2021年5月13日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
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スタッフ佐藤です。
KARFAGENでもお馴染みの才人Antony Kaluginによる21年ソロ作『STELLAR GARDENER』、とても素晴らしい作品でした。
KARFAGEN、SUNCHILDも含め彼の作中で随所にうかがえるのが、大御所フラワー・キングス(以下TFK)からの影響。
Kalugin自身がプログレ・ミュージシャンを志すきっかけになった作品に『RETROPOLIS』を挙げるほど、TFKの存在は彼にとって大きいもののようです。
今回は、そんなTFKに影響を受けつつ独自の完成度高いサウンドを練り上げている作品や、TFKファンに是非聴いて欲しい作品を取り上げてみたいと思います!
フラワー・キングスからエッジを取り去って優美に仕立て、そこにニューエイジ的な神秘性を加えた感じ?
KARFAGENやSUNCHILDでコンスタントにリリースしながらこの完成度のソロを出してくるとは…。
とにかくクリエイティヴィティが溢れんばかりなんだろうなぁ。
オルガン、シンセ、ギターがこれでもかとスケールの大きく交差するフラワー・キングスに通じるサウンドを展開しつつ、より柔和でファンタジックな芳醇さを纏ったアンサンブルが心地いいなぁ。
さすがの揺るぎない完成度を示す12thアルバム!
KARFAGENよりも優美でメロディアスな音作りを追求したプロジェクトによる18年作。
やはり憧れのフラワー・キングスからの影響が滲むゆったりとスケール大きなメロディを主役に、これでもかとファンタジックに織り上げていくメロディアス・プログレに感涙!
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ノルウェーのベテランによるこの21年作も、TFKファンならきっとお楽しみいただけるはず!
ハッセ・フレベリばりのハスキー・ヴォイスと、ロイネ・ストルトばりの叙情フレーズで畳みかけるギターが紡ぐ、「いなたいTHE FLOWER KINGS」と呼べそうなシンフォニック・ロックにグッと来っぱなし。
ノルウェーらしい土着的な哀愁味が随所に漂ってるのもまた堪らないですね。
これぞ北欧シンフォだなぁ。
TFK影響下というか、TFKその人と言える名ギタリストによる18年ソロ作をご紹介しておきましょう。
TFKのスケール感とKAIPAの叙情美を合わせたような彼以外作り出しえないサウンドに、ポップだったりジャジーだったりとソロらしい奔放な味付けを施した充実のソロ作となっていますよ!
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今回は往年より活躍するプログレ・ファンにはお馴染みのミュージシャン達がゲスト参加する新鋭プログレ作品をセレクトしました!これらの作品をきっかけに新鋭プログレへの入門を果たしていただければ嬉しく思います♪
TFKのキーボーディスト、トマス・ボディーンが見出しプロデュースも手がけた北欧メロディアス・プログレの筆頭バンド。
3rd『LOVER’S END』で人気に火がついた彼らですが、デビュー作の時点で既にとんでもない才能を感じさせますよね。
とめどなく溢れる美しいメロディ、手工芸品のような繊細でドラマチックなアンサンブル。いつまでもそのサウンドに浸っていたいと思わせてくれる名品です。
2011年にリリースされたシンフォ新鋭の中でもピカ一の完成度を誇る作品。
スウェーデン出身、父母息子娘のBender一家を中心とするファミリー・バンドで、このスケールの大きさは、影響も感じさせるTFKにも匹敵するでしょう。
母Annaの美声ヴォーカルを生かしきった圧巻のドラマティック・サウンドをご堪能ください☆
もしアラン・パーソンズ・プロジェクトとTFKが合体したとしたら?
そんなワクワクするような疑問への回答と言えるかもしれないスウェーデンはストックホルムより登場したグループの16年作2nd。
厚みのあるモダンなリズム隊とエモーショナルで色彩豊かなリード・ギターやキーボードはTFK的と言えますが、メロディを大切にした温かく丹念なサウンド・プロダクションはAPPあたりを彷彿。
北欧らしい端正でファンタスティックなサウンドをたっぷりと味わわせてくれる一枚となっています。
こちらはご存知TFKのリード・ヴォーカリストが率いるグループ。
当然TFKを思わせるスケール感ある音作りがベースとなっているのですが、そこにクイーンや10cc風のポップ・エッセンスを取り入れているのが特徴で、シンフォニック&ハードなパワーポップと言えちゃいそうな個性的な音楽を提示しています。
こちらは英国のプログレ・グループ。TIGER MOTH TALESやCAMELで活躍中のマルチ奏者Pete JonesがTFKに加入したとしたら!?
そんな夢のようなサウンドを作り上げてみせたのがこの作品で、GENESISからTFKまでを消化した「静」と「動」の対比鮮やかなアンサンブルに、ヴォーカリストとして全面参加するPete Jonesのつややかな美声が響き渡るシンフォニック・ロックがとにかく感動的!
今やメキシコのみならず中南米シーンを代表するグループとなった彼らの17年作。
直接的な影響はさほど感じないものの、この圧倒的スケールはTFKとブラジルのSAGRADOを合体させてしまったかのような凄まじさ。
間違いなくTFKファンにも楽しめる作品に仕上がっています!
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新鋭プログレ・シーンより、メタルの要素を巧みに配してスケール感あふれる音世界を作り上げている作品をピックアップしてまいりたいと思います。メタリックな重量感を取り入れることで生まれる、息を呑むようなダイナミズムとドラマ性をお楽しみください☆
最後はTFKというよりRoine Stoltを彷彿させるギタリストの13年作をピックアップ。
動画3分~のエモーショナルなプレイはまさにRoineばりの素晴らしさですよね。サウンド全体としては、リターン・トゥ・フォーエヴァーから80年代以降のクリムゾンまでを飲み込んだフュージョンとプログレの狭間を行くようなスタイル。
インドネシア恐るべし!
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「ミュージシャンの視点からプログレッシブ・ロック作品を捉える」ことをコンセプトに、同じ時代を生きる世界中の素晴らしいプログレッシブ・ロックアーティストたちの作品を幅広く紹介するコラム。担当は、MUSEAからデビューした日本のアーティストnetherland dwarf!
いかがだったでしょうか?気になる作品が見つかれば嬉しく思います!
70年代末結成、90年代初頭にデビューして以降コンスタントに高品質な作品をリリースし続け、今やメキシコのみならず中南米シーンを代表するグループとなった彼らの17年作!ピアノ、オルガン、シンセを縦横に駆使してアンサンブルを形作るクラシックの素養みなぎるキーボード、天を駆けるように格調高い音色から深みある芳醇な音色までを操る表現力抜群のヴァイオリン、そしてゴリッと硬質なリフワークとエネルギッシュな速弾きでCASTのヘヴィネスを一手に担うギター。安定感抜群のリズム・セクションの上を、三者が複雑に絡み合いながら織り上げていくスケールの大きなシンフォニック・ロック・サウンドは、もはや興奮を通り越して感動すら覚える素晴らしさ。全編にわたり瑞々しくファンタジックな躍動感に満ちながらも、同時に一音一音には確かな重量感のあるという、一分の隙なく構築されたサウンドはもはや貫禄と言う以外にはない威風堂々な出で立ちです。特に素晴らしいのが前作より正式メンバーとして活躍するヴァイオリニストRoberto Izzoのプレイ。ソロもたっぷりフィーチャーされており、清廉なクラシカル・シンフォの色合いが強まっているのが特徴です。これは、スウェーデンのTHE FLOWER KINGSとブラジルのSAGRADO CORACAO DA TERRAを合体させたかのような凄まじさと言ってしまおう!傑作!
KARFAGENでお馴染みのウクライナ出身Key奏者&コンポーザーAntony Kaluginによるプロジェクトの18年作8th。タイトルから分かる通り彼のメイン・プレジェクトであるKARFAGENの17年作『MESSAGES FROM AFAR: FIRST CONTACT』とリンクする内容となっています。プログレッシヴ・ロック然としたダイナミックな迫力を持つKARFAGENのサウンドに比べると、より歌ものとしてのメロディアスな部分に焦点を当てた、流麗でファンタジックな作風が特徴。THE FLOWER KINGSからの影響を感じるゆったりとスケール大きく歌われるヴォーカルを主役に、輝く音色のピアノ、悠久を紡ぐように雄大なシンセサイザーらがドラマチックに交差し、甘く優しげなトーンのギターがアンサンブルの叙情面を担います。メインとなるのは繊細なコーラスを伴ったジェントルに歌う男性ヴォーカルですが、20分の大曲ではエモーショナルな女性ヴォーカルが加わりこれでもかと劇的なアンサンブルと共に駆け上がっていく展開に感動がこみ上げてきます。これぞ「メロディアス・プログレ」と言いたくなる、美旋律がとめどなく溢れ出してくる一枚です!
72年に結成され、80年にデビューしたノルウェーを代表するシンフォ・グループ。前作から8年ぶりに届けられた21年作7th!北欧の中でもノルウェーのバンドらしい哀愁をたっぷりまぶした、「いなたいTHE FLOWER KINGS」と言えるサウンドが堪らない一枚。郷愁を誘うアコーディオンの独奏から、太いトーンのギターとヴィンテージなハモンドが溢れ出す重厚なアンサンブルへとなだれこむオープニングからしてベテランらしい風格満点でゾクゾクします。重厚に刻むリズム・セクションに乗って、TFKのHasse Flobergに近いハスキー・ヴォイスで力強く歌うヴォーカル、KAIPA時代のRoine Stoltを彷彿させるクラシカルな泣きのフレーズでこれでもかと畳みかけるギター、洪水のごとく溢れるハモンドとつややかに疾走するシンセらが躍動。どっしりと重心が低く貫禄あるサウンドと劇的に描かれる叙情サウンドとの調和が素晴らしいです。THE FLOWER KINGSファンにもきっと響くサウンドだと思います。
英国を拠点にKARFAGENやSUNCHILDなどのグループを率いて活動するウクライナ出身の才人キーボーディスト/コンポーザー。前20年作と同様に、すべて彼自身のみで演奏した21年ソロ作。約20分の曲が2つという大作主義も前作を踏襲しています。夢見るようなトーンのシンセサイザー・サウンドを主体とするファンタスティックな世界観のシンフォニック・ロックは相変わらず珠玉の出来栄え。彼が敬愛するTHE FLOWER KINGSからエッジを取り去って優美に仕立て、そこにニューエイジ的な神秘性を加えたようなサウンドが印象的です。前年のソロ作『MARSHMALLOW MOONDUST』や彼のプロジェクトSUNCHILDの作品が気に入っているならマストな一枚!
フラワー・キングスのリード・ヴォーカル&2ndギタリストとして知られるHasse Frobergが、フラワー・キングスが長期休養を取った08年に結成したグループ。2015年作の3rd。本家フラワー・キングスに通ずる優美なキーボードが彩る北欧シンフォニック・ロックを軸に、ヴィンテージなハード・ロック・センス、クイーン的なポップ・センスを散りばめたカラフルなメロディアス・ハードがこのバンドの魅力ですが、ポップな方向に洗練された印象で、Hasseらしいハートウォームさが全面に出ている印象。ファットな歪みのギター・リフにハモンドがからんでかっ飛ばすパートと、ファンタスティックにたなびく色彩豊かなトーンのキーボードをバックにハスキー&ウォームなヴォーカルがエモーショナルに歌い上げるパートとを行き交いつつ、クイーンというかジェリーフィッシュを彷彿させる多声コーラス・パートや10ccばりのドリーミーポップなパートなどを散りばめながら展開するオープニング・ナンバーからこれは素晴らしいです。ハードエッジになってもハートウォームさやドリーミーさは一貫してるし、アンサンブルも歌声も、どこを切り取ってもHasseならではの優美なメロディ・センスが溢れだすし、とってもとってもフックに富んでいます。シンフォニック&ハードなパワー・ポップと言える愛すべき名作です。
スウェーデン出身、KAIPA、THE FLOWER KINGS(TFK)、AGENTS OF MERCY、TRANSATLANTICなどで活躍する才人ギタリストによる18年ソロ・アルバム。ご本人はギター/ヴォーカル/キーボードを演奏し、TFKのメンバーであるJonas Reingold(b)、Hasse Froberg(vo)、Michael Stolt(b/vo)の他、テクニカル・ドラマーMarco Minnemann(d)やハケット・バンドで著名なRob Townsend(sax)とNad Sylvan(vo)が参加しています。力強くも浮遊感あるメロディとエモーション溢れるギターをメインにスケール大きくドラマチックに盛り上がる作風はTFKに通じていますが、TFKほどのシリアスさや緊張感は感じさせないのが特徴。ギターを中心にファタジックで伸びやかなタッチが前に出ている印象があり、より北欧らしい柔らかな叙情美を持つKAIPAを彷彿させる部分が目立ちます。2曲目のようなリズミカルなポップ・ソングや、洒脱なサックスが光る本格派ジャズ・エッセンスを取り入れた7曲目など、合間に聴けるソロらしい奔放な曲想も魅力的です。プログレ界最高峰の圧倒的な表現力を見せつけるギタープレイは言わずもがなの素晴らしさですが、そこに芳醇な音色で絡んでくるハモンド・オルガンの腕前にも注目。TFKファンもKAIPAファンも楽しめる充実のソロ作です!
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