2021年4月23日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
2021年4月リリースされた『T.2/イットル・オール・ワーク・イン・ブームランド』の3CDエディション。
これまで独立してリリースされていた周辺音源のほとんどが収録され、実質的にバンドのコンプリート音源集と言える内容となっています。
今回は、そんなT2およびその周辺をディープに探求していきたいと思います!
メンバーの過去グループやT2後のグループの作品をピックアップしてまいりましょう☆
それでは、起点となるこの大名盤でスタート!
ブルースをルーツに持ついぶし銀ギタリスト、キース・クロスのスケールの大きくもスリリングなギタープレイ、ピーター・ダントンによるフリオ・キリコすら想起させる鬼気迫るドラミング、そしてメロトロンやオーケストラによる英国的叙情美。
1970年作品ならではの英国然とした佇まいに痺れるプログレ/ハード・ロック名作!
おそらくT2メンバーの中で最もキャリア豊富なドラマー、ピーター・ダントン関連からまいりましょう♪
Peter Duntonが在籍、ドイツを拠点に活動した英サイケ・グループの長らく未発表だった67年音源。
メランコリックで少しダークなサイケデリック・サウンドが独特で、引きずるようなリズム、どこか虚ろなヴォーカル、叙情的な旋律を奏でるオルガン、暗いリフを刻むギターらによるアンサンブルが、宵闇のように幻想的に広がります。
ドイツでの活動というのを反映した音楽性だったのかもしれませんね。
こちらはDuntonがNEON PEARL解散後に結成したグループの音源集。
哀愁漂うオルガンとジェントルなヴォーカルが物悲しくもリリシズムいっぱいの旋律を綴る、『これぞ英国叙情』と言うべきサウンドが絶え間なく溢れてきて堪りません。
T2の唯一作収録「Morning」の原型となったデモ曲にも注目!
そのPLEASE解散後、Peter Duntonが一時加入していたのがこのFLIES。
パーカッション、管楽器、オルガンなどが鳴り響くカラフルなサイケ・ポップですが、ポップとはいえ軽さのない骨太なアンサンブルにアンダーグラウンド臭が漂います。
そんなDuntonが在籍経験を持つ中でもっとも著名なバンドと言ったらTHE GUNでしょう。ジョン・アンダーソンも在籍したGUNファミリーはこちらのジュークボックスでまとめましたので、合わせてチェックしてみてください~。
そして、いよいよT2メンバーが出揃うのがこのバンド。ベーシストのみの参加ながらこの唯一作は内容も素晴らしいのでオススメです☆
Peter Dunton、Keith Cross、Bernard JinksらT2結成メンバーが一堂に会したバンドで、本作はベースのJinksが参加する唯一作。
後にASGEARDで活躍するRob Harrisonによるサイケの熱量とハード・ロックのキレ味を合わせ持つギターが見事で、Crossにも迫る才覚を発揮しています。
Jinkのグルーヴィなベース&元GUNのLouis Farrellによるソリッドなドラミングも大変カッコ良し!
プリティ・シングス『S.F.ソロウ』あたりが好きなら是非に!
T2の唯一作は冒頭で取り上げましたが、2nd用に収録していた音源もまた有名ですよね。今回リリースの3枚組にも入っている音源集の単独リリースがこちら。
早すぎたヘヴィ・プログレの傑作を残した英国の名グループ。
重量感と切れ味鋭さを併せ持つキース・クロスのギターが相変わらず素晴らしい、必聴2nd用音源!
こちらも今回の3枚組に収録されている音源。
ギタリストのKeith Crossが脱退したのち、メンバーを変えながら活動を続け、トリオ編成となった71年~72年に録音された未発表音源をまとめた編集盤がこちらです。
ゴリゴリと無骨で重いベース、手数多く爆走するドラムによる重量感いっぱいのリズム隊、ヘヴィなフレーズの向こうから淡い叙情が立ち上るギターとスモーキーなヴォーカル。
アグレッシヴだった69年作に比べ、英国らしいくぐもったヘヴィネスが堪能できる聴きごたえ抜群の音源集!
一方、T2を脱退したKeith Crossは…?
T2脱退後のKeith Crossは、HOOKFOOTで活動したSSWのPeter Rossとデュオを組みます。
T2のハードさとは打って変わって、全編が格調高くも気怠げな英国叙情に満たされた極上フォーク・ロック。
1曲目で聴ける、美旋律が幾重にも折り重なるリリカルでファンタジックなギターソロは思わず息をのむ素晴らしさ!
~おまけ~
BULLDOG BREEDのところで登場したギタリストRob Harrisonが後に参加したASGARDもおまけピックアップ!
彼のタメのきいたメロウなギターも素晴らしいですが、一番の特徴と言えるのが言い知れぬ悲哀を帯びたヴァイオリンのプレイでしょう。
霧の向こうから聴こえてくるような儚さを感じさせるサウンドが、これぞブリティッシュ~~。
いずれもハイクオリティな作品だけに、聴けば聴くほど興味深いT2周辺。
今後もあらたな発掘音源が出てきてくれると嬉しいですね!
よろしければこちらの記事もどうぞ!
AARDVARKなどと同じDERAMレーベルよりリリースされた、元GUNのPeter Duntonを中心に結成されたブリティッシュ・へヴィー・ロックグループの70年作。その内容はギタリストKeith Crossのパワフルなプレイを中心に、サイケデリックな質感を残したサウンドとブルース・ロックに根ざした渋みを持ったバンド・アンサンブルで聴かせる作風ですが、一方でピアノやメロトロンなどのキーボードやブラス・セクションなどが登用され英国然としたクラシカル・ロック・アンサンブルを提示するなど、シンフォニックな旨みも持ち合わせており、叙情を堪能できる作品です。
デジパック仕様、3枚組、disc2にアルバム用に制作された70年録音の未発表作品7曲、disc3に71-72年の音源9曲を収録、21年デジタル・リマスター
レーベル管理上、デジパック若干の圧痕や軽微な角潰れがある場合がございます。予めご了承ください。
T2で活躍したギタリストKeith Crossが、Peter Rossと組んだデュオ。72年の唯一作。T2でのハード・ドライヴィングなギターと異なり、幾重にも紡がれたギター・アンサンブルが彼一流のセンスを感じさせてくれる極上のブリティッシュ・フォーク・ロック。繊細な質感と英国らしい「けだるさ」が絶妙に合わさった、雰囲気抜群の傑作。とにかくどの曲もアレンジが素晴らしく、キース・クロスの音の配置の巧みさが際立っています。特に一曲目後半のギター・パートは特筆もので、何重にも被せられたギターが一音の無駄もなく、まるで呼吸しているかのようにお互いに絡み合う瞬間はいつ聴いても眩暈を覚えます。英フォーク・ロックの必聴盤。
英国出身、ドイツを拠点として活動していたサイケポップ・グループの未発表音源集。PLEASEの前身として知られるグループで、解散後リーダーのPETER DUNTONはPLEASE、GUN、T2と英国の重要グループを渡り歩くことになります。PLEASEと同傾向のアンダーグラウンド感満載のサイケデリック・サウンドながら、ドイツでの活動ということもあり、幻想的な雰囲気と共にどんよりとした暗欝さが全編で漂っているのが特徴。シリアスで憂いを含んだヴォーカル、引きずるようなリズム隊、叙情的な旋律を奏でるオルガン、暗いリフを刻むギターによるアンサンブルが、聴き手をトワイライトゾーンへと誘います。PLEASEへと引き継がれる哀愁のメロディも全編で楽しめます。GUN周辺アイテムとして重要な一枚、おすすめです。
後にT2を結成するメンバー、Keith Cross、Peter Dunton、Bernard Jinksが在籍していたバンド。彼らのうちベースのJinksのみが参加している70年唯一作。この後ASGAERDで活動するRob Harrisonによるサイケの熱量とハード・ロック的切れ味を併せ持ったギター・ワークが大変素晴らしく、Keith Crossにも匹敵する才覚を炸裂させていて最大の聴き所。その縦横無尽なギターを支える、Jinksのグルーヴィなベース&元GUNのLouis Farrellによるソリッドなドラミングも、もちろん存在感抜群でカッコいいです。サイケからハード・ロックへと以降するいかにも60年代後半〜70年代前半のサウンドの聴かせる好盤!
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