのRobin Boersと共に一時的なトリオを結成。彼らが残した70年唯一作がこちら。どっしりとしたベースに、男の色気漂うヴォーカル。ブルージーでソリッドな中にもどことなく遊び心を感じさせるサウンドが彼の作品の魅力です。
彼の作品を語る上で欠かせないのが、ガールフレンドで女優兼モデル兼シンガーのLynn Carey。美人なうえに抜群の歌唱力を持つ彼女と共に、IVAR AVENUE REUNIONやMAMA LIONといった名義で強力なハード・ロック作品を残していきます。
MERRYWEATHER & CAREY名義でリリースされた『VACUUM CLEANER』もブルージーな女性ヴォーカル・ロックが楽しめる好盤ですが、やはり必聴はMAMA LION。ガツンとソリッドなハード・ロック・サウンド、そこに炸裂するジャニス・ジョプリンばりの強烈なシャウト!ハード・ロック・ファンは悶絶間違いなしです。
MAMA LIONの活動と並行して、彼は自身がヴォーカルを務めるHEAVY CRUISERというバンドも結成。こちらは73年の2nd。またバンド内部の軋轢やLynnとの破局によりMAMA LIONから身を引くと、今度はSPACE RANGERSというバンドを結成。74年作『SPACE RANGERS』&75年作『KRYPTONITE』という、ちょっぴりスペーシーでグラム・チックな2作品をリリースしていきます。
78年にはバンドではなくソロ作品として『DIFFERENCES』をリリース。タイトル通り、従来のハード・ロック路線ではなく爽やかなウェストコースト・ロック的作風に変化しています。とはいえ豊潤なコーラスや彩りあるアレンジを施した、ヴァラエティ豊かな楽曲はどれも見事な出来栄え。彼の多彩な音楽センスを感じ取ることができる一枚です。
まるでアンプで増幅しているかのようなエキセントリックなシャウトがジャニス・ジョップリン級の存在感を放つ女性ヴォーカル、Lynn Carey擁するグループ。音楽面をリードするのは、Neil Merryweatherで、彼が率いるバンドの作品はすべて名作といえる米ブルース・ロック・シーンの隠れた名ミュージシャン。72年と73年のアルバムからは漏れたスタジオ未発表音源を収録した編集盤。
米ブルース・ロックの裏番長(!?)Neil Merryweather率いるグループ、72年1st。とにかく女性ヴォーカルのLynn Careyが強烈!まるでアンプで増幅しているかのようなエキセントリックなシャウトヴォーカルで圧倒します。ジャニスにも匹敵してるし存在感という点で間違いなく女性ロック・ヴォーカリスト屈指。そんなヴォーカルの迫力に負けじと演奏陣もソリッド&ブルージー&ファンキー強靭なサウンドを聴かせていて、この天井知らずのテンションと溢れ出るグルーヴィーなコクが堪りません。米ブルース・ロック好きには至福の一枚と言えるでしょう。
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