2013年1月16日 | カテゴリー:ライヴ・レポート
タグ: ヨーロピアン・ロック・フェス
こんにちは、カケハシ・レコードの佐藤です。
ライヴ2日目に出演した3バンドのうち、トレッティオアリガ・クリゲットとフラワー・キングスのレポートをお送りいたします!
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大熱狂に包まれたムーン・サファリのステージが終了したのが18時20分前後。興奮冷めやらぬ会場の空気を保ったまま、この後は北欧プログレ黎明期を担った大ベテラン・バンド、トレッティオアリガ・クリゲットが登場です。
正直なところ、見た目からはそれほどミュージシャンらしさは感じられず、それぞれ会社で重役にでもついていそうなおじさん5人組なのですが、演奏が始まった途端そういう印象は一気に吹き飛びます。
冒頭の「Lang Historia」での、なぎ倒すようなヘヴィーなギターと、そこにゴリゴリと絡みつくベース、緊張感みなぎるシンセ、そして抜群にタイトなドラムによる、70年代クリムゾン的なヴァイオレンスを放つ轟音アンサンブルに思わず圧倒されます。
彼らの作品は大好きで何度も聴いてきた佐藤ですが、よもやそのスタジオ・ヴァージョンを上回るほどにヘヴィー&ヴァイオレンスな演奏を、生で聴けるとは思ってもみませんでしたので、この時点で鳥肌全開!
生粋のライヴ・バンドであることを示す存在感抜群のパフォーマンスが繰り広げられます。
1st、2ndの楽曲ではガリガリと攻め立てるスピーディーなアンサンブル、00年以降の楽曲ではブルージーな哀愁を秘めたアンサンブルと、巧みに演奏の質感をコントロールするところなど、さすがはベテランのなせる技。
再結成以降のブルージーな楽曲では、ヴォーカルも情感たっぷりに歌い込みます。哀愁のソロでそれに応じるギターも最高にカッコいい!幻想的なメロトロンが響き渡るシーンも、プログレ・ファンにとっては至福の一時です。
ヴォーカルRobert Zimaの歌声は、若い時より若干低めになったものの重量感が出ており、北欧らしい寒々しさがより伝わってくるのが印象的。今回の参加バンドの中では唯一ヴォーカルがスウェーデン語なのも、参加バンド中彼らに最も北欧らしさを感じる理由だったのでしょう。これがまた何ともたまらないんですね?。
中でも特に圧巻だったのが、アンコールでプレイされた1st収録曲「Kaledoniska Orogenesen」での、Zimaによる超絶ハイトーン・ヴォイス!演奏もヴォーカルを受けて、ひたすらヘヴィーに加熱していきます。サウンドはどこまでも硬質ながら、熱いんですよねぇ。ここでの演奏の迫力は、そこいらのメタル・バンドが裸足で逃げ出すほどのレベル。これが北欧プログレ・バンドの底力。圧倒的です。
アネクドテンやアングラガルドなど、90年以降プログレ・シーンを席巻した北欧のバンドたちが、紛れもなく彼らに多大な影響を受けていたことがわかる壮絶なライヴ・パフォーマンスでした!手に汗握るとはまさにこの事でしょう。
いや?、本当に素晴らしかった!初期作と近作からバランス良く選曲された12曲をしっかりと楽しませてくれました!ムーン・サファリと合わせてこの時点で個人的には大満足です。
休憩を挟んで続いてはいよいよフェスのフィナーレを飾る、フラワー・キングス2日目のパフォーマンス。
幕が上がると昨日と変わらぬ彼らの堂々たる姿がそこに!
最初に披露されたのが新作ではラストに収録されている「Rising The Imperial」。大曲「Numbers」のテーマが感動的に再現されるリプライズ的な一曲ですが、ここで各メンバーはドラマティックな表現力をこれでもかと見せつける貫禄たっぷりの演奏を展開。2日目も絶好調な彼らに、会場は興奮の渦に包まれます。
1日目には大曲「Numbers」を冒頭に披露し、ライヴ本編の最終曲としてこの曲で感動のクライマックスという構成でしたが、2日目はその構成が逆になっていました。1日目を体験した人にとってもなかなか新鮮味のある構成です。
他にも前日とは数曲が入れ替えられており、『PARADOX HOTEL』からの「What If God Is Alone」や『UNFOLD THE FUTURE』収録の「The Truth Will Set You Free」など、人気曲が演奏されたのもファンとしては嬉しいところ。
パフォーマンス面では全編にわたり、前日よりもリズム隊に重量感が加わり、ロイネのギターもエモーショナルな表現力により深みが増しているように感じられました。
何と言っても天上を舞うようなロイネのギター・プレイは、やはり何度聴いても鳥肌がたつほどの素晴らしさ!いつまでもここでこの至福のサウンドに浸っていたい・・。そう思わせてくれる極上の演奏を披露してくれました。ああ幸せ?。
しかし終電の時間が迫ってきており(寄居、遠い!)、やむなく途中退場。本編ラストの「Numbers」中盤、ロイネのブルージーなソロプレイに背を向けて会場を後にしました。あれは最後まで聴きたかったなぁ?!
アンコールは前日にも盛り上がった『RAINMAKER』収録の「Last Minute On Earth」だったようで、あのヘヴィーでファンタジック、壮大なスケールを持つ一曲で締めというのもさぞかし感動的だったことと思います。
そんなわけで2日間にわたって行われた北欧プログレの祭典。
重厚なアンサンブルと圧倒的なメロトロンサウンドで会場中を圧倒したアネクドテン、北欧らしいファンタスティックな演奏、抜けるような爽やかなコーラス・ワークで観客を大いに沸かせたムーン・サファリ、その姿からは想像もできないヘヴィーで凶暴な演奏で皆の度肝を抜いたトレッティオアリガ・クリゲット、そして二日間にわたって北欧最高のバンドとして、圧巻のパフォーマンスを見せつけたフラワー・キングス。
4バンドすべてが予想の遥か上を行く大充実のステージを見せてくれました!いや?まさに大感動&大興奮の連続!
「素晴らしいステージをありがとう、また来てね!」もうこの言葉に尽きます。
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アネクドテン、フラワー・キングスが登場した1日目のライヴ・レポートはこちら
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1月11日(金)、12日(土)にクラブチッタ川崎にて開催された『ヨーロピアン・ロック・フェス 2013』に行ってまいりました。本日はその1日目の様子をレポートいたします!
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【北欧プログレ関連の特集一覧】
ジュークボックス『北欧ファンタスティック・プログレ』
http://kakereco.com/kakereco_jukebox.php?id=53
ジュークボックス『北欧プログレの新鋭?70年代の遺伝子を受け継ぐ名グループたち』
http://kakereco.com/kakereco_jukebox.php?id=58
00年代プログレを代表するバンドの一つと言えるスウェーデンの人気グループによる、待望の「HIMLABACKEN」第2部となる23年作!高らかに響くシンセサイザーにキラキラしたピアノが寄り添うワクワクするような冒頭、そこにリズム隊とギターがバーンッと入ってくると一気に視界が開けます。ギターの流麗なフレーズを合図に、お待ちかねの力強くも優しさに溢れたコーラスが飛び出してきて、10年待ち続けた身としては早くも感動。まばゆいばかりのオープニングに、ファンであれば「MOON SAFARIが帰って来た…!」と呟いてしまう事でしょう。ハードなギターとドラマティックに歌い上げるヴォーカルになんとJOURNEYがよぎるキャッチーな2曲目、かと思うと『LOVER’S END』に入っていそうなめくるめくポップ・チューンの3曲目も実に素晴らしい。必殺のコーラスワークが劇的に盛り上げる胸を打つバラードの4曲目も最高です。そして21分の大作がまた聴きモノ。ストリングスが荘厳に迫りくるQUEENばりの導入部に始まり、ハートフルでメロディアスなMOON SAFARI節のヴォーカル・パートを経ると、シンセとギターがアグレッシヴに疾走しシアトリカルなヴォーカル&コーラスが登場する『II』『オペラ座』QUEEN彷彿の展開が再び幕を開けます。終盤には彼ららしい美麗なコーラスを生かしたファンタスティックな演奏へと回帰し、北欧の雄大な自然を映し出すようなイマジネーション溢れるサウンドでエンディングを迎える、この一大シンフォ絵巻には間違いなく圧倒されてしまうはず。抜けるようにファンタジックで爽快な演奏と、マジカルなコーラスワーク、そして珠玉のメロディ。そんな変わらぬMOON SAFARI印のサウンドを核としつつも、エッジの効いたメロディアス・ハード的表現や初期QUEENばりの荘厳さなど新たな要素も織り込んで、前進する彼らの姿を浮き彫りする傑作に仕上がっています。文句なしのカケレコメンド!
スウェーデン出身、76年作の2nd。ゴリゴリとアグレッシヴだった1stに比べ、アコースティカルなパートが増え、哀愁がぐんと増した印象。アルバム最後を飾る17分を越える大曲が聴き所で、メロトロンをフィーチャーした壮大かつメロディアスなパートと、YESばりのテクニカルでアグレッシヴなパートとが次々と押し寄せるダイナミックな展開は見事。
DVD、2枚組、帯・解説付仕様、NTSC方式、リージョンフリー、定価4800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯に軽微な色褪せ・ケースに若干汚れあり
ご存じプログレッシヴ・ロック界を代表するギタリストRoine Stolt率いる人気グループ、久々となる2枚組の2020年作。前作より加入した鍵盤奏者Zach KamminsによるHans Lundinを思わせる柔らかくも芯のあるシンセやオルガンのプレイと、Roineによる歌うように情感豊かなギターがエモーショナルに交歓する、ハードさよりもドリーミーな面を強く感じさせるシンフォニック・ロックを繰り広げます。抜群の安定感でタイトにアンサンブルを支えるリズム隊もいつもながら素晴らしいし、ハスキーながら伸びのある歌声が魅力のHasse Frobergも、熱く歌い上げる力強い歌唱と囁くようにジェントルな歌唱を織り交ぜ、表現力豊かに歌っていてさすがの一言です。S. Hackett周辺で活動するサックス奏者Rob Townshendによるジャジーで軽やかなソプラノ・サックスをフィーチャーしたナンバーも聴き所。ロジャー・ディーンの幻想的なジャケット通りと言える、夢の世界を冒険するようなどこまでもファンタジックなサウンドが胸に迫る作品。KAIPAファンなら是非!
現代北欧プログレを代表するバンドによる96年発表の3rd。ファンタジックで雄大な音の広がりとダイナミズムたっぷりのアンサンブルはデビュー作から変わらず健在ですが、本作ではシンフォニック・ロックというよりはプログレッシヴ・ロック的な骨太さがより強調された演奏が特徴的。シンフォニックで荘厳なシーンとハードタッチなサウンドで突き進むシーンとを巧みに配して劇的に進行していくアンサンブルが見事に決まっています。コンセプト作ならではと言うべき、起伏豊かなドラマ性を湛えたストーリーテリングもまた素晴らしいもので、これこそあらゆるプログレ・ファンに聴いていただきたいと思えるシンフォニック・ロックの傑作です。
世界のニッチなロックにフォーカスした膨大なディスク・レビュー、マニアック過ぎる特集、濃密なコラム。質・量ともに過去最大の読み応えとなった「不思議音楽館 ORANGE POWER」第6弾!!
不思議音楽館/不思議音楽館 ORANGE POWER VOL.6
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手塚先生風のイラストが何とも言えませんが、中身の方は、ジャズ、アヴァンギャルド、サイケ、トラッドが渾然一体となった、北欧ジャズ・ロック/チェンバー・ロックの名作なのです。
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90年代の北欧のみならず新世代プログレ・シーンの幕を開けた衝撃のデビュー作!初期クリムゾン直系の溢れんばかりのメロトロンと叙情美、そしてグランジを通過した肉感的ヘヴィネス!テンションみなぎる大傑作!
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