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舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第六十四回:ANEKDOTEN『VEMOD』

『レコード・コレクターズ』の創刊40周年を記念して、同誌2022年5月号から四号連続で、60年代~90年代の各ディケイドのロック名盤200枚を選出するというランキング企画が行なわれている。当コラムでは、それと四回連続で連動しています。詳しくは前3回の冒頭部分を読んでもらいたい。簡単に説明すれば、同企画に参加させてもらって、これぞと思うアルバムを30枚選んだけれど、本ランキングに入らなかったものもあり、それをそのままではあまりも惜しいということで、ここで紹介させてもらおうと、そういうことです。今回はその4回目、90年代編になります。

年代が新しくなるほど本ランキングに採用されない枚数も増えてきて、90年代編では、僕が選んだ30枚のうち本ランキング外になったのが全部で16枚もあった。その傾向は他の選者さんも同じような感じ。これはロックというジャンル自体が、80年代以降に拡大化・多様化していったことと、60~70年代に比べると、まだ80~90年代のアルバムの評価が定まっていないということに起因するのではないか。それはともかく、今回の『レココレ』の企画で、80年代以降の作品にもロックの楽しさに溢れたアルバムが数多くあることは証明されたと思う。

さて、まずは僕が30位に選んだBOSTON『WALK ON』(1994年)から。発表当時の評価はそれほど高くなかったが、楽曲の完成度はデビュー作以上でしょう。特にメロハー・ファンには感涙ものではないかと。BOSTON『WALK ON』と同じく、そのアーティストの大ヒット作と比較されて、発表当時の評価はパッとしなかったけど、「いや、これも傑作だろ?!」と言いたい作品はいくつかあって、それが28位に選んだDEF LEPPARD『ADRENALIZE』(1992年)、21位に選んだAEROSMITH『GET A GRIP』(1993年)だ。なぜか発表当時は辛い評価もあったけれど、どちらも楽曲粒ぞろい。ここではBOSTON『WALK ON』から、「Walk On Medley」を聴いていただきましょう。

Walk On Medley

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29位に選んだJUDAS PRIEST『PAINKILLER』(1990年)は、以後のヘヴィ・メタルの流れ、方向性を示した重要作と思って選出。25位に選んだBLACK CROWS『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)も入らなかったな。それらと同じく、まあ入らんやろ、と思いながら26位に選んだのが、THUNDERの『BACK STREET SYMPHONY』(1990年)。FACES、HUMBLE PIE、FREE、BAD COMPANYとかが好きだったら、THUNDERは気に入るはず。古き良きブリティッシュ・ハード・ロックの伝統を引き継いだ貴重な存在だと思うんだけどな。その所信表明というわけでもないだろうけど、『BACK STREET SYMPHONY』にはSPENCER DAVIS GROUP「Gimme Some Lovin’」のカヴァーが収録されていて見事な仕上がりです。ここではオリジナル曲「Dirty Love」を聴いてもらいましょう。

Dirty Love

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22位に選んだのは、WILDHEARTS『P.H.U.Q』(1995年)だ。当時、OASISとかSTONE ROSESが好きだけど、WILDHEARTSは興味ないという人がいた。逆もしかり。この両者の垣根って何なんだろう?!と。ここでは『P.H.U.Q.』のトップ曲「I Wanna Go Where The People Go」を聴いてもらいましょう。OASISファンにもアピールすると思うんだけど?!

I Wanna Go Where The People Go

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19位はPORCUPINE TREE『SIGNIFY』(1996年)。それまではスティーヴン・ウィルソンのソロに近いスタイルだったのが、バンド体制となった第一弾。様々な楽器や展開の妙などで作りこまれたサウンドのクオリティに、「ホンマモンや!」と思いました。

17位はフィンランドのNIGHTWISH『OCEANBORN』(1998年)で、シンフォニック・メタルといえばそれまでなんだけど、ターヤ・トゥルネンのオペラティックなソプラノ・ヴォイスを前面に押し出して、ヘヴィ・メタルと融合させる発想は新しかった。華やか、きらびやかでありながら、メタル色も濃厚。今までにちょっとなかったタイプで、女性ヴォーカル入りへヴィ・メタルが活性化する機会になった一枚です。アルバムによってはプログレ・ファン好みの大作曲もありますよ。ここでは『OCEANBORN』のトップを飾った「Stargazers」をどうぞ。

Stargazers

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14位はマイク・オールドフィールド『AMAROK』(1990年)。彼は90年代も精力的で、『TUBULAR BELLS』の続編なんかも作ってしまう。それらに比べると話題性に乏しかったかもしれないが、数々の効果音を盛り込んで凝りに凝ったサウンドの『AMAROK』には特別な何かがある。後半のアフリカンなリズムからじわじわと高揚していくスタイルも実に彼らしい。

13位はデンマークのハード・ロック・バンドDIZZY MIZZ LIZZYのデビュー作『DIZZY MIZZ LIZZY』(1994年)。パッと聴いたところグランジ風のダークなサウンドだが、ヒネリの効いたリズムとクセのあるメロディ・センスで惹きつけてくれる。ラジオで最初に「Glory」を聴いたときの興奮が忘れられない。

Glory

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6位はSYSTEM OF A DOWN『SYSTEM OF A DOWN』(1998年)です。90年代中盤以降にヘヴィ・ロックの多様化が恐ろしいぐらいに進んで、当時はそれをヘヴィ・メタルとするかオルタナとするかで、ファンの間でも意見を戦わせたりしていたように思う。オルタナ、プログレ、どう形容しても構わないけれど、新しいことをやっている連中の音は興味深く、そういう個性派が90年代にもたくさんいた。SYSTEM OF A DOWNもそのひとつで、王道ヘヴィ・メタルの作法やスタイルを利用しながら、アラビア風メロディだったり、エキセントリックなギター・フレーズだったりといった個性的な味つけで新しい音を創造したのが素晴らしい。

5位はSAVATAGE『STREETS:A ROCK OPERA』(1991年)。アメリカのヘヴィ・メタル・バンドだけど、1980年代以降はドラマチックな方向性を強め、ついに発表したストーリー作がこれ。ポール・オニールをコンセプト・メーカーに迎え、ロック・スターの成功と挫折の物語を描いている。様々な苦難にあい、打ちひしがれても最後に希望を見出す「Believe」へと至る流れが感動もの。SAVATAGEは以降もストーリー作を連発するが、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争に材を得た『DEAD WINTER DEAD』(1995年)も傑作です。ジョン・オリヴァのダミ声が好き嫌いを分けそうだけど。まずは「Believe」を聴いてみてくださいませ。

Believe

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3位はSCORPIONS『CRAZY WORLD』(1990年)。ドイツ産ヘヴィ・メタル・バンドがアメリカナイズ化を図った一枚で、旧来のファンの中には批判的にとらえた人もいたが、ハードな曲からバラードまで、楽曲のクオリティは非の打ち所がない。東西ドイツ統一の象徴的な曲にもなった「Wind Of Change」を収録。

Wind Of Change

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僕が90年代ロック名盤の1位に選んだCAMEL『DUST AND DREAMS』もランキング外でした。これは僕の人生にとって大切なアルバムなんで仕方がない。内容については以前の当コラムを参照ください。次作『HARBOUR OF TEARS』も名作ですよ。


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さて、当コラム的に今回紹介したいのは、僕が8位に選んだANEKDOTEN『VEMOD』(1993年)です。90年代には、往年のプログレ・バンドが開拓したアイディアを換骨堕胎してモダンなサウンドにするバンドが世界各国から続々と登場した。先に挙げたPORCUPINE TREE、ほかにもPAIN OF SALVATION、FLOWER KINGS、アメリカからのプログレ・メタル勢等々、当時は「ああ、もう買いきれねーよ!」と思ったものでした。

ANEKDOTENは、KING CRIMSONのダークさ、ヘヴィさを、より陰鬱かつ重厚なサウンドに仕立て上げたスウェーデンのバンド。1990年にニクラス・パーカー(g)、ヤン・エリク・リジェストローム(b)、ピーター・ノルディン(ds)によって結成されたKING EDWARDが前身バンド。翌年に女性キーボード&チェロ奏者アンナ・ソフィ・ダールバーグが加入。ANEKDOTENと改名し、1993年に発表したのが『VEMOD』だった。日本では『暗鬱』という邦題でリリースされている。

その邦題がピッタリはまる、このジャケットですよ。くすんだ青の比率高めのいびつな色調が不気味すぎ。ロッキン・チェアーに座っている人形、おどろおどろしい雰囲気でたたずむ女性、よく見ると女性の周りをアイロンがとり囲んでいる。結界なのか?この世のものとは思えない異様な世界観は、『BLACK SABBATH』『AFFINITY』などのヴァーティゴ・レーベルものや、『SPRING』『TON TON MACOUTE』などのネオン・レーベルもののジャケットを手掛けたマーカス・キーフのセンスに似ている。もちろんそれが狙い。60~70年代のアンダーグラウンドなブリティッシュ・ロックへのリスペクト。かの時代の音、ならばジャケットはこれ!というところだろう。この『VEMOD』の2年後、イタリアのSTANDARTEが発表したデビュー作『STANDARTE』のジャケットが、『VEMOD』のセンスそっくり! 同作は、ATOMIC ROOSTERのヴィンセント・クレインに捧げられている。そうだよな、この音、ならばこのジャケットだよな! と。

メロトロンとチェロ、歪むベースが奏でる『VEMOD』のヘヴィ・サウンドに浸っていると、グルグルと渦を巻くように現実から遠ざかっていく。異世界へ、異世界へと誘ってくれる音、それを視覚的に後押しするジャケット。70年代をリスペクトするなら、やはりここまで徹底してほしいもの。ここでは、『VEMOD』のトップを飾った「Karelia」を聴いていただきましょう。

それではまた世界のジャケ写からお会いしましょう。

Karelia

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