2014年1月9日 | カテゴリー:ユーロ・ロック周遊日記
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本日の「ユーロロック周遊日記」は、スパニッシュ・ロック・グループCOMPANYIA ELECTRICA DHARMAをご紹介いたしましょう。
COMPANYIA ELECTRICA DHARMAはバルセロナ出身、ギター、サックス、ドラムのFortuny3兄弟を中心とするグループで、70年代半ばにバルセロナのライヴハウスZELESTEを中心に起こったジャズ/アヴァン・ロック・ムーヴメント「ライエターナ・ミュージック」の代表格。
デビュー時はマイルス・バンドもびっくりなエレクトリック・ジャズでしたが、その後、カタルーニャ民族音楽色/地中海色を増していきながら独自のスパニッシュ・ロックを確立。80年代、90年代も音楽性を変えながら第一線で活動を続け、00年代に入ってもアルバムをリリースするなど精力的なスペインを代表するグループです。
それでは、早速、75年作のデビュー作を聴いていきましょう。
後には民族音楽的なサウンドを確立しますが、デビュー作録音時は、マイルス・デイヴィスやウェザー・リポートなどエレクトリック・ジャズ/フュージョンにメンバーが傾倒していたようで、テクニカルかつ流麗なジャズ/フュージョン・ロックが特徴。
オープニング・ナンバーをお聴きください。
手数多くシャープなドラム、よく動くベースによるキレ味鋭いリズム隊をバックに、左CHではギターがジョン・マクラフリンばりのゴリゴリとアグレッシヴなギターを炸裂し、右CHではエレピがテクニカルかつ浮遊感あるフレーズで音空間を広げます。そして、中央で柔らかにむせぶソプラノ・サックス。それにしても圧倒的なテクニックで、英ブランドXやアイソトープと比べても一歩も引かない超絶インプロを聴かせています。
合間にはフラメンコ・ギターによるフォーキーなナンバーや、エキゾチックなパーカッションをバックにサックスがたゆたうナンバーあり、地中海&カタルーニャ地方ならではの香りも添えます。
ジャズ/フュージョン・ロックとしてユーロ屈指と言って過言ではない名作ですね。
Zelesteよりリリースされた2nd。
デビュー時にこれだけのテクニカルかつ流麗なジャズ・ロックを確立しておきながら、オリジナリティに欠けると音楽性を一蹴し、民族音楽との融合を目指します。
そして、カタルーニャ地方の民族音楽や地中海音楽のエッセンスとジャズ&ロックを結びついたサウンドを指向して出来上がったのが本作。
ハーモニカやウッドベースやテノーラというスペインの民族木管楽器(チャルメラ風!)やアコーディオンやスパニッシュ・ギターが彩るたおやかな地中海ロックが印象的。
ここぞではキレのあるジャズ・ロック・アンサンブルも飛び出し、まるで「マイルス・バンドがチンドン屋をやったら?」といった感じの痛快かつ流麗なサウンドを聴かせます。
サムラ的舞踏音楽フレイヴァー、アレアに通じる硬質なウネリ、イスラエルのシェシェットを彷彿させる地中海のたおやかさとがブレンドしたようなサウンドは個性抜群。
収録曲の2012年のライヴ映像も発見!
聴衆の熱狂ぶり。スペインの国民的バンドと言っても過言ではありませんね!
Zelesteよりリリースされた3rd。
地中海色を増した前作の延長線上に、一気に洗練を増したのが本作。
細かいリズムを軽快に切り刻むキレ味抜群のドラム、よく動くベース、淡い陰影と浮遊感を加えるエレピ、そしてサムラを彷彿させるツブ立ちの良さとジョン・マクラフリン的ジャズ・ロック・フィーリングが織り成すテクニック&センス抜群のエレキ・ギター。そこに地中海フレイヴァーを加えるスペインの民族木管楽器テノーラによるエキゾチックな旋律がシャープな演奏に違和感なく溶け込んでいて恐るべし。
最高傑作とされる78年作の4th。
初期のフュージョン色はいよいよ薄まり、サムラもびっくりな民族舞踏的&チンドン屋的ロックをエネルギッシュに展開。細かいリズムで切り返しまくるリズム隊、ツンツンと尖ったトーンでシャープに畳みかけるギター、そしてスペインの民族木管楽器テノーラによる素っ頓狂なチャルメラ風フレーズ。
手工芸品のように温かな北欧のサムラとは違って、地中海の陽光溢れる快活さが溢れていてとにかく痛快。さすがにデビュー時にはマイルス・バンドもびっくりなジャズ/フュージョン・ロックをこなしていただけあって、演奏のキレ味は抜群。
それにしても、アカデミックさと大道芸的ノリを併せ持つサウンドは唯一無比!これは素晴らしいですよ~。
この作品からの動画が残念ながら見つからなかったので、77年のライヴ・ハウスZELESTEでのライヴ映像をご紹介!
いかがでしたか?
それにしてもこのクオリティでこの知名度の低さときたら!サムラに比肩する名グループで、もっともっと評価されてしかるべきですよね。
特にギタリストのEsteve Fortunyは、ICEBERGのMax Sunyerと並び称されるべき名手!
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