2021年11月4日 | カテゴリー:カケレコ新品棚お散歩隊,世界のロック探求ナビ
タグ: ジャズ・ロック
ひとつのキーワードを頼りに新品棚前をお散歩し、メジャー盤、ニッチ盤を問わず、独断と多少の偏見まじりで新品タイトルをご紹介させていただいている新品棚お散歩隊、本日のテーマは「ジャズ・ロック」!
中でも、今回はあまりジャジーなイメージが結びつき辛い地域に目を向けてお散歩していきたいと思います。
普段、あまり意識して探すことのない地域の「ジャズ・ロック」、果たしてどんな出会えるか、早速、出かけてみましょう。
おっと、早速「ジャズ・ロック」に遭遇です。しかも南米、ブラジル産ときました。
■MAHTRAK / PANORAMA
ブラジルはサンパウロで01年に結成されたジャズ・ロック・グループ。04年に録音され、09年にリリースされたデビュー作。バンド公式サイトにて影響を受けたバンドとして、マハビシュヌ・オーケストラ、キャラヴァン、ソフト・マシーン、ジェフ・ベック、リターン・トゥ・フォーエヴァー、ウェザー・リポートが挙げられている通り、ジェフ・ベックを彷彿させる流麗で表情豊かなエレキ・ギター、そのバックでミニマルなフレーズを柔らかに紡ぐエレピ。ここぞでは、ギターとオルガンやムーグなどキーボードがユニゾンやバトルで早弾きを応酬させます。フュージョンをベースに、カンタベリー・ミュージックの歌心を加えたサウンドと表現できるでしょう。メロトロンが入ると、マッチング・モール的幻想性も立ち上って良い感じ。これはオススメです。
続いて、同じく南米はアルゼンチン産の「ジャズ・ロック」にも出会ってしまいました。
■SERGIO ALVAREZ / UN LUGAR SOLITARIO LLAMADO LIBERTAD
アルゼンチンのギタリスト、セルヒオ・アルバレスによる18年ソロ作。アストル・ピアソラの孫であるダニエル・ピピ・ピアソラ(Drum)、マリアーノ・シボリ(Bass)ら現代アルゼンチン・ジャズ・シーンの気鋭ミュージシャンが集っており、アグレッシヴなディストーション・ギターを中心に各楽器が強靭なインプロヴィゼーションを繰り広げる緊張感たっぷりのアヴァン・ジャズ・ロックを聴かせています。縦横無尽に変態的フレーズを弾き倒すギターと地鳴りの如きベース、激しく叩き鳴らされるドラムがジリジリと火花散らし合い上り詰めていくパートはKING CRIMSONも彷彿。非チェンバー系アヴァン・ジャズ・ロックがお好きな方は是非!
少し歩くとジャスミンの花の影にインドネシア産の「ジャズ・ロック」を発見です。なるほど、ジャスミンはインドネシアの国花なんですね。
■SIMAK DIALOG / DEMI MASA
数は少ないながらもコアなプログレファンを唸らせる高水準なシンフォニック/ジャズ・ロックバンドが存在しているインドネシアのグループ、09年4thアルバム。その音楽性はエレピを中心としたキーボードとギターが指揮を取る垢抜けたサウンドを基本に、ガムラン、クンダンなどのエキゾチックな打楽器を配した、インドネシアのお国柄を反映した爽やかなエスノ・ジャズ・ロックとなっています。カンタベリーにも似た、どことなく甘みのある音像はやはりインドネシア独特のものですが、スリリングで硬派なジャズ・ロックサウンドが単なるAOR系ムードミュージックとは一線を画す、ひとクセもふたクセもある個性的なものとなっています。辺境ファンは要チェックな作品と言えるでしょう。
本日のラストはこちら、プラ(ハ)っと立ち寄った先でチェコ産「ジャズ・ロック」とばったり出会いました。
■DUSAN JEVTOVIC / NO ANSWER
チェコ出身の気鋭ギタリストDusan Jevtovicが、セルビア人キーボーディストVasil Hadzimanovと、イスラエル出身ドラマーAsaf Sirkisの変則トリオで制作した17年作。メロウなタッチと鋭角的なキレのあるプレイを自在に切り替える表現力豊かなギター、エレピを中心にジャジーな陰影を落とすキーボード、そして手数多く攻めるテクニカルなドラム。コンテンポラリーな色合いも持った深遠なジャズ・ロックを聴かせています。ギターは全体に抑えたプレイで知的な印象を持ちますが、ここぞという場面ではヘヴィに歪んだ音で強烈に畳み掛けたりと、振れ幅が圧巻。基本フォーマットこそジャズながら、ロックの熱いスピリットも随所に感じさせるサウンドがカッコいいです。好盤!
いかがでしたか?
見慣れた散歩道も視点を変えれば知らなかった抜け道に出会えるように、新品棚にも知らなかった作品との出会いが隠れているかもしれません。
たまには新品棚も覗いてみてあげてくださいね。
関連記事 |
【関連記事】
70年代に欧州を中心に世界中へと拡散したカンタベリー・ロックの影響。現代のバンドにもその音楽性は引き継がれカンタベリー・タイプの新鋭を数多く誕生させています。実力派揃いでお送りいたしましょう♪
【関連記事】
淡い叙情性だったり、知的な凶暴性だったり、プログレッシヴな感性を持ったジャズ・ロック/アート・ロック作品を世界中からピックアップして紹介いたしましょう。
コメントをシェアしよう!
カケレコのWebマガジン
60/70年代ロックのニュース/探求情報発信中!