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舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第七十七回:STRAWBS『THE BROKEN HEARTED BRIDE』

女子ワールドカップ・サッカー&なでしこジャパンのテレビにおける扱いの薄さに立腹してます。全勝かつ無失点でグループリーグ突破ですよ?大リーグで活躍している日本人選手も大切かもしれませんが、日本を背負って戦っている「なでしこ」への、このテレビ局の注目度の低さはどうなんでしょう?もうなんか悲しくなる。テレビはもう駄目なので、ネットで公開されているTeam Camを、みんな見てほしい。なでしこの選手のひたむきさに胸打たれるはず。先日公開されたTeam Cam Vol.11の山下杏也加さんのインタビューとか、グッとくる。がんばれ、なでしこ!


さて、前回で終わらせるつもりが、STRAWBSの話が長引いてしまって続編です。詳しくは前編をご覧いただきたいが、1969年に『STRAWBS』でフォーク・バンドとしてデビュー。次第にプログレ色を強めていき、メンバー交代を経ながらも、デイヴ・カズンズを中心に『GRAVE NEW WORLD』(1972年)、『HERO & HEROINE』(1974年)、『GHOST』(1975年)と、プログレ色の強い作品を発表した、というのが前回まで。


『GHOST』を最後にSTRAWBSのクラシカルさを支えたキーボーディスト、ジョン・ホウクンが脱退。STRAWBSはキーボード・レス編成でいくことに決め、1975年に『NOMADNESS』を発表。デイヴ・カズンズのメロディ・メイカーとしての才能は発揮されているけれど、ポップ・ロック化していく最初の一歩という感じ。ジャケットはメンバー写真を使用したもので、ユニークさなのか、シリアスさなのか、狙いがわからんなあ。





長年所属したA&Mをドロップしてオイスターに移籍。メンバー不動のまま、1976年に『DEEP CUTS』を発表する。かなりロック色が強くなっていて、パンク・ロックへの歩み寄りもあったのかもしれない。ジャケットもテイストが変わっていて、黄色いバラのトゲがレコードの盤面をスクラッチして血が垂れているというものに。続く1977年の『BURNING FOR YOU』のジャケットはもっとコワくて、目のついたロウソクが燃えているという。なぜオカルト、ホラー路線に??








デイヴ・カズンズは『BURNING FOR YOU』で「STRAWBS終了!」と思っていたようだが、マネジメントがアリオラとの契約を獲得し、STRAWBSの新作を要求されるという状況に。デイヴ・カズンズは用意されたプロデューサーのジェフリー・レッサーにも不満タラタラだったというが、デイヴ・ランバート、チャス・クロンク、ドラムは新たにトニー・フェルナンデスというメンバーで『DEADLINES』を完成させ、1978年に発表する。ドラマチック&叙情的な曲もあるけど、デイヴ・ランバートがリードで歌う曲が増えているせいもあってか、STRAWBSらしさは希薄に。電話ボックスの中で溺れているというシュールなセンスのジャケットは、泣く子も黙るヒプノシス。これだけ見れば面白いけれど、STRAWBSのジャケットとしてはどうだろうか。





デイヴ・ランバートがソロとして『FRAMED』のレコーディングに向かう。STRAWBSはデイヴ抜きで、ジョー・パートリッジやミラー・アンダーソンを起用してレコーディングするが、これはお蔵入りとなってしまう(後に『HEARTBREAK HILL』としてリリース)。ここでSTRAWBSは一旦終了。


それから約10年の時を経て、1987年に『DON’T SAY GOODBYE』をリリース。旧メンバーのトニー・フーパーとリチャード・ハドソンに加え、ロッド・デミック、クリス・パレン、デイヴ・カズンズと共演作のあるブライアン・ウィロウビーらで録音。『HEARTBREAK HILL』の曲なども含んでいるが、デイヴ・カズンズらしいメロウかつアコースティックな曲もある良作。問題はジャケットなんだよな、なんでだろうか、アメコミの劇画タッチというのかな。STRAWBSの世界観とは異なると思うんだけど。





前作と同メンバーで録音した『RINGING DOWN THE YEARS』を1991年にリリース。カナダのヴァージンから依頼を受けたそうで、カナダのみの発売。1曲目にカナダのPUKKA ORCHESTRAのメンバーが書いた曲が収録されている。これもSTRAWBSのイメージと異なるジャケットなんだよなあ。自分のセンスが間違っているのかな、と思えてきてしまう。





再びアルバム制作から遠ざかるが、2001年にデイヴ・カズンズ、ブライアン・ウィロウビー、デイヴ・ランバートとACOUSTIC STRAWBSとして、セルフ・カヴァーを含む『BAROQUE & ROLL』を発表。やっぱりSTRAWBSいいなあと思わせてくれるアコースティック・アレンジ作品で、イチゴの出荷箱みたいなデザインのジャケットもいいじゃないですか!





さらに10年強の時を経た2003年にSTRAWBSとしての新作『BLUE ANGEL』を発表。デイヴ・カズンズを中心に歴代&新規ミュージシャンが多数参加している。STRAWBS=デイヴ・カズンズなのだ!と振り切ってくれたのが功を奏したか、フォーク・タッチ、叙情性豊か、格調高く、親しみやすいという、イメージ通りのSTRAWBSがここに。ボーナス・トラック扱いだけど、マディ・プライアがゲスト参加した「The King」も収録。ジャケットはなぜに犬?かわいいから良しとしよう!





ここから快進撃。『BLUE ANGEL』の一年後の2004年に『DEJA FOU』を発表。どこのポップ・バンド?!というジャケットはどうかと思うが、なんと『HERO & HEROINE』期のメンバーが再集結している。ジョン・ホウクンのピアノが涙を誘う「Hear Today, Gone Tomorrow」などを収録した良作です。





その頃に結婚したりして、私生活が忙しくなる。誰が?僕が! それでSTRAWBSのこともちょっと忘れかけていた2008年、新作『THE BROKEN HEARTED BRIDE』を発表する。まさかの前作と同メンバーでの録音。そしてこの美しくも物悲しいジャケット。イラストを手掛けたのはソリティア・マイルズという女性イラストレーター。本作については後述します。





前作でゲスト扱いだったジョン・ホウクンが脱退し、後任にオリヴァー・ウェイクマンが加入。2009年に発表された『DANCING TO THE DEVIL’S BEAT』は、40周年記念アルバム。組曲も収録されたこれまでの集大成的なアルバムながら、ジャケット、なぜに、また犬?!





2011年には『HERO & HEROINE IN ASCENCIA』という『HERO & HEROINE』のリレコーディング作を発表。結構アレンジが変わっていて面白いけど、オリジナルで十分じゃないかと思ったりも。ジャケットの雰囲気は抜群で秀逸すぎる。と思ったら、『THE BROKEN HEARTED BRIDE』と同じソリティア・マイルズのイラスト。もうずっと彼女が手掛ければいいのに。





デビュー作としてレコーディングされたけどお蔵入りになったアルバムが『OF A TIME』として2012年に発表されたり、再録音曲や未発表曲を収録した『PROGNOSTIC』(2014年)を発表したのに続き、2017年に久々の新作『THE FERRYMAN’S CURSE』を発表。デイヴ・カズンズ、デイヴ・ランバート、チャス・クロンクの三人と旧メンバーのトニー・フェルナンデス、さらにキーボードにデイヴ・ベインブリッジという編成。ルネ・マグリットぽいシュールな雰囲気も感じさせるジャケット。





2021年発表の『SETTLEMENT』は、前作と同じメンバーに、ゲストで旧メンバーのブルー・ウィーバーとジョン・フォードが参加。「Each Manner Of Man」はじめ、STRAWBSらしい曲もある良作だけど、ジャケットの地下道?はどうなんだろうか。





最新作は2023年、つい先日発表された『THE MAGIC OF IT ALL』。STRAWBSのというよりも、デイヴ・カズンズとブルー・ウィーバーの二人を中心として録音されたもので、ドキュメンタリー映画にあわせて制作されたとか。ジャケットは雰囲気あるけどSTRAWBSらしいかな? 楽曲的にもシャンソン(?)風やカリプソ(?)風の曲があったりして企画ものっぽい感じもある。





ということで、1970年代後半から現在までのオリジナル・アルバムを中心にザッと紹介してきた。コンピ盤やライヴ盤も含めると、もっと膨大な数になる。オフィシャルHPにだいたい載っているので、チェックしてみてください。


さて、ここまで挙げた中でも、特に紹介したいのが『THE BROKEN HEARTED BRIDE』です。心に傷を負った花嫁というタイトルにピッタリのイラストだと思いませんか。実はオリジナルのジャケットのアイディアがオフィシャルHPにアップされているけれど、これにしなくてよかったよ! エキゾチックなフィドルを交えた劇的オープニングをもつ「Call To Action」、泣きのギターが胸を打つ「Through Aphrodite’s Eyes」など、ドラマ性豊かな曲の存在感が大きいが、80年代のポップでソフトな曲のほか、ジョン・ホウクンの優雅なピアノの音が美しい「Deep In The Darkest Night」、フォークタッチの「We’ll Meet Again Sometime」など良曲ぞろい。さて、肝心のタイトル曲だけど、結構ハード・ロック風なのは意外だったなあ、いい曲だけど。



The Broken Hearted Bride

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それではまた世界のジャケ写からお会いしましょう。







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  • STRAWBS / DEEP CUTS

    オイスター・レーベル時代に残したAORテイストの作品、76年作

    プログレ・ファンにも愛される英国フォーク・ロック・バンド、長年所属したA&Mからオイスターに移籍しリリースされた76年作。SAILORやSPARKSを手掛けたルパート・ホルムスをプロデューサーに迎えた本作は、前作で示したアメリカ志向のポップ・ロック・サウンドをさらに押し進め、AORフィーリングを取り入れたサウンドを展開します。ウエストコースト風の伸びやかなメロディとギターが美しい「I Only Want My Love To Grow In You」、スプリングスティーンが歌ってもハマりそうな力強い「Turn Me Round」、持ち前の甘いハーモニーが素敵な「Hard Hard Winter」と、3曲目までの流れが特に秀逸。

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