2017年1月27日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,新譜CDナビ
イタリアのアヴァン/レコメン系レーベルAltrOckのサブレーベルFADINGからリリースされたイスラエル新鋭なのですが、クラシックの並々ならぬ素養を備えた超絶技巧ピアノが怒涛の大活躍を見せるポスト・ロック系アヴァン・ロック!
終始テンション高く鳴りっぱなしのピアノのパフォーマンスはもはや驚愕の一言。
時々とんでもないバンドが前触れ無く現れるイスラエル、侮れません…。
こちらもノルウェーより、70年代のサイケ/ブルース・ロックからの影響を現代のヘヴィネスで解釈したようなヴィンテージ質感のサウンドが持ち味の新鋭グループ。
特筆はギターで、サイケデリックな色彩感を撒き散らすハードなプレイから、泥臭くブルージーな野太いトーンで味を出すプレイまでを弾きこなし、スリリングに畳み掛けてくる実力派。そして荒々しいギターとコントラストを成す、リリカルで透明感のあるオルガン&ピアノ。
一つのシーンを形成しつつある北欧のヴィンテージ・プログレの中でも特筆すべき本格派サウンドを鳴らす注目株です!
ヴィンテージものならもう一作、アメリカから70年代憧憬100%の新鋭が届きました!
初期クリムゾンかムゼオ・ローゼンバッハかという轟々と鳴り響くメロトロン、タンジェリン・ドリームを彷彿させるエレクトロニックとアナログ・シンセ、さらにヒープ系のアグレッシヴなオルガンが炸裂したりと、とても00年代以降のバンドとは思えない強烈なヴィンテージ臭がぷんぷん。
とは言えごった煮風にはならず、整理された中で鳴らされているところはこのバンドならではのセンス。次にどんな音が飛び出してくるのだろうという面白さがあり、節操の無さがかえって魅力となって響いてくる好盤です。
ジェネシス系イタリアン・シンフォの名バンドとして知られるMOONGARDENのギタリストとキーボーディストが結成したバンド。2016年作3rd。
ジェネシス憧憬をベースに、イタリアらしいクラシカルさや、突き抜けるようにかっ飛ばすプログレ・ハード・テイストを織り込んだサウンドは、いや?、素晴らしい!
1st、2ndもプログレ・ファンに大好評でしたが、本作にも間違いなく心奪われること間違い無しっ!
まるで往年のスティーヴ・ハケットをキーボードで再現するようなリードがいいなぁ。
「プログレ・ハード」なダイナミズムとフックあるメロディも魅力的だし、これは2016年屈指の大充実作!
イギリスという場所、2016年という時だからこそ鳴らすことができた渾身のプログレッシヴ・ロック大作。
英国ならではの「伝統」が息づく重厚かつ流麗なサウンドは、まるで映画を見ているように壮大です。
90年代~00年代屈指の英国プログレ新鋭による堂々たる2016年作9th。
とても「キューバ」とは思えない深遠な響きにびっくり。
「幻想」と「リアリスティック」の振幅が生む圧巻のドラマ。なんというスケール・・・。
02年にデビューしたキューバのプログレ新鋭バンド、2016年作5th。
キング・クリムゾン、マグマ、ゴング、果ては『ウォール』期のピンク・フロイドまでをぶちこんだサウンド、ただただ強靭。
このノルウェーの新鋭、ずばり大注目!
00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンドによる2016年作の4th。
クラシカルなエッセンスを軸にニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったり。
女性ヴォーカルも美しいし、ジャケも綺麗だし、これは傑作!
アルバムの1秒目からレッドゾーン吹っ切れまくり!
怒涛のビブラフォンとサックスのユニゾン。マシンガンのようなギター。
高速変拍子。クリムゾンやユニヴェル・ゼロに一歩も引けをとってません!
デビュー作もハイクオリティでしたが、この2016年作2ndもずばり傑作。
カンタベリー・ミュージック、アレア、イル・ヴォーロあたりのファンにはたまらないはず。
なんとスペインの北西岸にあるア・コルーニャ出身!
カンタベリーのバンドやザッパ『ホット・ラッツ』あたりのDNAを受け継いだ芳醇極まるジャズ・ロックにただただ驚くはず。
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ポーランド出身、女性ヴォーカルを擁するシンフォニック・ロック・グループ。2016年作の4thアルバム。温かで荘厳なハモンド・オルガン、しっとりと艶やかなピアノ、壮麗なオーケストラなどによるクラシカルなエッセンスを軸に、ウクライナの新鋭バンドKARFAGENにも通じるニューエイジ色を織り交ぜたサウンドは「美麗」という言葉がぴったり。伸びやかな歌声とエモーショナルな歌唱が素晴らしい女性ヴォーカルが見事に映えています。ゲスト参加したヴァイオリン奏者による艶やかなリードも聴きどころ。ここぞでは、中域寄りのハード&マイルドなトーンのエレキ・ギターがアグレッシヴにリズムを刻んでダイナミズムを注入。メリハリの効いたドラマティックな展開も見事です。00年代以降のポーランドを代表するシンフォニック・ロック・バンドによる、ジャケットのイメージどおりの美しい傑作です。
00年代以降のチェンバー・ロック〜アヴァン・ロックの筆頭格と言えるイタリアのバンド、2016年作のスタジオ盤としては4枚目となるアルバム。アルバムの1秒目からレッドゾーン吹っ切れまくり!いきなりビブラフォンとサックスがユニゾンで切れ込み、ギターがまるでマシンガンのようにザクザクとしたフレーズを叩きつけ、リズム隊が高速変拍子で荒れ狂う。脈絡なくフレーズをぶつけあっているようでいて一糸乱れぬようでもあり、アブストラクトのようでいて緻密に計算されているようで、何という凄まじさ。クリムゾン『太陽と戦慄』やヘンリー・カウやユニヴェル・ゼロなどに一歩も引けを取らない、というか、硬質さとテンションでは凌駕しているといっても過言ではないでしょう。一転して、静謐なパートでの透明感もまた見事だし、カンタベリーに通じる叙情的な「歌」も心に響くし、何という表現力。チェンバー・ロックの大本命バンドによる、リスナーの期待をはるかに凌駕した大傑作!
イタリア北部ブレシア出身の4人組ジャズ・ロック・グループ。『ハットフィールド meets キャメル』といった感じの叙情性溢れるジャズ・ロック・サウンドでプログレ・ファンから高く評価された2011年デビュー作に続く2016年作2nd。サウンドの強度がグッと増した印象で、ソフト・マシーンやハットフィールド、アレアやエトナなど、往年の英&イタリアの名バンドにも比肩するジャズ・ロック・サウンドが印象的。シャープなリズム隊を土台に、クラヴィネットが弾み、ヘヴィに歪んだギターとムーグ・シンセが早弾きリードを炸裂させるテンションいっぱいのパートあり、ギターとキーボードのアルペジオが精緻にからみあうハットフィールド的パートあり、キーボードの変拍子のミニマルなフレーズを軸にしたハード&静謐なソフト・マシーン的パートあり、地中海が香る軽やかなパートあり、荘厳にそそり立つようなイタリア的なパートあり、流麗なピアノとフレットレス・ベースが奏でるメロディをフィーチャーしたジャズ/フュージョンなパートあり、表情豊かで安定感抜群のアンサンブルは絶品の一言。インストが中心ですが、ヴォーカル・パートもあり、アレアを彷彿させる土着的な歌声も魅力的です。ラスト曲では清涼感あるトーンのシンセをバックにロマンティックなギター・ソロが入って、イル・ヴォーロが頭に浮かびました。これはカンタベリー・ミュージックやユーロ・ジャズ・ロックが好きな方にはたまらないはず。70年代のDNAを継ぐ傑作です。
90年代後半から活動し、シンフォ・ファン必聴の名作を数多く残しているキーボード奏者Corrado Sardella率いるグループ。2016年作9thアルバムで2枚組の一大コンセプト・アルバム。イ・プーのレッド(Bass)をはじめ、ヴォーカルとしてLA MASCHERA DI CERAのAlessandro CorvagliaやMANGALA VALLISのRoberto Tirantiが参加するなど、多数のゲストが参加して制作されており、これまで以上にダイナミズムに溢れたシンフォニック・ロック大作に仕上がっています。透明感あるトーン、温かくファンタスティックなトーン、激しくアグレッシヴなトーンを駆使し、ヴィンテージ・キーボードとピアノを操って幻想と現実を行き交うようなスケールの大きな音世界を描きだすセンスとテクニックは相変わらずの素晴らしさ。まるで往年のスティーヴ・ハケットをキーボードで再現するような、そんな伸び伸びと奏でられるドラマティックなキーボードのリードにも心躍ります。時にカンサスも彷彿させる「プログレ・ハード」なダイナミズムとフックあるメロディも魅力的。リリカルなギターや視界がパッと開けるような展開などはムーン・サファリも頭に浮かぶし、いや〜、これは良いアルバム。文句なしに最高傑作と言える大充実作です。
ジェネシス系イタリアン・シンフォの名バンドとして知られるMOONGARDENのギタリストとキーボーディストが結成したバンド。2016年作3rd。繊細なタッチの伸びやかなロングローンが魅力のギターときらびやかなトーンのムーグ・シンセが紡いでいく時にリリカルで時に緊張感を持ったメロディ。その上でたなびく幻想的なメロトロン。シアトリカルなヴォーカルとフックに富んだメロディ・ライン。そして、目の覚めるようなめくるめくファンタスティックかつダイナミックな展開。ドラマティックなシンフォニック・ロックのファンにはたまらないサウンドがこれでもかと続きます。さらに、しとやかなエレピ、クラシカルで格調高いピアノやクラシック・ギター、エモーショナルに歌い上げるヴォーカルなど、イタリアならではのサウンドのまばゆさ・艶やかさも特筆。ジェネシスへの憧憬がベースにありますが、イタリアらしさや、突き抜けるようにかっ飛ばすプログレ・ハード・テイストなどを織り込んだ多彩なサウンドにはオリジナリティがあります。1st、2ndもプログレ・ファンに大好評でしたが、本作にも間違いなく心奪われることでしょう。傑作です。
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