2019年5月15日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフ増田です。
先日、初めてロシア料理のお店に行きました。
メニューを見てもピロシキやボルシチ以外さっぱり分からなかったのでコースを頼んだのですが、パイシチューのようなものやサーモンとサワークリームをクレープで包んだもの(料理名を失念しました)など、普段あまり口にできない、なおかつ日本人の口にも親しみやすい料理が味わえてとても感動しました。あと、働いていたスラヴ系のお姉さんがとても美人でした!
それはさておき、今回は中古棚から、充実のロシア産プログレをピックアップ。近年特にプログレの良作が続々と生まれているロシアですが、今回は70~80年代の作品も含めて幅広くご紹介いたしましょう!
ロシアン・プログレの古典と言える85年の1st。イエスの明瞭さやテクニックをベースに、クリムゾン的ダークネスやヘンリー・カウの硬質さを加えたようなイメージ!?イギリスのそれとはまた違う、優美で荘厳なクラシカル・テイストがあるのも特徴的ですね。
荘厳で優美と言えばこちらも。プログレ・ファンからも評価の高いEDUARD ARTEMIEVの87年作で、モスクワ・オリンピックのテーマにも使われた作品ですね。広大なロシアの大地の如く、これでもかと壮大に広がる音空間はただただ圧巻…。ずばりロシアン・シンフォ最高峰!
重厚なブラス・ジャズ・ロックからSAMLAのようなトラッド調アンサンブル、JETHRO TULL的な泥臭いハードロックまでコロコロと表情を変えながら突き進んでいくアンサンブルが強烈。75年のロシアにこんな変てこプログレが生まれてたの!?
結成は92年で自主制作で数枚のアルバムをリリースしているロシアのベテランによる13年世界デビュー作。ジェネシスとジェスロ・タルの中間に位置するような民謡調の温かみに溢れたシアトリカルなトラッド・プログレ!
今年19年にも新譜をリリースしたロシア屈指の新鋭プログレ・バンド!優美で力強いヴァイオリンがテクニカルに駆け巡るシンフォ・サウンドがとにかく鮮烈。
LOST WORLDとともに現代ロシアを代表するバンドのKey奏者によるソロ作で、後のバンド・スタイルの様式を形作った一枚。ロシアの地を感じさせる格調高いクラシカル要素とロック的ダイナミクスを巧みに融合した完成度の高い内容!
全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!ロシア新鋭による11年デビュー作ですが、これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映えです。
最後に、ロシアに近しいベラルーシ&ウクライナからも注目のバンドをピックアップ。
80年代末から活動するベラルーシのプログレ・バンド。クラシカルな格調高さの中に東欧らしいメランコリーが香るハード&シンフォニックな2014年作!
ウクライナ出身の才人キーボーディスト率いるシンフォ・バンドの10作目。この透明感、熱量、スケール。もうフラワーキングスに肩を並べてると言って何の問題もないでしょう。ずばりシンフォファン必聴作!!
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現代ロシアを代表する3人組プログレ・バンドによる13年作4th。シャープで安定感のあるドラム、テクニカルに躍動するベースを土台に、キーボードがリズム隊とは異なる変拍子でミニマルかつエスニック調のフレーズをかぶせ、緊張感を生み出す。そこにどこまでも伸びやかに、そして鮮烈に奏でられるヴァイオリン!芯のある太いトーンのギターやフルートもからみ、「静」と「動」を対比させながら流れるように畳みかけます。目の覚めるような完璧なオープニング・ナンバー。ただただ心が躍ります。2曲目以降も、切れのあるヴァイオリンが疾走するクラシカル・シンフォから、ヘヴィーにうねるギターが炸裂する70年代中期クリムゾン的ヘヴィー・プログレ、フルートをフィーチャーした民族調テクニカル・アンサンブルまで、1曲の中でめくるめく展開しながら、ハイテンションで駆け抜けます。終始テクニカルで展開が多いながらも、決して大味になることなく、精緻で格調高く気品に満ちているのがこのバンドの凄いところ。その点で、ジェントル・ジャイアントをも凌駕していると言っても決して過言ではありません。傑作3rdをさらに上回る、素晴らしすぎる傑作!
ロシアの新鋭グループ、2011年のデビュー作。もうオープニング・ナンバーのイントロからキてます。リック・ウェイクマンとアンディ・ラティマーが共演!?っといった感じで、マイルドなトーンの流麗なギターとクラシカルなピアノが美しい旋律で幕を開け、一転して、マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』を彷彿とさせるような緊張感あるピアノに切り替わったかと思うと、ドラムが走りだし、視界が一気に広がり、ギターとキーボードから次々とメロディが溢れ出る!この展開に心躍らないプログレ・ファンは居ないでしょう。さぁさぁ、ヴォーカルはどんな感じかな、と待っていると、透明感のある歌声と包み込むような歌唱が素晴らしい男性ヴォーカルが伸び伸びと美しいメロディを歌い上げる。バックではコロコロとリリカルなピアノがサポート。それにしても、全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!往年のプログレ・ファンは必聴の大傑作です。
ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるソロ・プロジェクト。2017年作9thアルバム。冒頭から透明感溢れるシンセが美しく折り重なり桃源郷的サウンドを描き出していく展開に早くも耳を奪われます。ロイネ・ストルトと比べても遜色ない繊細かつ熱くフレーズを紡ぐギターも素晴らしすぎる。演奏の密度と熱量、スケールの大きさは間違いなくTHE FLOWER KINGSに匹敵します。エレクトロニクスも用いられていますが、バンド・アンサンブルの中に有機的に溶け込ませるセンスが抜群で、往年のプログレを意識しながらもスタイリッシュに聴かせるモダン・シンフォニックな音像を構築。また随所で聴ける東欧出身の彼らしい欧州トラッド的な荘厳な民族色を添えるプレイも感動的に響きます。ギターがエモーショナルなプレイで演奏を盛り上げ、キーボードが疾走感あるプレイで曲進行を牽引する、ユニークなスタイルも揺るぎない個性を生んでいて見事。前作までもリリースされるたびに完成度を上げてきましたが、9作目にしてかつてないステージへと進んだ感のある、シンフォファン必聴作に仕上がっています!
LOST WORLDとともに現在のロシアを代表するシンフォ・バンド、99年録音作。『SUN OF SPIRIT』同様、LITTLE TRAGEDIE名義ではあるものの実質的にはキーボーディストGENNADY ILYINのソロ作品。ギタリストの参加を除いてキーボードの多重演奏のみによる演奏という点は『SUN OF SPIRIT』と変わらないものの、純クラシカルな印象が強かった前作と比べ、こちらは打ち込みリズムを大きく取り入れ、よりロックらしい躍動感が感じられるバンド・アンサンブル的な音作りがされているのが特徴。後のバンドとしてのLITTLE TRAGEDIESのサウンドにぐっと近づいています。荘厳なシンセやオルガンが鳴り響く中を、ギターがヘヴィに切れ込んでくる場面などはまさにLT!ドラマティックに歌い込むロシア語ヴォーカルもすばらしい。硬質な音使いとクラシカルな優雅さが絶妙にバランスした音楽性は、まさにロシアという国からイメージされる音そのもの。LT前夜という位置づけにとどまらない、素晴らしい完成度を誇る一枚です。
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