2018年8月9日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
それにしても、毎日、暑い!
ここ埼玉県寄居町は、全国的にも(たぶん)暑いことで有名な熊谷のすぐ近くで、本当に暑くてたまらないのです。
ということで、風鈴の音が気持ちをちょっぴり涼しくしてくれるように、リリカルなフルートでも聴いて、少しでも暑さをやり過ごそうと思います。
まずは涼しげなサウンドを鳴らしているイメージがある北欧から見ていきましょう♪
ハモってハモって泣きに泣きまくるツイン・リードのギター、ファンタスティックなキーボード、そして優美にさえずるフルート…。
いかにも北欧的な人なつっこいメロディもグッと来るなぁ。
ノルウェーが生んだ叙情派シンフォの傑作!
もはや「バンド」というより「交響楽団」と言った方がしっくりくるほどの色彩豊かで緻密なアンサンブルは唯一無比。
キャメル『スノーグース』の世界をさらなるイマジネーションで展開したような壮大さに圧倒される一枚です。
もちろんクラシカルなフルートの調べも絶品!
さぁ、北欧を離れ、フランス、イタリア、ハンガリー、イギリス、ドイツへ!
涼やかなフルート入りプログレと言えば、この作品ははずせませんね!
フレンチ・プログレの名作であり、ユーロが誇るキャメル系プログレの代表作。
流麗なフルートが彩るロマンチックさと、このバンドならではの湿り気を帯びたメランコリーは絶品の一言。
90年代以降のイタリアン・プログレを語る上ではずせない最重要ミュージシャンがFabio Zuffanti。
彼が率いるプロジェクト・バンドによる四季をテーマにしたコンセプト作の完結編となる『夏』編。
夜明けのように幻想的なイントロ。ドラムを合図に、ギターがリリカルに疾走し、メロトロン、フルートが重なる。フィナーレでは、スティーヴ・ハケットが乗り移ったかのようなギター。完璧なオープニング曲!
うん、夏も悪くないね。
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イタリアのシンフォニック・ロック新鋭、HOSTSONATEN11年作『SUMMEREVE』をピックアップいたしました。
HOSTSONATENのFabio Zuffantiが90年代に率いていたバンドで、90年代のイタリアン・プログレ・シーンを牽引したバンドがFINISTERRE。
この作品は、90年代のイタリアン・プログレのナンバー1と言っても過言ではない傑作ですよ~。
イントロからの見事なフルートの旋律が堪らんのです。
素晴らしいフルート入りの新鋭グループが登場しましたのでご紹介。
暗く恐ろしげなジャケットからへヴィなプログレを予想していたら、純度100%のファンタスティック・シンフォが広がって驚き!
GENESISの端正な英国叙情とCAMELの溢れんばかりのリリシズムを正当に受け継いだこれぞ珠玉の一枚♪
ひたすら丹念に鳴らされるフルートの音色も癒されるなぁ~。
ハンガリーの人気プログレ新鋭バンドYESTERDAYSのリーダーによるソロプロジェクトの13年デビュー作。
YESTERDAYSもアコースティックな爽やかさが魅力でしたが、この作品も清涼感いっぱいなポップ・プログレで最高ですよ~。
ずばり、冒頭の5分でジェネシスやイエスのファンならヤられること間違いなし!
クリムゾン・スタイルの英国のプログレ新鋭なんですが、スウェーデンのアングラガルドのKey奏者が参加していて、透明感溢れるリリシズムがまた絶品なのです。
フルートはもちろん、クリムゾン的轟音からこぼれ落ちる、しとやかなピアノやエレピの音色は、夏の夜長にぴったりではないでしょうか。
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迫りくる凶暴なアンサンブル、そして叙情美。クリムゾンの遺伝子を受け継いだ90年代以降の新鋭グループを世界中からピックアップ!
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90年代以降のプログレシーンを盛り上げる北欧スウェーデンやイタリアに負けじと、本場イギリスからも、イエスやジェネシスやクリムゾンなど往年のグループのDNAを継いだ好グループが出てきております。注目の作品をセレクトいたしましょう。
76年に結成されたジャーマン・シンフォニック・ロック・バンド、77年にわずか数百枚のプレスで自主制作された唯一作。
ツイン・キーボード編成で、メロトロン、アナログ・シンセ、ピアノ、フルートから美旋律が溢れ、極めつけはアニー・ハズラムをよりクラシカルにしたような美声女性ヴォーカル!
ドイツらしい観念的なシンフォニック・サウンドは、涼やかというよりヒンヤリ。
暑さは忘却の彼方に。いつのまにか内省へとまっしぐら。
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プロテスタントの敬虔主義をベースにして生まれた職人的ストイシズムと人間の感情にフォーカスしたロマン主義が息づくドイツで生まれた、器楽的に繊細でいてファンタスティックなリリシズムに溢れたジャーマン・シンフォニック・ロックを特集!
さぁ、ここからはユーロを離れ、アルゼンチン、そしてメキシコへ!
南米というと暑いイメージがありますが、涼やかなフルート入りプログレはあるのでしょうか!?それがあるんです☆
アルゼンチンが誇る天才ミュージシャンLito Vitale率いるグループ。
1stは15歳でしたが、この傑作3rdでもまだ18歳とは・・・。
クラシックからフュージョンまで飲み込みつつ、清涼感あるアンサンブルからテンションみなぎるアンサンブル、そして繊細なアンサンブルまで、そのアンサンブルの振幅は圧巻と言えます。
恐るべき才能。
往年のアルゼンチン・ロックやキャメルのDNAを継いだアルゼンチンの新鋭。
ずばり、これは凄いグループ。フルートに癒やされつつも、そのクオリティに興奮してしまい汗が・・・。
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アルゼンチンのロック・シーンの基礎を築いたと言われる2人のミュージシャンSPINETTAとCHARLIE GARCIAを始め、往年のアルゼンチン・プログレのエッセンスを受け継ぐアルゼンチン新鋭たちをレコメンド☆
ラストは、行ったことないけど何だか暑そうな国、メキシコからピックアップ!
それにしても、70年代のメキシコに、これほど端正かつリリカルでファンタスティックなグループがいたとは。
アルバム最後のギターとピアノによるソロの応酬はもう泣き、泣き、泣きのオンパレードでグッと来っぱなしで、気分は涼やかになるけど、手に汗にぎってしまいます。
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
76年に結成されたジャーマン・シンフォニック・ロック・バンド、77年にわずか数百枚のプレスで自主制作された唯一作(94年に再結成作をリリース)。ギターレスのツイン・キーボード編成で、全編に渡って鳴り響くメロトロンをはじめ、ハモンド・オルガンやムーグなど、ヴィンテージ・キーボードがこれでもかとフィーチャーされています。格調高いクラシカルなピアノ、たゆたうリリカルなフルート、アタック感の強いベース、ふくよかでいてキレのあるドラムも印象的。各楽器の音色はどこか霧の向こうから聴こえてくるようで、ジェネシスを奥ゆかしくしたような、そんないかにもジャーマン・シンフォと言える幻想性に溢れています。そして、何と言っても特筆なのが、初期ルネッサンスのジェーン・レルフを彷彿させるようなクリアなハイトーンの女性ヴォーカル!アンサンブルの「奥ゆかしさ」は、女性ヴォーカルによりさらに幻想度を増し、神秘的とすら言えるでしょう。旧アルバムA面とB面でドラマーが異なり、シンフォニックなA面から一転、B面ではジャズ・ロック的な切れ味鋭いドラムとともに、夢想性はそのままに、フュージョンばりのテクニカルなアンサンブルも織り交ぜつつ、シャープに畳み掛けていきます。ラスト曲は、無機的でミニマルなシンセ・シーケンスも飛び出し、メロトロンとともに、観念的に鳴り響くシンフォニック・サウンドはこれまたドイツならでは。自主制作とは思えないテクニックと完成度を誇るジャーマン・シンフォ屈指の名作です。
ノルウェーの名シンフォニック・ロック・グループ、80年作の1st。キーボードにギターにフルートにヴォーカルに、もうどこを切り取っても溢れ出る叙情美。ハモってハモって泣きに泣きまくるツイン・リードのギター、優美なフルート、ファンタスティックなキーボード、いかにも北欧的な人なつっこく胸に染みるメロディ。5曲目『PIMPERNELLE』でのコロコロとした音色で丁寧に紡がれるギター&キーボードは、これぞ北欧シンフォの魅力たっぷり。ずっと浸っていたいと思わせるメロディの洪水。グッときて、ジーンときて、心に響きまくる叙情派シンフォの名作。
ハンガリー新鋭プログレの人気バンドYESTERDAYSのリーダーでギター/ベース/キーボードを操るマルチ奏者の奇才Bogati Bokor Akosによるソロ・プロジェクト。2013年のデビュー作。バックは、SAMURAI OF PROGに在籍するフィンランドのドラマーなど、世界中のミュージシャンが参加しているようで、インターネットを介してレコーディングを行ったようです。タイトで躍動感いっぱいドラムとリッケンバッカー・ベースのゴリゴリとアグレッシヴで疾走感あるベースが生むグルーヴ、青空へと伸びやかに飛翔するようなヌケの良いムーグ・シンセのファンタスティックなリード。繊細に紡がれるアコースティック・ギターとリリカルなピアノを散りばめた緻密さも印象的だし、メロトロンやフルートによるヴィンテージな味付けもグッとくるし、ピーター・バンクス直系のキーボードのバッキングや、歌心いっぱいの流麗なギター・ソロも良いし、最初の5分で、ジェネシスやイエスのファンならヤられること間違いなしでしょう。次々と溢れ出る70年代プログレへの憧憬に満ちたフレーズにただただ心奪われます。男女ヴォーカルが4〜5人参加していますが、どのヴォーカリストもふくよかでジェントルな歌唱でメロディの美しさ、アンサンブルのファンタジーを見事に引き出しています。手作りの空気感に包まれたアナログな音色もアンサンブルにあっていて良い感じ。ジェネシスなど70年代プログレのファンから、英ニッチ・ポップのファンまでオススメの快作!
76年に結成され84年にデビューしたスウェーデンを代表するプログレ・グループ。89年作の5thアルバム。郵便局員の傍ら、33年をかけて夜な夜な石を積み上げて理想の宮殿を作り上げたフランス人フェルディナン・シュヴァルの生涯をテーマにしたコンセプト・アルバム。『Sea Reflections』でのフュージョン・タッチは無くなり、金管楽器のような艶やかで瑞々しいトーンのキーボード、朗らかなフルート、ティンパニを彷彿させるクラシックなタッチのドラム、精緻なタッチのメロディアスなギターが織りなす色彩豊かでイマジネーションに溢れたサウンドが印象的です。デビュー以来、様々な音楽性を取り込みながら、一貫してコンセプトを音像化することにこだわってきたバンドの表現力は、もはやバンドというより交響楽団と言った方がしっくりくるほど。キャメル『スノーグース』の世界を彼らならではの折衷センスでさらなるイマジネーションで展開した北欧プログレ屈指の傑作。これは唯一無比の一枚です。
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