2021年6月29日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
今年めでたく周辺音源のほぼ全てを追加収録してリイシューされた、ブリティッシュ・ロック・バンドT.2の『IT’LL ALL WORK OUT IN BOOMLAND』。
T.2メンバーのアザーワークについては、以前に下記特集でご紹介いたしました。
今回は、本作の衝撃的な1曲目「In Circles」に注目して、キース・クロスのプレ・ヘヴィ・メタルなギターワークに痺れた方に聴き進めていただきたい、世界のヘヴィ・プログレをピックアップしていきたいと思います!
では、起点となるナンバーを改めてどうぞ☆
4曲中3曲は、ブルースやフォークの素養が滲む、時代らしい味のあるブリティッシュ・ロックなのですが、1曲目「In Circles」がとんでもないナンバー。
冒頭、ややルーズなハード・ロックが始まるかと思いきや、猛烈なフィルインを合図に一気にスピードアップ!
ここでリフを弾くギターの重みとキレはもう完全にヘヴィ・メタルのそれ。ここだけならNWOBHMバンドの曲と言われてもまったく違和感を持ちません。
中間の長尺ソロはブルースを基調とする即興風のプレイが主体で70年作らしさが戻りますが、それにしてもキース・クロスは間違いなく天才でしょう。
知る限り、英国において最も早くプレ・メタルを体現した曲ではないかと思います!
それでは世界のヘヴィ・プログレを見てまいりましょう。アメリカからはコレ!!
コネチカット出身のトリオ・バンドが79年に自主リリースした、オリジナル盤は激レアで知られるのがこのマイナー盤。
まるでRUSHの疾走感とBLACK SABBATHのダークな重厚感をかけ合わせたようなプレHMを聴かせます。
ヴォーカルは、非ハイトーンの朗々と歌うタイプなのも演奏の激しさと良い対比を生んでいます。
イタリアからのオススメは、何と言ってもこのアルバム。
国内盤も何度か出ているし、昔から一定の知名度はありつつも、さほど語られることのないのがこの作品。
ギターが担うハードロック的凶暴さとオルガンによるクラシカルな叙情性が絶妙にバランスしたサウンドは、大げさでなくイタリアン・ロックに求めるべき要素を余さず揃えたものと言えるかも!
ちなみにメンバーの一部は、この後MUSEO ROSENBACHのメンバーと合流しポップ・バンドMATIA BAZARを結成。日本のCM曲にも使用されるなど世界的な成功をおさめます。
情熱の国スペインからはこちらをピックアップ☆
荒れ狂うフルート、スリリングなヴァイオリン、重厚なメロトロン、圧倒的にヘヴィなギターが休むことなくバトルを繰り広げるアグレッシヴなスパニッシュ・プログレッシヴ・ロック。
特にオザンナ『パレポリ』ばりの狂おしいフルートと、重厚に流れ込むメロトロンのコンビネーションが強烈!
一気に南米へひとっ飛び!ウルグアイに秘宝がありましたね♪
一心不乱に弾きまくるオルガンとひしゃげたファズ・ギターの絡み合いが強烈なこのナンバーを聴いてください!
他の曲では叙情的なフルートやクラシカルなハモンドが彩る端正な表情もあって、とにかく振れ幅がすごいのです。
これはイタリアン・ロック好きにもオススメだなぁ~。
世界のヘヴィ・プログレ、気になった作品がありましたでしょうか。
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新鋭プログレ・シーンより、メタルの要素を巧みに配してスケール感あふれる音世界を作り上げている作品をピックアップしてまいりたいと思います。メタリックな重量感を取り入れることで生まれる、息を呑むようなダイナミズムとドラマ性をお楽しみください☆
AARDVARKなどと同じDERAMレーベルよりリリースされた、元GUNのPeter Duntonを中心に結成されたブリティッシュ・へヴィー・ロックグループの70年作。その内容はギタリストKeith Crossのパワフルなプレイを中心に、サイケデリックな質感を残したサウンドとブルース・ロックに根ざした渋みを持ったバンド・アンサンブルで聴かせる作風ですが、一方でピアノやメロトロンなどのキーボードやブラス・セクションなどが登用され英国然としたクラシカル・ロック・アンサンブルを提示するなど、シンフォニックな旨みも持ち合わせており、叙情を堪能できる作品です。
デジパック仕様、3枚組、disc2にアルバム用に制作された70年録音の未発表作品7曲、disc3に71-72年の音源9曲を収録、21年デジタル・リマスター
レーベル管理上、デジパック若干の圧痕や軽微な角潰れがある場合がございます。予めご了承ください。
EDISON旧規格、伊藤政則監修『ザ・グローリー・オブ・ブリティッシュ・ロック』シリーズ、定価3066
盤質:傷あり
状態:並
帯有
盤に若干曇りあり、若干カビあり、帯にケースツメ跡あり
78年作の1stアルバム。荒れ狂うフルート、スリリングなヴァイオリン、重厚なメロトロン、圧倒的にヘヴィなギターが休むことなくバトルを繰り広げるアグレッシヴなプログレッシヴ・ロック。混沌とした中にヴァイオリン&フルートの叙情的なフレーズが立ち上がる瞬間など、押し一辺倒ではない構成力も抜群。スペイン・ロックを代表する傑作。オザンナ「パレポリ」が好みの方は必聴!
一部メンバーが後にMUSEO ROSENBACHのメンバーと合流しMATIA BAZARを結成するイタリアン・プログレ・バンド、72年の唯一作。ずばり、これぞイタリアン・プログレ!と言うべき叙情と熱情がほとばしる傑作!極度に歪んだギターに、クラシカルに絡むオルガン、ここぞで吹き上がるメロトロン!そして哀愁たっぷりのイタリア語ヴォーカルが少し厳かに歌い上げます。凄まじいまでのエネルギーに一曲目から圧倒されること間違い無し。そんな熱量みなぎる演奏を、ビシバシと手数多く刻むリズム隊がタイトに引き締めているのもまた特筆です。ハード・ロック的な凶暴さとクラシカルな叙情性を程よく織り交ぜたサウンドは、イタリアン・ロックに求めるべき要素を余さず揃えたものと言って良いかも知れません。イタリアン・ロック・ファンなら絶対に聴いてほしい大傑作です。
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