2024年4月1日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
カケハシ・レコードです。
2024年3月のカケレコ・ベストセラーより、上位ランクイン作品をご紹介してまいりましょう♪
耳の肥えたカケレコ・ユーザーの方々が今どんな作品に注目しているのか、ぜひチェックしてみてください!
冒頭、『Watchers Of The Skies』を想起するリズムにギターとピアノが乗っかってきて、一気にファンタスティックに盛り上がる展開にグワッと持ってかれます。
初期GENESISを手本としながら破格のスケールで展開するフレンチ・インスト・シンフォ傑作!
伊ロック屈指の人気作『Dedicato A Frazz』で知られる彼らが、半世紀を経て2ndをリリース!
1st譲りの緊張感漲るヘヴィ・シンフォと地中海を感じる伸びやかでメロディアスな音楽性がミックスされた「これぞイタリアン・ロック」と言うべき堪らないサウンド!
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続々登場する新鋭バンドに負けじとハイクオリティな作品を発表している、70年代に活躍したベテラン・バンド/アーティストたちの作品に注目してまいります☆
ハモンド・オルガンの名手Mike Finniganが在籍したグループ。
「Like A Rolling Stone」のソウルフルなカバーが素晴らしくって、テンポを落としてエネルギッシュ且つ劇的に聴かせるアレンジ、叙情を帯びたソウルvo、そしてMikeのハモンドが聴きモノのナイスカバー!
GENESIS、CAMEL、IQ、MIKE OLDFIELDら往年の英プログレへの憧憬に溢れつつ、フランスらしい劇的さやスパニッシュな情熱も盛り込んだシンフォ力作。
25分+26分という大作主義にもニヤリ☆
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エレキギターやアコギ、シンセが織り成す、牧歌的かつ神秘的なサウンド。マイク・オールドフィールドを彷彿とさせる世界のプログレ名作をピックアップ!
フラメンコの巨匠ギタリストが、名手Joe Beckとの連名で残した72年作で、ベースはTony Levin。
エキゾチックで鮮やかなフラメンコギターと、熱量いっぱいに畳みかけるファンキーなハード・ロック・アンサンブルが、がっぷり四つに組んだ傑作!
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2016年末、話題のプログレ本『どうしてプログレを好きになってしまったんだろう』を出版した、あの市川哲史氏がカケレコでコラムを執筆!その名も「どうしてプログレを好きになってしまったんだろう@カケハシ」!!
目まぐるしく展開する中で、『90125』YESだったり、Peter Gabrielだったり、SCRITTI POLITTIだったり、DEPECHE MODEだったりと、いろんなグループの音が頭をよぎります。
「シンフォニック・ロック+80sシンセ・ポップ」と言えちゃう英新鋭24年作!
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90年代以降のプログレシーンを盛り上げる北欧スウェーデンやイタリアに負けじと、本場イギリスからも、イエスやジェネシスやクリムゾンなど往年のグループのDNAを継いだ好グループが出てきております。注目の作品をセレクトいたしましょう。
スウェーデンのkey/sax奏者が唯一残した78年リーダー作。
女性ヴォーカルをフィーチャーしたジャズ・ロックで、1曲目からテクニックと洒脱さと哀愁をギュギュっと詰め込んだ怒涛の名曲で素晴らしい!
このサウンド、ベルギーのCOSをテンション高くした感じ!?
HENRY COWに加入するGeoff Leigh在籍バンドの唯一作。
ジャケは曲者感を漂わせますが、中身はブラスをたっぷり絡ませた骨太なブルース・ロック。
ヘヴィかつスリリングなブルース・ギターと堂々たるサックスが共にリードを取るアンサンブルが実にカッコ良し!
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本場アメリカ南部で生まれたブルースがイギリスに輸入されて誕生したブリティッシュ・ブルース・シーンを特集。アコースティック・ブルースから、エレクトリック化、さらに「ロック」と融合してブルース・ロック・ムーヴメントへと発展した激動の50年代~60年代の流れを見ていくことにいたしましょう。
84年結成のジャパニーズ・プログレ・バンドが満を持してリリースした24年作2nd。
海外SFドラマに触発されたというスペイシーで緊張感あるナンバーを、技巧的かつ叙情性にも富んだ演奏でイマジネーションいっぱいに描き出す絶品インスト・プログレ!
前作で見せたYES的なエッセンスをより消化し、CAMELのメロディアスな優美さ、TFKのハードさやスケールの大きさ、YESの疾走感・飛翔感を絶妙に配合して、見事にKARFAGENの音として構築しています。
15作目にして集大成的サウンドを聴かせる24年作!
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ウクライナ出身のコンポーザー&ミュージシャンAntony Kaluginと彼が率いるシンフォ・プロジェクトKARFAGENを特集!
いかがだったでしょうか。
気になる作品が見つかりましたら幸いです!
スウェーデンはウプサラ出身のキーボーディスト/サックス・プレイヤーが78年に残した唯一のリーダー作。女性ヴォーカルをフィーチャーしたジャズ・ロックで、1曲目からテクニックと洒脱さと哀愁をギュギュっと詰め込んだ怒涛の名曲を聴かせます。ダイナミックで肉感的に刻むドラムス、歌心ある芳醇な音運びのベース、スタイリッシュなピアノ、叙情面を担う哀愁のギター、そしてスキャットも交えコケティッシュに歌う女性ヴォーカルらが疾走するアンサンブルは興奮必至で、ベルギーのCOSをテンション高くした感じと言えるでしょうか。以降はよりジャジーで叙情的な表情が現れ、アコギ/エレキ、ピアノ/エレピ、ベースらが美しく陰影豊かに紡ぐイマジナティヴな演奏に心奪われます。女性voは1曲目のようにコケットな歌唱も素晴らしいですが、母国語の響きが生きるアンニュイな歌唱もまた絶品で、かなりの逸材。緻密なテクニックと息の飲むような叙情的表現力の高さが見事に結びついた傑作です。
後にHENRY COWに加入する管楽器奏者Goeff Leighが在籍したブリティッシュ・ロック・グループ、70年の唯一作。なかなかクセのあるジャケットですが、サウンドに奇を衒ったところはなく、ブラスをたっぷり絡ませた骨太なブルース・ロックを楽しませてくれます。隙あらばダイナミックに畳みかける強靭なドラミングに牽引され、ヘヴィさとスリリングさを備えた見事なブルース・ギターと、Goeff Leighの堂々たるサックス&フルートが共にリードを取って進行するアンサンブルがとにかくカッコいい。これぞブリティッシュな風情を漂わせるヴォーカルも堪りません。元々はオランダのレーベルからリリースされたというマイナー作品ですが、意外とアンダーグラウンドな雰囲気はなく、同時期のVertigo作品あたりと比べても垢ぬけている印象。管楽器をフィーチャーしたブルース・ロックという点ではKEEF HARTLEY BANDも引き合いに出せそうな、聴き応え抜群の好作品です!
ハモンドの名手として知られる米キーボーディスト/ヴォーカリストMike Finniganが在籍したソウル・ジャズ・ロック・グループ、69年唯一作。一曲目は「Like A Rolling Stone」のソウルフルなカバー。テンポを落としてエネルギッシュ且つドラマティックに聴かせるアレンジ、叙情を帯びたソウル・ヴォーカル、そしてオリジナルでのAl Kooperにも負けないMikeのハモンドのプレイが聴きモノのナイスカバーです。その後もMike Finniganの活躍が出色で、カントリー・タッチのナンバーではブルースハープと素晴らしいコンビネーションを聴かせる転がるように軽快なピアノを披露し、ブルージーなバラードではリリカルなピアノ&いぶし銀のスモーキーなオルガンでサポートします。極めつけは「I’m A Man」の高速カバーで、ワイルドに唸る疾走感抜群のハモンドが痛快無比。数多くのアーティストをサポートしソロでは名盤を残す、Mike Finniganの後の活躍を十分に予見させる好盤となっています。
スペインが誇る技巧派フラメンコ・ギタリストSabicasが、ジャズ・ギタリストJoe Beckとの連名で残した72年作。ベースはTony Levin。格調高い佇まいの中に地中海エキゾチズムが芳醇に香る鮮やかなフラメンコ・ギターと、Joe Beckのアグレッシヴなギターを軸に熱量いっぱいに畳みかけるファンキーなハード・ロック・アンサンブル。両者ががっぷり四つに組んだ、ダイナミックでパッションみなぎるサウンドが絶えず胸を熱くさせます。勿論、両ギタリストに負けず技巧全開の若きTony Levinによる血気盛んなプレイにも注目です。随所に挿入されるハンドクラップとSabicasのギターが織りなすフラメンコ・パートもさすがの風格で、ゴリゴリと激しい演奏との間に見事な対比を成します。ファンキー・フラメンコ・ハード・ロックと言えるオリジナリティ溢れる傑作!
フランスの新鋭インスト・シンフォ・グループ、23年1stアルバム。『Watchers Of The Skies』冒頭を想起させるリズム隊のプレイにギターとピアノが絡んできて、一気にファンタスティックに盛り上がる導入部からグイッと惹きこまれます。その後もTony Banksに通じるつややかなキーボードワークと、Steve Hackettを意識したトーンでメロディアスに飛翔するギターを中心に、インストながら初期GENESISからの影響を感じさせる劇的なシンフォニック・ロックを紡いでいき、これはなかなか感動的です。幻想的なメロトロン(シンセ?)の鳴らし方も非常にGENESIS的でニンマリ。どちらかと言えばクリアで明快な陽性シンフォニック・サウンドなのですが、時折フランスらしいダークな緊張感が差し込まれるのも魅力で、そこではATOLLがチラついたりもします。ハード・ロックの素養も備えているようで、特にギターは曲によってはハードエッジに弾きまくっていて痛快。初期GENESISを手本としながらも、このバンドならではと言える破格のスケールで展開していくサウンドが非常に素晴らしいです。カケレコメンド!
ギタリストRoseを中心として84年に結成、現在はシンフォ・バンドTEEでも活動するベーシスト飯ケ浜幸雄も在籍するジャパニーズ・プログレ・バンド、12年のデビュー作以来となる24年2ndアルバム!休止状態から復活した04年より20年間の集大成とバンドが自負するその内容は、80年代に作られたナンバーや海外SFドラマに触発されたというスペイシーで緊張感あるナンバーを、技巧的かつ叙情性にも富んだ演奏でイマジネーションいっぱいに描き出すインスト・プログレ。ハード・ロック的攻撃性も織り交ぜながらエモーショナルなタッチで雄弁にフレーズを紡ぐギター、宇宙の広がりを表現するようなシンセサイザーやオルガン、ジャジーなテイストを添えるエレピなどが交差し、ひんやり無機的な質感と力強いエネルギッシュさが絶妙に折り重なって、彼らならではの音世界を創り上げます。アンサンブルを支える強靭さの中に繊細なテクニックが光るリズム・セクションのプレイも特筆です。またゲスト参加する、元メンバーで現KBBの高橋利光による最高にスリリングなオルガン&洒脱で流麗なエレピをフィーチャーしたナンバーにも注目。タイトルやジャケットから想起されるSF世界観を見事に音像化した会心作です!
ウクライナ出身、英国を拠点に活動するコンポーザー/key奏者Antony Kalugin率いる人気シンフォ・グループ、2024年作15thアルバム。前作で見せたYES的なエッセンスをより消化し、CAMELのメロディアスな優美さ、THE FLOWER KINGSのハードさやスケールの大きさ、YESの疾走感・飛翔感を絶妙に配合して、見事にKARFAGENの音へと再構築しています。ダイナミックかつ安定感抜群のプレイでアンサンブルを支えるリズム・セクション、アンディ・ラティマーとロイネ・ストルトを宿すあまりにメロディアスで雄弁なギター、まさに七色に輝くという表現が相応しい色彩溢れるシンセサイザー。そこにジャジーなテイストで演奏を引き締めるサックスも加わって、これ以上はないというほどに完成されたメロディアス・シンフォニック・ロックを紡いでいきます。ニューエイジを原点とするA.KaluginらしいSEを散りばめた神秘的な音空間作り、Anthony Phillips彷彿の格調高いアコースティック・パートなども生かされていて、デビューからの18年間を集大成したサウンドと言っていいかも知れません。シンフォ・ファンの方には、この圧倒的なまでにメロディアスで幻想的でスケール大きな音世界を是非味わってほしいところです。傑作!
16年デビュー、マルチ・プレイヤーGeorge Pinillaを中心にフランスで活動するシンフォ・プロジェクトによる24年作3rdアルバム。25分&26分の大曲2つという構成からして期待が高まりますが、サウンドも往年のGENESISやCAMELやIQらを受け継ぎつつ、欧州的ロマンティシズムも並々と湛えた素晴らしいもの。これでもかとファンタスティックに躍動するシンセ・リード、演奏を重厚に盛り上げるストリングス・シンセ、陽だまりのような温かみを添えるメロトロンなどが印象的なキーボード群、そして哀愁ほとばしるエレキギターと、瑞々しくも味わい深くも自在な表現力で紡ぐアコースティック・ギター。優しく実直に歌い上げるヴォーカルも良いです。1曲目はそんなスタイルで駆け抜けたかと思うと、2曲目ではアコギを主体とするトラッド的要素が現れ、初期Mike Oldfieldに通じる色合いが強まります。序盤の情熱的にかき鳴らすアコギとエモーショナルなエレキのコンビネーションが特に見事で聴きもの。フランス系スペイン人であるGeorge Pinillaのスペイン語ヴォーカルをフィーチャーしているのも特徴で、時に熱気を帯びて鳴らすアコギと相まって、スパニッシュ・ロック的魅力も感じられます。往年の英プログレへの憧憬を軸にして、フランスらしい劇的さやスパニッシュな熱量も盛り込んで聴かせるかなりの力作です。
全員が10代という5人組で73年に残されたデビュー作『Dedicato A Frazz』で知られるイタリアン・プログレの人気バンド。半世紀以上を経て届けられた2024年2ndアルバム!オリジナル・ドラマーPaolo Faenzaを中心に再編されたメンバー構成ですが、その内容は1st譲りの緊張感みなぎるヘヴィ・シンフォと、地中海を感じる伸びやかでメロディアスな音楽性が見事にミックスされた、これぞイタリアン・ロック!と言うべき堪らないサウンド。Paoloと17年ライヴ作の時点でメンバーだったベーシストIvo Miletoによる、どっしりダイナミックに刻むリズム・セクションを土台として、ヘヴィに荒ぶるギターと邪悪な響きのオルガンが時にユニゾンしながら疾走し、ピアノやシンセが妖しく煌めき、ヴォーカルが抜群の表現力で歌い上げます。アコースティック・ギターも重厚なアンサンブルに瑞々しさを加えており特筆。ヴォーカルの声質も文句なしで、イタリアン・ヘヴィ・シンフォ然とした緊張感を伴った歌い回しがまた絶品です。オリジナル・メンバーのPaolo以上に、若手メンバー達がしっかりとSEMIRAMISらしさを生み出していて感動させられます。唯一作が愛聴盤という方のみならず、すべてのイタリアン・ロック・ファンに聴いて欲しい快作に仕上がっています!カケレコメンド!
2014年に唯一作を残したバンドSYNAESTHESIAの中心人物だった英マルチ・プレイヤー/ヴォーカリスト、Shelby Logan Warne(元Adam Warne)によるソロ・プロジェクトの24年作。打ち込みを多用したダンサブルなリズムと、エッジの立ったアグレッシヴなギターや分厚いシンセサイザーが作り出す、ポップさとプログレ的な緊張感が拮抗するようなサウンドは、とにかく才気が迸っていて凄いです。目まぐるしく展開する中で、『90125』YESだったり、Peter Gabrielだったり、SCRITTI POLITTIだったり、DEPECHE MODEだったりと、いろんなグループの音が頭をよぎります。これは極めて個性的で誰も真似できないだろう孤高のスタイルと言っていいかも。快作です。
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