2017年12月7日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
2017年11月の新品CD月間ベストセラーを発表いたしましょう!
世界中からロック&プログレ作品が集まるカケレコらしく、国際色豊かなラインナップとなっておりますよ~☆
1位からご覧ください!
サンフランシスコを拠点に活動するロシア人コンポーザー率いるプロジェクト・バンドなのですが、このサウンド、ずばり「ジェントルジャイアント+エニド」。
管弦楽器群による本格クラシカル・サウンドと、GGを現代的にアップデートしたような目まぐるしいアンサンブルが融合、圧倒的な質量感を誇るシンフォ・ハードが迫ってきます。
ナッド・シルヴァン、ジェフ・スコット・ソート、ジェフ・コールマンなど豪華ゲスト陣にも注目!
60年代から活躍した腕利きセッションマンの2人が結成した英国が誇る名デュオ、76年発表の名作。
それにしてもこの洒脱さと英国らしいしっとりした叙情美。芳醇な大人のブリティッシュ・ロックだなぁ。
現オランダのシンフォ・シーンをリードする人気バンドと言えば彼らですね。
この17年作、どこを切ってもため息が出るような美し過ぎるサウンドが溢れ出してきて至福…。この清涼感と透明感は、JADISやSOLSTICEといった英バンドに通じますね。
ある種の神々しさすら感じられる凄まじい完成度を誇る会心作!
ゴングばりの強度と緩急自在さで聴かせるジャズロックをベースに、カンタベリー風の芳醇なホーンセクションとスラップハッピーあたりが浮かぶ浮遊感あるメロディをミステリアスに歌う女性ヴォーカル。カリフォルニア発ジャズ・ロック・バンド、2ndもさすがの快作です!
この完成度、全盛期FINISTERREにも匹敵するのではなかろうか…。往年へのリスペクトに溢れたヴィンテージ感覚と現代的センスを練り上げ唯一無二の音世界を創出した、イタリアン・プログレ新鋭による会心作3rd!
現ポーランドを代表するグループによる待望の17年作!
サックスをフィーチャーしたアーバンな香り漂うメロディアス・プログレが新境地ですが、そこにフロイドの『狂気』を思わせるドラマチックなサウンドメイクが乗っかってきて、こりゃ堪りません~☆
イマジネーション溢れるままに美麗フレーズを紡ぎ出すギター、魔法のようにファンタジックで色彩に満ちたキーボード、F.マーキュリーを宿す野性味あるヴォーカル、演奏をダイナミックに牽引するリズム隊。北欧シンフォの雄による息をのむような傑作!
【関連記事】
続々登場する新鋭バンドに負けじとハイクオリティな作品を発表している、70年代に活躍したベテラン・バンド/アーティストたちの作品に注目してまいります☆
夏の来日公演も記憶に新しい、イタリアン・プログレ・バンドSEMIRAMIS。
73年の名盤『フラッツに捧ぐ』で知られる伊ロック・バンドが17年に母国で行なったアルバム全曲演奏ライヴの音源&映像を収録。単なるアルバム再現に留まらないシアトリカルな演出を加えたステージが大変素晴らしく、作品の持つ世界観をイマジネーション豊かに広げていて、こりゃ凄いです…。
【関連記事】
8月12日と13日にクラブチッタ川崎で行われた、「ザ・ベスト・オブ・イタリアン・ロック VOL.5,6」を観てきました!今回出演したのは、セミラミス、ラッコマンダータ・リチェヴータ・リトルノ、デリリウムの3バンド!
名実ともにイタリアを代表する名バンドが17年作をリリース!復活作『Ulisse』以降の、骨太でダイナミックな現代ロックの逞しさとイタリアン・ロック然とした伸びやかな叙情性が一体となったメロディアス・ロックに磨きをかけた聴き応えたっぷりの力作!
スタッフ佐藤がBILLBOAD JAPAN様HPにて書かせていただいたPFM来日特集記事も是非ご覧ください☆
http://www.billboard-japan.com/special/detail/2169
仏EGGレーベル中屈指の傑作として語られてきたのが本作。
リシャール・ピナスらエルドンのメンバーが全面参加、エルドン彷彿のエレクトロニクスを多用したミニマル調をベースに、スペイシーなシンセ、哀愁のギターなどが織りなす、フランスらしい儚さと美しさが滲むエレクトロ・プログレ名盤。
世界のチェンバー/アヴァン系の先鋭的なバンドを多く輩出しているAltrOckレーベルよりデビューした、カリフォルニア出身アヴァン・ジャズ・ロック・バンドによる待望の17年作2nd。前作『RAINBRO』では女性ヴォーカルを擁しカンタベリー・エッセンスをたっぷり含んだポップな音作りがたまらない個性派ジャズ・ロックを聴かせた彼らですが、本作でもその唯一無二のサウンドは健在です。全盛期ゴングばりの強度と緩急自在のしなやかさで聴かせるジャズ・ロックをベースに、カンタベリー風の芳醇かつ流麗なホーン・セクションとスラップ・ハッピーあたりを彷彿させる浮遊感あるメロディをちょっぴりミステリアスに歌う女性ヴォーカル。演奏自体は角の立った硬派なジャズ・ロック・テイストがあるのですが、一貫して軽やかなポップ・エッセンスが効いており、無骨な印象は一切与えないハイセンスなサウンドメイクが相変わらず素晴らしすぎます。前作を気に入った方は勿論、カンタベリー・ロック・ファン、ゴング・ファン、スラップ・ハッピーのファンも「これはっ!」となること間違い無しの一枚に仕上がっています。
現在のポーランド・シンフォ・シーンの中核を担うグループによる17年作。今作よりゲストプレイヤーだったサックス奏者が正式メンバーとして参加。ピンク・フロイド憧憬のメランコリックかつ劇的なサウンドにジェネシス的な叙情溢れるキーボードプレイを加えた音楽性を持っていた彼らですが、今作ではアーバンな香り漂うサックスのプレイも大きくフィーチャーし、従来作に比べ格段に洗練されたメロディアス・プログレを聴かせてくれます。全体的に見るとキーボードが担っていたシンフォ色は後退したものの、ここぞという場面ではシンセがスケール大きくうねり、存在感を発揮。サックスに活躍に加え、ギルモアのブルース色を抑えたようなエモーション溢れるギターや映画のワンシーンを思わせる話し声のSE、一部楽曲での女性ヴォーカルの起用など、『狂気』のフロイドを現代的な音像で再構成したような印象も強く受けます。さらに特筆なのがメロディの素晴らしさ。従来に増してシンプルゆえの力強さを宿す選び抜かれた美しいメロディが、聴き手の胸を強く揺さぶってきます。そのメロディを歌い上げる少し憂いのある男性ヴォーカルも相変わらずいい声です。シンフォニック・ロックという従来の立ち位置から大きく前進し、独自のサウンドを練り上げた意欲作!
キーボード兼ヴォーカルのEmanuele Tarasconiを中心に2010年に結成され、12年に自主制作したEPが鬼才Fabio Zuffantiの目に留まり、彼のプロデュースで2013年にデビューしたイタリアの新鋭プログレ・グループ。15年リリースの2ndに続く2017年作3rd。こ、これは素晴らしいです。トニー・バンクス風のファンタスティックに躍動するシンセと薫り高きオルガンが絡み合いながら駆け抜けるジェネシス憧憬滲む艶やかな「動」のパートと、ややうつむき加減の流麗なクラシカル・タッチのピアノがリードする粛々としながらも劇的な「静」のパートの対比によって聴かせるサウンドメイクの何と見事なこと!ハケットばりのデリケートなトーンで泣きの旋律を紡ぐギター、切ないヴァイオリンの調べもアンサンブルに彩りを加えます。そんな丹念なアンサンブルによって描き出される優美な音世界に命を吹き込む、品のある柔らかな歌い口のイタリア語ヴォーカルがまた絶品。さらに特筆なのが、現代のバンドらしいハードエッジな音を最小限に抑え、かと言って懐古的にもならないその圧倒的なバランス感覚の良さ。その両方の要素があるのは確かなのですが、出てくる音はどの時代風とも言えないUNREAL CITYというバンドならではの味わい深さを湛たっぷりと含んでおり、それが唯一無二のオリジナリティともなっています。もともと70年代のヴィンテージな質感を宿したバンドとしては頭一つ抜けた存在でしたが、本作によって遂にバンドの音が完成した印象すら受けます。全盛期FINISTERRE並の完成度と言っていいでしょう。傑作!