2019年5月1日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
来たる5月18日(土)、クラブチッタ(川崎)にて、イタリアン・ジャズ・ロックを代表する2バンド、アレア(AREA)とアルティ・エ・メスティエリ(ARTI&MESTIERI)が出演する「ジャズ・ロック・レジェンズ 2019」が開催されます。
イタリアン・ジャズ・ロックの名門クランプス・レコードよりデビューした両バンドは、プログレ全盛の70年代に活動し、00年代以降にはクラブチッタで数度にわたって来日公演を行うなど、精力的な活動を続けています。
ここでは、両バンドの代表作を取り上げつつ、その足跡を振り返ってまいりたいと思います!
ARTI&MESTIERIは、ELPタイプのキーボード・ロック・トリオだったTHE TRIPのドラマーFurio Chiricoを中心として、TRIP解散と同年の73年に結成したバンド。85年までに5作品をリリースし活動を停止。99年に復活を遂げて以来は、各国でのライヴを中心に演奏活動を繰り広げ、レジェンド・バンドとしての存在感を放ち続けています。
そんな彼ら特徴は、何といってもFurio Chiricoの驚異的な手数を誇る超人のごときドラミングを軸とするテクニカルな演奏、そして地中海の風景が目に浮かぶような美しく芳醇なメロディ・センスにあると言っていいでしょう。
そんなARTI&MESTIERIの音楽性を把握するには、やっぱり1st『TILT』の1曲目を飾るこの曲がうってつけでしょう。
Gravita 9.81
変拍子を交えつつアグレッシヴに突き進む技巧的なジャズ・ロックを、地中海地域の伝統音楽に根ざした薫り高い叙情性が包み込むサウンドは、まさに「孤高」の領域に至っています。
1stに比べいくぶん緊張感が和らぎ、軽やかなタッチの演奏とメロディが楽しめる2ndもジャズ・ロック・ファン必聴の作品です。
そして、上記の通り、80年代半ばの活動停止から十数年を経て、00年代に活動を再開した彼ら。驚くほどに往年のクオリティを維持した現在のサウンドは、2015年にリリースされたスタジオ・アルバム『UNIVERSI PARALLELI』で確かめることができます。
Alter Ego
往年とほぼ遜色のない技巧と叙情性に溢れんばかりの情熱が加わって、ますます生き生きとした輝きを感じさせるかのようで素晴らしいですよね!
アルバムリリース後の15年に行なわれた来日公演でも、本作からのナンバーをメインに70年代の名曲を交えたパフォーマンスが披露され、集まったプログレ・ファンを熱狂させてくれました。
今回の公演でも、きっと圧倒的なテクニックと溢れんばかりのイタリア叙情をたっぷりと堪能させてくれる、感動のステージを見せてくれることでしょう。これは期待せずにはいられませんねっ!
AREAは1972年に結成され、80年の解散までに6枚の作品を残したジャズ・ロック・グループ。
彼らの特徴と言えば、テクニカルかつスピーディーに展開される強靭なジャズ・ロック・アンサンブル、そしてやはり何と言ってもエジプト生まれのギリシア人という異色の出自を持つヴォーカリスト、Demetrio Stratosによる前衛的な歌唱法が挙げられます。
まずは1stより、そんな彼らの音楽性が凝縮されたこの代表曲をお聴きください!
Luglio, Agosto, Settembre (Nero)
う~む、こちらも「孤高」としか表現しようのない圧倒的な世界観を持っていますよね。70年代当時のプログレ・ファンはPFM、BANCOと並び、この作品にもそれはそれは度肝を抜かれたことでしょう。
以後、AREAは自らが掲げる「international POPular group」という理念のもとに、活動を続けます。
その卓越したテクニックと特異なヴォーカル、そして政治的なメッセージ性も含んだ楽曲により、イタリア国内の若者を中心に大きな支持を得た彼らでしたが、79年にヴォーカルのDEMETRIOが白血病によって33歳の若さで死去、バンドも80年作『TIC TAC』を発表した後に解散となります。
AREAがDEMETRIOという大きな存在を失った直後に制作したこの80年作ですが、フュージョン・タッチのテクニカル・ジャズ・ロックとして実は相当な力作。
そして解散から30年が経った2010年代に入り、PATRIZIO FARISELLI(Key)、PAOLO TOFANI(G)、ARES TAVOLAZZI(B)という70年代の黄金期メンバーにドラマーを加えた編成で再結成。そんな彼らによる11年のライヴを収録した2012年リリースの作品がこちらです。
以前よりジャズ本来の敏捷さスムースさを強めた洗練の演奏から、70年代を思い出させるアヴァンギャルドな掛け合い、そしてまだまだ現役とばかりに骨太かつテクニカルに畳み掛けるロック的ダイナミズムにあふれた演奏と、全盛期よりバンドとしての本質は一切変わっていないことがわかります。ベテランらしい円熟味とまだまだ高みを目指そうとする尖りっぷりが絶妙に同居。まさに21世紀にAREAが甦ったことを示す充実のパフォーマンスと言えるでしょう。
2013年には、初来日となる4月の公演に加え9月にも来日を果たすという、異例の年間2度の来日公演を成功させたAREA。それ以来となる今回のステージでは、一体どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、俄然期待が高まりますね!
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アレアと並ぶイタリアン・ジャズ・ロック史上の名バンド。オリジナル・メンバーが再結集してリリースした01年再結成作。民族音楽色を強めた郷愁を誘うサウンドメイクを土台にして躍動する、往年と変わらぬ手数でタイトに打ち込むドラム、芳醇な歌心を備えたベース、煌びやかに音を散らすキーボード、柔らかな気品を放つヴァイオリン、そして哀愁のフレーズをとめどなく紡ぎ出すギター。ARTI E MESTIERIというバンド以外では絶対に聴くことのできないテクニカルな演奏の中に悠久のロマンが匂い立つようなジャズ・ロックが堪能できます。傑作!
アレアらと並びイタリアン・ジャズ・ロックの最高峰に位置するバンド。Frio ChiricoとBeppe Crovellaを中心とする編成で再始動、前作『Murales』から3年を経てリリースされた03年スタジオ・ライヴ作品。傑作1stよりオープニングを飾る「Gravita 9,81」と大作「Articolazioni」、ライヴ・アルバムでのみで聴けたファンタジックな英語曲「Comin’ Here To Get You」など全4曲を演奏。2人の演奏の素晴らしさは言わずもがなですが、前作でもプレイしたCorrado Trabuioの芳醇な響きのヴァイオリンが特筆もので、オリジナル版に忠実でありながらも独自の優美な表情を加えているように感じます。アルティ・ファンであれば一聴の価値ありの好盤です!
1999年から2000年にかけてのライヴ音源18曲と74年の1stアルバム発表直前のライヴ10曲の2枚組ライヴアルバム。まるで途切れないテンションに思わず絶句。ジャズ・ロック・ファン、必聴
廃盤、直輸入盤(帯・解説付仕様)、2枚組、リマスター、定価3800+税
盤質:傷あり
状態:並
帯無
帯無、カビあり、軽微な折れあり
廃盤、直輸入盤(帯・解説付仕様)、2枚組、リマスター、定価3800+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
小さいケースツメ跡あり
プログレッシブ・ロック界を代表する技巧派ドラマーFurio Chiricoといぶし銀のプレイを聴かせるキーボーディストBeppe Crovellaを擁する、イタリアを代表するジャズ・ロックグループの75年2nd。その内容は、前デビュー作の路線を継承しながらよりジャズ・ロック寄りのアプローチを打ち出し、フュージョン色もほのかに香らせながら進行する作風です。楽曲が細分化されているため短くまとまった感じを受けるも、やはりその内容は前デビュー作に引けを取らない密度の濃さと超絶技巧の連続であり、前作よりタイトなサウンドで迫る名盤となっています。
アレアらと並びイタリアン・ジャズ・ロックの最高峰に位置するバンド。超絶ドラマーFurio Chirico以外のメンバーを一新し、83年にスタジオ・ライヴで録音された4thアルバム。疾走するFurio Chiricoのドラムは言わずもがな、ドラムに煽られるかのように次々とスリリングなフレーズを応酬させるサックス、エレピ、ギターのテクニックも抜群。アンサンブルのまとまりとテンションは前作以上で、テクニカルなジャズ・ロックとして間違いなく一級品と呼ぶべき快作です。
アレアらと並びイタリアン・ジャズ・ロックの最高峰に位置するバンド。85年作の5thアルバム。前作以上にメロウかつファンキーな作風が印象的ですが、フリオ・キリコのドラムは相変わらず鋭利なフレーズを連発。主にサックスが担うジャズ/フュージョン然とした滑らかなメロディとドカドカと遠慮会釈なくタイトに叩き込むリズムとの温度差がこの作品ならではの独特なテンションを生み出しています。10分を越える大曲「Waiting For Laura At Banfora Hotel」が聴き所。
アレアと並ぶイタリアン・ジャズ・ロック史上の名バンド、2005年に行われた初来日公演を収録。イタリアン・ロック・ファンにはなじみ深い1st『Tilt』と2nd『Giro Di Valzer Per Domani』を中心とするセットリストとなっており、最も勢いのあった初期の名曲群をたっぷりと堪能できます。00年代以降に参加の若手メンバーの演奏力も充実しており、オリジナルと遜色ないパフォーマンスが発揮された好ライヴ作となっています。
イタリアン・ジャズ・ロックを代表するグループ、AREAがリリースした初期4作、「ARBEIT MACHT FREI」「CAUTION RADIATION AREA」「CRAC !」「ARE(A)ZIONE」を収録したボックスセット。どの作品も、ディメトリオ・ストラトスの超絶ヴォーカリゼーションと緊張感みなぎるインプロヴィゼーションが冴え渡る名作。(CD4枚を収納する紙製ボックスは品質があまり良くなく、角に2cm程度の破れがある場合がございます。ご了承ください。)
4枚組ボックス、各CDは紙ジャケット仕様、国内直輸入盤仕様(解説・カラーブックレット封入/帯元から無し)、紙製ピストル・ミニチュア付き仕様、24bitリマスター
盤質:傷あり
状態:並
帯-
カビあり
強靭な声帯の持ち主であるDemetrio Stratosを中心に結成され、超絶的なテクニカルさとバルカン独特の叙情香る、イタリアのプログレッシブ・ロックシーンを代表するジャズ・ロックグループの75年4th。彼らの技巧的な演奏の熱気を収めた素晴らしいライブ作品となっており、デビュー作から3rdまでから選ばれた楽曲はスタジオ作以上のダイナミズムで聴かせ、表題曲は15分から成る壮絶なインプロヴィゼーションの応酬。ピアノ中心のテクニカルなジャズ・ロックからドラムソロ、そしてDemetrio Stratosのスキャットが襲う壮絶なエンディングへと雪崩れ込みます。
紙ジャケット仕様、Blu-spec CD2、19年デジタル・リマスター、内袋付仕様、定価2100+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ステッカー付
強靭な声帯の持ち主であるDemetrio Stratosを中心に結成され、超絶的なテクニカルさとバルカン独特の叙情香る、イタリアのプログレッシブ・ロックシーンを代表するジャズ・ロックグループの77年5th。超絶技巧によるバルカン・ジャズ・ロックと非常にアヴァンギャルドな作風を行き来しては進化を遂げてきた彼らですが、本作は後者であり、Demetrio Stratosの図太いボイスやスキャットの前衛パフォーマンスや技巧的なフリー・インプロヴィゼーションを軸として、テープのコラージュ、エフェクトの使用や電子機器によるアプローチでカオティックな世界を作り上げています。
強靭な声帯の持ち主であるDemetrio Stratosを中心に結成され、超絶的なテクニカルさとバルカン独特の叙情香る、イタリアのプログレッシブ・ロックシーンを代表するジャズ・ロックグループの78年6th。前作からギタリストPaolo Tofaniが脱退して製作された本作は、変拍子を巧みに取り入れたバルカン・ジャズロックから、今までよりも聴きやすくなったテクニカルで前衛的なインプロヴィゼーション、そして非常にキャッチーな側面すら感じさせるDemetrio Stratosのボーカルまで聴き所に恵まれた作品であり、Paolo Tofani脱退により、前作よりもキーボードのPatrizio Fariselliの手腕が発揮された名盤です。
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