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舩曳将仁の「世界のジャケ写から」 第四十四回 HARMONIUM『LES CINQ SAISONS』(カナダ)

当連載「世界のジャケ写から」で、ひまわりの話題を何度か書いたのを見た知り合いから、「花の話題をするようになったら、年寄りの仲間入りやな」と言われた。どうやら、「花鳥風月」=「老化のバロメーター」説が、かなり広がっているらしい。

そもそも「花鳥風月」という言葉には、自然の美しい景色や、それを愛でる風流のことを表す意味しかない。それを「老化のバロメーター」説として言いはじめたのは、タレントのタモリで、年をとるに従って、花、鳥、風、月の順番に感じ入るようになるという意味の発言だったとか。それを明石家さんまが、「月を美しいと思うようになったら人間もうおしまい、死が間近」というニュアンスで笑いに変えたことで、「花鳥風月」=「老化のバロメーター」説として広まっているようだ。

年とったと言われようが、ひまわりの話題です。これまでの出来事を簡単に説明すると、ひまわりを育てたいと思ったが、種を蒔く時期に遅れてしまったので、秋に咲く秋咲ひまわりという品種の種を蒔いた。ところが、まっすぐ伸びたのは一本だけ。その一本も虫に葉を食われて大失敗した、という話だった。実は、まっすぐ伸びなかったひまわりは虫にやられておらず、抜くのが忍びなくて水をあげていたら、なんと花が咲いたのだ!茎はうねり、一部は裂け、それでも花をつけた秋咲ひまわりの姿に思わずホロっとした僕は、やはり初老の域に足を突っ込んでいるのかも?

花といえば、先日車で出かけていると、窓の外を指さしたうちの子たちが「毒の花がいっぱい咲いてる!」と叫んだ。そんな光景がどこに?と思ったら、ヒガンバナだった。保育所の先生が、「ヒガンバナは、毒の花よ!」と教えているらしい。そうだったっけ?と思いウィキペディアで調べてみたら、ヒガンバナは球根や茎、花にも毒性があり、少し触るだけならいいけど、口に入れると危険なのだとか。特に球根は毒性が強く、モグラ除けに田畑や墓地の周りに埋めたことで広く分布したとか。まあ色んな説があるらしい。各地方で1000以上の異名があるが、葬式花、墓花、死人花、地獄花、幽霊花、火事花、蛇花、捨て子花など、多くは不吉な名前が多いそうだ。確かにヒガンバナの色と造形は異様で、そんな異名がふさわしい気もする。英語ではレッド・スパイダー・リリー。ちょっとかっこいい。つまりは、ヒガンバナって全身が毒の花ということでした。

西洋の毒の花といえば、根に神経毒を持っているマンドラゴラでしょう。根が人間の形をしていて、引っこ抜く時にその人間型の根が奇声を発し、それを耳にすると発狂して死ぬという、なんともエキセントリックな伝説をもっている。だから引っこ抜くときは犬にやらせるそうだ……って、犬がかわいそうだろ?!

マンドラゴラは根が人間の形をしているが、花が人間の形をしていたら……。今回は、そんなイラストがジャケットを飾るカナダのHARMONIUM『LES CINQ SEASONS』を紹介しましょう。

メンバー5人が丘の上。蝶のバックプリントが入った服を着て、遠くを見つめている。その側にはウサギが二羽。丸々と太っているウサギだけど、目つきは良くない。よく見ると虹がかかっていて、まるで天空から下界を見下ろしているかのような、その光景には神聖な雰囲気も漂っている。ところが、手前に咲いている植物をよく見ると、花の先から二本の茎のようなものが伸びて、その先に人面が?!見開き仕様になっている裏ジャケットを見ると、その人面花が咲き乱れ、目つきの怖いウサギたちが座り、空には人の顔をした蝶が舞っている。ああっ、なんかコワイかも。このイラストを手掛けたのは、イラストレーターのルイ・ピエール・ボジというアーティスト。パステル調の色彩が目を惹き、一見すると美しいイラストと思うが、よく見るとこの世のものではない雰囲気がある。


HARMONIUMは、カナダのケベックで結成されている。ケベックはフランス語圏だから、冒頭のHは発音しないのが通常なので、HARMONIUMはハルモニウムではなくアルモニウムと発音するはず。英語読みをそのまま使用していたらハルモニウムなのかな?まあ、どっちでもいいと思うんですが。

そんなHARMONIUM結成のきっかけは、1972年にセルジュ・フィオリとミシェル・ノルマンドーの二人が出会ったことにある。翌年にはベースのルイ・ヴァロワが加わったトリオ編成になり、HARMONIUMとしての活動を開始する。この頃は穏やかなメロディと柔らかなアコースティック・ギターの音色による、木漏れ日が似合いそうなフォークという音楽性を志向していた。カナダのセレブレーション・レーベルと契約を結んだ彼らは、1974年にデビュー・アルバム『HARMONIUM』をリリースする。このアルバムがケベックを中心にヒットを記録し、ツアーも行なった。

デビュー時の三人に、管楽器奏者のピエール・デニョー、鍵盤奏者のセルジュ・ロカが加入した五人編成になり、一気にプログレへと進化することになるが、その前の1974年には、シングル「100,000 Raisons / Pour Un Instant」を発表している。A面曲はアルバム未収録曲ながら、後にCD化された『HARMONIUM』にボーナス収録されている。

同シングルもヒットして、注目を集める中で発表されたのが、2作目『LES CINQ SAISONS』(1975年)だった。もしも五つ目の季節が存在していたら、というテーマに基づいたコンセプト作とのこと。新加入した二人の活躍度の高さが、HARMONIUMの音楽性をさらにファンタジーの方向性へと導き、インスト・パートでもうっとりさせる美麗プログレ作となっている。

前2作の高評価と商業的成功もあって、彼らはメンバー・チェンジ及び多数のゲスト・メンバーを迎え、ストリングスも導入した2枚組コンセプト・アルバム『L’HEPTADE』を1976年に発表。HARMONIUMはロサンゼルスでライヴを行ない、その模様はドキュメンタリーとして撮影された。これは後に『HARMONIUM EN CALIFORINE』としてリリースされ、今ではYou Tubeでも見ることができる。そのナレーションではアルモニウムと発音している。

まさに絶頂期を迎えたHARMONIUMだったが、1977年にツアーを終えると、そのまま活動停止してしまう。セルジュ・フィオリは、SEGUINのリシャール・セガンとFIORI-SEGUINを組み、1978年に『DEUX CENTS NUITS A L’HEURE』を発表。同年にHARMONIUM名義の2枚組ライヴ盤『HARMONIUM EN TOURNEE』が発表され、彼らの活動は幕を閉じた。

以降はミシェル・ノルマンドーやセルジュ・ロカもソロ・アルバムを出すなどしているが、やはりセルジュ・フィオリの活躍が目覚ましい。特に近年は精力的にアルバムを発表していて、本国カナダでは人気があるようだ。HARMONIUMの再結成という話はないが、2019年にはデビュー作のリミックス盤『HARMONIUM XLV』がリリースされている。ブックレットには、すっかりおじいさんになった初期メンバーが、笑顔でベンチに座る写真が掲載されていた。


さて『LES CINQ SAISONS』だが、ジャケットのイラストの世界そのままに、デビュー作以上のファンタジックなサウンドに溢れたプログレ作となっている。全5曲収録で、ラスト曲「Histoires Sans Paroles」は18分にも及ぶ大作だ。しかもインスト曲と聞くと、敷居が高い!とっつくにくい!と感じるかもしれないが、フルートやメロトロンの響き、美しいメロディに身をゆだねていると、夢見心地のまま終わりを迎えているという、カナダの叙情派プログレ屈指の名曲となっています。ファンタジックだけど、どこか異世界を描いているような浮遊感は、ジャケットの世界観ともピッタリよくあっているように感じる。今回は、この「Histoires Sans Paroles」を聴いていただきたいと思います。感傷的な気分にさせられ、つい涙がホロッと……やっぱり年かもしれない。
それではまた世界のジャケ写からお会いしましょう。

Histoires Sans Paroles

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    ケベック出身のフォーキーなシンフォ・グループ、オーケストラを導入したスケール大きくドラマチックな作風の76年作3rd、聴き応えのある力作

    ケベックを代表する名バンドとして知られる彼らが、76年にリリースした2枚組の3rdアルバム。センチメンタルなフォーク・ロックを聴かせた1st、メロトロンを大きくフィーチャーした幻想的なフォーキー・シンフォの名盤2ndに続く本作は、従来のフォーク・タッチをベースに、オーケストラを大々的に導入したクラシカルでスケールの大きなサウンドを特徴とします。フォーク・タッチとオーケストラと言うと初期BJHが想起されますが、そのサウンドは深い陰影を湛えたよりウェットなもので、古いヨーロッパ映画の一場面を思わせる言い知れない哀愁が漂ってきて、その味わい深さは格別です。このユーロロックに通じるほの暗い叙情性は、カナダにありながらヨーロピアンな文化を有するケベックらしい音と言えるかもしれません。とは言え、持ち味の感傷的な美しいメロディは健在だし、フランス語の物悲しく繊細なヴォーカル、リリシズム溢れるフルートの旋律からはHARMONIUMらしさが滲み出ています。前2作の作風からすれば異色ではあるものの、アーティスティックな感性に満ちた非常に聴き応えのある力作です。

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