2014年1月10日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,日々是ロック
タグ: 日々是ロック
こんにちは、カケレコ店長の田中です。
最近、毎晩「ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)」を読みながら、ベートーベンの交響曲を聴いています。
あるレビューで、毎週末はベートーベンの交響曲を1番から9番まで通して聴くことが楽しみ、とあって、なんて素晴らしい休日の過ごし方なんだ、とジーンときたのですが、でもやはり自分でやってみると、途中で眠りに落ちていたり、ロックを聴きたくなったり。
ベートーベンの苦悩から生まれた生への渇望、自然と調和する喜びなどに自分自身をチューンインするには人としての修行が足りないなぁ、と思ってしまいます。
さて、昨日入荷したCD、売れたCDの中から店長オススメの作品をピックアップするこちらのコーナー「日々是ロック」。
プログレ、ロック、ジャズ・ロック、サイケ、ハード・ロック、フォークなどジャンルを横断して世界のロックをカケハしてまいります。
年末に発注していたCDが、年始に続々と入荷しております。昨日も人気盤が多数新入荷・再入荷いたしましたので、ご紹介いたしましょう。
まずは、最近力を入れているユーロのジャズ・ロックを何枚かピックアップ!Jordi Sabatesは久々に入荷しましたが、いや~、イマジネーション豊かで、やはり素晴らしいです。
女性ヴォーカルのスキャットもフィーチャーし、「RETURN TO FOREVERへのスペインからの回答」と言えるたおやかなアンサンブルから、ベルギーのCOSあたりに通じる暗黒カンタベリー的アンサンブルまで、とにかく演奏が芳醇なこと!ユーロ・ジャズ・ロック屈指の名作。
スペインはバルセロナのロック・ムーヴメント「ライエターナ・ミュージック」は今、私がもっとも力を入れているところ。是非、記事をご覧ください。
【関連記事】
70年代にスペインでおこったロック・ムーヴメント「Musica Laietana ライエターナ・ミュージック」を特集!
代表するアーティストを集めたコンピも入荷しておりますので、チェック是非。
スペインはバルセロナで70年代に生まれたアンダーグラウンドかつアカデミックなロック・ムーヴメント「ライエターナ・ミュージック」を俯瞰する2枚組コンピ!
フランスに隣接し、カンタベリー地方とは海をへだてて向かい合うベルギーもまた優れたジャズ・ロック・バンドが生まれています。代表格がこちら!
ヘンリー・カウばりの緊張感とハットフィールドを彷彿させるしなやかさ。そして、スキャットの女性ヴォーカル。ベルギーが誇るユーロ・ジャズ・ロックの名グループですね。
フランスのマグマ周辺作にも力を入れております。
ロック・ファンに向けて、暗黒MAGMAの入門編として企画!?
【関連記事】
クリスチャン・ヴァンデをはじめとする初期マグマ人脈のサイド・プロジェクト、UNIVERIA ZEKT『Unnamables』をピックアップ!
「うわぁ!しなやかで艶があり、かつ切り裂くようなヴァイオリンと、それに負けじとサックスがインタープレイの応酬に火花を散らすフレンチ・ジャズ・ロックの最高峰であります」by じゃ、見ろクワイ(笑)さん
入荷したシンフォニック・ロックの新旧人気アイテムをピックアップいたしましょう。
まずは70年代の作品からで、2013年の新譜も大好評なノルウェーが誇るKERRS PINKからまいりましょう。
こ、この哀愁に涙しないシンフォ・ファンはいないでしょう。ツイン・リード・ギターとフルートが紡ぐ、泣き、泣き、泣きのフレーズ。見事な一大シンフォニー。
『コンチェルト・グロッソ』ばりのクラシカル・ロックを聴かせたと思ったら、変拍子でムーグ・シンセがダークに畳みかけたり、オペラティックな男女ヴォーカルが壮大な歌を聴かせたり、めくるめく劇的かつ勇壮に展開。旧ソ連はベラルーシで生まれた圧巻のプログレ傑作。
お次は90年代以降の新鋭プログレからピックアップ!
全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!
現代イタリアン・シンフォ・シーンの新たな潮流か?分厚いストリングスと荘厳なコラールが織り成す本格派バロック・サウンドに情緒あふれるドラマティックな歌唱が映える!
往年のブリティッシュ・プログレの遺伝子を受け継ぐ新鋭グループNo.1と言えば、間違いなくこいつら! 鮮烈な大傑作!
日本からも人気の新鋭プログレを2枚ご紹介。
うさぎのジャケがファンタスティック~。音も70年代プログレへのオマージュや北欧新鋭とのリンクも感じさせるシンフォニック・ロック。なに?2011年作の日本の新鋭だって?
アートワークにロジャー・ディーンを起用した日本のプログレ・バンド13年作!ギター、ピアノ、オルガンらが気品高く織り上げていくファンタスティックかつクールなシンフォニック・ロックがもう絶品なんです!
NHK-FMプログレ三昧でオンエアされ、話題騒然となったインドネシアのDISCUSも再入荷しました!
プログレ、ジャズ、メタル、民族音楽に何でもありなんですが、すべてを「必然」に響かせる音楽偏差値の高さ。インドネシア、恐るべし。
韓国BIG PINKからのリイシュー盤も相変わらず人気です。いぶし銀の英ロック・ファンにとっておきの一枚がこちら!
デラムからリリースで、ニッキー・ホプキンスやミック・ウィーヴァーやヘンリー・ローサーも参加した英スワンプの逸品なのに、このマイナーっぷりときたら(涙)。最高の「イギリスのアメリカ」ですよ!
米ロックを代表するミュージシャン、アル・クーパーがプロデュースしたこちらの作品も地道に売れている一枚。
なるほどアル・クーパーのプロデュースなのか。アンサンブルを包み込む絶妙な光の加減はアル・クーパーならでは。まぶしすぎず、柔らかすぎず。それにしても、髭もじゃルックスからは想像できない繊細&イマジネーション豊か!
昨日売れた中から、店長おすすめのハード・ロック作品を2作品ご紹介。
QUATERMASSのドラマー、AUDIENCEのサックス、GINHOUSEのギタリストのグループで、プロデュースはジョン・ロードって、どんだけ英ロック好きのツボを押しまくればいいの!グルーヴィー&ソリッドな音、最高だなぁ。
タメの効いたブルージー&メロウなギターとエモーショナルなハイトーン・ヴォーカルがたまらない!ツェッペリン・タイプの米ハードでは屈指の名作ですね。ジャケもグッとくる~。
サイケ部門からもロングセラーの2枚をご紹介。
パープルとツェッペリンが融合してサイケに接近したみたいなグループがなんとアメリカに居るって? そんでジャケットはまるでキーフだって!?
ミニマルなフレーズが多いですが無機的な感じはなく、CANに近いセンス。理性的な部分と衝動的な部分の境目がぶっ飛んでるクラウト・ロック名作!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
米アラバマ産5人組サイケ・ハード・バンドの71年唯一作。原盤は600ドルオーバーの超レア盤としても有名。夢に出てきそうな薄気味の悪いジャケットにまず釘付けになりますが、サウンドの方も“奇妙”と言うのとはまた別物ながら独特の湿った空気感を孕んでいます。ブルース/ジャズを基調とした武骨なサイケ・ハードにプログレ/ジャズ・ロックのエッセンスをまぶしたといった印象。ギターのStan Leeはブルージーな激渋ソロから西海岸フィーリングのジャムまで見事な表現力です。特筆すべきは、深刻なハモンド&深いエコーのかかった激情ヴォーカルが印象的な組曲調の長尺ヘヴィ・サイケ「The Change」。粗削りながら、パープル/ツェッペリンが融合してサイケに接近したようなクラシカルでドライヴ感溢れる英国的名曲です!
スペインはバルセロナ出身、60年代にPIC-NICというポップ・バンドで活躍し、70年代にはギタリストのToti Solerとともにスペインのジャズ・ロック・シーンの祖を築いたとも言われる名グループOMを結成したことで知られるピアニスト。Edigsa/Zelesteレーベルより75年にリリースされた2ndソロ。ピアノとエレピを基本にした前作とは異なり、バンド編成で録音。OMで一緒だった名ギタリストToti SolerとベースのManolo Eliasをはじめ、元JARCAのギタリスト、後にORQUESTRA MIRASOLで活躍するドラマーなどがサポート。女性ヴォーカルのスキャットもフィーチャーし、「RETURN TO FOREVERへのスペインからの回答」と言えるたおやかなアンサンブルから、ベルギーのCOSあたりに通じる暗黒カンタベリー的アンサンブルまで、とにかく演奏が芳醇なこと!ピアノやエレピはもちろんのこと、フィル・ミラー的な滑らかに緊張感あるフレーズからゴリゴリとアグレッシヴに弾き倒すフレーズまで縦横無尽なエレキも特筆。パーカッシヴなフラメンコ・ギターとの対比も見事です。15分を越えるオープニングの組曲はユーロ・ジャズ・ロック屈指と言える名曲。
ロシアの新鋭グループ、2011年のデビュー作。もうオープニング・ナンバーのイントロからキてます。リック・ウェイクマンとアンディ・ラティマーが共演!?っといった感じで、マイルドなトーンの流麗なギターとクラシカルなピアノが美しい旋律で幕を開け、一転して、マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』を彷彿とさせるような緊張感あるピアノに切り替わったかと思うと、ドラムが走りだし、視界が一気に広がり、ギターとキーボードから次々とメロディが溢れ出る!この展開に心躍らないプログレ・ファンは居ないでしょう。さぁさぁ、ヴォーカルはどんな感じかな、と待っていると、透明感のある歌声と包み込むような歌唱が素晴らしい男性ヴォーカルが伸び伸びと美しいメロディを歌い上げる。バックではコロコロとリリカルなピアノがサポート。それにしても、全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!往年のプログレ・ファンは必聴の大傑作です。
アメリカのグループ。73年作。エモーショナルにシャウトするハイトーン・ヴォーカル、太くてコシのあるブルージーかつメロディアスなギター、タイトかつ躍動的なリズム隊によるアメリカン・ハード・ロック。安定したテクニックをベースにしたソリッドなアンサンブルはかなりの完成度。曲も良く練られており、哀愁溢れるアコースティックなパートを巧みに配置したスケールの大きな展開も聴き所。良いグループです。名作。
デジパック仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラックとして73年のラジオ放送用音源6曲を収録
インドネシア出身のプログレ・グループ。ヴァイオリン奏者、フルート&サックス奏者、透明感ある女性Voを含む8人組。名作1stに比べ、アヴァン・ロック度、メタル度が増した印象。ただ、美しいストリングス・シンセをフィーチャーしたシンフォニックなパートや、アコギとフルートが美しい静謐なパートなども健在。アレンジの振幅が爆発的に増し、アンサンブルの強度も格段にアップ。何でもありの音楽なんですが、バタバタした感じは一切無く、構成が見事で、すべてを「必然」に響かせています。うーむ、凄すぎるぞインドネシア!
ノルウェー出身、81年作の2nd。アルバムのどこを切り取っても溢れ出る哀愁。それも洪水のように溢れ出す半端ではない哀愁。見事なハーモニーを響かせるツイン・リード・ギターとCAMELタイプのキーボード&フルートを中心に、泣き、泣き、泣きのフレーズてんこ盛り。そこに北欧トラッドの要素も加え、北欧らしい透明感にも溢れた、見事な一大シンフォニーを聴かせています。名作です。
QUATERMASSのドラマーMick Underwood、AUDIENCEのサックス奏者Keith Gemmell、GINHOUSEのギタリストGeoff Sharkeyなどにより結成された英ハード・ロック・グループ。ジョン・ロードのプロデュースで73年にリリースされたデビュー作。鋭角に切れ込むアグレッシヴなギター、炸裂するジャジーなサックス、アクの強いシャウト・ヴォーカル。オープニング・ナンバーからアクセル全開で突っ走ります。R&B調のアコースティックなナンバーも英国臭ぷんぷんで良い感じ。エッジの立ったヘヴィネスとR&Bルーツの陰影とがブレンドしたサウンドはソリッドでハイレベル。これは英ハード・ファン必聴です!
1st、2ndリリース後に、クリスチャン・ヴァンデやヨシコ・セファーをはじめとする当時のマグマ全員に、ヴォーカルやギターなど元マグマのメンバーが加わったプロジェクト。その狙いは、なんとマグマ入門編の制作!1st、2ndと意欲的な傑作を生み出したもののフランスのリスナーになかなか受け入れられずアンダーグラウンドに甘んじていたマグマの状況をみて、フランス・ロックの未来を憂いていた元マグマのメンバーであり、1stをプロデュースしたローラン・チボーが、より分かりやすい作品を作るべく、クリスチャン・ヴァンデに企画を持ちかけ、実現したのがこのプロジェクトUNIVERIA ZEKTです。アルバムの前半では、マグマ1st、2ndにもあったブラス・ロック的エッセンスを強め、ブラッド・スウェット&ティアーズやシカゴに対するフランスからの回答、と言えるような明快なサウンドが鳴らされ、ヴァンデ作曲の後半では、密教的な叫びにより暗黒世界があらわれるなど、徐々にマグマ的世界へと引きずり込まれる展開となっています。対英米ロック的/密教的なマグマ・サウンドから離れ、英米ロック的イディオムで展開した奇才達による豪快なサウンドを鳴らす本作は、プログレ・ファンだけでなく、ジャズやブラス・ロックやスワンプ・ロックあたりのファンにも是非聴いてもらいたい逸品!
米SSW、アル・クーパーがプロデュースを担当した72年の1st。朝もやのようにたゆたうヴォーカルとアコギ、そこに差し込む朝の光のような艶やかでまばゆいピアノや管楽器。フワーっと柔らかく広がる神秘的なシンセもまた特筆。このアンサンブルを包み込む絶妙な光の加減はアル・クーパーならでは。まぶしすぎず、柔らかすぎず。それにしても歌声も素晴らしく、髭をたくわえたふくよかなルックスからは想像できない繊細さ。正直なところ、この音でこのジャケはないなぁ。イマジネーション豊かすぎるSSW大傑作!
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!