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舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第五十四回 ITOIZ『EZEKIEL』(スペイン)

『レコード・コレクターズ』2021年9月号の特集記事は、「80年代ハード&ヘヴィ・アルバム・ランキング100」だった。

先月号の「70年代編」に続くもの。改めて説明すると、各選者が、「これぞ!」と思う80年代のハード&ヘヴィ・ロック・アルバム30枚を選ぶ。それを順位に応じて得点化し、集計して100位のランキングに。という流れになっている。

前回の「70年代編」では、僕が選んだけれどもランキング100に入らなかったのが7枚あり、当コラムで救済&紹介させていただいた。今回の「80年代編」でもランキング外になったのが7枚あったので、紹介させていただきます。


まずはドイツが生んだ名ハード・ロック・バンドLUCIFER’S FRIENDの『MEAN MACHINE』(1982年)で、僕は29位に選んだ。ファンキーな路線に接近したり、アルバム毎に音楽性が異なっていて、それも理由でかトータルな評価がされないところもあるが、『MEAN MACHINE』は徹頭徹尾ハード・ロック・アルバム。

シンガーは先日亡くなった英国人ジョン・ロートン。ファンキー、ポップと様々な路線変更をしてきた彼らが、恐らくNWOBHMの影響を受けて、直球のハード・ロック作へと振り切ったのが『MEAN MACHINE』で、とにかく疾走リフで突っ走るぜ!という潔さに痺れる。ここでは「Action」をおススメしておきます。

Action

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続いては、僕が28位に選んだDEMON『TAKING THE WORLD BY STORM』(1989年)です。イギリスのハード・ロック・バンドのDEMONも、日本では全くといって言いほど評価されていない。NWOBHM期に発表したデビュー作は時々紹介されるが、それ以降の作品はほぼなかったことになっている。

2020年にまとめて紙ジャケ再発されたのは快挙だったが、再評価の兆しは今のところない。確かにブラスやキーボード、女性コーラスのアレンジにこだわったりと、どこかハード・ロックに振り切らない中途半端さがあるけれども、この80年代最後の作品となる『TAKING THE WORLD BY STORM』では、リフをメインに突進するというスタイルに。

特に同作ではトラッド風のメロディが隠し味的に使われていて、それが楽曲に愁いを与えているのが最高! ここでは、ドラマチックな名曲「Remembrance Day」を聴いてもらいましょう。

Remembrance Day

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ノルウェーのバンド、TNTの『INTUITION』(1989年)は26位に選んだけれどもランキング外に。EUROPEに続いて北欧ハード・ロックの透明感を印象付けた名作です。

シンガーはアメリカ人のトニー・ハーネル。彼のクリアなハイトーンがまた、TNTの透き通ったサウンドにバッチリ溶け込んでいる。中心となるのはギターのロニー・ル・テクロ。彼のギター・ソロは、トリッキーなテクニックを駆使しているが聴きやすくてメロディアスという特異なセンス。ここでは夏向けの一曲「Intuition」を聴いていただきましょう。

Intuition

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25位に選んだドイツのZENO『ZENO』(1986年)もランキング100には入らなかった。SCORPIONSのウリ・ジョン・ロートの弟のジーノ・ロートが率いたバンドで、アルバム一枚を残して解散。ベースのウレ・リトゲンが後にFAIR WARNINGを結成して日本で大人気となる。

僕はFAIR WARNINGから辿ってZENOを知った口だが、これはメロディアス・ハード・ロックの傑作だ!と大興奮したのを覚えている。ジーノ・ロートの紡ぎ出す美しいギター・メロディ、マイケル・フレクシグの天に舞い上がっていくようなハイトーンと、これほどまでの気高さがあるハード・ロックは稀有では?

後にジーノ・ロートは音楽活動を再開。マイペースで数作を発表するが、2018年に61歳で他界。残念!ここでは『ZENO』から「Signs Of The Sky」をどうぞ。

Signs Of The Sky

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22位で選んだSAVATAGE『GUTTER BALLET』(1989年)もランキング外に。アメリカ出身のヘヴィ・メタル・バンド。初期はわりと普通のヘヴィ・メタルだったが、ヴォーカルのジョン・オリヴァが弾くピアノによるクラシカルな雰囲気をとりいれ、ドラマ性を重視するように。

その最初の一歩といえるのが『GUTTER BALLET』だ。後にSAVATAGEの派生プロジェクトといえる、TRANS SIBERIAN ORCHESTRAへつながっていく出発点でもある。TRANS SIBERIAN ORCHESTRAは、アメリカやヨーロッパで人気を誇るヘヴィ・メタル・ミュージカルだけど、日本ではほぼ知られていない。

SAVATAGEは『GUTTER BALLET』以降もドラマ性豊かなヘヴィ・メタル作を連発。ジョン・オリヴァのだみ声ヴォーカルは好き嫌いを分けるかもしれないが、劇的ハード・ロックは聴きごたえ十分で、日本での過小評価が悔しくてたまらない。ここでは『GUTTER BALLET』のタイトル曲「Gutter Ballet」を聴いていただきましょう。

Gutter Ballet

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14位という高めで選んだけれどもランキング外だったのが、MAGNUM『ON A STORYTELLERS NIGHT』(1985年)だ。イギリスのベテランで、格調高いハード・ロックというスタイルを貫いている名バンド。こちらも日本では過小評価されているのが残念。近作は日本盤も発売されていないというのが情けない!

4作目の『CHASE THE DRAGON』も名作で迷ったけど、全曲素晴らしい『ON A STORY TELLERS NIGHT』を選出。ここではポップな「Just Like An Arrow」をどうぞ。

Just Like An Arrow

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最後はゲイリー・ムーア。ランキング100には、『CORRIDORS OF POWER』が選ばれていたが、僕は『Run For Cover』(1985年)を13位に選んだ。

ゲイリーの盟友、THIN LIZZYのフィル・ライノットとのコラボも最高で、アイリッシュという彼らのルーツに根ざしたハード・ロックにゲイリー自身が向き合うことになったアルバムとして重要かなと。ここではその共演曲となった「Out In The Fields」を。

Out In The Fields

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前回紹介したCARMENしかり、ゲイリー・ムーアしかり、ルーツに根ざした音楽には、アーティストの並々ならぬ熱量のようなものを感じさせる。ということで、今回はバスク地方のルーツに根ざした音楽を創造していたITOIZの2作目『EZEKIEL』(1980年)を紹介したい。

バスク地方といってもなかなかピンとこない人が多いと思う。バスク地方はピレネー山脈を境にフランスとスペインにまたがっている地域で、フランス領バスクとスペイン領バスクに分かれている。ITOIZはスペイン領バスク出身のバンドで、元々はフォーク・グループとしてバスク地方のダンス音楽などを演奏するINDAR TRABESというバンドだったのが、JETHRO TULLやGENESISの影響を受けてバスク風味のプログレ・バンドITOIZへと進化。

スペイン領バスクのXoxoaレーベルから、デビュー作『ITOIZ』(1978年)を発表。哀愁&郷愁を強く感じさせるメロディ、物悲しい雰囲気のサウンドなど、こちらが勝手に抱いているものだが、バスク地方という海沿い、山沿いの「ひなびた」感じが濃厚に表れている。

1980年に発表した二作目『EZEKIEL』は、旧約聖書の『エゼキエル書』をテーマにしたトータル・コンセプト作。その内容もさることながら、このジャケットの醸し出す郷愁の念はどうだろう。

駅の前に、単線の線路が奥に向かって伸びている。左側には斜面が見えるので、山のふもとにある駅だろう。駅のホームには人影がなく、廃駅に近い雰囲気も漂っている。そのホームに一人の人物が座っている。ホームに立っていたなら、汽車を待っていることも考えられるが、ホームに直接腰かけているというのが、少し不思議な感覚を見る者に与える。この人物は、何を思い、このホームに腰かけているのか。イマジネーションを掻き立てる。哀愁好きにはたまらないジャケットといえるだろう。

エゼキエルの物語とジャケットはあまり関連がないように思うが、ラストの曲「Ezekiel : La Maitasun Kantu Bat」のオープニングに、電車の走るガタンゴトンという音が導入されている。そこでハッとして、このセピア色のジャケットを思わず見てしまう。そういう仕掛けなのか? だとしたら見事。

内容も見事で、フルートや女性シンガーなどのアレンジも多彩。今回は『EZEKIEL』から、先に書いた「Ezekiel : La Maitasun Kantu Bat」を聴いてもらいたいと思います。JETHRO TULLを思わせるサウンド、物寂しげなメロディと歌声を、このジャケットとともに楽しんでください。

Ezekiel : La Maitasun Kantu Bat

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余談ながら、このITOIZ、4作目の『MUSIKAZ BLAI』から、ニューウェーヴ風のポップ・ロックに大変身。ジャケットもコミカルというか、シュールというか、『EZEKIEL』のものとはセンスがガラッと変わってしまいます。

それではまた世界のジャケ写からお会いしましょう。


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    2010年7月、モントルージャズフェスティバルでの公演を収録。

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    晩年の09年12月、ロンドン公演を収録、全13曲

  • GARY MOORE / CORRIDORS OF POWER

    82年リリース、ハードかつメロウなギターワークと美しいメロディが冴え渡る、ソロキャリアを代表する傑作

    カンサスのプロデュースで知られるジェフ・グリックスマンを迎え制作されたヴァージン・レコーズ移籍第1弾でありソロ・アルバム2作目。ソロ・アーティストとしての気負いが音に表われた骨太のブリティッシュ・ハード・ロックを展開。フリーの「ウィッシング・ウェル」のカヴァーを収録。

  • GARY MOORE / STILL GOT THE BLUES

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