2019年9月16日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
今ではドがつくようなマイナー作品ながら実は意外な有名人がプロデュースを手がけている、というケースが70年代のロック・シーンには結構あったりします。
今回はそんな作品たちをご紹介していきたいと思います。
さすがメインストリームで活躍した才人達が手がけたアルバムだけある、隠れた名盤揃いでお送りしますよ!
かのロッド・スチュワートがプロデュースを務めた英ハード/プログレの71年作なんですが、サバスやBUDGIEにも劣らぬプロト・メタル感とVDGG並の混沌とした雰囲気が同居してて、これは強烈です…。
地味~なジャケットからはマイナー感がぷんぷんですが、実はサバスやバッジーでお馴染みのロジャー・ベインがプロデュースを手がけたポリドール発の作品。内容はこれぞ直球勝負の正当派ブリティッシュ・ハードで、鋭角的かつコシのあるギターが特に素晴らしいんですっ!
ジョージ・マーティンのプロデュース作の中でもニッチ&ディープな一枚ですね!英ハードと米ロックとの豊かな出会いを優美に包み込むストリングス。いや~。これぞブリティッシュ!
コックニー・レベルや10ccで活躍したkey奏者と言えば?前作『CHIMERA』で聴かせた技巧派キーボード・プログレと、在籍バンドが証明する卓抜したモダン・ポップ・センスが同居する傑作2nd。プロデュースと3曲でヴォーカルを務めるのはジョン・ウェットン!
ミック・ロックによるハイセンスなアートワークに包まれた一枚は、ディープ・パープル~レインボウのロジャー・グローヴァー・プロデュース作。モダンポップの捻くれセンス、グラムロックのギラギラ感、ハードロックのエッジ、パンクの剥き出しのエネルギーなどが全て詰まってますね。現実逃避的でセクシャルなヴォーカルも良いし、とにかく尖りまくり!
この中では比較的知られる作品ですが、パープル繋がりでこちらはイアン・ギランのプロデュース。ずばり「BLACK NIGHT」ばりのキャッチーなギターリフ meets ヘヴィなアンダーグラウンド臭、と言えちゃう期待通りの痺れるハード・ロックを聴かせてくれますよ!
パープルメンバーのプロデュース作ならこちらも外せません。QUATERMASSのドラマー、AUDIENCEのサックス、GINHOUSEのギタリストのグループで、プロデュースはジョン・ロードって、どんだけ英ロック好きのツボを押しまくれば気が済むんだ!このグルーヴィー&ソリッドなサウンド、とにかく最高ですよ。
英ギタリストRod RoachがHORSE解散後に結成したグループってマイナーもいいとこだけど、プロデュースはあのキース・レルフで、男女リードVoと重量感あるギターワークに痺れる73年の好盤!
若干17歳のメンバーで結成された早熟バンド、スポンティニアス・コンバッションの中心メンバーが結成したグループ。クラウト・シーンの敏腕コニー・プランクが手掛けた作品で、ジェントル・ジャイアンツ meets イエスな超絶プログレが強烈っ!
ピーター・ハミルとデヴィッド・ボウイが好き?ならヴォーカリストの素晴らしいパフォーマンスに圧倒される、このドがつくマイナーなグループは聴かなきゃですよ!サウンドも内省的でメランコリックで、なおかつ荘厳でハードで旨みがたっぷり。ファミリーが設立したレーベルRAFTからリリースされた作品で、プロデュースはあのロジャー・チャップマン!
しっとりしたストリングス、洗練された叙情たっぷりのボーカル・・・。スコットランドが誇る名ポップ・グループMARMALADEの元フロントマンによる唯一作で、アラン・パーソンズが手掛けた大人のための極上ポップ作品。
なんとジミヘンがプロデュースで、あのアーニー・グレアムがヴォーカル!? しかもロバート・ワイアットとノエル・レディングがゲスト参加ってこりゃマジカル!だけど何たる知名度の無さ…。
初期ウィッシュボーン・アッシュを手掛けたデレク・ローレンスのプロデュースということで、疾走するツイン・リード・ギターが魅力的なグループですが、ファンタスティックなハモンドのプレイも良くて、プログレ・ファンにもしっかりアピールするブリティッシュ・ロックの好盤。見事なジャケットはヒプノシスワーク!
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左右に配された2本のギターが時に美しくハモリ、時にお互いのリードをぶつけ合う。世界各国に生まれたツイン・リード・ギターの作品を定番からニッチ盤までピックアップ!
初期クリムゾンの重要人物イアン・マクドナルドがプロデュースを手がけた、知る人ぞ知る米シンフォの隠れ名盤。ジャケからして秘宝臭ぷんぷんですが、音もイエス&ジェネシス直系のファンタスティック・プログレでこりゃたまりません!
ジョージ・ハリスンが設立したダーク・ホースの第一弾作品と言えば?英ポップ・デュオのデビュー作なんですが、ゲストも豪華だし、ジョージ自身がプロデュースしていて、さらにはギタリストとして全面参加してスライドを鳴らしていて、これ、最高!
キンクスが運営するKONKからのリリースで、デイヴィス兄弟らがプロデュースを務めていて、さらに他のキンクス・メンバーも演奏に参加しているフォーク・ロック・トリオと言えば?パブ・ロック的軽快さと英国然としたしっとり翳のあるメロディが組み合わさった、極上のフォーク・ロックを聴かせてくれる名品!
トッド・ラングレンのプロデュース作の中でも屈指のマイナー盤だと思いますが、中身はTHE BANDのアーシーさにハード・ポップ色が加わったような、実にハートウォーミングで心くすぐられるさすがの逸品!カナダの4人組グループがトッドの本拠BEARSVILLEスタジオで録音した71年唯一作。
デラニー&ボニーやエリック・バードンの作品に参加したギタリストが残した74年ソロ作で、デラボニのデラニー・ブラムレットがプロデュースを手掛けた一枚。もしジミヘンがフュージョンの時代に生きてたらこんな風に弾いたかも!と思わせるブルージーかつ流麗な卓越したギタープレイがお見事です。ミラー・アンダーソンや第二期ジェフ・ベック・グループあたりのファンも是非!
こちらは、ミレニアムでお馴染みのKeith Olsen & Curt Boetcherのコンビがプロデュースを務めるシスコ産バンドによる70年作。
ジェファーソン・エアプレインやCSN&Yに通じる西海岸らしい爽やかなロック・サウンドに、ビートルズ直系のポップなメロディを織り交ぜたサウンドが持ち味!
ローラ・ニーロがジャズ・ロックをやったらこうなる!?ハービー・マンプロデュースの、ニッチ過ぎるジャズ・ロック71年作。
プロデュースをリック・デリンジャーが務めたグループの71年唯一作。
こ、このソリッド&ヘヴィに畳みかけるイントロのエネルギーたるや!ちょっとカッコ良すぎて笑っちゃいますよ。ハードロック・ファンなら興奮必至!
ゴングのデヴィッド・アレンがプロデュースした、このスペインはマヨルカ島発サイケ・フォーク名盤はご存知?地中海風の陽気と美しさを内包したドリーミーなサウンドが絶品すぎる…。ゴーキーズあたりが好きな90年代以降ロックのファンにも聴いてもらいたいです。
ご存知の作品はあったでしょうか。気になる一枚が見つかれば幸いです!
アメリカのハード・ロック・トリオ。リック・デリンジャーのプロデュースによる71年の唯一作。ブルースが根っこにあるアグレッシヴかつエモーショナルなギター、ブルージーにシャウトするヴォーカル、力強く疾走するドラムが印象的。哀愁溢れるメロディにも胸が熱くなります。ギタリストのフロイド・ラドフォードは後にジョニー・ウィンターのバンドで2ndギタリストとして活躍します。疾走感の中にも哀愁を忍ばせたブルース・ハードの名作。
英プログレ・グループ、73年にソヴリン・レーベルからリリースされた唯一作。初期WISHBONE ASHを手掛けたことで知られるデレク・ローレンスがプロデュースを担当。エネルギッシュかつスモーキーなグッとくるヴォーカルとヌケの良い爽快なコーラス・ワーク、そしてそこに絶妙にからむメロディアスなツイン・リード・ギター、そのバックで英国らしいファンタスティックな陰影を描くハモンド・オルガン。タイトでキレのあるリズム隊、抜群にタメの効いたキメのリズム・チェンジも最高のカッコ良さ。この1曲目を聴いて心躍らないブリティッシュ・ロック・ファンは居ないでしょう。レーベル・メイトのフラッシュを彷彿させるスピード感と突き抜けるメロディ・センス。2曲目では、長尺ギター・ソロがこれでもかと胸に迫ります。3曲目ではカントリー・フレイヴァーもまぶせてどこまでも気持ち良く駆け抜けます。こんなバンドで、こんな風にギターが弾けたら、楽しいだろうなぁ。オススメです!ジャケはヒプノシス!
英ハード・ロック・グループ、75年にPOLYDORよりリリースされたデビュー作。プロデュースは、サバスやバッジでお馴染みのロジャー・ベイン。中域寄りのコシのあるトーンで引きずるようなリフからジミー・ペイジばりのキャッチーなリフまで縦横無尽なギター、タメの効いたタイトなリズム隊、そしてハイ・トーンのシャウトがエネルギッシュなヴォーカル。小細工いっさいなしで、鋭角なフレージングでスピーディーに畳みかけるパートからタメの効いたヘヴィなパートまで緩急自在にビシっと決める正当派ハード・ロック。
ロジャー・チャップマン率いるバンド、ファミリーが設立したレーベルRAFTより74年年にリリースされた唯一作。声を張った力強い歌声、David Bowieを想わせるセンシティヴな歌声ともに魅力的な存在感あるヴォーカル。内省的でメランコリックなメロディ。バンドによるコシのあるハード・ロック・アンサンブルと、全編にフィーチャーされた艶のあるストリングス・アレンジとが見事にかみ合った、荘厳でドラマティックなサウンドが印象的。英国叙情が堪能できるブリティッシュ・プログレの名作。プロデュースは、ロジャー・チャップマン!
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
軽微な折れあり
QUATERMASSのドラマーMick Underwood、AUDIENCEのサックス奏者Keith Gemmell、GINHOUSEのギタリストGeoff Sharkeyなどにより結成された英ハード・ロック・グループ。ジョン・ロードのプロデュースで73年にリリースされたデビュー作。鋭角に切れ込むアグレッシヴなギター、炸裂するジャジーなサックス、アクの強いシャウト・ヴォーカル。オープニング・ナンバーからアクセル全開で突っ走ります。R&B調のアコースティックなナンバーも英国臭ぷんぷんで良い感じ。エッジの立ったヘヴィネスとR&Bルーツの陰影とがブレンドしたサウンドはソリッドでハイレベル。これは英ハード・ファン必聴です!
オーストラリア出身で渡英したRoss Stagg(Vo、G)を中心に、元QUATERMASSのドラマーMick Underwood等で結成されたブリティッシュ・グラム/ハード・ロック・バンド。EMIハーヴェストから76年にリリースされたデビュー作。写真家Mick Rockによるジャケット、リリース当時の『貴婦人たちの午后』という邦題がイメージできる通りの背徳感たっぷりのサウンドが持ち味。オープニングの代表曲「School Girl Funk」からキレッキレで、ストレートに突っ走るパワフル&タイトなリズム、ファンキーにうねるクラヴィネット、パンキッシュに切れ込むエレキ・ギター、そして、Ross Staggによる現実逃避的でセクシャルなヴォーカルと歌詞世界。モダン・ポップの捻くれ、グラムのギラギラさ、ハード・ロックのエッジ、パンクの剥き出しのエネルギーなどがぶつかりあった痺れるサウンドが印象的です。その他の曲も尖りまくった佳曲ぞろい。これは快作です。プロデュースは、ロジャー・クローヴァー。
グレッグ・レイクのプロデュースで若干17歳でデビューしたスポンティニアス・コンバスションの中心メンバーのマーゲッツ兄弟が結成したグループ。クラウト・ロックで有名なコニー・プランクのプロデュースでBUKレーベルより75年にリリースされた唯一作。ジェントル・ジャイアントばりの偏屈さで複雑にからむ二本のギター、前のめりの変拍子を散りばめたプログレ・ハード的なアグレッシヴなリズム隊、イエスばりのハイ・トーンのヴォーカルとコーラスが印象的な一筋縄ではいかないプログレ。イエス meets ジェントル・ジャイアントな超スリリングな2曲目など、行き先不明、リズムに乗ろうにも乗れないハイ・プレッシングな超絶プログレを聴かせています。ジャケは怪しいですが、サウンドはスリリングかつキャッチーなプログレがこれでもかと堪能できる名作。
元GUN〜THREE MAN ARMYのPaul Gurvitzと後にBADGERで活躍するBrian Parrishによるユニット。CD2に収録の唯一作1stは、George Martinによるプロデュースで、ストリングス・アレンジもすべて担当。スワンプ・ロック寄りのタイト&ルーズなノリの中、英国的叙情に溢れる優美なメロディとメロウなギターが美しい陰影を描く英フォーク・ロック。全編にフィーチャーされたCS&Nばりの豊かなコーラス・ワークも聴き所。くすんだアンサンブルと鮮やかで格調高いストリングスが織り成すコントラストも見事です。CD1には未発表の2ndアルバムを収録!
スペイン出身のサイケ・フォーク・グループ。78年作の唯一作。デヴィッド・アレンによるプロデュースで、ドリーミーなメロディー、美しいコーラス・ワーク、リコーダーやハーモニカによる黄昏のアンサンブルが印象的な名作。どの曲もメロディーが素晴らしく、佳曲揃いです。
南アフリカ共和国出身、渡英しコックニー・レベル〜10ccのメンバーとして活躍、キャメルやケイト・ブッシュの作品でも手腕を発揮したkey奏者による、74年作『CHIMERA』に続く77年の2ndソロ。本作のプロデュースはなんとジョン・ウェットン。3曲でヴォーカルも取っています。他にクライヴ・チェイマン、メル・コリンズ、アンディ・マカロックら実力派が参加、さらに1曲では古巣コックニー・レベルのスティーヴ・ハーリーもヴォーカルを担当。その内容は、前作『CHIMERA』を踏襲する多彩な鍵盤楽器群をフィーチャーしたプログレッシヴなキーボード・ロック。大作主義的だった前作に比べ最長でも7分台とコンパクトな曲作りとなっていますが、ハモンド、シンセ、ピアノ、クラヴィネット、シーケンサーを縱横に駆使しテクニカルに畳み掛けるテンション溢れるスタイルは本作でも健在です。特に表題曲や最終曲で聴けるスリリングなシンセのプレイはエマーソンにも匹敵していて興奮必至。一方で半数近くを占めるヴォーカル・ナンバーでは、弾むように軽快なピアノ、フワッとファンタジックで温かみあるシンセなど、モダン・ポップ・バンドを渡り歩いた卓抜したポップ・センスも披露します。ウェットンのヴォーカルも活き活きしていて素晴らしいです。前作で聴かせた圧倒的な技巧で駆け抜けるキーボード・プログレと華やかなモダン・ポップ・サウンドを見事に両立させた名作です。
JIMI HENDRIXがプロデュースを手掛け、自身もリード・ギターで参加したサイケデリック・ビート・ポップ・サイケな問題作!?あのERNIE GRAHAMがヴォーカリストとして在籍、ROBERT WYATT、NOEL REDDINGもゲストで参加!と英米サイケ・ロック人脈が妙な顔ぶれで集まってしまった68年作!ERNIE GRAHAMのいなたい英スワンプ作品をビート・バンド化させてサイケデリックなコーラス&サウンド・プロダクションを施したかのような、一枚で何度でも美味しい英米ブルース・サイケ/ビートのミラクルな玉手箱!これは絶対に外しませんよっ!」
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