2017年11月14日 | カテゴリー:リスナー寄稿記事,世界のロック探求ナビ
寄稿:たすけ さん
アメリカン・ロックの魂と言われながら、なかなか入りにくいバンドがリトル・フィートです。なぜか。彼らには泣きの要素もないし、メロディもとっつきにくい。ヒット曲は持っていないし、スタープレイヤーもいない。矢野顕子のファースト・アルバムに参加しながら、なかなか矢野の意図するような演奏ができず、勉強になりましたと帰ってしまった過去さえあります。プログレ者、ハードロック者にとって最も遠い音楽スタイルですし、有名曲「ウィリン」、有名アルバム「ディキシー・チキン」が何より判りにくい。
でも一方、全く独自のスタイルを持ち、ジャンルを横断する音楽るつぼが彼らの真骨頂。聴かず嫌いではもったいないです。ブリティッシュ好きのみなさん、この機会に手を出してみませんか。おせっかいながらブリティッシュ・ロック・リスナーのためにリトル・フィートをどの順番で聴けばいいか述べてみたいと思います。
聞く曲は4.Day at the Dog Racesです。
リーダーのローエル・ジョージが全く関与していないフュージョン曲で、キーボードのビル・ペインがウェザー・リポートにいちばん影響を受けていた時期です。冷やかさ、変拍子、緊張感ある演奏は、率直に申し上げてアトールやELPより上。雰囲気はもろ、全盛期のプログレで、英国好きにはたまらないのではないでしょうか。そしてこのアルバムを聴きとおすと彼らがいかに独自のビートを持っているか興味が出てくるのではないかと思います。
このCDは、必ずRHINOリマスター盤にしてください。旧盤ではすごさがわかりません。
聞く曲は冒頭から2. Fat Man In The Bathtubです。
このビート…すごくないですか。実はジョン・ボーナムが影響を受けたドラマーがリッチー・ヘイワードで、ロバート・プラントにいたってはヘイワードを帯同してライブしていた時期さえあります。残念ながら亡くなってしまいましたが…。ヘイワード、サム・クレイトン、ケニー・グラッドニーが作り出すネバネバしたリズムが大変癖になるのです。納豆嫌いの外国人が、においに慣れた途端マストアイテムになってしまうようなものかと。
そしてこのライブ、演奏力と熱さではフランク・ザッパの「ニューヨーク」と並ぶトップです。そして彼らのベスト・アルバムとしても聴ける。素晴らしいではないですか。わたしはこのライブを聴き飽きるのが嫌なので、大晦日にしか聴かないことにしています。
聴く曲は7.Fun。このシンセサイザーのうなりと、前のめりのビート、癖になりますでしょ?
実はご紹介する3曲はカントリー風味の少ない曲なのです。フィートの素晴らしさは、耳に馴染むとカントリーだろうが、ブルーズだろうが、全てのルーツ・ミュージックがOKに聞こえてしまうところ。しかも各ジャンルの中でどういう位置にある音かさえ、判ってきます。ユーザーの耳を鍛える音楽なのです。そして徐々に西海岸で活動しながら、南部にルーツを持ち、しかも南部に行ったことがない、というフィートの偏屈さが理解できるようになってきます。言われるようにジョージのスライド・ギターだけが聴きどころのバンドでは全然ありません。
こう書いてきましたが、「ディキシー・チキン」を買って何度も聞いたものの、10年も良さがわからずにいたのが自分です。だからフィートを敬遠する人の気持ちを、本当にわかるんです。フィートがわからないの、だから普通です。(逆に、すぐに「ウィリン」に感動する人って無理してると思います。)持っていれば必ずフィットする時がやってきます。
最後にわたしは英国対米国比が7:3ぐらいのハードロックじじいです。ハードロック以外で聴くのがフィートとジェントル・ジャイアントぐらい、という偏った趣味の人間なのです。フィートと出会っていなければ、わたしの人生後半はとても味気ないものになっていたことだろうと思っています。
ZAPPAのバック・バンドのメンバーによって結成された、米ルーツ・ロックの祖、記念すべき71年デビュー作。制作中に左手に大怪我をしたLowell Georgeが、Ry Cooderとボトルネック・ギターでやり合う、エネルギッシュなHowlin’ Wolf原曲の「44Blues〜How Many More Years」名演は聴きどころ。プロデューサーはLowell Georgeの友人であるRuss Titelman。後のニューオリンズ・サウンドへと繋がる、多様な引き出しを秘めた、彼らの処女作品です。
紙ジャケット仕様、07年デジタル・リマスター、インサート・内袋付属、定価2095+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
紙ジャケット仕様、07年デジタル・リマスター、内袋付属、定価2095+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
帯中央部分に色褪せあり
70年代のアメリカ西海岸を代表するロック・バンド、LITTLE FEATが73年に発表した3rd。前作『SAILIN’ SHOES』発表後に訪れた解散の危機を乗り越え、新メンバーを加え6人組となって制作された作品。Lowell Georgeはかねてよりニューオリンズ・サウンドへと傾倒していただけに、ニューオリンズ出身の新メンバーを迎えて制作した本作は彼の制作意欲が一気に開花した作品ともいえる。初期の一連の作品がそうであるように、本作もまた、Lowell Georgeの綴るリリックの、渋く味わい深い世界感を堪能できる。
紙ジャケット仕様、07年デジタル・リマスター、内袋付属、定価2095+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
帯中央部分に若干色褪せあり
定価1820+税
盤質:傷あり
状態:並
帯有
カビあり、軽微なケースツメ跡あり、帯はラミネート加工されていて、ケースに貼ってあります
紙ジャケット仕様、2枚組、02年リマスター、ボーナス・トラック10曲、内袋付仕様、定価3238+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
リスナー様 寄稿記事
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名盤といわれるものは何度もリマスターされて高音質なCD(紙ジャケ、SACD、HDCD、SHM-CD、Blu-rayなどなど)として発売されています。そうしたなか、私は、プログレの超名盤であるYesの『Close to the edge』紙ジャケ(SHM-CD)盤を聴いていて、ふと、本当にこれが高音質なのだろうかと思うようになりました。
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