2019年10月8日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ新鋭
2010年代のラストイヤーである2019年ですが、例年と変わらず各国からハイクオリティなプログレ作品が続々とリリースされました。
このページでは、2019年にカケレコに入荷した新鋭プログレの作品を国別でご紹介します。
まだまだホットな世界各国のプログレ作品群をご探求ください☆
まるでカンタベリー・ロックを北欧的透明感いっぱいに鳴らしたような、あまりにも淡くデリケートな演奏に息をのみます。奥ゆかしいメロトロン、スッと胸に染み入る可憐な女性ヴォーカルも素晴らしい感動的な一枚。
カンタベリー・ロックを継承する英新鋭、待望の19年2nd。組曲も含む構築的な楽曲を、CARAVAN的な軽やかさで駆け抜けるポップなジャズ・ロック・スタイルが魅力的です!
18年のデビュー作で話題となった英国アンビエント/プログレ・グループによる19年作2nd!前作以上に豊かな美旋律&ドラマティックな展開を活かした壮大なサウンドに感動必至…。マイク・オールドフィールド好きは是非!
カンタベリーの淡い色彩感+フロイドやVDGGを思わせるメランコリックなメロディにモダンな感性を溶け込ませたサウンドが素晴らしい!英国のグループによる19年作なのですが、これはカンタベリーのDNAを継ぐ現代の名作の一つですね。
アンビエント/エレクトロニカに通ずる洗練された音響と、メランコリックながらも暖かみに満ちた優美なメロディの対比が美しいなあ。透明感溢れる女性ヴォーカルをフィーチャーした英国新鋭メロディック・ロック。
PINK FLOYDやPORCUPINE TREEを受け継いだメランコリックに揺らめく音空間が美しい…。ゆったりとしたテンポで丹念にドラマを紡ぎ出す英プログレの名品。
ちょっとRADIOHEADっぽい浮遊感ある音作りと、ソリッドで豪快なギターサウンドの対比が見事。劇的という言葉がふさわしい英プログレ19年作!
まるでKING CRIMSONにHENRY COW、SOFT MACHINEなどのカンタベリー・ロック、それからザッパをごった煮にしたみたい!?緊張感みなぎる暗黒のアンサンブルに奇妙なポップさを散りばめた、恐るべき英新鋭アヴァン/チェンバー・ポップ。
JADISや90年代MARILLIONをより繊細かつメランコリックに仕立てたようなこの絶品サウンド、1stから変わらず素晴らしいな…。英国叙情派シンフォの注目株による待望の19年作!
YESやネオ・プログレ勢を受け継ぐ構築的かつメロディアスなプログレを聴かせる英新鋭19年作。疾走感あるパートでもヘヴィにならず英国然とした気品を崩さない演奏、そしてしっとり落ち着いた歌いぶりの女性ヴォーカルがとても良い!
モダンな中にも70’s英国プログレ直系の叙情性を滲ませる新鋭ブリティッシュ・シンフォの好バンド。ピアノやアコギから醸し出る繊細な色合いもたまらないなあ。
キャリア30年でこのファンタジックで瑞々しいサウンドはほんと凄い…。20人超の管弦楽隊を従え制作された、スケール大きくもジェントルな優しさに満ち溢れた19年作!
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90年代~00年代のイギリス屈指のプログレ新鋭バンドと言えるBIG BIG TRAINを特集。バンドのオフィシャル・サイトのヒストリーを元に、バンドのラインナップの変遷を見ていくとともに、作品を聴いてまいりましょう。
英国を拠点に活動、ウクライナ出身の才人Antony Kaluginが率いる注目シンフォ・グループ。またまた素晴らしい出来栄えの19年作10th。そのサウンドを一言で言い表すなら「THE FLOWER KINGS + GRYPHON」!?→
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注目リイシューその2!GENESISの3代目シンガーRay Wilsonの右腕として活躍するギタリストの11年ソロ。これがブルース・フィーリングを和らげスタイリッシュになったギルモアといえそうなギターワークを散りばめた、幻想美たっぷりの名品♪
カナダのSAGAあたりを彷彿させるキャッチーなプログレ・ハードに、英国らしい幻想性を合わせたようなスタイルが個性的。奇才John Mitchellプロデュースの注目作☆
イギリスで現在最も注目すべき新鋭と言える彼らの、初となるライヴ・アルバム!2ndアルバムのナンバーが秀逸で、MOON SAFARIにも匹敵する瑞々しい躍動感がライヴで一層際立っており感動的!
哀愁を帯びたトーンのギター、オルガンやシンセなど各楽器は70年代テイストを漂わせる音色によって、シャープで歯切れのいいモダンなアンサンブルを組み立てるスタイルがユニークな米メロディアス・プログレ。シンフォからプログレ・ハードまで振れ幅ある音楽性も流石アメリカ!
鋭いタッチのアヴァン・ジャズ・ロックが一瞬でクラブ・ミュージック風へと変化してしまう自在すぎる演奏に、K.ブッシュやD.クラウゼを過激にしたような「もの凄い」女性Voが乗る、変わらず我が道を突き進むアヴァンギャルド・プログレが強烈!
SPOCK’S BEARDの現メンバー&旧メンバーが集結した注目バンド!SBに通じる、爽やかなメロディとクリアに広がる抜けのいいサウンドで開放感いっぱいに聴かせるさすがの快作です。
キャリア20年のベテラン・グループですが、本作、イエス系の新鋭プログレ作品としてビックリする完成度!「Tempus Fugit」っぽく始まり「Awaken」っぽく終わる大作に感動必至~!
プログレ、ハード・ロック、カンタベリーにスペース・サイケ、ファンクにブルーグラス…。とことんごった煮なのに、それでいてお洒落でイマジネーション豊かなサウンドに仕上げるこのセンスの良さと言ったら!男女ヴォーカル擁する期待の米新鋭トリオ、19年デビュー作!
スペース・ロック、シアトリカル・ロック、インド音楽、地中海音楽などを、AREA風のアヴァン・ロックでつなぎ合わせたかのような異次元サウンドは、軽く眩暈が起きそうなすさまじさ。現イタリアン・ロック屈指の異端バンド、相変わらず孤高です。
優美なシンフォ路線の1stからヘヴィなテクニカル・プログレへと劇的な変化を遂げた圧巻の2nd。ダイナミックで肉感的なリズム隊&ギター、ヴィンテージ色たっぷりのキーボードによる、モダンな中にも70sテイストが秘められた快作!
初期のBANCOを思わせる、ダークさと哀愁が対比してドラマを描き出す演奏が素晴らしい!最近イタリア新鋭の中でも、これぞ「王道」と呼ぶにふさわしい19年デビュー作!
GENESIS/CAMEL/GG/ELPなどをカバーした伊プログレ19年作。カバーの完成度も素晴らしいですが、聴き所はゲスト参加するA.フィリップスとS.ハケットの共演!フィリップスの繊細な12弦ギターの上をハケットのエモーショナルなギターが飛翔するパートは感涙ものです~。
現イタリアを代表する鬼才アーティスト、5年ぶりのソロ作。エレクトロニクスとイタリアン・ロックらしい歌心ある演奏が共存するこのセンス、もう流石です。
そのFabio Zuffanti氏が在籍するイタリアン・ロックの人気バンドが、名盤の誉れ高き1stアルバムを完全再録!オリジナルのデリケートでアーティスティックなサウンドを保持しつつ、色彩感と一音一音の存在感を格段にアップさせた理想的な再録に仕上がっていてグレイト!
管弦楽器も交えた70sイタリアン・ロックを受け継ぐテクニカルかつダイナミックな演奏と、女性voによるハートウォームな歌心がこれ以上なく理想的に共存してる…。5年ぶりに届いたこの6th、要注目です!
待望の19年リイシュー!繊細なタッチで丁寧に紡がれる輝かしい気品に満ちたファンタスティック・サウンドは、大げさでなくCAMELや初期GENESISにも一歩も引けを取らない完成度。90年代イタリアを代表するシンフォ作品、これは本当に素晴らしいですよっ。19年リマスター再発!
まるで70年代のイタリアン・ロック・バンドが現代にタイムスリップしてきて作品を作ったかのような、とにかく「自然体」なヴィンテージ・サウンドに驚かされます。これ、往年の伊ロック・ファンには是非とも堪能してもらいたいなぁ。
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今回取り上げるのは、70年代プログレ&ロックへの憧れと敬意を感じさせるヴィンテージなサウンドを鳴らすバンドたち。厳選してピックアップ!
イタリアらしい叙情性とドラマ性を発揮しつつ、実にハートフルで親しみやすいサウンドへと仕上げられた文句の付け所のないシンフォニック・ロック。GENESISやCAMEL、LE ORMEのファンにオススメです!
ヴィンテージなオルガン・インストゥルメンタルと現代的なオルタナティヴ・ロックが融合したみたい・・・。ハモンド好きは要チェックのイタリア新鋭19年作!
PFMの陰影ある叙情美、BANCOのダイナミズムとロマン、LE ORMEの気品あるファンタジーを併せ持ったような凄いバンドだ…。これぞ「正統派イタリアン・シンフォ」と呼びたい、スケールの大きさと熱きロマンティシズムが同居する会心作!
前作まではカンタベリー色もあるジャズ・ロックを聴かせていましたが、突如ポスト・ロック的洗練も含むテクニカル・シンフォを炸裂させた19年作3rd。ずばりセンス抜群な快作!
GOBLIN REBIRTHに参加するkey奏者によるプロジェクトなのですが、「地中海音楽+OPUS AVANTRA+Franco Battiato」と言える、先の読めないエキセントリックな音楽性に翻弄される快作。OSANNA、JUMBO、RRRなどレジェンドバンドのフロントマン達も名唱を披露!
情熱的かつヒリつくような緊張感が漂う、10名による即興アンサンブル。パリのジャズ・ロック/チェンバー・ロック・グループが吉原をイメージした空間で行われた、知的でスリリングな19年ライヴ・パフォーマンスを収録!
ANGE直系と言えるシアトリカルで濃密なフレンチ・プログレを聴かせてくれる19年作!フランス語の耽美かつアンニュイな響きを尊重しつつ自己陶酔気味に歌い上げるヴォーカル・スタイルがたまらん!
瑞々しいソロ・アコギ曲を中心に、バンドによるCAMEL風のメロディアスなインストも交えたスタイルで終始リリカルで叙情的に聴かせます。今作も休日の昼下がりにベストマッチな、オランダの人気ギタリストによる19年作!
現チェンバー・シーンの代表的存在となったスペイン新鋭による19年作なのですが、これがUNIVERS ZERO+PICCHIO DAL POZZOと言える素晴らしさで感動!
人を食ったようなジャケとは裏腹に、フロイド風の深遠なサウンドに仄かなキャメル色を足し合わせたようなシンフォ・プログレを展開。SEも用いた演出にフロイド愛が伝わるし、ギルモア+ラティマーなエモーショナルすぎる泣きギターも絶品!
シンフォ/ハード・ロック/メタル/トラッド/ワールド・ミュージックなどを取り込んで性急に畳みかける痛快無比なプログレを鳴らします。ドイツ出身の注目株!
GONGやクリムゾンやCOLOSSEUMを行き来しながら颯爽と駆け抜けていくアンサンブルはセンス抜群。疾走感の中にも毒気あるユーモアを散りばめた仏インスト・ジャズ・ロック!
バンド名で気づくように、80年ごろのYESサウンドを絶妙に取り入れたキャッチ―で色彩感溢れるファンタジックなプログレがとにかく素晴らしい!あらゆる面でジャパニーズ・プログレ離れした19年作2nd!
今全世界で最も完成されたヴァイオリン・プログレを聴かせるロシアの雄、ついに出た19年作!従来のスピードと切れ味はそのままに、ベースとキーボードが加入した事でよりダイナミックで密度の高いサウンドを構築していて素晴らしすぎっ!
注目バンドWALFADでも活躍するポーランドの若き才人が放った19年2nd。格調高く彩るヴァイオリンやピアノとエモーショナルに絡み合うギター&シンセの対比が美しい感動的なコンセプト作で、ムーグを弾くのはSBBのJozef Skrzek!
アルメニアの伝統音楽とジャズ、ロック、メタルを融合させた「コーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック」!?力強くも粛々とした神秘性漂うサウンドが素晴らしすぎる、堂々の19年デビュー作!
幾重にも重ね合わせた分厚くヘヴィなギターサウンドが圧巻のプログレ・メタル19年作。ギターサウンドのみを用いた美しいアンビエントな演出力にも注目です。
柔らかくも激しくも自在に紡ぐメロディアス・ギターと美しいシンセサイザーやピアノを中心とする、ニューエイジ色も織り交ぜたイマジネーション豊かなインスト・シンフォを聴かせる注目株!
キャメルの叙情美、フロイドのドラマ性、IQやペンドラゴンらネオ・プログレに通じる明快な曲展開などを複合して、ポーランドらしい陰影で包んだ感じ?
ヴォーカル/作曲ともにビョークばりの才覚で驚かせる女性アーティストを中心とするポーランド新鋭!エレクトロニカ色の強いサウンドと艶めかしくもアーティスティックな女性ヴォーカルが作り出す、蠱惑的な音世界に飲み込まれます…。
クリムゾンやポーキュパイン・トゥリーのファンにオススメしたいポーランドの新鋭ソロ・ユニット。クリムゾン影響下のヘヴィ・プログレと、ポーランドらしいメランコリックな音響を融合させたようなスタイルで聴かせる、ヘヴィネスと幻想美に溢れた逸品!
フロイド『鬱』やRoger Watersのソロが好き?ならこのポーランドのプロジェクト19年作も気に入るかも。メランコリックかつ体内にじわじわと染み込んでいくような音空間がいいなあ。
ポーランドの人気シンフォ・グループ、待望の19年5th!新女性ヴォーカルのエモーショナル&アグレッシヴな歌唱と、端正かつ陰影に富んだ宝石のように美しいアンサンブルが見事に調和してるなぁ。傑作!
「架空の映画のサウンドトラックを作る」というコンセプトを掲げ活動するポーリッシュ・シンフォ新鋭、待望の3rd。冷ややかなトーンのキーボードと熱量溢れる叙情派ギターの絶妙な「温度差」が仄暗さと温かみを帯びた独自の作品世界を作り上げていて素晴らしい!
トニー・バンクス彷彿のファンタスティックで華のあるキーボードワークに胸躍る!モダンなエッジも備えつつ70年代的ヴィンテージ感をとても大切にしているのが好印象な、ポーランド新鋭18年作!
なぜこのジャケにしたんだ…。内容はフロイドをはじめとする70年代プログレ・エッセンスをふんだんに散りばめた素晴らしいサウンドなのに。
ピンク・フロイドの音世界に影響されつつも、より外に向いた開放的な響きを聴かせるポーランド産メロディアス・プログレ新鋭、18年作!スタイリッシュにまとめられた洗練のアンサンブルに対比する、ポーランド語の無骨な響きがまたいい味わいです♪
沈み込むように暗く、それでいてセンシティヴな感性に溢れた繊細なメロディが胸に刺さるなあ…。フロイド影響下のメランコリックなサウンドを聴かせるポーランド産プログレ・トリオ、18年2nd!
現プログレ・シーンの王者と呼ぶべき人気グループ、6年ぶり19年作!特筆はヴィンテージで柔らかなタッチが印象的な新キーボーディストの好演。溢れ出すオルガン&メロトロンとロイネによる入魂のギターがドラマチックに躍動するサウンドが感動的!
現在ANGLAGARDでも活躍するkey奏者Linus Kaseが在籍するシンフォ・バンド、8年ぶりの19年作。
キーボード主体の幻想的なサウンドメイクに、フラワーキングスにも通じるキャッチーでドラマチックなメロディが映えるっ!
近年の北欧に多いエレクトロ要素やメタル要素は全くなく、70年代プログレのDNAを引き継いだ純然たるシンフォニック・ロックを聴かせる快作です♪
試聴は下記ページにて!
https://brighteyebrison.bandcamp.com/
なんとっ、現代デンマークからFOCUSへの愛情に満ち溢れた新鋭が登場!?愛らしく情緒あるメロディにリリシズムに富んだフルート、アッカーマン節全開の伸びやかなギター…「Janis」や「Sylvia」を思わせる1曲目からFOCUSファンならノックアウト確実!
IT BITESの2nd『ONCE AROUND THE WORLD』を思い出すスタイリッシュかつエモーション溢れるプログレを鳴らす好盤。ノルウェーの実力派バンドWINDMILLのメンバーによるバンドだったのね!
まるで初期GENESISとSPOCK’S BEARDを合体させたみたい!?英プログレ譲りの奥ゆかしいファンタジックさと突き抜けるようなキャッチ―なメロディメイクが素晴らしき調和を果たした北欧新鋭19年作!
洒脱でファンタジックな中にもテクニカルな切れ味とほのかな翳りを孕んだアンサンブルが絶品。カンタベリー・ファンは勿論、70年代ブリティッシュ・ロック・ファンの心にも訴えるノルウェー産ジャズ・ロック19年2nd!
カンタベリー・ロック meets クリムゾンやアネクドテン!?重戦車のようにヘヴィなリフの上でエレピやギターの技巧的なインプロが火花散らすヘヴィ・インスト・ジャズ・ロック。
「ピンク・フロイド+北欧らしい静謐な叙情美」と言える貫禄の19年作。ジャズ色も織り込み静寂を描写するような繊細な音世界がひたすら素晴らしい…。ギルモア直系のエモーショナルなギターも炸裂!
ノルウェーのキャメル系筆頭グループによる5年ぶり3rd。溢れんばかりのファンタジーとドラマチックな陰影を織り込んだ、これぞ叙情派シンフォ!と呼びたくなるサウンドは、キャメルへの憧れを見事に昇華したまさしく正統派。
フロイド譲りのサイケ&ブルージー&メランコリックさに「宮殿」を思わせるメロトロンが雪崩れ込む、ひんやりと幻想的なアンサンブルが心地良い…。なんと、アイスランドの新鋭グループ!
S.Rothery直系のエモーショナルなギターがどこまでもドラマチックな旋律を紡ぐ、繊細でいて壮大なサウンド。MARILLION彷彿のケベック産新鋭シンフォ・グループ、洗練されつつもダイナミズムに溢れた19年の快作!
硬軟自在のテクニカルギターと室内楽調の美しいヴァイオリンを対比させケルト色も織り込んだ、スケール大きく哀愁にも富んだカナディアン・シンフォの名品。
デイヴ・シンクレア直系のオルガンをフィーチャーしたカンタベリー・テイストに、荘厳でスペーシーなジャーマン・シンフォが混ざり合ったみたい。往年のプログレに通ずるファンタジックさに溢れた南米ジャズ・ロックの好盤!
相変わらず2人で鳴らしているとは信じられない広がり豊かな幻想サウンドが美しい…。スッと染み入る無垢な女性ヴォーカルにも注目のブラジル新鋭19年作!
ブラジルの男女シンフォ・ユニットが敬愛するRUSHを全編カバーしたトリビュートなのですが、アレンジは控えめながら、ドリーミーなギターワークや艷やかな女声ヴォーカルが新鮮に響く好カバーが揃っていて、コレは良いです♪
今年リリース20周年を迎えたこの名盤の19年リイシューもご紹介しましょう☆ずばり00年代以降の南米プログレではNo.1と言っていいグループでしょう!テクニカルかつメロディアスに疾走するアンサンブルの中に息づく、ブラジルらしいメロウな叙情性がほんと素晴らしいなぁ。
スリリングかつ哀愁に満ちたバンドネオンの音色をリードに、キレのあるリズムに乗ってつややかに疾走するスタイルは、まさしく「タンゴ・プログレ」と言う他なし。SERU GIRANばりのリリシズムや、ヒップホップまで取り込んだクリエイティヴなサウンドが素晴らしい!
「音響にこだわったSERU GIRAN」!?往年のアルゼンチン・ロックと現代的なスタイルを理想的に融合させた素晴らしい新鋭19年作!
疾走感溢れるテクニカル・シンフォを聴かせたと思うと、南米らしい艶やかで開放的なメロディアス・ロック、更にはCAMELとケルト・タッチを合わせたような優美なナンバーまで豊かな振れ幅が魅力です。ずばり現アルゼンチンのNo.1注目作!
縦横無尽に変態的フレーズを弾き倒すディストーション・ギターを中心に、各楽器がジリジリと火花散らすアヴァン・ジャズ・ロックはKING CRIMSONばりの強度!アルゼンチンのギタリストによる18年作なのですが、これはかなり痺れます。
暖かい海を漂うようなギター、甘やかな響きのスペイン語ヴォーカル、淡く幻想的な音響が描く、詩情に満ちたセンチメンタルなサウンドがもう絶品。これぞアルゼンチンと言いたい溢れんばかりに豊かな情感を宿した新鋭18年作!
現インドネシア最高峰ギタリストによる19年作!J.ルーデスやM.ミンネマンといったプログレ人脈をメンバーに迎え、かつてなくプログレ/ロック・テイストあるパンチの効いたサウンドを展開します。更にあのモンスターバンドの元メンバーもゲスト参加!
アジア・プログレ最後の秘境(?)インドから登場した素晴らしい新鋭バンド!PORCUPINE TREEやMARILLIONあたりからの影響を感じさせる重厚でダークな色調のシンフォニック・ロックはかなり完成度高し。時おり顔を覗かせるオリエンタルなフレーズがまた堪らない♪
ズバリ「CAMEL&ジャーマン・シンフォ meets GENTLE GIANT」!?前作のファンタジックさはそのままに、よりプログレッシヴな構築性を増した圧巻の力作!
いかがでしたか?
みなさまにとってぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
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2016年の新譜特集【新鋭プログレ編】はこちら。
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ヴァイオリン/ギターetc.のAndy Didorenkoを中心に結成、現ロシアを代表するプログレ・グループにして、全世界的に見て最もスリリングなヴァイオリン・プログレを聴かせる実力派グループ、3年ぶりとなる19年作6th。Vln&G/fl/dr/perの4人編成だった前作発表後に、パーカス奏者が脱退しベーシストと女性キーボーディストが加入。バンドとして安定した5人編成で制作されたのが本作です。1曲目からアクセル全開!舞踏音楽を思わせる気品に満ちたフレーズを切れ味鋭くスリリングに紡ぐ圧巻のヴァイオリンを中心に、パーカッシヴな打音も織り込んだダイナミックなリズム隊、テンション高くアンサンブルに絡みつつもあくまでしなやかな音色のフルートがスピーディに駆け抜ける緻密にして猛烈にテクニカルなアンサンブルには、プログレ・ファンなら血沸き肉躍ること必至。キーボードが大活躍する2曲目は新境地で、テーマを豪快に奏でるシンセとオルガンがカッコいい骨太なテクニカル・シンフォ。Andyはキーボードに負けじとヴァイオリンをギターに切り替えて音数多くキレのあるプレイで応じており、火花を散らすような応酬が見事です。さらに、クラシック畑のメンバーらしい静謐な空間の中でヴァイオリンやピアノが優雅に奏でられるクラシカル・チューンも流石で、疾走感あるプログレ曲との間にあまりに鮮やか対比を生み出しており素晴らしいです。トリオ編成だった頃に比べて、アンサンブルに確かな厚みと密度が生まれ、サウンドにズシリとした重みが加わった印象を受けます。3年待った甲斐のある貫禄の傑作!
アジアとヨーロッパの境目に位置する国、アルメニアの伝統音楽とジャズ・ロックの融合!?ポーランドの名門クラクフ音楽アカデミーにてクラシックを学ぶと同時に、アルメニアの伝統音楽に魅せられた女性管楽器奏者Zofia Trystulaを中心とするポーランドの5人組。結成以来数々のジャズ・コンペで入賞も果たす彼らの19年デビュー作は、エキゾチック且つどこか粛々とした神秘性を漂わせるアルメニアや東欧の伝統音楽をベースに、ロック、ジャズ、フュージョン、メタル等の要素を自在に組み合わせた圧巻のコーカサシアン・エスノ・ジャズ・ロック!しなやかに躍動するジャジーなピアノに気品溢れるヴァイオリン。ザクザクと重くメタリックなリフを刻むギター、ジャズの素養を感じるタイトでテクニカルなリズム隊、異国情緒漂う旋律を奏でるムーグ…。アコースティカルな要素とヘヴィ/エレクトリックな要素を対比させつつ、そこへZofiaが操るドゥドゥク、ズルナといった民族管楽器や民謡調の抑揚を付けた深遠な女性ヴォーカルが重なり合う、強靭さと神々しさ、優美さとドライヴ感を併せ持ったサウンドは驚くべき完成度!GONGからVESPEROといったスペーシーでエキゾチックなジャズ・ロックのファン、そしてLOST WORLD等ヴァイオリン・プログレのファンには特にレコメンドです!
イタリアのシンフォ・グループ、91年作の1st。広がりのあるファンタスティックなシンセ&エレピ、哀愁溢れるリコーダー&サックス、歌心溢れるリリカルなギターをフィーチャーしたシンフォニック・ロック。繊細なタッチで丁寧に紡がれる気品に満ちたサウンドは、CAMELや初期GENESISにも一歩も引けを取らない完成度。ヴォーカル・メロディの素晴らしさも特筆もので、どの部分を切り取ってもリリシズムが溢れ出てきます。これは本当に素晴らしいですよ。傑作。
メンバーによる別プロジェクトANCIENT VEILと共同名義による19年リイシュー、デジタル・リマスター、未発表音源を含むボーナス・トラック6曲
ウクライナ出身、英国を拠点に活動する1981年生まれのキーボーディストAntony Kaluginによるプロジェクト。2019年10th。「ジキル博士とハイド氏」「宝島」などで知られる英作家R.L.スティーブンソンの詩を題材にしたコンセプト・アルバム。前作でTHE FLOWER KINGSに匹敵する途方もなく壮大でエネルギッシュなサウンドを提示した彼らですが、本作はずばり「THE FLOWER KINGS + GRYPHON」!前作を引き継いでスケール大きくダイナミックな構成で描かれるシンフォニック・ロックに、民族エッセンス豊かな管弦楽器が色彩を加える、匂い立つように芳醇な演奏のなんと素晴らしいこと。従来作にあったゴリゴリとヘヴィなパートはほぼ登場せず、終始優美な音だけで構築された、まるで丹念に作り込まれた手工芸品のように柔らかく優しい輝きを放つサウンドがただただ感動的に響きます。繊細なタッチながらも熱い叙情美をまとったプレイが胸に残るギターと、ファンタジックかつスリリングにフレーズを繰り出すシンセが一体となって駆け抜けるスタイルは、初期ジェネシスすら彷彿させる完成度。前作が彼らの完成形かと思いきや、また一段上のステージへと歩みを進めたと言える驚きの一枚。これはシンフォ・ファンにはとにかく聴いていただきたい!
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】デジパック仕様、1CDエディション、定価2990+税
ポーランドの新鋭プログレ・バンドWALFADの中心メンバーとしても活躍中のギタリスト/ヴォーカリストによる19年2ndソロで、第一次大戦後に彼の出身地シレジア地方で起きた「シレジア蜂起」を題材にしたコンセプト・アルバム。これは傑作!ギターとムーグシンセがエモーショナルに絡み、ヴァイオリンやピアノが格調高く彩る、優雅でドラマチックなメロディアス・シンフォニック・ロックを聴かせてくれます。このムーグのプレイ、どこかで聴いたことがあると思ったら、なんとSBBのJozef Skrzek!SBBでも聴かせた太くスペイシーなトーンでスリリングに疾走するシンセプレイを数曲で披露します。ギルモア調の泣きはそのままに倍の音数にしたようなテクニカルで表現力の高いギターも、シンセに負けじと躍動。弦楽も伴ってドラマチックに高まるサウンドに感動が込み上げます。またしっとり落ち着いたピアノを基調にしたヴォーカル・パートも実に味わい深く、切なさも帯びつつ朗々と歌い上げるポーランド語ヴォーカルが素晴らしいです。ポーランド・プログレらしい静謐で陰影ある音使いを織り交ぜつつ、メロディアスで開放感あるサウンドに仕上げた名品。ズバリおすすめ!2019年10月14日「ProgTokyo 2019」に出演した彼へのインタビュー記事はこちら!
2018年デビュー、90s英プログレ・バンドCYAN〜FYREWORKSで活動したメンバーを中心に結成されたグループによる19年作2nd。カンタベリー・ロックを継承するサウンドを自認する通り、CARAVANらカンタベリー・ロックをベースにした愛すべきサウンドを聴かせてくれた前作と同じく、70年代的ヴィンテージ・テイストたっぷりのプログレ/ジャズ・ロックを芳醇に鳴らします。味わい深く鳴るハモンド、ファンタジックに舞うムーグ、カンタベリー・テイストの叙情的なサックスらが紡ぐジャジーかつポップなアンサンブルと、力強く厳かに歌い上げる女性ヴォーカルのコンビネーションは相変わらず絶品。組曲も含む構築的な楽曲をCARAVAN的な軽やかさで駆け抜けるスタイルが魅力的な好盤です!
【カケレコ国内盤(直輸入盤帯・解説付仕様)】ペーパーケース仕様、定価2990+税
レーベル管理上の問題により、ペーパーケースに角つぶれがある場合がございます。予めご了承ください。
ブラジルのグループ、99年の2nd。キーボードとギターを中心とするシンフォニック・ロック。格調高くリリカルなピアノと清涼感溢れるストリングス・シンセによる美しすぎるアンサンブルと、緩急自在に奔放なフレーズを奏でるロング・トーンの伸びやかなギター・ソロが印象的。音の一つ一つに生命を感じるような、全く無駄な音の無い精緻なアンサンブルは圧巻の一言。包み込むように優しく歌われるファンタスティックなヴォーカル・メロディも絶品で、インスト曲、ヴォーカル曲とも、主旋律の美しさは特筆ものです。演奏力、歌心ともにハイ・レベルな本格派グループ。名作。
ポーランド出身、2010年のデビュー作で完成度の高いシンフォニック・ロックを聴かせた注目グループ。17年のライヴ・アルバムを経てリリースされた通算3作目となる19年作。重々しくタイトに刻むリズム・セクションに支えられて、クリアかつ無機的なトーンのシンセやピアノ、一音一音に哀愁をほとばしらせる泣きのフレーズ満載のギターが紡ぐインスト・シンフォニック・ロック。全体にスペイシーで冷ややかな印象のキーボード、激情に駆られるようなプレイに息を呑む肉感的なギター、温度差ある両者の音色が重なり合い、仄暗さと温かみを帯びた独自の作品世界を作り上げており素晴らしいです。彼らも同国の多くのバンドが志向するピンク・フロイド的な映像喚起性を有しますが、前ライヴ作でも登場したクラリネットやフリューゲルホルン、マンドリンらが他バンドとは一線を画する繊細な叙情美を添えており聴きどころとなっています。「架空の映画のサウンドトラックを作る」という結成当初からの活動コンセプトがあるだけに、なるほどダイナミックで存在感あるアンサンブルを聴かせながらも、映像を鮮やかに浮かび上がらせるようなサントラ的な奥ゆかしい音作りセンスも随所で感じ取れます。フロイド・ファンには是非おすすめの、ドラマチックかつイマジネーションに富んだ傑作です。
イタリアの新鋭シンフォ・グループによる19年デビュー作。カンタベリータイプのジャズ・ロック・グループMOOGGでも活躍するドラマーMarco Dolfiniが参加する新バンドなのですが、これはエクセレント!叙情的に鳴り響くオルガン、温かく広がるアナログ(風?)シンセサイザー、スティーヴ・ハケットに似る鋭くもデリケートなトーンで気品たっぷりのフレーズを弾くギター、そして優しく丹念に歌い上げるイタリア語ヴォーカル。全編にわたって懐かしくも胸を締め付けるような哀愁に満ちたプログレを楽しませてくれます。驚くべきは、知らずに聴けば19年作とはまず思わないほどヴィンテージな質感のサウンドながら、同系統のアプローチを取る多くのバンドの中でも抜きんでて「自然体」であること。これ見よがしにヴィンテージ楽器を鳴らすような場面は一切なく、まるで本当に70年代のミュージシャンがタイムスリップしてきて作品を作ったかのようです。初期PFMに通じるクラシカルでスケールの大きな叙情サウンドの完成度の高さも特筆。これは往年のイタリアン・ロックを愛する方ならばきっと感動が込み上げてくるはず。傑作!
実力派がひしめく現ポーランドでも屈指の人気シンフォ・グループによる、3年ぶりとなった19年5thアルバム。前作からの大きな変化として女性ヴォーカルの交代が挙げられます。前任者は美声を生かしたしっとりめの歌唱が印象的でしたが、後任はより感情を強く出すエモーショナルな歌唱が素晴らしく、これまでになくドラマ性を高めており特筆です。演奏陣はさすがで、耳を引くユニークなリズムパターンを織り交ぜて存在感を示すリズム・セクション、ポーランドらしい陰影と哀感を乗せひたすら美麗フレーズを繰り出すギター、バックを気品高く流れゆくストリング・シンセらが、呼吸をぴったり合わせ紡ぎ上げていく宝石のように美しいアンサンブルに聴き惚れます。また出番は多くないものの、物悲しいリリシズムと柔らかなファンタジーを併せ持つピアノのタッチも絶品で、LOONYPARKらしい角のないしなやかな音色使いを象徴しているかのよう。従来どおりの端正で美しいアンサンブルと新ヴォーカルが担うアグレッシヴな表情が見事に調和した傑作!
YESやGENESISから影響を受けたスウェーデン新鋭で、現ANGLAGARDでもあるキーボーディストLinus Kase在籍グループによる、8年ぶりとなった19年作。12分、17分、37分という大作3曲の構成からワクワクしますが、内容も素晴らしい!広がりあるメロトロン、色彩に富んだシンセなどキーボードをメインにした柔らかな質感を大切にしたシンフォニック・ロックとなっており、北欧のバンドに多いエレクトロ要素やメタル要素はほとんどなく、終始ファンタジックで幻想的なサウンドメイクで長尺曲を駆け抜けます。一方ヴォーカル・メロディは同郷ザ・フラワー・キングのようなスタイリッシュさを持っているのにも注目。ファンタジックな音だけで構築された純然なシンフォニック・ロックとして貴重なバンドでしょう。これはオススメ!
試聴は下記ページで可能です!
https://brighteyebrison.bandcamp.com/
90年代以降の英国プログレ・シーンをリードしてきた正真正銘の名グループ、オリジナル・アルバムとしては2年ぶりに届けられた19年作。17〜18世紀英国の貴族学生の間で行われたイタリアやフランスへの大規模旅行「グランドツアー」を題材にしたコンセプト・アルバム。レオナルド・ダヴィンチ、ローマのコロッセオ、パンテオンなどイタリアの歴史的事物をモチーフにした、これまでに増してスケール大きくロマンあふれるサウンドを楽しませてくれます。ピアノと鉄琴による密やかな演奏をバックにヴォーカルがデリケートに歌う1曲目に早くもジ〜ンと来ていると、メロトロンの高鳴りと同時に躍動感いっぱいのバンド・アンサンブルが滑り込んでくる2曲目!この冒頭ですでに作品世界にグッと引き込まれます。いつもながら見事なオープニング演出です。手数多く演奏を引っ張るテクニカルなリズム隊、シャープなキレの良さを持つエレキギター、ファンタジックに舞うシンセらが作り上げる「動」のアンサンブル。芳醇な鳴りのアコースティックギター、悠久を奏でるように格調あるヴァイオリン、繊細なタッチのオルガンやピアノらが織りなす「静」のアンサンブル。両者が一曲の中でもしなやかに切り替わる演奏の素晴らしさは必聴で、そこに総勢20人以上に及ぶ管弦楽器隊がBBTサウンドにふくよかな厚みを加えているのも特筆。癖のないピーター・ガブリエルと言えるヴォーカルの胸に迫る説得力を持った歌声も相変わらず絶品です。それにしても始動より30年を迎えるバンドがこの瑞々しいまでの音色を奏でている事に改めて驚きを禁じえません。むしろ作品をリリースするたびにサウンドが若返るような感覚さえ覚えます。現英国プログレを背負って立つ存在としての風格を持ちつつも、ファンタジックで鮮度の高いサウンドメイクで迫る傑作。
90年代以降のイタリアン・プログレ代表格FINISTERREのベーシストにして、LA MASCHERA DI CERA、HOSTSONATENなど現イタリアの重要グループを率いる才人、ソロとしては2014年『LA QUARTA VITTIMA』以来となる19年作。HOSETSONATENでプレイするドラマーも含む6人バンド編成で制作されていますが、70年代プログレの質感を重視した上記グループに対し、エレクトロニクスを大胆に導入した21世紀的なサウンドを展開。ただ無機的な印象は微塵もなく、柔らかに叙情を描くヴァイオリン、凛と格調高いピアノ、そしてイタリア語による歌心たっぷりのヴォーカルらの温かみに溢れた演奏と手を見事に取り合っているのがさすがのセンスです。アコースティック・ギターとヴォーカルをメインとする往年のカンタゥトーレ作品のような素朴なパートも随所に現れて、エレクトロニックなサウンドとの絶妙な対比を生み出します。イタリアン・ロック・ファンはもちろん、ポスト・ロック・ファンあたりにも響きそうな凝った音響づくりにも注目です。現イタリアきっての鬼才によるアーティスティックな側面が凝縮されたような一枚!
ヴォーカル&キーボードを務める女性ミュージシャンSimona Riganoを擁するイタリアの新鋭プログレ・バンド、2019年作6th。包み込むように優しくハートウォームな歌声が素敵な彼女のヴォーカルを中心に展開する叙情的なイタリアン・ロックをメインに聴かせます。とはいえ演奏は緊張感たっぷりで、スリリングに畳みかけるシンセサイザー&オルガン、切ない音色が胸に迫るフルート、滑らかでメロディアスなプレイが印象的なサックス、ゲストのクラシカルなヴァイオリン、そしてキレのあるヘヴィなプレイで演奏に強度を加えるギターらが織りなすサウンドは、往年のLE ORMEをはじめとする黄金期イタリアン・ロックをモダンに洗練させたような印象。硬軟自在のテクニカルなアンサンブルと、女性ヴォーカルによるイタリアらしい歌心が理想的に共存する注目作!
David Gilmour、Andy Latimer、Steven Rotheryらに影響を受けたギタリストSimon Caron率いるカナダはケベックのシンフォニック・ロック・バンド、19年作9th。デリケートながらも切れ味鋭いS.Rothery直系のギター、陰影あるシンセやオルガンをフィーチャーしたMARILLION由来のエモーショナルなサウンドは相変わらずながら、前作よりも全体的にしっとりと落ち着いた幻想的なサウンドに仕上がっている印象。曲調こそ重々しくも非常にスッキリとした透明感のある音作りと、鋭角的なギターが紡ぐどこまでもドラマチックなメロディ。SF映画のような壮大なイントロに始まる表題曲「Forsaken Part1〜2」を筆頭に、繊細な叙情美と伸びやかなダイナミズムが共存した非常に聴き心地のいいメロディアス・シンフォを奏でています。良作!
ミラノ出身、デビュー前はPFM、BANCO、LE ORME、AREAらのカバーをレパートリーとしていたという、12年デビューのイタリアン・シンフォ新鋭。18年リリースの通算3rd。ずばり、これぞ「正統派イタリアン・シンフォ」と呼びたい、スケールの大きさと熱きロマンティシズムが同居する傑作!まず耳を奪うのがヴォーカルで、豊かな声量と声域をフル活用して、シアトリカル要素も含みつつ伸びやかに歌い上げる、その存在感に圧倒されます。同時にロマンあるイタリア語の響きを大切にした丁寧な歌唱なのがまた素晴らしい。そのヴォーカル取り巻く演奏陣もさすが。PFM時代のF.プレモリばりに艷やかに鳴らすムーグと演奏に奥行きをもたらす壮麗なオルガンをメインとするキーボード、丹念な音運びで叙情フレーズを紡ぐギター、そしてトロンボーン、トランペット、ユーフォニウムら金管が織り上げる、どこまでもファンタスティックで気品高いアンサンブルには、イタリアン・ロック・ファンなら興奮必至。さらにヴォーカリストはヴァイオリンも兼任していて、静謐なパートで息を呑むように格調高いプレイを提供していて見事。PFMの陰影ある叙情美、BANCOのダイナミズムとロマン、LE ORMEの気品あるファンタジーを併せ持ったような驚くべきバンド。全イタリアン・ロック・ファンにオススメしたい一枚です!
859728994333(FORZA ELETTROMOTRICE)
製造上の問題により、ジャケット・背ジャケに若干折れがある場合がございます。ご了承ください。
デンマークのキーボーディストSteffen Staugaardと英国人ギタリストNeil Gowlandを中心とするインスト・プログレ・プロジェクト、18年リリース。その内容はオランダを代表するプログレ・バンド、FOCUSへの愛情をとことん詰め込んだFOCUSフォロワー・アルバムとなっており、その再現っぷりと言ったらヤン・アッカーマン在籍期FOCUSの秘蔵音源と言われても全く驚かないほど。本家の様にテクニカルな速弾きで畳みかける場面こそ無いものの、しっとりと伸びやかに紡がれるギターの旋律はアッカーマン節全開だし、明るく透明感のあるオルガンにリリシズムに富んだフルート、クラシカルな素養を感じさせるロマン溢れるピアノも往年のFOCUSを思わせる瑞々しさでいっぱい。「Janis」や「Sylvia」のように愛らしく情緒あるメロディが次から次へと溢れ出てくる1曲目からもうノックアウト確実!FOCUSファンはチェック必須の一枚です。
鬼才Fabbio Zuffantiのプロデュースで17年デビュー作をリリースしたイタリアン・プログレ・バンド、バンド自身がプロデュースも務めた19年2ndアルバム。前作はGENESIS/CAMELタイプの優美なシンフォでしたが、本作ではヘヴィなリフを次々と繰り出すギターを軸とするテクニカルでタイトなプログレへとそのサウンドを変化させています。手数多く肉感的なリズム隊とメタリックなギターがゴリゴリと突き進む強靭なサウンドがメインですが、そこにオルガン、シンセ、メロトロンを用いてヴィンテージな質感をもたらすキーボードのプレイは1stを思わせます。また繊細なタッチのクラシカルなピアノがリードする叙情ナンバーも素晴らしく、ヘヴィな曲と鮮やかに対比しながら進行するアルバム構成にも注目です。スタイリッシュながらどこか哀愁を漂わせた英語の男性ヴォーカルもいいし、1曲で神秘的な美声を響かせるIZZの女性ヴォーカルLaura Meadeのゲスト参加も特筆。スタイルは大きく変わりましたが、疾走感あるテクニカル・プログレとして一級品の完成度を誇る作品です。
英プログレ・デュオSTARS IN BATTLEDRESSで活動するRichard Larcombeを中心に、KNIFEWORLDのベーシストCharlie Cawoodやサックス奏者Josh Perlといった英国アヴァン・プログレ・シーンの気鋭ミュージシャンが集う新鋭グループ、19年デビュー作。まるでKING CRIMSONとHENRY COW、SOFT MACHINEなどのカンタベリー・ロック、それからフランク・ザッパをごった煮にしたかのような、強靭かつポップかつ複雑にねじくれたアヴァン・ポップ・プログレが実に痛快!スリリングな変拍子の中で繰り広げられる不調和なメロディ、背後で緊迫感を煽るメロトロン風キーボード、緻密に絡まり合っていくギターや管楽器。ジリジリと焼け付くような緊張感と不穏さに満ち溢れつつ、ジェントルで浮遊感のあるヴォーカルだったり、遊園地を思わせるベルやハルモニウムの音色だったりと、おどけたようなユーモアもふんだんに漂わせているのがたいへん個性的。これはチェンバー/レコメン・ファン要チェック!
2014年に結成、インドより登場した5人組プログレッシヴ・ロック・バンド!18年にデジタル音源でリリースされたデビュー作の待望のCD化となります。そのサウンドは、PORCUPINE TREE、PINEAPPLE THIEF、近年のMARILLIONあたりからの影響を強く感じさせる重厚でダークな色調のシンフォニック・ロック。重々しくタイトに刻むリズム、畳みかけるように繰り出すヘヴィ・リフからハケットやロザリー譲りの繊細な泣きのプレイまでを弾きこなすギター、そのギターとユニゾンもしつつ演奏に厚みと奥行きをもたらすシンセ&オルガン、虚空に響く物悲しいピアノ、そして端正かつ哀愁を帯びた声質が魅力の英語ヴォーカル。サウンド的にはメタリックではないのですが、各楽器にずしりとした重量感がありアンサンブルの音圧は相当なもの。なのに閉塞感はなくメロディの良さも相まってスタイリッシュに聴かせるセンスが光っています。また上記英国バンドを手本としたサウンドから、不意にギターやオルガンがオリエンタルな旋律を奏で始めるパートもあって、多くはないもののインドのグループらしさも感じられます。とにかく抜群の聴き応えを誇るシンフォ傑作です!
ヴィンテージ感たっぷりのサウンドが特色の英国プログレ/ジャズ・ロック新鋭、12年の2ndに続く19年作3rd。幻想的なオルガン、渋く味わい深いサックス、ちょっぴりリチャード・シンクレアを思わせるジェントルなヴォーカル…。カンタベリー・ロックの淡い色彩感に包まれつつ、PINK FLOYDやVDGGを彷彿とさせる仄暗さにも満ちたメランコリックな音像が胸を打つ逸品。また70年代英国プログレの叙情性を明確に受け継ぐ一方で、ドラムが刻む軽やかで柔軟性のあるリズム、感傷的なギターのフレーズなど、オルタナティヴ・ロックに通ずるモダンな感性もアンサンブルの中に自然に溶け込ませていて、並々ならぬ才能を感じます。カンタベリーの遺伝子を継いだ現代の名作の一つ。
2014年に始動した男性ギタリスト/マルチ奏者と女性ヴォーカリストによるブラジル産シンフォ・プロジェクト、待望の19年作!前17年作『WHAT I FOUND』も2人とは思えない驚くべき豊かさを内包した名品でしたが、本作も息をのむほどに静謐で幻想的な音世界が待っています。シンセ&オルガンがうっすらと幻想のベールを広げると、A.ラティマーとS.ロザリーの中間にいるような泣きのフレーズ満載の美麗ギターが舞い、スッと胸に染み入る透明感いっぱいの美声ヴォーカルが囁くように歌います。ゆったりとしたテンポのナンバーが主ですが、前作以上にロマンティックで丹念に紡がれていく優美な作品世界にじっくりと浸りたい逸品。傑作です。
BUSHMAN’S REVENGEやSHININGで知られるギタリストのEven Helte HermansenやELEPHANT9のドラマーTorstein Lofthusをはじめ、現代ノルウェー・ジャズ・ロック・シーンの名手が集ったジャズ・ロック・カルテットによる19年作1st。流麗でテクニカルなカンタベリー・ロックとKING CRIMSONやANEKDOTENといったヘヴィ・プログレが交わり合ったような、テクニカルで緊張感ほとばしるアンサンブルがすさまじく強力。カンタベリー直系のエレピが幻想的な浮遊感を漂わせたかと思いきや、そこへ重厚な圧を持って伸し掛かる強靭なギターと地を這うベースに鋭く硬質なドラム。重戦車のように突き進むリフの上でギターやキーボードの目まぐるしいインプロが火花散らす、常時テンション張り詰めた演奏にはひたすら息を呑みます。「硬派」という言葉が相応しい、怒涛のヘヴィ・ジャズ・ロック盤です。
90年代以降のインドネシアを代表するロック・バンドGIGIで活躍、00年代以降はソロ・ミュージシャンとして精力的に活動するギタリストの通算12thとなる19年作。主にジャズ・ミュージシャンを起用していた従来から一転プログレ人脈がバンドメンバーに名を連ねており、キーボードにJordan Rudess、ドラムにMarco Minnemann、そして共演したSteve Vaiも天才と絶賛したインド出身女性ベーシストMohini Dey(23歳!)という編成。1曲目のヴォーカル入りのダウナー気味なオルタナティヴ・ロックから異色ですが、聞き覚えのある雄々しい歌声はなんと元レッチリのJohn Frusciante!ギターも弾いていてソロでのDewaとのハモりも美しく決めています。他にも、Rudessのド派手なシンセソロをフィーチャーしたフュージョン+プログレ・メタルと言える2曲目、同郷のギタリストTohpati Bertigaの作風を思わせる妖艶な母国語の女性Voとスリリングなギタープレイが絡むオリエンタル・ジャズ・ロックの3曲目など、冒頭からこれまでになく多彩な音楽性を発揮。ポップ・ロック〜オルタナ〜ジャズ・ロックとジャンルを跨いで25年間活躍を続けてきたDewa Budjanaというミュージシャンの懐の深さが垣間見れます。音数多く攻めるテクニカル・フュージョンの5曲目では、もうひとりのゲストMike Sternが流石のシャープで流麗なソロを聴かせており、それに応じるDewaのプレイも非常にエキサイティング。このゲストとの間に生じる化学反応を目いっぱい楽しむかのような、どこまでも自由で色彩感に満ちたプレイこそ彼の持ち味です。ジャズ/フュージョンに傾倒していた前作までに比べ、よりロック・ファン/プログレ・ファンにアピールする内容となった意欲作!
ノルウェー出身の新鋭キーボード・トリオ、17年のデビュー作に続く19年2nd。流麗でテクニカルなジャズ・テイストに洗練されたポスト・ロック、ポップかつスペーシーなサイケデリック・ロックを混ぜ合わせた、瑞々しく洒脱なジャズ・ロック・アンサンブルは前作に引き続き見事な完成度。カンタベリー・ロックを思わせる甘いエレピ&フュージョン・タッチの煌びやかなシンセサイザーを切り替えつつ伸び伸びとメロディを紡ぐキーボード、タイトなキレ味が心地良いドラムに、硬質ながらもグルーヴィーでユーモラスに躍動するベース。柔らかく幻想的な男性ヴォーカルも相まって、非常に暖かくハートフルな音世界を展開。かと思えば時には歪んだトーンでスリリングな変拍子を繰り出したり、またポップな中にも仄かに北欧の森を思わせる翳りやちょっぴり怪しい雰囲気を含んでいたりと、カンタベリー・ファンは勿論70’sブリティッシュ・ロック・ファンの心にも訴えかけるサウンドに仕上がっています。これはオススメ!
STANDARTEやLONDON UNDERGROUNDに続き、またしても現代イタリアからヴィンテージ・テイスト溢れるオルガン・ロック・バンドが登場!60年代後期のサイケやモッズ・サウンドを思わせるマイルドなオルガンの暖かみあるメロディを軸に、粘っこく歪んだギターや重厚なベースが絡み合い、転調や変拍子を駆使しながら変幻自在に展開するサイケでハードでちょっぴり怪しいインストゥルメンタル・ロックが実にユニーク。ファンキーな裏打ちのリズム隊はやや好みが分かれるかもしれませんが、それも含めてヴィンテージな音色と現代的な感覚が混ざり合った、新鮮味のあるバンド・サウンドを聴かせてくれます。ハモンド好きは要チェック!
現在のイタリアン・ロック・シーンを代表する天才クリエイターFabio Zuffantiがキャリア初期よりベーシストとして在籍する名グループ、94年発表の傑作デビュー作『FINISTERRE』がリリース25周年を迎えるのを記念して、完全リ・レコーディングされた19年作。基本的にはオリジナルに忠実な再録となっていますが、ピアノの神秘的な反復フレーズとヴァイオリンのように格調高いギターが織り上げる1曲目からして音の深みが違います。演奏がダイナミックに動き出す2曲目以降は、現在のツイン・キーボード編成を生かした多彩なキーボード群とゲストの管弦楽器隊がドラマチックに絡み合い、より厚みある迫力のアンサンブルが繰り広げられます。メロトロンの幽玄なる響きも美しい幻想性を添えており要注目。オリジナルからのデリケートでアーティスティックなセンスを保持しつつ、色彩感と一音一音の存在感を格段にアップさせた理想的な再録に仕上がっています。未聴の方はもちろんオリジナルを愛する方もこれは必聴!
2016年に結成された米イリノイ産プログレ・トリオ、19年デビュー作。これはずばりセンス抜群!キレ良く歪んだギターのハードなリフに、ちょっぴりダミ声の男性ヴォーカル。ヴィンテージなオルガンも絡み合って昔ながらのハード・ロック・サウンドを展開したかと思えば、突如ダグマー・クラウゼを思わせる慎ましやかな女性ヴォーカルが登場し、お洒落で浮遊感のある曲調に変貌。プログレ、オルタナ、ハード・ロック、ファンクにブルーグラスにカンタベリー・ロック…。多種多様な音楽要素をブレンドし、趣の異なる男女ヴォーカルを交差させつつ、どこまでも洒脱で軽やか&イマジネーション豊かに聴かせるサウンドはたいへん個性的。ヴィンテージな新鋭ハード・ロック好きからポップなカンタベリー・ロックのファンにまでオススメしたい、期待の新鋭グループです。
2014年に始動したギタリスト/マルチ奏者と女性ヴォーカリストによるブラジル産シンフォ・プロジェクト、18年作。彼らが敬愛するバンドRUSHに捧げたトリビュート作品となっています。アレンジ自体は原曲に忠実と言えますが、ギターの響きに顕著な持ち前のドリーミーな感覚、そして艷やかな女声ヴォーカルによって丹念に紡がれるRUSHナンバーの数々が新鮮です。「Limelight」に始まり「Closer To The Heart」「Nobody’s Hero」「Tears」「Here Again」など14曲を披露。RUSHに対する素直なリスペクトが感じられる好カバー作!
ドイツ出身、83年に唯一作を残したロック・バンドDie Zockerの元ドラマーHans Jorg Schmitzを中心に06年より活動中のプログレ・バンド、6作目となる19年作。シンフォ、ハード・ロック、メタル、トラッド、ワールド・ミュージックなどを自在に取り込んで、性急に畳みかけるように展開していく痛快無比なプログレを聴かせます。ギターがヘヴィなリフで疾走するプログレ・メタルな演奏が、不意にシンセが荘厳に響くクラシカルなシンフォになり、さらにGRYPHONあたりを彷彿させる牧歌的なトラッド調になったりと、クルクルと場面が切り替わっていく楽曲構成に翻弄されます。音数の多い演奏をユニゾンも交えつつ難なくこなすテクニックも特筆ですが、七色に変化しながら壮大に広がるシンセサイザーのプレイが一際印象的で作品全体のカラーを担っています。何々風と容易には例えられない個性派プログレの秀作です。
03年より米プログレの代表グループSPOCK’S BEARDのコンポーザーとして活動してきたJohn Boegeholdが率いるグループの19年デビュー・アルバム。キーボード/ギター/マンドリンを担当する彼に、現SBのDave Meros(ベース)とTed Leonard(ヴォーカル/リードギター)、元SBのJimmy Keegan(ドラム)という4人組で、実質的にSB関連のサイド・プロジェクト的位置づけと言えます。爽やかなメロディメイクとクリアに広がる抜けのいいサウンドで聴かせる、洗練されたプログレを展開。シャープなトーンでメロディアスにフレーズを紡ぎ出すギター、艶やかなトーンの色彩感あるシンセと幻想のメロトロンが混じり合うキーボード、そして厚みあるストリングスが作り上げる明瞭にしてドラマチックな深みもあるアンサンブルはさすがの完成度。落ち着いた声質ながら伸びやかで清涼感いっぱいに歌い上げるTedのヴォーカルもやっぱり絶品です。演奏にズシリとした重量感をもたらすリズム・セクションの仕事も特筆。SBに通じる、圧倒的な聴きやすさと米プログレ然とした開放感を備えた文字通りの快作です!
99年デビュー、現アメリカン・プログレを牽引するグループによる9枚目となるスタジオ・アルバム19年作。これは凄いです。もともとヴィンテージな質感を大事にするグループでしたが、本作はこれまでにないほど往年のYESを強く意識した、明瞭でドライヴ感のある演奏とファンタジックな描写力に長けたサウンドメイクで一気に駆け抜けます。スティーヴ・ハウが弾きそうな音数多くエキセントリックなフレージングのギター、ジョン・アンダーソン彷彿の浮遊感ある男性ヴォーカル、そこに寄り添う清涼感あるコーラスなど、YESへのリスペクトに溢れたプレイが散りばめられていて素晴らしいです。ヴィンテージなシンセやオルガンによってファンタジックな音空間を作り上げるキーボード、そして女性ヴォーカルによる包み込むような美声も特筆。特に18分の大作は、YESの『DRAMA』に収録の「Tempus Fugit」を思わせる一糸乱れず疾走するテクニカルなアンサンブルで幕を明け、『Awaken』のような天上感を伴ってエンディングを迎える、感動の一曲。数あるYESリスペクトの新世代プログレ作品の中でも屈指の出来栄えと言って間違いない傑作!おすすめです。
アルゼンチンのシンフォ・グループLAQUESISに在籍したベーシストAriel Martin Lozaによるソロ・プロジェクト、19年デビュー作。緻密でタイトなリズムに乗って、鋭いエッジのギターと流麗なシンセが疾走するテクニカル・シンフォをメインに聴かせます。これだけでも十分にカッコいいのですが、中盤以降多彩に広がる楽曲もまた聴き所。叙情たっぷりのスペイン語ヴォ―カルが映える南米らしい艶やかで開放的なメロディアス・ロックを披露したかと思うと、終盤にはCAMELと本格的なケルト・タッチが合わさったような神秘的なナンバーまで登場し、オープニングとエンディングではまるで別バンドのように印象が変わっているのが面白いです。また全編にわたり特徴的なのが、ベーシストのソロらしく音数多くも芳醇なプレイで耳を引く存在感あるベース。ヴォーカルのないナンバーでも豊かな歌心を感じさせる好演も本作の完成度を引き上げています。振れ幅ある音楽性を南米叙情を織り交ぜつつ破綻なく聴かせる充実の一品!
ジャケットに若干折れ、背ジャケ側面の一部に破れによる欠損があるため、値引きセール品になります。
ご存じ現プログレ・シーンの王者と呼ぶべき人気グループによる6年ぶりとなる19年作。2015年にキーボードのTomas BodinとドラムのFelix Lehrmannが脱退して以来初のスタジオ作となっており、新メンバーにはZach Kamins(key/g)とMirkko DeMaio(dr)を迎えています。特筆はキーボードの活躍。冒頭からピアノとメロトロンがリリカルに舞うインスト小曲で幕を開けると、力強く溢れ出すヴィンテージ・トーンのオルガンでTFKサウンドに厚みをもたらします。前任者T.BodinよりはKAIPAのkey奏者Hans Lundinに近い柔らかくも芯のあるタッチのプレイが印象的です。メロトロンも随所で北欧プログレらしい透明感を描き出していて、全体のサウンド的にもKAIPA的なファンタスティックさが従来よりも強めかもしれません。もちろんRoineのエモーショナルな入魂ギターを筆頭にスケール大きく展開するTFKらしいスタイルは健在。キーボードのカラーの変化を原動力にして軽やかなファンタジーが全編を覆うさすがの力作です!
イギリスで現在最も注目すべき新鋭と言える彼らの、初となるライヴ・アルバム!18年5月のステージを収録しており、2ndアルバムからのナンバーを中心とする全9曲。冒頭、ギターがハードに唸る1st収録の「The Man With Many Faces」から素晴らしいですが、やはり2ndからのナンバーが聴きどころで「Stand Up」「The Lifeboatmen」などは、MOON SAFARIにも匹敵する瑞々しい躍動感がライヴで一層際立っており感動的。このバンドのキャッチーでクリアな叙情性を損なわない良好な音質も作品としてのクオリティを高めています。前2作が堪らなかった人なら、マストなライヴ盤!
アイスランドの新鋭プログレ・グループ、メジャー・デビュー作となった19年作。北国らしい幻想的でひんやりとした音像と、翳りに包まれた沈鬱なメロディ。ファジーに歪んだギターや厚みあるシンセ&オルガンをフィーチャーした、ヴィンテージかつサイケデリックな浮遊感のあるサウンドはPINK FLOYDを強く意識させます。かと思えば硬質なリズム隊が手数多くテクニカルに畳みかけるスピーディーなパート、またゆったりとしたメロディに乗せて悲愴感のあるメロトロン風キーボードが空間一杯に鳴らされるパートなどはかなりKING CRIMSONを彷彿。両者からの影響をモダンさとヴィンテージさがバランス良く配されたアンサンブルに昇華させた、センスの良い逸品です。
ノルウェーの注目バンドAIRBAGのギタリスト、通算4作目となる19年ソロ作。デイヴ・ギルモアへの憧れに満ちたブルース色あるエモーショナルなギターと、フロイド・ライクな静謐なドラマチックさを持った音楽性を特徴とする彼ですが、今作でもその持ち味は健在。クリアに響くアコースティックギター、ミステリアスに音を運ぶピアノ/エレピ、メロトロンっぽく厚みある出音で荘厳な雰囲気を作り出すストリングシンセ。そして73年頃のクリムゾンばりにダークかつヘヴィに畳みかけるプレイと、一音一音を情感たっぷりに鳴らすギルモア直系の泣きのプレイを巧みに織り交ぜる見事なギター。北欧のミュージシャンらしい切なくも凛とした叙情性を帯びたサウンドは、静寂に包まれた雪深い大地を映し出すかのようにイマジネーション豊かです。静謐な演出をより深めるジャズ・エッセンスも印象的で、北欧のECM系作品を思わせるリリシズムが淡く広がるようなプレイにも注目。フロイド・ファン&ギルモア・ファンはマスト・リッスンな一枚です。
07年にデビューした現北欧屈指の実力派シンフォ・バンド、19年作。英国的な奥ゆかしさを感じさせるファンタジーとキャッチ―に突き抜けたメロディで綴られる、爽快感いっぱいのテクニカル・シンフォニック・ロックは、まるで初期GENESISとSPOCK’S BEARDを合体させたかのよう!七色に輝くようなシンセとヴィンテージで味わい深いオルガン、Roine Stoltばりの歌うようにメロウなフレーズで躍動するギター、そして少し鼻にかかった温かみあるヴォーカルと一糸乱れず舞い上がるコーラスワーク。変拍子満載で音数多く技巧的ながらもヘヴィな音はほとんどなく、終始瑞々しく優美なサウンドで駆け抜けるアンサンブルに感動がこみ上げます。KAIPAを思わせるクリアな広がりを持ったサウンドメイクに北欧らしさもたっぷり感じられる傑作です。
ポーランドのミュージシャン/プロデューサーMoodManことWitold Rolnikによるプログレ・プロジェクト、2019年デビュー作。ポーランドらしい沈み込むような仄暗い旋律を基調に、PINK FLOYDからの影響を伺わせる浮遊感のあるキーボードやブルージーなギターがゆったりと幻想的な音空間を漂う、メランコリックかつノスタルジックなプログレッシヴ・ロックを展開。こちらもちょっぴりRoger Watersを意識していそうなMoodManの英語ヴォーカルはちょっぴりアクが強いものの、聴き込めば聴き込むほどじわじわと体内に染み込んでいくような味わい深いサウンドに仕上がっています。子供の声、波の音など映像喚起的なSEも交えながら、緻密に構築された作品世界を楽しませてくれる好盤です。(※冒頭部分にノイズがありますが、作品上の演出になります)
カナダはケベック出身の新鋭プログレ・グループ、女性ヴァイオリニストを擁し4人編成となった18年作5th。ラティマーばりにエモーションたっぷりな泣きのソロからエッジの立った重量リフまで圧巻のギターをメインにテクニカルに畳み掛けるシンフォニック・ロック。なのですが、同時に全編を通じてスケール大きく雄大な流れを感じさせる音作りが印象的に響きます。その決め手となっているのが随所に現れるケルト色とヴァイオリンの存在。哀愁を帯びたケルティックなアコースティック・パートに、クラシックや室内楽の素養を発揮した格調高く流麗なプレイを重ねるヴァイオリン。テクニカルなギター主体のパートと対比するドラマチックな音の流れを作り上げており素晴らしい。「静」と「動」の展開が鮮やかに交差する構築的なアルバム構成が聴きどころとなっています。
弱冠19歳のメンバーによるポーランド産プログレ・トリオ、17年のデビュー作に続く18年2nd。ピンク・フロイドからの影響も伺わせる仄暗い静謐感とエモーショナルな哀愁のメロディを持ち味とする彼ら。本作では前作以上に沈み込むようなダークさが増しつつ、同時にきめ細かなアコギやアーティスティックな感性のピアノを活かし、より深遠でセンシティヴさに満ちた音像を創り上げています。中でもアルバム名を冠した17分の大曲「Die Without Living」は現在の彼らの集大成と言えるナンバー。静謐にアルペジオを紡ぐアコギ、もの悲しく哀愁に満ちたフレーズを紡ぐギター、素朴ながらもどこか悲痛な雰囲気を湛えたヴォーカル。時に儚くしっとりと、時に雄大でドラマチックに綴られるメランコリックな旋律がたまらなく胸に刺さります。彼らならではの作風が成熟したと言える充実の一作です。
ノルウェーのキャメル系シンフォ新鋭WINDMILLのギタリストStig Andre Clasonが参加する5人組バンドの19年作2nd。哀愁を帯びたメロディアス・ギターとポンプやネオ・プログレに通じるスタイリッシュで清涼感のあるメロディメイクで、エモーショナルかつハートフルに展開するプログレはかなりの完成度。聴いていてIT BITESの2nd『ONCE AROUND THE WORLD』を思い出しました。ソリッドで重量感あるギターがリードするパートも多く、プログレ・ハード好きにもアピールするサウンドです。力作!
ポーランド出身の新鋭プログレ・バンドによる19年作2nd。前17年作と路線を同じくする、主にキーボードが担うフロイド彷彿の深遠に広がるメランコリックな音作りと、ギターを主体に肉感的に畳み掛けるヘヴィなアンサンブルを組み合わせたダイナミックなプログレを展開。前作はギターが前に出たサウンドでしたが、今作はキーボードの存在感が大きくなっている印象。豪快に唸りを上げるハモンドや静謐なタッチの物悲しいピアノ、艷やかかつダイナミックなうねりを伴ったシンセなど、多彩なキーボードワークでドラマチックに彩っており圧巻です。ギターも負けじと70年代ハードロック的な熱気を帯びたリフワークから、むせび泣くような哀切のソロまで表現力豊かなプレイで応じます。英語のヴォーカルは、やや抑揚の少ない歌唱がかえって滲み出すような哀愁を感じさせていてなかなか良いです。70年代プログレのエッセンスを強めたことで、前作の荒涼としていたサウンドに豊かな色合いが感じられるようになった力作となっています!
ノルウェー出身、キャメル系のシンフォニック・ロックを聴かせる新鋭グループによる5年ぶりとなる18年作3rd。民族楽器のように哀愁に満ちたエモーショナルな響きのフルートや、スケール大きく格調高いキーボードワーク、ハケット系のデリケートなタッチのギター、鼻にかかった優しげな男性ヴォーカル等によって作り出される、溢れんばかりのファンタジーとドラマチックな陰影を織り込んだ、これぞ叙情派シンフォ!と呼びたくなるサウンドは、キャメルへの憧れを見事に昇華したまさに正統派。冒頭24分に及ぶ大作は圧巻です。一方でアルバム後半ではエッジの立ったギターが存在感を増し、重量感あるアンサンブルでソリッドに聴かせていて、彼らならではの個性も発揮。北欧らしい幻想性も素晴らしい、ファンタスティックかつ叙情美に満ちた音世界に胸打たれる力作です。
多国籍ミュージシャンにより結成された英プログレ・グループ、高い評価を獲得した18年デビュー作に続く19年作2nd。前作と同様ニューエイジ/アンビエントの要素を取り入れた幻想的で浮遊感のあるサウンドが特色ですが、溢れ出すように豊かな美旋律、そして壮大で起伏あるドラマティックな展開はプログレ・ファンの心をガッチリと掴むもの。地平線の彼方まで広がっていくかのような透き通ったシンセサイザー、硬質なトーンで熱くエモーショナルなフレーズを紡ぐギター。深遠なウィスパー・ヴォイスの男性ヴォーカルをフィーチャーしたナンバーは勿論、10分の表題曲「A Dictionary Of Obscure Sorrows」などインストゥルメンタル曲においても多彩なメロディと展開を組み合わせ、どこまでもイマジネーションに満ちた音世界を展開している点が見事。エレクトロニック・ミュージック好きはもちろん、CAMELやマイク・オールドフィールドなど叙情的なプログレ&シンフォ・ファンに是非とも聴いていただきたい傑作です。
GENTLE GIANTのトリビュート盤などに参加する米マルチ・ミュージシャンAndy Kubickiを中心に、カナダやスウェーデン等のミュージシャンも含めて結成された多国籍グループの19年作2nd。「スペーシーなCAMEL」といった雰囲気のファンタスティックなサウンドが持ち味だった彼らですが、本作では音楽性の幅と楽曲の構築性がさらに向上。ベース、ギター、複数の音色のキーボードが軟体的に絡み合うGGさながらのテクニカルなアンサンブルを繰り広げたり、かと思えば空間的なシンセがどこまでも壮大に広がっていくジャーマン・シンフォにも通ずるパートがあったり、そしてもちろん伸びやかなギターやリリシズムいっぱいのアコギ&フルートをフィーチャーしたCAMEL彷彿のパートも披露したりと、なかなか一語で表すことのできない多彩で深遠なサウンドを創り上げています。これはずばり「CAMEL&ジャーマン・シンフォ meets GENTLE GIANT」と言える彼らの音楽性が確立した力作。シンフォ及びGGのファンは要チェックです。
99年より活動する、英国シンフォニック・ロックの代表的グループによる19年作7thアルバム。2013年作『One For Sorrow Two For Joy』以降、北欧シンフォの雄ANGLAGARD人脈が関わってきた本バンドですが、今作でもANGLAGARDの元キーボーディストThomas Johnson、現ANGLAGARDの女性フルート奏者Anna HolmgrenとベーシストJohan Brandが全面参加しています。開始から、カンタベリー・ロックを北欧的透明感と共に鳴らしたような、あまりにも淡くデリケートなサウンドに息をのみます。スッと染み入ってくる癖のない美声の女性ヴォーカルと密やかに幻想美を広げるオルガン&エレピ、美しくさえずるフルート、そして奥ゆかしいメロトロンの響き…。比較的ゆったりしたテンポで丹念に織り上げられていく美麗かつ浮遊感もたっぷりのシンフォニック・ロックが感動ものです。後半に収められた20分の大作では、ドラム、ギター、オルガンをメインにして躍動感あるダイナミックな演奏が繰り広げられ聴き所ですが、それでも持ち前の気品ある佇まいは崩さずに華麗に走り切る演奏が見事。ハンガリーのYESTERDAYSあたりがお好きなら是非聴いてみて欲しいです。オススメ!
試聴は下記ページで可能です!
https://thieveskitchen.bandcamp.com/album/genius-loci
メンバーの多くが名門バークリー音楽大学卒というボストン出身の新鋭プログレ・バンド、19年作。手数多く刻むジャズ・ロック調から人力クラブ・ミュージック調までを自在に叩き出すリズム・セクションにパワフルなオルガンや狂乱のヴァイオリン、エッジの効いたギターが切り込む、アヴァンでヘヴィかつタイトに引き締まったアンサンブル。そこにケイト・ブッシュやダグマー・クラウゼを過激にしたような「もの凄い」女性ヴォーカルが乗る、相変わらず我が道を突き進むアヴァンギャルド・プログレが強烈です。思わずのけぞってしまいそうなヴォーカルを筆頭に感情的に高ぶりを見せるパートから、一瞬にしてクールダウンし静謐な音空間を作り出すこの「高低差」は圧巻。容易に何々風と例えるのも憚られる、これぞ「孤高」と呼ぶべき一枚です。
ポーランドのプログレ・ユニットによる、EP2枚を経ての19年1stフル・アルバム。マルチ・ミュージシャンBartosz Gromotkaによるソロ・プロジェクトで、ギター、ベース、キーボード、ドラム・プログラミング、ヴォーカルと全楽器を自身で演奏した意欲作です。キング・クリムゾン影響下のヘヴィ・プログレと、ポーランドらしい陰影を帯びたメランコリックな音響を融合させたようなスタイルが特徴的。特筆は主役と言えるギターのプレイで、唸るようにヘヴィなトーンで繰り出すリフワーク、エモーショナルに泣きのフレーズを紡ぐリード、瑞々しいタッチのアコースティックギターなどをオーバーダブで重ね合わせ、シリアスながらもリリカルで幻想的な音世界を築き上げるサウンドメイクが見事。ここぞという場面で湧き上がってくる(疑似?)メロトロンもツボを押さえているし、揺らめくような淡いヴォーカル&コーラスもデリケートな世界観にマッチしていて、音選びのセンスの良さが光ります。クリムゾン・ファンやポーキュパイン・トゥリーのファンにオススメの逸品!
13年にデビュー作をリリースしたイタリアの新鋭バンドによる19年作3rd。前作がカンタベリー風味も香るジャズ・ロック・スタイルだったのに対し、本作ではポスト・ロック的な洗練も加味したテクニカルかつタイトなモダン・シンフォニック・ロックへと大きく舵を切っていて驚きます。ゴリゴリ刻むヘヴィなリフワークから爆発的に音数を詰め込む圧巻のソロまで縦横無尽なギターを筆頭に、エッジの立った鋭角的な攻めのアンサンブルがカッコいいですが、一方でフルートやモーグ、ハモンド、メロトロンが柔らかに織り上げる美しい叙情パートが挿入され、イタリアン・プログレのDNAをしっかりと堪能させてくれるのも素晴らしい。ラスト・ナンバーはそんな今作の音楽性を凝縮したような一曲で、ゲストによるつややかな管弦アンサンブルと、一転してリリカルに歌うギターが寄り添うスケール大きく感動的な展開と、両者がスリリングにもつれ合う緊張感あるエンディングが見事に対比した名曲。ずばりセンス抜群の快作!
ポーランドの新鋭グループによる19年作。柔らかくも激しくも自在なメロディアス・ギターと美しいシンセサイザーやピアノを中心とする、ニューエイジ色も加味したイマジネーション豊かなインスト・シンフォを奏でる逸品です。
80年より活動、94年に1stアルバムをリリースしたイタリアン・シンフォ・グループ、09年2ndより10年ぶりとなる19年作3rdアルバム。GENESIS/CAMEL/GG/ELP/R.WYATT/F.BATTIATO/LE ORMEなど英伊プログレの名曲をカバーした力作となっています。1曲目「La cura」にはゲストとしてアンソニー・フィリップスとスティーヴ・ハケットという大物2人を迎えており、フィリップスの繊細な12弦ギターの上をハケットのエモーショナルなギターが飛翔するパートは感涙ものです。ヴァイオリンやサックスが躍動するGENESISの「Dusk」、色彩感に溢れたアレンジが素晴らしいGGの「Funny Way」、ジャジーなエッセンスも香る洒脱なLE ORME「Felona e Sorona」などなど、イタリアのバンドらしい地中海テイストも交えた好カバーが満載の一枚です!
スコットランド出身のギタリストで、GENESISの3代目ヴォーカリストRay Wilsonのバンドメンバーとして、またスコティッシュ・フォーク・シーンの重鎮Dougie Macleanのツアーメンバーとして知られるミュージシャン。11年ソロ作。ブルース・フィーリングを和らげスタイリッシュになったギルモアと言えそうなエモーショナルで色彩あるギターサウンドを軸に、プログラミングも織り交ぜながら幻想的に紡がれていくメロディック・ロック。実験的でミステリアスなパートもあるのですが、それらも含め楽曲を構成する「音」すべてが美しく、難解さを微塵も感じさせずナチュラルに耳を通り抜けていくとても心地よい音楽体験を味わわせてくれます。一方ソロでは叙情派ギタリストとしての実力を発揮しており、温かみあるトーンで泣きのフレーズを畳み掛けるプレイはグッと来てしまう素晴らしさ。本人によるナイーヴなヴォーカルも、幻想的な世界観に儚げに揺らめくようでいい感じです。ギター/ヴォーカル以外にキーボード/ベース/プログラミングも自身が担当、マルチプレイヤーとしてサウンドクリエイターとしての類まれなる才覚を感じさせる好作品です。
2014年に結成されたポーランドの新鋭プログレ・バンド、19年作。フロイドのメランコリー、キャメルの叙情美、IQやペンドラゴンといったネオ・プログレに通じるハードタッチも交えた明快な曲展開などを併せ持った、メロディアスで抜けの良いシンフォを聴かせます。特筆はギターで、アンディ・ラティマーを受け継ぐ泣きのフレーズ溢れるプレイに速弾きも交えたスタイルで駆け上がるパートはかなりドラマチック。キーボードが担うポーランドらしい陰影も随所に感じられる力作となっています!
ブラジルの新鋭ジャズ・ロック/フュージョン・グループMAHTRAKのキーボーディストPaulo Vianaによるプロジェクトの19年作。MAHTRAKのギタリストがゲスト参加しているほか、UNIVERS ZEROのバスーン奏者Michel Berckmansも1曲で参加しています。カンタベリー・ロックやフュージョンを取り込んだ涼やかな作風はMAHTRAKと同系統ながら、アグレッシヴなギターをフィーチャーしたMAHTRAKに比べるとキーボード中心の叙情的なサウンドに仕上がっているのが印象的。とりわけ顕著なのがCARAVANからの影響で、時にコミカルに跳ね、時に鋭く駆け抜けるデイヴ・シンクレア直系のファズ・オルガンは勿論、繊細なメロディをジェントルに歌い上げるヴォーカルもパイ・ヘイスティングを意識していそうでニンマリしてしまいます。またもう一つの特徴が、ジャケットからも伺える通りのスペーシーでSFチックな雰囲気。22分を超える最終曲ではCARAVAN由来の流麗なジャズ・ロック・パートと、荘厳なメロトロンや鋭くうねるシンセをフィーチャーした古き良きジャーマン・シンフォ彷彿のパートが同居し、壮大かつ内容盛り沢山な”シンフォニック・ジャズ・ロック”と言えるサウンドを創り上げていて圧巻です。往年のカンタベリー・ロックやシンフォ・プログレに通ずるファンタジックさに溢れた南米ジャズ・ロックの好盤!
90年代初頭より活動するベテラン・イタリアン・プログレ・バンドによる 19年作。以前からイタリアン・ロックの枠組みを超えた個性派として知られてきましたが、本作でもその孤高のサウンドは全開。スペース・ロック、シアトリカル・ロック、インド音楽、地中海音楽などを、AREA風のアヴァン・ロックでつなぎ合わせたかのような異次元サウンドは軽く眩暈が起きそうなすさまじさ。冒頭30分にわたり続く「Dark Matter」でノックアウト必至です。前17年作でも思いましたが「どういう発想からこんな音楽が生まれてくるの?」と問いかけたくなる、圧倒的に濃密なサウンドに飲み込まれる強烈な一品です!
16年に名作と呼ぶべき完成度のデビュー作をリリースした英シンフォ・グループによる待望の19年2nd。路線は前作を踏襲するもので、JADISや90年代のMARILLIONあたりのネオ・プログレ・バンドを彷彿させつつも、より繊細かつメランコリックに仕上げられた叙情派シンフォニック・ロックが絶品です。輝かしい気品に満ちたピアノとスティーヴ・ロザリー風のメロディアスに駆け上がる泣きのギターが美しく躍動し、声質は高めながらどこかスティーヴ・ホガースを想起させる男性ヴォーカルがドラマチックに歌うスタイルは、前作以上にスマートに洗練された印象を持ちます。持ち味と言えるピアノとヴォーカルが主役のリリシズムいっぱいの叙情バラードも素晴らしい。前作が気に入ったならまず間違いなしの、さすがの名品!
02年結成、イギリスの新鋭グループによる19年作5th。シンセとピアノをメインとする浮遊感ある音空間と、硬質に鳴らされるギターが劇的に対比しながら迫ってくるモダン・プログレッシヴ・ロック。浮遊感あるパートでのヴォーカルやキーボードは少しRADIOHEADあたりのUKロックに通じる質感があって印象的です。
スペイン出身、イタリアのYUGENと共に現チェンバー・ロック・シーンを代表するグループの、スタジオアルバムとしては5thとなる19年作。HENRY COWやUNIVERS ZEROら往年のRIO系バンドの影響下にある正統派チェンバー・ロックを軸に、映像喚起的な優美さも加えたスタイルが特徴。バスーン、フルート、チェロら管弦楽器と、オルガン、ギターが描く、ピリッとした緊張感あるタッチと柔らかく芳醇なタッチがしなやかに切り替わるアンサンブルは、UNIVERS ZERO+PICCHIO DAL POZZOと言えそうな素晴らしさです。鋭いトーンで切り込むギターが主導するクリムゾン的な攻撃性を伴い知的に暴走するパートも大変カッコよし。数曲でほんのりと香るエキゾチックな地中海テイストもチェンバー・アンサンブルに見事に馴染んでいて聴き所。孤高の境地を感じさせる名品です。
12年デビュー、ポーランド出身の新鋭プログレ・グループによる18年作4th。ビシッとタイトなプレイでアンサンブルを引っ張るリズム隊、歪んだトーンでザクッと刻むリフレインとS.ロザリーあたりを想わせる気品に満ちたメロディアスなソロを弾き分けるギター、あまり前には出ないが奥行きある音作りに貢献するオルガンやシンセ。従来どおりピンク・フロイドからの影響を感じさせつつも、より外に向いた開放的な響きを持つメロディアス・プログレを特徴とします。スタイリッシュにまとめられた洗練のアンサンブルに対して、ポーランド語の耳慣れない異国的な響きがいい対比を生み出しており魅力的。また一曲ながらマンドリンを大胆に取り入れたハードなシンフォ・ナンバーがあり、これがまた大変カッコ良し。今作も、先人へのリスペクトを随所に感じさせてくれるモダン・プログレッシヴ・ロックの逸品に仕上がっています。
イギリスの新鋭プログレ・グループによる19年デビュー作。PINK FLOYDやPORCUPINE TREEからの影響が強い、メランコリックに揺らめく音空間が美しいモダン・プログレを鳴らします。幻想的に響くアコギのリフレインとたなびくシンセが重なり合って生まれる優しくもダークな陰影を帯びたサウンドの中を、ギルモア憧憬のブルースフィーリングと現代的なソリッドなキレの良さを備えたギターとデリケートに歌う男性ヴォーカルが交錯、ドラマチックに広がる音世界で聴き手を圧倒します。テクニカルに攻めるタイプではなくテンポは全体にゆったりとしていますが、丹念に色彩を折り重ねて情景を描くようなアンサンブルが静かな感動を呼び込む名品です。IT BITESのJohn Mitchellが参加。
92年にデビューしたフランスのシンフォニック・ロック・グループ、2枚組の大作となった19年作10th。ジェネシス、フロイド、キャメルらの影響が大きい端正な英国式シンフォニック・ロックと言えた前17年作に比べ、ANGEらフレンチ・プログレの本流に連なるシアトリカルで濃厚なサウンドへと姿を変えています。演奏を牽引するのがフランス語で歌うヴォーカルで、フランス語の耽美かつアンニュイな響きを尊重しつつ自己陶酔気味に歌い上げるスタイルは、まさにANGEのFrancis Decamps直系。優雅に広がるシンセサイザーや繊細なタッチのピアノ、ギルモア風のエモーショナルなプレイからS.ロザリー風の気品たっぷりのメロディアスなプレイまでを見事に弾き分けるギターなど、シアトリカルなヴォーカルに劇的なサウンドで応じる演奏陣の腕前も特筆です。ディスク1でドラマチックで密度の高いフレンチ・シンフォを堪能したかと思うと、ディスク2はなんと42分にわたる超大作が収められており仰天。SEやサウンドコラージュを各所にまぶしつつ神秘的な音作りで綴る映像喚起的なサウンドが繰り広げられます。ここではフロイド風の深遠なタッチも多く聴くことができ、やや不気味なSEも相まって『THE WALL』あたりを彷彿させる場面もあり。四半世紀に及ぶ活動の中で培ったバンドの音楽性をすべて注ぎ込んだような、これぞ渾身の力作です!
アルゼンチンのギタリスト、セルヒオ・アルバレスによる18年ソロ作。アストル・ピアソラの孫であるダニエル・ピピ・ピアソラ(Drum)、マリアーノ・シボリ(Bass)ら現代アルゼンチン・ジャズ・シーンの気鋭ミュージシャンが集っており、アグレッシヴなディストーション・ギターを中心に各楽器が強靭なインプロヴィゼーションを繰り広げる緊張感たっぷりのアヴァン・ジャズ・ロックを聴かせています。縦横無尽に変態的フレーズを弾き倒すギターと地鳴りの如きベース、激しく叩き鳴らされるドラムがジリジリと火花散らし合い上り詰めていくパートはKING CRIMSONも彷彿。非チェンバー系アヴァン・ジャズ・ロックがお好きな方は是非!格好いいです。
GOBLIN REBIRTHや、フロイド・トリビュート・バンドから発展したグループFLUIDO ROSAなどで活動するkey奏者Danilo Cherniを中心とするイタリアの新鋭グループによる18年作。地中海民族音楽の素地を感じさせる瑞々しくエキゾチックなサウンドを基本として、そこにOPUS AVANTRA彷彿の張り詰めた芸術性、そしてFranco Battiatoばりのエキセントリックな感性が合わさったような、孤高の音楽性が発揮された一枚。パートごとに別の曲かと思ってしまう急展開の連続で、次に出てくる音がまったく予想できないサウンドが見事です。OSANNAのLino Vairetti、JUMBOのAlvero Fella、RRRのLuciano Regoliなど、イタリアン・ロックのレジェンドたちが各曲でメイン・ヴォーカルを務めているのも聴きどころ!
FLAMBOROUGH HEAD、TRION、LEAP DAYなど、キャメル・タイプのシンフォ・グループの数々で活躍するオランダのギタリスト、19年5th。従来からの作風であるアコースティック・ギターによる瑞々しいソロ・ギター曲を中心に、1曲目のようなバンドによるCAMEL風のメロディアスなインストも交えたスタイルで終始リリカルで叙情的に聴かせます。相変わらず、休日の昼下がりにじっくりと聴き入りたくなるサウンドです。1曲でKARFAGENのAntony Kaluginがロマンティックなシンセを弾いていて、Eddieの甘いギターと優美に絡み合うパートはCAMELファンなら泣きそうになるかも。終始優しい音色で聴き手を癒してくれる一枚となっています。
05年から活動するフランスはパリ出身のジャズ・ロック/チェンバー・ロック新鋭グループ、19年作。”Live at Yoshiwara”とありますが、来日公演というわけではなく、Yoshiwaraをイメージして制作された空間で行われたライヴ・パフォーマンスとなっています。総勢10人のメンバーが参加しており、ギター、ピアノ、アコーディオン、サックスらが即興も織り交ぜつつ疾走する、流麗かつキレのあるテクニカル・ジャズ・ロックは悶絶もののカッコよさ!特にフリップ風の鋭く緊張感あるプレイを聴かせるギターが特徴的です。他にもアコーディオンが哀愁たっぷりに歌うタンゴ・ジャズから、ヴァイオリンがメインの室内楽風のクラシカルな曲まで、多彩なスタイルを切り替えながらもしなやかに進行するパフォーマンスは芸術的ですらあります。
70年代アルゼンチン・ロック憧憬に満ちたサウンドを聴かせたVADE RETROのKey奏者&コンポーザーのLucas Bustosが、VADE RETRO解散後に結成したバンド、2019年の2nd。ポスト・ロック的なクリアで静謐感ある音作りながら、アルゼンチン・ロック最高のグループSERU GIRANの遺伝子を確かに受け継いだそのサウンドは、言うなれば「音響にこだわったSERU GIRAN」。音の断片が煌めくような美しい音響空間の中で、しとやかなタッチのピアノ、メロウで陰影豊かなギター、優しく歌うヴォーカルらが、温もりあるアンサンブルを紡ぎ出していきます。ダイナミックに演奏を引っ張るロックなプレイから、どこまでも繊細なジャジーなプレイまで自在なリズム隊も相当な実力。往年のアルゼンチン・ロックと現代的なスタイルを理想的に融合させた素晴らしい一枚です!
15年にデビューしたポーランドのプログレ/アート・ロック新鋭、4年ぶりとなる19年作2nd。前作でも聴かせた孤高の世界観は健在です。まず耳に飛び込んでくるのが艶めかしくもアーティスティックな女性ヴォーカル。浮遊感あるパートでの囁くような歌声はビョークを強く意識している印象ですが、一方で多重録音した自身のヴォーカルが折り重なって迫ってくるようなパフォーマンスは、蠱惑的と言える妖しい魅力を放っていて特筆。サウンドはエレクトロニカ色が強いですが、うっすらと音色を重ねるヴィンテージ・トーンのオルガンや幻想的なトーンで響くギターも実に美しく、エレクトロなサウンドに人肌の温かみを添えています。ヴォーカルに加え作曲とプログラミングも手掛けるMarzena Wronaの才能にまたもや圧倒される力作!
2002年結成のジャパニーズ・プログレ・バンドによる19年作2ndアルバム。バンド名からも窺えるように、当初はYES『DRAMA』の再現パフォーマンスを目的に結成されたというだけあって、80年ごろのYESサウンドを絶妙に取り入れたキャッチ―で色彩感に溢れたファンタジックなプログレを鳴らします。重量感たっぷりのダイナミックなリズムワーク、アグレッシヴかつツヤのあるギター、ファンファーレのように輝かしいシンセ、芳醇な響きのオルガン、そしてネイティブと遜色ない英語詞で声量豊かに歌い上げるヴォーカル!テクニカルで密度の高いアンサンブルから、熱いエモーションが溢れ出してきます。楽曲も多彩で、まるで「Tempus Fugit」のように疾走感いっぱいのナンバーから、80年代ロックを思わせる煌びやかなポップ・チューン、ドラマチックなバラード、そして壮大なスケールで盛り上がるシンフォニック・ロックまでを、素晴らしい完成度で聴かせ切ります。YESファンを筆頭にあらゆるプログレ・ファンに聴いてほしい快作です!
自分たちのサウンドを「タンゴ・プログレ」と名づけるアルゼンチンのプログレ新鋭バンド、デビュー作から4年ぶりとなった19年作2ndアルバム!スリリングかつ哀愁に満ちたバンドネオンの音色をリードに据え、キレのあるリズム・セクションに乗ってつややかに疾走するスタイルは、まさしく「タンゴ・プログレ」を冠するに相応しいもの。母国の巨匠ピアソラからの濃厚な影響を感じさせつつも、SERU GIRANばりのリリカルかつフュージョン的洗練も帯びたラテン・ロック・テイストもたっぷりで素晴らしい。時折ヒップホップのようなノリも顔を覗かせていて、タンゴの伝統を下敷きにしながらもとことんクリエイティブに構築されたサウンドに痺れる一枚です!
英国マンチェスター出身の新鋭プログレ・バンド、フル・アルバムとしては3枚目となる19年作。シンフォニック・ロックの壮大さとアンビエント的な静謐さを併せ持ったキーボード、美しく澄んだ歌声を優しく響かせる女性ヴォーカルを中心に、深遠でメランコリックかつどこまでも透明感に満ちたメロディック・ロックを展開。エレクトロニカに通ずる洗練された音響効果も要所に用いつつ、心に沁み入る優美なメロディをフィーチャーすることにより、どこかノスタルジックな雰囲気にも包まれた暖かみあるサウンドを創り上げている点が素晴らしい。AMAROKやGASPACHOあたりのファン、また清涼感に満ちた女性ヴォーカル好きは要チェックの逸品です。
03年結成の英国シンフォニック・ロック新鋭による19年作4th。PINK FLOYDやBJHなど70年代英国プログレへの憧憬を感じさせる叙情的な作風を特徴とする彼らですが、本作でもそれは健在。ハード・ロック・テイストのあるキレ味鋭いギターにメロディアスに広がるシンセ、陰りあるメロディをエモーショナルに歌い上げるヴォーカル。スッキリと現代的な印象もありつつ、各所で牧歌的なアコギや情感豊かなピアノなどのアコースティックな質感を取り入れた英国的な繊細さ滲み出る音像には思わずニンマリ。決してテクニカルに攻めるグループではありませんが、愛すべき魅力を感じる歌ものプログレです。
Neuoberschlesien、Oberschlesienなどのハード・ロック/インダストリアル系バンドでの活動歴を持つポーランドのギタリスト/マルチ・プレイヤー、ソロ名義では初となる19年作。ギターとベースを担当する本人とドラマーのユニット体制で制作。幾重にも重ね合わせた分厚くヘヴィなギターサウンドが圧巻のプログレ・メタルを展開。嵐のような轟音ヘヴィ・リフの波状攻撃にのけぞってしまいそうになりますが、その中からメロディアスで哀愁あるフレーズのソロが浮かび上がってくる作風が特徴で、ヘヴィネス一辺倒ではない叙情性も秘めたサウンドが印象的。ギターサウンドのみを用いた美しいアンビエントな演出の巧みさも光ります。
アメリカの新鋭プログレ・グループ、前作より14年ぶりとなる19年作3rd。哀愁を帯びたトーンのギター、オルガンやシンセなど70年代テイストを漂わせる各楽器の音色と、シャープで歯切れのいいアンサンブルの組み合わせがユニークなメロディアス・プログレ。力強く飛翔する入魂のギターが主役のCAMEL系叙情派シンフォを聴かせたかと思うと、SAGAばりのギラギラしたプログレ・ハードが炸裂したりと、振れ幅あるスタイルはさすがアメリカです。70年代プログレ・ファンならグッとくるポイントたっぷりの力作。
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