2018年8月11日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフ増田です。
いよいよお盆休み。実家に帰省する方も、お家でのんびりする方も、ぜひ日頃の疲れをリフレッシュできるといいですね。
さてさてスタッフ増田の夏休みの醍醐味と言えば…ずばり「昼寝」でございます。
昼ごはんに素麺なんかを食べて、ダラダラと甲子園中継を見ながら、扇風機の前でついウトウト。
気付けば夕方になっていたりすることもしばしばですが、そんな夏の過ごし方もまた風流と言えるのではないでしょうか…多分。
またもや前置きが長くなりましたが、今回の真夏のサイケデリック探検隊はサイケ・フォーク&サイケ・フォーク・ロック特集。
それも、ついつい昼寝をしたくなってしまう「けだるい夏の午後」にピッタリのサイケ・フォークをセレクトいたしました。
どうぞ皆様心地良い浮遊感に揺られながら、まどろみの世界へ…。
まずは米国から。「フォーク・ロック界のジミヘン」の異名をとる黒人ミュージシャンArthur Lee率いるLA産サイケ・フォーク・ロック・バンド、67年2nd。
柔らかくフォーキーなアコギと軽やかなドラムにジェントルなヴォーカル。西海岸らしく爽やかで暖かい雰囲気~、と思ったらマジカルなハープシコードも入ってきて、まさにサイケな夢見心地。
西海岸サイケ・フォーク・ロックならこちらもオススメ!変形ジャケの先駆けとしても名高いシスコ・サイケ・フォーク・ロック68年作。
古き良き乾いたジャグやグッド・タイム・ミュージックに、もったりとしたヴォーカル・ハーモニーのアシッド感が心地良いです。
マイナーですが、こんなサイケ・フォーク・ロックも良いです。アイオワの学生サイケ・フォーク・ロック・バンドによる71年の自主制作盤。
ドタバタと叩きまくるドラム、幻想的に鳴り響くオルガン、うつむき加減のアーティスティックなヴォーカル……ああ、やるせない青春の味。
オハイオ産サイケ・フォーク・ロック、68年作。紫煙が充満した気怠い空気を真空パックしたかのような、メロウ&ダウナーな「Hey Joe」のカヴァーが絶品。
見るからに怪しいジャケの期待を裏切らない、デンジャラスな心地良さに包まれた一枚です。
ここからは心地よく微睡みの中に連れて行ってくれそうなUSサイケ・フォークをご紹介。
サイケ・フォーク・マニアに人気の米国のSSWによる74年作ですが、フルートやサックス、メロトロンを配した彩り豊かなアプローチは英国プログレ・ファンにもグッときちゃうはず!?
緻密に構成されつつ、どこまでも優しい歌心に包まれたサウンドがもう素晴らしい~(泣)。
ITHACAやFRIENDSからの影響が滲む、「英国の深い森」へと確実につながっているメロウなUSサイケ・フォーク73&74年作。
ネオアコにも通じる蒼く柔らかなコーラス&エコーに、もうメロメロメロメロ…
なんて心地が良いんだ・・・。ボサノヴァからAOR、ネオアコまで網羅しそうな軽やかなバッキング、とろけそうにメロウなメロディ、光が差し込んでくるような優しいヴォーカル。
米国ウィスコンシンで活動するSSW、77年に4トラックMTRで録音された、スムージーなサイケ・フォーク名盤。
次は英国から!
ウェールズ出身のサイケ・フォーク・ロック、ブルース志向を強めた最終作71年3rd。
ノイジーなギターが炸裂する曲もありますが、ダウナーな雰囲気充満するサイケ・ブルースやメランコリックなアコギをフィーチャーした夢見心地なサイケ・フォークは夏の午後にピッタリ。
後にBYZANTIUMを結成するメンバー率いる英サイケ・フォーク・バンド、69年の唯一作。
フォークの伝統、ドノヴァンに通じるサイケ・ポップ、ジャズ&ブルースをブレンドし、英国らしい気品でまとめあげた、って感じのサウンドは、簡素なジャケからは想像できない完成度!
英国サイケ・フォーク・ロック&アシッド・フォーク、71年唯一作。
深いエコーに包まれた夢幻的なコーラス、メロディ・ラインから滲み出る英国的哀愁…。英アンダーグラウンド・サイケの隠れた好盤です。
ではではここからは、いろんな国のサイケ・フォーク&サイケ・フォーク・ロックをご紹介いたしますよ。
フォーキーなCREAM!?くぐもったボーカルとほんのりサイケな楽曲、ブルージーなハーモニカ。
まさかのニュージーランドのトリオ、72年作。
な、なんとドリーミー!オランダにこれほどのフォーク・グループが居たとは。
ニック・ドレイクの2nd、フィルモア・リンカーンあたりのファンは悶絶ですよ。蝶々ジャケも良い!
最後は南米3連発でお別れいたしましょう。
チリのグループ、72年唯一作。
夢見心地にたゆたうアルペジオ、心ここに在らずなメロディ…。夢うつつを行き来する旅人に捧ぐ、南米サイケ・フォークの金字塔。
次はブラジルのサイケ・フォーク・ロック/ポップ、77年作。
ダバダ~♪な男女混成コーラスがタマらない。ペルーのテレグラフ・アヴェニューらと並び、南米ソフト・ロックを代表するブラジリアン・サイケの名盤!
これぞ南米版『HERON』!?ペルー随一のサイケ・フォーク・グループ、73年作。
ケーナ、コンガなどフォルクローレのエッセンスと夢見心地のサイケ・フォークを融合させ、心地よい自然音も取り入れたサウンドは唯一無二!
自然と一体になれそうな南米木漏れ日フォークの傑作。
サイケ・フォークはこちらの記事&ジュークボックスもどうぞ。
それでは皆様、よい夏休みを!
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チリのグループ、72年の唯一作。フォルクローレを下地に、夢見心地にたゆたうアコギ・アルペジオ、ゆらゆらと聴き手の意識を奪うリコーダーや鳥のさえずり、「心ここに在らず」の優美なメロディ、包み込むようにメロウなヴォーカル。すべてが奇跡的にピースフル。白昼夢を断ち切るように時折いななくファズの好き嫌いは分かれそうですが(笑)、南米サイケ/アシッド・フォークを代表する傑作です。
ブラジル出身、サイケデリックなフォーク・ロック/ポップ・グループ。71年作。ファズ・ギターをフィーチャーしたハードな楽曲もありますが、持ち味は、哀愁溢れるメロディと歌心溢れるアンサンブルによるメランコリックな楽曲でしょう。ヴォーカルは男性と女性の2人が居て、曲によってソロで歌ったり、2人がハーモニーを取っています。女性Voが歌うメランコリックな「Avenida Central」での、リリカルなピアノ、華麗なストリングス、歌心いっぱいのギターには胸打たれます。どの曲もフックのある佳曲揃い。良い作品です。
60年代末期に結成されたウェールズ出身グループ、キーボーディストが脱退し新たにギタリストが加入、ツインギター編成となった71年発表の3rdアルバム。サイケとフォーク・ロックを上手く取り合わせ独自のサウンドを聴かせた前作に対し、骨太なブルース・ロックを中心とするアーシーなアメリカ志向のサウンドを導入しているのが特徴的。フォーキーなナンバーでもブルース/ルーツ色が見え隠れする味わい深いサウンドを聴かせています。特に、サイケの残り香を含んだツインギターが炸裂するソリッドなブルース系ナンバーは抜群のカッコよさを誇っており聴き所。ただそんな中でも、英国的なリリカルなメロディーと淡々としながらも感情を揺さぶるヴォーカル、そしてメロトロンが雄大に盛り立てる感動的なラストナンバー「CHORALE」は、やはり彼らが英ウェールズ出身バンドであることを強く思い出させます。この後中心メンバーだったギターのGareth Johnsonが脱退し程なくバンドも解散、図らずも最終作となりましたが、数あるアメリカ志向のブリティッシュ・ロックの中でも極めて完成度の高いサウンドを聴かせる一枚です。
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