2020年7月23日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ジャズ・ロック
こんにちは。スタッフ増田です。
長い梅雨が終わったと思ったら、急激に夏ですね~。温度差に早くも夏バテしかけています。
こんな季節には涼しい部屋で、軽快かつ疾走感のあるジャズ・ロックを聴いて暑気払いをしたいですね。
というわけで、今回は涼しげな気分になりそうな世界各国のジャズ・ロック作品を集めてみました!
まずはイギリスから参りましょう!ヒュー・ホッパーの代わりに元NUCLEUSのロイ・バビントンが加わった73年7th。
さらに洗練されたフュージョン度合を強めつつ、ソフツらしい幻想性と強力なインプロビゼーションから放たれる緊張感が巧みに交差した名盤ですね。
ちょっとだけジャケが似ているので、こちらのカンタベリー・ロック名盤もご紹介。
緻密で硬派でちょっぴりユーモラス。カンタベリーが誇るジャズ・ロック職人バンドによる75年作1st。
元ISOTOPEのキーボード奏者とベーシスト在籍のジャズ・ロック/フュージョン・バンド。
流麗なピアノ、敏捷なベース、滑らかなサックス、そして美声女性ヴォーカルが加わったシャープかつスリリングなジャズ・ロックは、RETURN TO FOREVERを想起させる完成度!
イギリスからはこんなマイナー作品もご紹介!
アルティ・エ・メスティエリ彷彿のスピードとテクニック、そしてカンタベリー・ロックに通じる柔らかくしなやかな音色使い…。
両者が完璧に調和したこんな凄いジャズ・ロックがイギリスに存在したなんて。ずばり全ジャズ・ロック・ファン必聴作。
こちらはマイルス作品を手掛けたレジェンドTeo Maceroプロデュースの米ジャズ・ロック/フュージョン78年作!
金管の高らかな響きとクールなエレピの対比が何とも絶妙。
次はイタリア!
マハビシュヌやブランドXに対抗できるイタリアのグループと言えば、千手観音の如きドラマーフリオ・キリコ擁するこのグループですよね。
フュージョンタッチの流麗なサウンドと突如走りだすバカテクアンサンブルの対比が痛快な傑作2nd!
知名度はやや落ちますが、こちらも是非聴いてほしい!
英国ジャズ・ロックに通ずる粛々とした叙情性と地中海らしい爽やかさを併せ持ち、しなやかに駆け抜けるアンサンブルはもう文句なしの素晴らしさ…。
英国の作品と比べても遜色ない完成度を誇る、イタリアン・ジャズ・ロックの名盤!
次はフランス。PIERRE MOERLEN主導となり、名義を変えて発表された79年作。
ミニマルでどこかエスニックなビブラフォンの音色と、スペーシーで熱気あるバンド・アンサンブルが融合したジャズ・ロック・サウンドは夏にピッタリですよね!
こちらの作品も夏にオススメです!
痛快無比のジャズ・ファンクとカンタベリー彷彿の気品たっぷりの叙情派アンサンブルを両立させたスタイルは1stに劣らず魅力的。
後のMAGMAや元CRUCIFERIUSのメンバーらによるフレンチ・ジャズ・ロック・グループ、74年2nd!
同じくフランスから、このマイナーな76年作!
涼しげな音色のフルート、ひたすら愛らしいピッコロ、歌心あるプレイが魅力のサックスら管楽器が活躍するほんのりラテン・テイストなジャズ・ロック。
ピアノがコンテンポラリーに突き刺さるアヴァンなパートも◎!
ジャケも涼しげなコチラはオランドのジャズ・ロック・バンドによる唯一作。
これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬が最高に心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値ありですよ~。
ジャズ・ロックの宝庫であるスペインからは、こちらの作品をご紹介。
からみ合う3本のギターのヌケの良いこと!地中海の青空に爽快に突き抜けるジャズ・ロック/フュージョンの逸品ですね。イスラエルのSHESHETのファンも是非!
ハットフィールドが好き?リターン・トゥ・フォーエヴァーが好き?でしたら、このスペインのグループ、是非一聴を!
地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうエレピが絶品ですよ~。[カケレコ国内盤リリース中]
次はRUJA~IN SPEというエストニアの実力派グループのメンバーらによるバンド、国内屈指と言える83年の傑作!
YESに通じる疾走感とちょっぴりカンタベリーっぽさも香るジャジーな味わいの見事な調和。これはクールだなあ。
最後は北米と南米から一作品ずつご紹介!
こちらはカナダ・ケベックのバンドなのですが、ジャズ・ロックが好きなら是非聴いてみてほしい!
シャープに駆け抜けるリズム隊を土台に、ギター、エレピ、管楽器が流麗かつテクニカルにフレーズを応酬させる!ファンタスティックさとキレ味鋭さを備えたアンサンブルが見事!
南米アルゼンチンからはこちらの新鋭グループ!
アルゼンチンらしい甘美な陰影を持ったメロディがとにかく心地いい、極上のフュージョン・ジャズ・ロック。カンタベリー・ファンなら特に是非!
いかがでしたか?こちらの記事もどうぞ!
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世界中より、シャープに引き締まったテクニカルかつ流麗なジャズ・ロック作品をセレクトしてまいりましょう。
スペインはバルセロナ出身のジャズ・ロック・トリオ、75年作。バンドのリーダーは、Key奏者のLucky Guriで、バルセロナ・ジャズ・ロック・シーンの名手達が集まったビートルズのカヴァー作品(傑作!)に参加したり、後には地中海ジャズ・ロックの名バンドMUSICA URBANAに参加するなど、バルセロナ・シーンを代表するKey奏者。シャープに引き締まったドラム、流麗に動くメロディアスかつグルーヴィーなベースによる安定感抜群のリズム隊を土台に、エレピが地中海の青空へと吸い込まれていくようなリリカルにたゆたうメロディを奏でます。色彩感豊かなパーカッションやホイッスルなどによる味付けも地中海フレイヴァーたっぷり。バンドは、スペインはカタルーニャ地方のウッドストック・フェスと言える75年に行われた伝説の「Festival Canet Rock」に参加し、高い評価を得ます。バルセロナ産ジャズ・ロック「MUSICA LAIETANA」シーンを代表する一枚として名高い傑作です。
後にHATFIELD AND THE NORTHのメンバーと共にNATIONAL HEALTHを結成することになるカンタベリー・ジャズ・ロックグループの75年作。その内容はAlan Gowenのジャズ・フレーバーを散りばめたキーボードを中心にしたアンサンブルで聴かせる作風であり、テクニカルなインタープレイやユーモラスな質感が素晴らしい名盤です。NATIONAL HEALTHにも参加するAmanda Personsのスキャットはよりジャジーな色合いを楽曲に与え、Phil Leeのギターはへヴィーさと甘くマイルドなサウンドを行き来し、NUCLEUSのベーシストでもあったJeff Clyneと技巧的なMike Travisのリズム・セクションはスリリングなアプローチで迫ります。HATFIELD AND THE NORTH諸作と並んで名作と言えるでしょう。
2014年デビュー、アルゼンチンはブエノスアイレス出身、ピアノを中心にエレピ、オルガン、シンセを操るキーボーディストとギタリストを擁する4人組ジャズ・ロック/フュージョン・グループによる17年作3rd。南米らしい甘美な陰影を持った美しいメロディを印象的に聴かせる、ロマンチックな表情のジャズ・ロックには前2作を経てさらに磨きがかかっている印象。ピアノやギターは流麗なタッチでソロを応酬させるジャズ本来のクールな佇まいを見せるのに対して、可憐な音色が耳を引くエレピが浮遊感あるファンタジックで柔らかな聴き心地をもたらしていて、少しフィル・ミラーを思わせるギターも相まってハットフィールドやナショナル・ヘルスなどのカンタベリー・ロック・バンドに通じる得も言われぬ芳醇さを生み出しているのが素晴らしい。お約束と言えるバンドネオンの哀愁の音色も必殺です。近年のジャズ・ロック・バンドには珍しく比較的ロック寄りのノリとダイナミズムを持つドラムも特筆で、アンサンブルを力強い躍動感で牽引します。ジャズとロックを最高のバランス感覚で組み合わせた、これぞジャズ・ロック!と呼びたい快作。これは激カケレコメンド!
旧ソ連はエストニアを代表するグループ、RUJAとIN SPEのメンバーを中心に結成されたグループ。83年作に81年作のEPをカップリングした2in1CD。シンセとギターがアグレッシヴかつ荘厳に畳みかけるパートと、フュージョン・タッチの流麗なギターが軽やかに舞うメロディアスなパートとを鮮やかに対比した展開が見事。辺境っぽさは全く無く、テクニック、アレンジ、メロディ・センスともにかなりのハイ・クオリティ。YES+HATFIELD & THE NORTHと言うと乱暴ですが、疾走感と繊細さが絶妙に調和された奇跡の傑作。
1. Introduktsioon = Introduction 2:06
2. Sõnum = A Message 4:36
3. Kala Jälg Vees = Fish’s Trace In The Water 3:32
4. Laupäeval Koos Isaga = Together With Dad On Saturday 4:18
5. Elevant = Elephant 4:12
6. Valhalla 4:12
7. Elevantsi Hirmulaul = Heffalump’s Song Of Fear 3:34
8. Salajane Rõõm = Secret Joy 3:44
9. Põletaja = Con Fuoco 3:36
10. Tantsija = Dancer 5:50
11. Näotused = Unsightlinesses 4:48
12. Pikk Päevatee = Long Way To Go 4:44
13. Põlenud Maa = Burnt Land 3:42
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、デジタル・リマスター、定価2990+税
プログレッシブ・ロック界を代表する技巧派ドラマーFurio Chiricoといぶし銀のプレイを聴かせるキーボーディストBeppe Crovellaを擁する、イタリアを代表するジャズ・ロックグループの75年2nd。その内容は、前デビュー作の路線を継承しながらよりジャズ・ロック寄りのアプローチを打ち出し、フュージョン色もほのかに香らせながら進行する作風です。楽曲が細分化されているため短くまとまった感じを受けるも、やはりその内容は前デビュー作に引けを取らない密度の濃さと超絶技巧の連続であり、前作よりタイトなサウンドで迫る名盤となっています。
紙ジャケット仕様、07年オリジナルリマスター音源使用、内袋付仕様、定価2800+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
紙ジャケに軽微な圧痕あり
1974年に英ブリストルで結成、2人の管楽器奏者を擁する7人組ジャズ・ロック・バンドによる77年の唯一作。このサウンド、ずばり「アルティ・エ・メスティエリ meets カンタベリー・ロック」!手数多くも精密に刻む技巧的なドラミング&ベースが作り出すタイトかつスピーディなリズムに乗って、流れるように快速フレーズを繰り出すギター、ふわりとファンタジックな音色を紡ぐエレピ&シンセ、そして艶のあるしなやかな音色で駆け抜けるフルート&サックスが躍動。アルティばりのスピードとテクニックでひた走るテクニカル・ジャズ・ロックに、カンタベリー風の優雅で芳醇な管楽器群を重ねたこのアンサンブル、ジャズ・ロック然とした強度と、柔らかく軽やかなタッチが見事に一体となっていて、もうとにかく素晴らしすぎます。アルバム後半で聴けるアコースティック・ギターをメインとする地中海的エキゾチズム薫るアンサンブルも極上。こんな大変な傑作がまだイギリスにあったなんて!と驚かずにはいられない逸品です。
カナダはケベックのジャズ・ロック・グループ。78年作1stと81年作2ndとをカップリングした2in1CD。シャープでテクニカルなドラムと手数多くハイ・ポジションで動きまくるベースとによるキレ味鋭いリズム隊を土台に、ギター、エレピ、管楽器が流麗かつテクニカルなフレーズを交差させる。ファンタスティックな柔らかさと圧倒的なテクニックとによるサウンドは、かなりの完成度。これは素晴らしいグループです。ジャズ・ロックのファンは間違いなく気に入る名グループ。オススメです!
オランダ出身のジャズ・ロック・バンドが74年にリリースした唯一のアルバム。寸分も狂いなく刻む鋭い打音のドラムス、メロディアスな音運びのベース、ヤン・ハマーを思わせるピッチベンドを多用した躍動感あるプレイのシンセとエレピ、スリリングで緊張感あるフレーズで切り込むギター。緊密なテンションが支配するテクニカル・ジャズ・ロックを聴かせる、挨拶代わりの一曲目でその実力がわかります。以降はファンキーな跳ねるリズムも入ったフュージョン風ジャズ・ロックとなり、一曲目に比べてリラックスしているようでいて、どこか緊張感を持続させた油断ならない演奏がまた堪りません。基本的にインストですが、ムーディーなフュージョン曲で突如歌い出すリチャード・シンクレアみたいなヴォーカルも印象的。これぞ「職人的アンサンブル」と呼ぶべき鮮やかな技巧の応酬がただただ心地よい好盤。ジャズ・ロック好きなら一聴の価値あり!
フルート/ピッコロ担当、サックス/フルート担当の管楽器奏者2人を擁するギターレス6人編成、フレンチ・ジャズ・ロック・グループによる76年唯一作。基本となるのは、涼しげな音色でリリカルに舞い上がるフルート、ひたすら愛らしいピッコロ、歌心ある饒舌なプレイが魅力のサックスなど管楽器の活躍をメインとするラテン・フレイヴァーも醸し出すジャズ・ロック。そこに強烈な対比を作っているのがピアノで、ミステリアスに紡がれるピアノのフレーズに反応して、パーカッションが乱舞し、サックスが熱量いっぱいの即興で合わせる、コンテンポラリーな展開に突入する時のスリルもまた堪りません。ラテンな陽気さの中でも気品ある佇まいを崩さない演奏は、さすがフランスのグループ。ダイナミックにテンポチェンジする緩急自在なドラミングと芳醇なダブルベースの響きが印象的な、ジャズそのものと言えるリズム隊も大変味があります。フレンチ・ジャズ・ロックの隠れた名品です。
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