2013年1月15日 | カテゴリー:ライヴ・レポート
タグ: ヨーロピアン・ロック・フェス
こんにちは、カケハシ・レコード店長の田中です。
1月12日(土)、クラブチッタ川崎で行われたムーン・サファリの初来日公演に行ってまいりました。?2日間行われたヨーロピアン・ロック・フェス 2013の2日目で、この日は他にトレッティオアリガ・クリゲット、フラワー・キングスという豪華ラインナップ。
我らがムーン・サファリはオープニング・アクトとして登場です。
17時の開演を数分回ったところで、明かりが落ち、幕が上がると、ムーン・サファリのメンバーはステージ上にそろっていて、『LOVER’S END』から名曲「A Kid Called Panic」でスタート!
それにしてもメンバーみんな若くフレッシュで、さすが北欧、みんなルックスが良い!
IKEAのカタログにカップル役として出ていても違和感ない感じ!
さてさて、このバンドの一番の魅力のコーラスがライヴでどうなのかワクワクでしたが、す、すばらしいの一言。スタジオと変わらない美しすぎるコーラス・ワークがまさに目の前に!
ライヴで見てはじめて、時に対照的で時に美しいハーモニーで同化する2人のリード・ヴォーカルの素晴らしさを実感。
ホワイト・ジーンズとハンチング帽がお似合いの、センターに陣取るアコギ&メイン・ヴォーカルのPetter Sandstrom。
そして、華奢で美形で、年上のお姉さんたちから本国ではキャーキャー言われてるだろうな、とうらやましい度120%のメイン・キーボード&リード・ヴォーカルのSimon Akesson。
このバンドの魅力である茶目っ気や爽やかさを発散するPetterとクラシカルとも言える美旋律を担うSimonとのコントラストがこのバンドのサウンドを支えているんだと実感しました。
同じ曲で2人がリードを交換しあうのが印象的で、Petterの爽やかなヴォーカルから、一転してSimonが全身を力強く揺らしながら美旋律を歌い上げたら、もう涙腺ぷるぷるです。
Youtubeで2人の名前で検索したら、動画が出てきましたのでご紹介!Key&VoのSimonはアカペラの動画が結構出てくるので、このバンドの魅力のハーモニーはこの人が仕切ってるんですね。
Petter Sandstrom
Simon Akesson
他に、リード・ギターのPontus Akessonともう一人のKey奏者Sebastian Akessonもコーラスに加わって、4人でスタジオ盤通りの見事なコーラスを聴かせます。
コーラスも完璧なら、演奏もばっちりでしたよね!
まずリズム隊のタイトで安定感あること!
力強くふくよかなリズムがまさに土台となってアンサンブルを支えるドラマーTobias Lundgren。
チープ・トリックとか好きなのかなぁ、という出で立ち&尖ったベースが印象的な長身ベーシストのJohan Westerlund。
バックステージからのドラマーTobiasのドラミングを納めた動画がありましたのでご紹介!この前のめりな感じ!カッコよかったなぁ。
そして、ギターのPontus Akesson。ちょっと小柄で寡黙なギタリストという感じで、レスポールから奏でられるリリカルなフレーズには終始うっとり。
きっとスティーヴ・ハケットが好きだろうなぁ、と、丁寧なタッチのフレージングに心奪われっぱなしでした。
そうそう、このギタリスト、KeyのSimon Akessonと兄弟なんですよね。
オープニングの「A Kid Called Panic」中に何度、泣きそうになったことか。
歌に感動し、コーラスに感動し、美しいフレージングに感動し、次から次へと降り注ぐメロディに僕だけでなく、会場が感動に包まれていたように感じます。
演奏が終了するとともに、会場から割れんばかりの拍手が!一曲だけで完全に会場を虜にしましたよね。
2012年9月のライヴ映像がありましたので、ご紹介いたしましょう!
続いては軽快な「Heartland」!こういう曲ではPetterの爽快なヴォーカルが映えますね!
ライヴを見ながら頭に浮かんだキーワードが「ジェリーフィッシュ meets ジェネシス」。
メンバーの年齢からしても、ジェリーフィッシュやマシュー・スウィートやメリーメーカーズなど、ストレンジ・デイズ誌において「ビートルズの遺伝子」として特集されているバンドを学生時代に聴いていたんじゃないかな、と思います。ビートルズやクイーンを第一世代とすると、その遺伝子のさらに遺伝子という孫世代と言えるのかもしれません。
それとともに、音楽面のリーダーと思われるKey&VoのSimon Akessonとリード・ギターのPontus AkessonのAkesson兄弟がジェネシスなどファンタスティックなプログレが好きで、それらが絶妙にバランスしたのがムーン・サファリなんだと感じました。
観客に向かって、手拍子をうながすPetter。観客もノリよく応えますが、途中の変拍子で手拍子がまばらになって立ち消えたのが何とも微笑ましかったです。
爽やかなメロディに隠れていますが、変拍子をピシピシ挟んでるんですよね。
続いては、ヒッピー・ソングさ!というMCとともに「Yasgur’s Farm」、そして次は「New York City Summergirl」!
彼らとヒッピーは結びつきませんが、確かに「Yasgur’s〜」からは、ジェファーソン・エアプレインとかのサイケ&フォーク・ロックな雰囲気も感じますね。その辺の音楽的な幅の広さがこの世代(孫世代?)のバンドの特徴であり、北欧ミュージシャンのセンスであり、おもしろさなんでしょう。「New York City Summergirl」はサビでの2人のリード・ヴォーカルの伸びやかな歌唱&ハーモニーが良かったなぁ。
次の曲が最後だよ、とPetterが話すと、会場は一斉に「え〜」!
僕も「え〜」と無意識に心の底から発しましたよ。それほどここまで充実すぎるパフォーマンス。
でも、「ワオー、とかパチパチと拍手してくれれば、また出てきてもう一曲やるかもしれないよ」と茶目っ気たっぷりにPetterが言った気がしてニンマリ(←ちょっと拙い英語力により自信なし)。
本編ラストは、きました「Lover’s End Pt.3」!
中盤から後半にかけてのめくるめくファンタスティックなアンサンブルの畳み掛け。Simonのエモーショナルな歌唱による美旋律、歌いまくるリード・ギター。ムーン・サファリの世界をこれでもかと堪能して「もっともっとこの世界に浸っていたい〜」と誰もが感じながら、本編終了。
もちろん、会場からはアンコールの嵐で、やってくれました、2nd『Blomljud』よりファンタスティックな叙情美が光る「Ghost Of Flowers Past」!
そしてそして、もう終わってしまった〜、と名残惜しさに包まれる中で、メンバーがステージの中央に集まり、お辞儀をして、あぁ、終わってしまう、と思っていたら、あれあれ、センターのマイクを囲んで、んん?アカペラ!おおっ、「Constant Bloom」!
いや〜、凄いものを隠し持っていますね〜。ライヴの前に本国での2012年のセットリストを見ていて、アンコールに「Constant Bloom」があったのは知っていましたが、こんな風に聴かせてくれるとは!
ただでさえ大満足なのに、さらにさらにこのプレゼント。
う〜ん、もっともっと見たい!もう一回、見たい!
ムーン・サファリ、本当に最高のライヴをありがとう。次のアルバムが出た後には、きっときっと単独で来日してよね!
続くトレッティオアリガ・クリゲットとフラワー・キングスのレポートは後ほどアップします。
アネクドテンとフラワー・キングスが登場した1日目のレポートはこちら!
【関連記事】
1月11日(金)、12日(土)にクラブチッタ川崎にて開催された『ヨーロピアン・ロック・フェス 2013』に行ってまいりました。本日はその1日目の様子をレポートいたします!
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【北欧プログレ関連の特集一覧】
ジュークボックス『北欧ファンタスティック・プログレ』
http://kakereco.com/kakereco_jukebox.php?id=53
ジュークボックス『北欧プログレの新鋭?70年代の遺伝子を受け継ぐ名グループたち』
http://kakereco.com/kakereco_jukebox.php?id=58
00年代プログレを代表するバンドの一つと言えるスウェーデンの人気グループによる、待望の「HIMLABACKEN」第2部となる23年作!高らかに響くシンセサイザーにキラキラしたピアノが寄り添うワクワクするような冒頭、そこにリズム隊とギターがバーンッと入ってくると一気に視界が開けます。ギターの流麗なフレーズを合図に、お待ちかねの力強くも優しさに溢れたコーラスが飛び出してきて、10年待ち続けた身としては早くも感動。まばゆいばかりのオープニングに、ファンであれば「MOON SAFARIが帰って来た…!」と呟いてしまう事でしょう。ハードなギターとドラマティックに歌い上げるヴォーカルになんとJOURNEYがよぎるキャッチーな2曲目、かと思うと『LOVER’S END』に入っていそうなめくるめくポップ・チューンの3曲目も実に素晴らしい。必殺のコーラスワークが劇的に盛り上げる胸を打つバラードの4曲目も最高です。そして21分の大作がまた聴きモノ。ストリングスが荘厳に迫りくるQUEENばりの導入部に始まり、ハートフルでメロディアスなMOON SAFARI節のヴォーカル・パートを経ると、シンセとギターがアグレッシヴに疾走しシアトリカルなヴォーカル&コーラスが登場する『II』『オペラ座』QUEEN彷彿の展開が再び幕を開けます。終盤には彼ららしい美麗なコーラスを生かしたファンタスティックな演奏へと回帰し、北欧の雄大な自然を映し出すようなイマジネーション溢れるサウンドでエンディングを迎える、この一大シンフォ絵巻には間違いなく圧倒されてしまうはず。抜けるようにファンタジックで爽快な演奏と、マジカルなコーラスワーク、そして珠玉のメロディ。そんな変わらぬMOON SAFARI印のサウンドを核としつつも、エッジの効いたメロディアス・ハード的表現や初期QUEENばりの荘厳さなど新たな要素も織り込んで、前進する彼らの姿を浮き彫りする傑作に仕上がっています。文句なしのカケレコメンド!
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