2014年3月19日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記,世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
一日一枚ユーロロックの名盤をピックアップしてご紹介する「ユーロロック周遊日記」。本日は、ロシアが誇る実力派シンフォニック・ロック・バンドLITTLE TRAGEDIESの00年リリース作『Sun Of Spirit』をピックアップいたしましょう。
94年に結成されたLITTLE TRAGEDIESは、LOST WORLDと並ぶ現代ロシアを代表するプログレ・バンド。バンドとしての彼らについてはこちらの特集をご覧ください♪
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さて今回ご紹介する00年作は、名義こそバンドとしてのLITTLE TRAGEDIESなのですが、実際にはバンドの中心メンバーのkey奏者Gennady Ilyinによる98年録音のソロアルバム。それ以外の参加は一部でギターを弾いているIgor Mikhelのみで、ほぼGennadyが駆使する各種キーボードによる多重録音によって制作されています。
気になるその内容ですが、ENIDやBANCO、ELPがお好きな方ならまず間違いないだろうと言える、クラシカルなキーボード・シンフォの大傑作なんです。
まずなにより素晴らしいのはシンセをフルに駆使した音作りで、ストリングスやホーンを模したスケール感のあるシンセ・サウンドが、文字通りクラシックの交響曲を思わせる壮大さで聴き手に迫ります。
きらびやかな音色のシンセをふんだんに用いた絢爛豪華なシンフォニック・ロック・パートの完成度も素晴らしく、まるで70年代のENIDのクラシカルに広がる壮大なサウンドをバックにエマーソンの疾走感溢れるキーボードプレイを聴かせているかのような、キーボード・プログレ・ファンにはたまらない演奏が最後まで繰り広げられます。ロシア語のエキゾチックで少し硬めの語感も、この壮大なサウンドになかなかマッチしていますよね。
古くより現代音楽やクラシカルなプログレ作品の名作が数多く生まれてきたロシアですが、この作品で聴かれるスケール感いっぱいの本格はクラシカル・サウンドと、華やかなポップセンスとの融合度合いは、過去に例を見ない完成度の高さだと断言!
LITTLE TRAGEDIESのヘヴィでアグレッシヴな作風とはまた一味違う端正なクラシカル・プログレの名作ですよね。ENIDほか上記のバンドのファンなら是非聴いてもらいたいという理由、お分かりいただけたのではないでしょうか。
ロシアのグループ、07年作。漢詩を元にしたコンセプト・アルバム。ただ中国風味は、キーボードが琴や縦笛風の音色を時々奏でる程度で、ほとんどは、クラシカルなキーボードをフィーチャーしたドラマティックなシンフォニック・ロック。演奏のダイナミズムと圧倒的な構築力は相変わらず。シンフォニック・ロック・ファンは必聴の名作です。
本格的な音楽教育を受け、交響曲も書けるほどにクラシックに精通したKey奏者&コンポーザーのGennady Ilyinを中心に、ロシア南西部のウクライナ国境に近い町クルスクで結成された新鋭プログレ・グループ。『RETURN』(05年作)『NEW FAUST』(06年作)『SIXTH SENSE』(06年作)と続々と壮大かつダイナミックな名作を生み出すなど、完全に覚醒して00年代プログレシーンの最前線へと躍り出たバンドによる07年作。中国の古詞をテーマとしたコンセプトアルバムで、2部構成でリリースされたうちの「第二部」にあたるのが本作。「第一部」はこれまでの作品にないリリカルなパートが印象的でしたが、本「第二部」では、ダイナミックなパートとともに「静」と「動」が「鮮烈」と言えるまでに対比したドラマティックなシンフォニック・ロックを聴かせています。「壮麗」という言葉がぴったりのクラシカルな旋律からキース・エマーソンばりのけたたましい旋律までスケールの大きなキーボード、速弾きを織り交ぜながらメロディを伸びやかに紡ぐギター、ロシア語の早口で畳み掛けるようなヴォーカル、シャープに疾走するリズム隊。圧倒的な演奏力と構築力で聴き手を飲み込む傑作です。
LOST WORLDとともに現在のロシアを代表するシンフォ・バンド、99年録音作。『SUN OF SPIRIT』同様、LITTLE TRAGEDIE名義ではあるものの実質的にはキーボーディストGENNADY ILYINのソロ作品。ギタリストの参加を除いてキーボードの多重演奏のみによる演奏という点は『SUN OF SPIRIT』と変わらないものの、純クラシカルな印象が強かった前作と比べ、こちらは打ち込みリズムを大きく取り入れ、よりロックらしい躍動感が感じられるバンド・アンサンブル的な音作りがされているのが特徴。後のバンドとしてのLITTLE TRAGEDIESのサウンドにぐっと近づいています。荘厳なシンセやオルガンが鳴り響く中を、ギターがヘヴィに切れ込んでくる場面などはまさにLT!ドラマティックに歌い込むロシア語ヴォーカルもすばらしい。硬質な音使いとクラシカルな優雅さが絶妙にバランスした音楽性は、まさにロシアという国からイメージされる音そのもの。LT前夜という位置づけにとどまらない、素晴らしい完成度を誇る一枚です。
「太陽と戦慄」期クリムゾンやヘンリー・カウ的な攻撃性を軸に、HF&Nに通ずる繊細さと緻密さ、フランスらしい芸術性や演劇性を融合させたサウンドは、素晴らしき完成度!
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