2013年5月1日 | カテゴリー:ライヴ・レポート,世界のロック探求ナビ
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こんにちは!カケレコ・スタッフ佐藤です。
4月26日より3日間にわたって開催された「イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル 2013」。
11年より開催され、今年最終章を迎えた本フェスですが、その最終章を飾るにふさわしい6組のバンドが熱演を繰り広げてくれました。
本日はその2日目に登場した、Roviscio Della MedagriaとFormula 3のライヴレポートをお届けいたします!
まず前半に登場したのがRovescio Della Medagria。今回のステージでは、彼らの代表作と言える73年作「汚染された世界(CONTAMINAZIONE)」の再現ライヴを披露してくれるということで、私と同じく観客の皆さんの期待もそこに集まっていたものと思います。
開演時間となり幕が上がると、そこには5人のメンバー、そしてその右側にはヴァイオリン、チェロなどの計6人のストリングス奏者が!過去にニュー・トロルスの来日公演で「コンチェルト・グロッソ」のオーケストラを務めた、東京ヴィエール・アンサンブルからの6人です。
「汚染された世界」はご存知のとおり、ルイス・エンリケス・バカロフによるオーケストラ・アレンジが冴え渡る傑作。あの大スケールのオーケストラをキーボードで代用するのは難しいことを考えると納得です。これは俄然期待が高まります!
バンドの方は、オリジナル・メンバーのギタリストENZO VITAに、ベース、ドラムス、キーボード、セカンド・ギターの若手メンバー4人の5人編成。その中でも、エンゾさんの銀色の長髪のカッコいいこと!その風貌からはギター一本でやってきた生粋のロッカーという貫禄がひしひしと伝わってきます。
ハイライトはやはり73年作「汚染された世界」。エンゾさんのハード・エッジなギター、アグレッシヴにうねりまくるシンセ&オルガンが強烈なバンド・アンサンブルに呼応するように、切ない美旋律を奏でるストリングス。バンドとオーケストラのこの鮮烈な対比こそ、70年代伊プログレの醍醐味の一つ!初めて73年作を聴いた時の感動が不意に蘇ります。
最大の聴き所は何と言っても、バンド演奏とストリングスが火花を散らすようにスピーディーに駆け抜ける終盤のパート。ヘヴィーに乱れ撃つリズムとクラシカルなキーボードを中心とした大迫力のバンド・アンサンブル。そこに激情をほとばしらせて絡みついていくストリングス!もう何もかもが圧倒的です。
元々ハードロック・テイストの強い演奏をするバンドなため、その演奏は1日目のムゼオにも負けないヘヴィーでアグレッシヴなものなのですが、ストリングスは6人とは思えないほど存在感のある音色でバンドと渡り合います。ここはもう興奮を抑えられない素晴らしさでした!
『汚染された世界』は、ニュー・トロルス、オザンナらバカロフのオーケストラ・アレンジを取り入れた3作品のラストを飾った作品。オーケストラと融合したプログレ作品として、その高い完成度を改めて観客に実感させるような文句なしの名演でした!
ストリングスがステージを後にし、その後は現時点での最新作となる11年作『MICROSTORIE』からの楽曲をプレイ。70年代の全盛期から10年代まで断続的に作品をリリースしてきた彼らですが、素晴らしいのは年々その作曲能力、演奏技術は向上しているように感じられる点。
プレイされた「SE NON HAI」「PART TIME」等のナンバーは現代的なスタイリッシュさを持つハード・ロックで、若手メンバーが生み出すノリの良いダイナミズムたっぷりのアンサンブルに、エンゾの切れのあるギターが絡んでいく展開がたまりません!彼らのライヴ・バンドとしての実力の高さも実感できました!
「汚染された世界」の再現にはもちろん期待していましたが、その期待をはるかに上回って全編にわたり素晴らしいクオリティのステージを見せてくれたRDM。最後は演奏に使ったドラムスティックを客席に放り投げるサービスも。素晴らしいステージをありがとう、RDM!
休憩を挟んだ第2部に登場したのがフォルムラ・トレ。昨年はギタリスト、アルベルト・ラディウスの健康上の問題により参加が見送られた彼らでしたが、今年は無事出演となりました。
何より注目だったのが、トレの後身でありイタリアン・ロック屈指のテクニカル・バンド、イル・ヴォーロの楽曲が演奏されること。今回の観客の中には昨年からこの瞬間を待ちわびていた人もいたことでしょう。
メンバーは、ギターのラディウスと2人のkey奏者ENRICO BIANCHI、CIRO DI BITONTO、そしてドラムのALFREDO VANDRESIの4人。
オープニングを飾るのは69年のデビュー作から「DIES IRAE」です。荘厳なオルガン・サウンドが鳴り響く中、ラディウスのサイケデリックなギターが炸裂します!本当に往年と少しも変わることのないあのラディウス独特のタッチに驚き!ライヴということもあってか、往年以上にサイケデリックに泣きむせぶギターが、その復活を物語っていました。いや?、感無量です!
その後は、4作目からのタイトルナンバー「LA GRANDE CASA」や、3作目の「夢のまた夢」など、オリジナルに比べかなりエッジを効かせたハードなサウンドで演奏されていきます。一心不乱にギターを弾きまくるラディウスの勇姿。とても70歳を超えた人間に出せる音ではありません。
全編にわたりパッション溢れるプレイを披露するラディウスですが、個人的にそのサウンドから想起されたのがサンタナ。太い音色で天まで突き抜けるような音色が何とも鮮烈です。トレの後期?イル・ヴォーロの頃のクールなプレイが印象的だった私にとっては、意外なほどに力強く情熱的なギタープレイに終始圧倒されっぱなしでした。
そんな中、イルヴォーロ・ナンバーも1st、2ndからたっぷりと6、7曲演奏してくれましたよ!1stの1曲目「COME UNA ZANZARA」での、幻想的な音の掛け合いから一気に締まりのあるジャズ・ロック・アンサンブルへなだれ込んでいくあの瞬間の興奮を、生で味わわせてもらいました?!
2ndの1曲目「GENTE IN AMORE」の、ラディウスによるスリリングなギターワークも絶品!オリジナルよりハードなサウンドでかっこ良さも倍増です。「IL Canto Della Preistoria」「Svegliandomi Con Te Alle Sei Del Mattino」など、地中海の風を感じさせるような情感溢れるナンバーも、ほんと素晴らしかった!
そしてライヴも終盤に差し掛かったその時、あの鋭いギター・カッティングが!名曲「ラディウスのラプソディ」と分かった瞬間大歓声が上がります。ギターの独奏に導かれ力強く走り出すリズムとシンセサイザー!このイタリアン・ロックの魅力がギュッと詰まったロマンいっぱいの名曲を生で聴いていることに、幸せを感じずにはいられません。本当に来て良かった?!!
そんなわけで、終始大興奮の内に幕を閉じた、ロヴェッショ・デッラ・メダーリャとフォルムラ・トレのライヴ公演。
2日目も前日に負けない素晴らし過ぎるステージが展開されたのでした!
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