2023年4月25日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
英国トラディショナル・フォークの最高峰と言えばSTEELEYE SPAN。
69年、Tim HartとMaddy Prior、Terry WoodsとGay Woodsという2組の夫婦フォーク・ユニットが、FAIRPORT CONVENTION脱退直後のAshley Hutchingsのもとで統合され結成した男女5人組グループです。
凛としたアコースティック・アンサンブルとしなやかな躍動感をもつエレクトリック・アンサンブルを融合させたサウンドの上で男女ヴォーカルが美しく調和する、FAIRPORT以上に芳醇なエレクトリック・トラッドを奏でました。
今回は、そんなSEELEYE SPANを愛する方にオススメしたい、欧州のトラッド・フォーク作品を見てまいりたいと思います☆
探求のスタートは、唯一結成時の5人で制作された記念すべき1stでまいりましょう!
Fairport Conventionを抜けたAshley Hutchingsが英国伝統音楽をより突き詰めるために始めたのがこのバンド。
2nd/3rdとは異なりドラムが入っていて、ロック色強めのピシピシと緊張感が伝わるアンサンブルがこのデビュー作ならではの魅力になっています。
Maddy Priorの歌う「The Blacksmith」に、心撃ちぬかれてください。
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第4回目は英国エレクトリック・トラッドの傑作、STEELEYE SPANの『PLEASE TO SEE THE KING』をピックアップ!
75年と76年に2枚の自主制作盤を残したジャーマン・フォーク・ロック・グループがGURNEMANZ。
本作は最終作2ndで、格調高く爪弾かれるギターやマンドリンを主体に紡がれる演奏に、美しく伸びやかな女性ヴォーカルと物憂げな男性ヴォーカルがハーモニーを乗せます。
STEELEYE SPANなどブリティッシュ・トラッド・フォークが好きな方なら、まず間違いなくこのサウンドは堪らないはず。
フランスからはこのとりわけニッチな一枚を。
主にPENTANGLEから大きな影響を受けたバンドなのだそうなのですが、これはSTEELEYE SPAN好きにも響く一枚です。
厳かな気品に包まれつつ、土着的なフレイヴァーや中近東エッセンスまでも取り入れたバロック・フォークが素晴らしい・・・。
オランダにも、STEELEYE SPANをはじめとする英トラッド・フォークのファンは必聴と言える名作が生まれています。
英トラッドを思わせる張り詰めた演奏に、ピアノやフィドルが舞踏音楽のように軽やかに躍動するオリジナルな味わいも織り交ぜて、ブリティッシュものとは異なるアプローチでサウンドを彩っています。
英語で歌う麗しの女性ヴォーカルも、英フォーク・ファンにアピールしますね。
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北欧代表には、ノルウェーの名トラッド・フォーク・グループFOLQUEをご紹介。STEELEYE SPANファンに特におすすめの2枚がコチラ♪
フェアポートやスティーライ・スパンが好き?それで英国以外の作品にも興味がある?
なら、このノルウェーのグループは是非聴いて欲しいです。
彼らの75年2ndアルバム、力強く厳かな女性vo、温かみあるフィドルや哀愁を誘うフルート、煌めくマンドリンらが織り上げるエレクトリック・トラッド傑作!
78年の4thも良い作品ですよ。
北欧の小村で村人が楽しげに踊る情景に流れている音楽そのものといった風情の、賑々しくも哀愁たっぷりのトラッド・フォークにグッと来ちゃいます。
STEELEYE SPANのほか、古楽フォーク・バンドDULCIMER、そしてフランスのMALICORNEなどがお好きなら気に入ってもらえるでしょう!
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ノルウェーからはよりニッチなこちらの作品もピックアップ。
アコギとマンドリンを軸に、アーシーでメロウなエレキ、リリカルなピアノ、叙情性豊かなフィドルやチェロがふくよかなアンサンブルを奏でる味わい深いフォーク・ロック。
流れるようなメロディ、ハーモニーも素晴らしくて、生き生きと紡ぎ出されるサウンドに終始耳を奪われます。
元ORIENTAL SUNSHINEのメンバーらで結成されたバンドによる隠れたトラッド・フォーク・ロック名品!
80年代はじめのセルビアにこんなにも格調高いユーロ・フォークが生まれていたとは…。
ハイトーンで厳かに歌う女性ヴォーカル、そして、まるで教会音楽のようにクラシカルで気品に満ちた男女3声のコーラス・ワーク。PP&Mを荘厳にしたような雰囲気もあります。
そんなヴォーカルに寄り添う、どこまでも物悲しさに包まれたアコギの伴奏、泣きたくなるようなリコーダーの旋律。
名品です。
チェコからはちょっと変わり種ながら、素晴らしいトラッド・フォーク要素を持ったこのマイナー・グループをおすすめ。
プラハ出身グループの88年作で、ボサノヴァからアヴァンギャルド、繊細なトラッド・フォークまでを行き来する、全く一筋縄ではいかないサウンドを繰り広げていて凄い…。
美と狂騒が渦を巻くように歪な世界観はかなり独特!
いかがでしたか?
気になる作品を見つけていただければ嬉しいです!
オランダ産のエレクトリック・トラッド・バンド、77年唯一作。英フィメール・フォークのファン垂涎と言える澄んだ歌声の凛とした女性ヴォーカル(英詩)がまず特筆もの。アンサンブルも素晴らしく、英フォーク影響下の張り詰めたアンサンブルを軸に、アコースティック・ピアノやフィドルが舞踏音楽のように軽やかに躍動するユーロ的なフレイヴァーも混ぜ込み、英フォークとは違う色彩でサウンドを彩っています。4曲目では、フェンダー・ローズも使って、ジャジーなエッセンスも加えるなどイマジネーションも豊か。スティーライ・スパンなどの英フォークのファンは必聴と言えるユーロ・フォークの名作です。
旧ユーゴはスロヴェニアのマリボル出身、女性ヴォーカルを擁するフォーク・トリオ。83年作。格調高い響きのマンドリン、透明感たっぷりの神秘的なリコーダー、ハイ・トーンの美声女性ヴォーカル、そして、まるで教会音楽のようにクラシカルで気品に満ちた男女3声のコーラス・ワーク。80年代の作品ながら、まるで60年代末〜70年代はじめのプライヴェート・プレスの英フィメール・フォークに通じる手触りのサウンドも印象的。これは美しい調べに満ちたユーロ・フォークの逸品!英フォークのファンは是非!
フランス北部で72年に結成された、バロック・フォークの至宝、77年2ndラスト作。英国はPENTANGLEに多大な影響を受けて、フランスの伝承歌やオリジナルの楽曲を、様々な伝統楽器を用いて織り成された珠玉の一枚。JOHN RENBOURNのソロ、バロック諸作等で、バロック・フォークの陰影溢れるその世界の魅力を知った方等には、是非触れて欲しい逸品です。前作の延長上にある作風ですが、より土俗的な曲、中近東なオリエンタリズムも前作にも増してプリミティヴな肌合いを醸し出しています。アシッド・フォークとしての主要素も多分に含んだ憂愁な一枚。
ノルウェーのトラッド・フォーク・グループ、78年の4thアルバム。男女ヴォーカル、ダルシマー/マンドリン/バンジョーを兼任するマルチ・プレイヤー、フィドル/ハーモニウム奏者を含む7人編成に、クルムホルン、ルネサンス期のダブルリード楽器コルナムーゼ、バロック期の木管楽器ランケットなど古楽器を操るゲストプレイヤーを迎えて制作されています。そんな各種の管弦楽器が賑々しく交歓する祝祭感溢れるトラッド・ミュージックがとにかく絶品。シンプルなリズムに乗って芳醇な音色で駆けるフィドル、そこにアコギとマンドリンが瑞々しいタッチで合わせ、男女ヴォーカルがハートフルなノルウェー語で表情豊かに歌います。これはまさに北欧の小村で村人が楽しげに踊る情景に流れている音楽そのものといった風情のサウンド。エレキギターもこれしかないという哀愁を帯びた味わいあるプレイでアンサンブルを支えます。最終曲で聴ける古楽器による荘厳なアンサンブルは、フランスのMALICORNEなども彷彿。FAIRPORT CONVENTIONやSTEELEYE SPAN、DULCIMERなどの英トラッド・フォーク好きの方にもオススメの一枚です!
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