2018年11月4日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
こんにちは。スタッフみなとです。
音楽を聴いていて、スティール・ギターやフィドルの響きが聞こえて来ると、何だか懐かしいような不思議な感覚になりませんか?
人の根源的なところに訴えてくる響きがあります。なぜなのでしょうか・・・
1920年頃にアメリカで誕生したカントリー・ミュージックは、イギリスやアイルランド、スコットランド、ヨーロッパの人たちがアメリカに移住して発展させた音楽です。
なので英国フォークと根っこは同じ、なのかも知れませんね!
さて、英国のミュージシャンのなかに、カントリー・ミュージックに魅せられた人が多くいます。
カケレコ棚にも多くありましたので、聴いていきたいと思います。
まずはあの超有名ミュージシャンです。
エルトン・ジョンというと、ヒット曲を飛ばしたスーパー・スターというイメージですが、70年の今作はアメリカのルーツ・ミュージックの影響色濃いアーシーな作品です。
ロッド・スチュワートもカバーした「Country Comfort(故郷は心の慰め)」では、スティール・ギターの柔らかな響きが郷愁を誘い、少し掠れたエルトンのボーカルと相まって、味わいあるエルトン流のカントリー・ロックを奏でています。
アルバムを聴き進めていくと、そこかしこに英国的な少し憂いあるポップなメロディーも顔を出し、今作の中でアメリカとイギリスが溶け合っているのを感じます。
イアン・マシューズが抜けて、よりカントリー・ロック志向となった「サザン・コンフォート」、71年作。
カール・バーンウェルとマーク・グリフィスによるソングライティングが抜群の素晴らしさで、イーグルスやCSN&Yに影響を受けたアーシーなサウンドのなかに、米国では絶対に出せないメランコリックさが溶け込んでいて、たまりません。
グリムズやプレインソングで活躍した英いぶし銀SSW/ギタリスト、70年1stソロ作。
カントリー・フレイヴァーはあるもののカラッとした感じはなく、淡く鳴らされるハモンドオルガンやメロトロンも手伝ってリリカルで端正な英国叙情に溢れています。
あとこの人、気負いのない歌い方の少し掠れたボーカルが本当に素晴らしいです。
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英国が誇る実力派ホワイト・ソウル・シンガー、ジェス・ローデンのバンド、70/71年作。
バッファロー・スプリングフィールド、CSN&Yに影響された強いアメリカ志向のサウンドですが、アメリカのカントリー・ロックにあるカラッと乾いた音ではなく、英国的なくぐもった質感が出ているところがいいですね。
英国6人組ロック・バンド、69年唯一作。後のHEADS HANDS & FEETとなるアルバート・リー、トニー・コルトン、レイ・スミスを中心としたメンバー。
オルガンが荘厳なプロコル・ハルムばりの濃厚なブリティッシュ・ロックあり、ドノヴァン風フォーク、米憧憬カントリー・ロックなど、英米折衷のごった煮ロックです。
アルバムより、歌詞からもアメリカへの憧れが溢れる曲をどうぞ。
POET AND THE ONE MAN BANDが発展して出来たバンド、HEADS HANDS & FEET。
グルーヴィーなリズム隊、哀愁と男気に溢れたヴォーカル、芳醇なフレーズでかぶさるピアノ、メロディアスなギター・・・バンド全体がウネリを上げで聴き手をなぎ倒します。
高速のカントリー・ミュージックから一転して、アルバート・リーのギターが格好よく炸裂する曲をどうぞ。
アルバート・リーつながりでこちらを。MR.FOXの女性ヴォーカルによるソロ作です。
名ギタリストALBART LEEやのちにCHAS & DAVEを結成するベーシストDAVE PEACOCKらが参加し、骨太なカントリー・ロックを奏でています。
一方トラッドに根ざしたストイックなメロディも多く収録されており、キャロラインのアクの強いボーカルにより独特の味わいある作品に仕上がっています。
いかがでしたでしょうか。少しでもお楽しみいただければ幸いです。
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デレク&ザ・ドミノス『レイラ』やジョージ・ハリスン『オールシングス・マスト・パス』など、華々しいトップ・アーティスト達による英スワンプ名作の裏に、マイナーながら、米ルーツ・ミュージックのコクと英国的な叙情性や牧歌性が絶妙にブレンドされた愛すべき作品が数多くリリースされています。そんな愛すべきニッチなブリティッシュ・スワンプ作品をピックアップいたしました。
紙ジャケット仕様、ガス・ダッジョン監修による1995年デジタル・マスター採用、ボーナス・トラック2曲、定価2141
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
00602557681901/LC03098(ROCKET)
3枚組ボックス、各CDはペーパーケース仕様、ハードカバーブックレット・カード5種付仕様、全51曲
盤質:傷あり
状態:良好
MATTHEWS SOUTHERN COMFORTの残党たちによるグループ、71年作。アメリカのフォーク・ロックに影響を受けたサウンドで、スティール・ギターやコーラスが気持ちよく響く上にいなたい素朴なボーカルが乗っかり、心地よさ満点です。イーグルスやCSN&Yのような華やかさは少ないながら、英国情緒をにじませた味わい深いサウンドです。
アメリカン・フォークに心奪われた英国SSW、イアン・マシューズがフェアポート・コンヴェンション脱退後に結成したバンド。70年作1stと同じく70年作2ndとをカップリングした2in1CD。ペダル・スティールなどでアメリカっぽさを演出すればする程浮き上がる英国的な叙情性溢れるメロディー。とにかく美メロ満載。乾いたアレンジと田園を思わせる湿ったメロディーとの美し過ぎる調和が心に響く名作。
元フェアポート・コンヴェンションのシンガー、イアン・マシューズが結成したフォーク・ロック・バンド、Matthew’s Southern Comfortが発表した3作のアルバムから選曲されたベスト。アメリカン・フォーク・ロックを意識しつつも、曲の隅々から滲み出る英国臭さが絶品。田園を思わせる湿ったメロディーと暖かみのある彼の歌声は、いつ聴いても心和みます。
リヴァプール・シーンやグリムズやプレインソングでの活動でもソロでも英ロックのファンにはお馴染みのいぶし銀SSW。73年の3rdソロ。プロデュースは、サンディ・ロバートソン。米ルーツへの憧れからこぼれ落ちる英国的な陰影に富んだ叙情美やシニカルなタッチや牧歌性。郷愁と緊張感とのバランスが絶妙で、これぞ英国フォーク・ロック/SSWと言えるサウンドを堪能できます。リチャード・トンプソン、名ペダル・スティール奏者B.J.Cole、イアン・マシューズ、ニール・イネスなどによる、アンディ・ロバーツにも負けないいぶし銀のアンサンブルも聴き所。
Jess Roden率いる英フォーク・ロック・グループ、70年作1st。カントリーやスワンプ・ロックを吸収した土の香り漂うアンサンブル、メロウなヴォーカル&暖かみあるハーモニー、哀愁溢れるメロディーが印象的。無骨なジャケットとは異なり、英国的な翳りを感じさせる黄昏色の好盤。
ジェス・ローデン率いる英フォーク・ロック・グループ、71年作。ジェスの豊かなボーカルと、靄のかかったような英国情緒をたたえたバンド・サウンドが美しく溶け合っていて、たまらない味わい深さです!まず「Amber Moon」のメロウなサウンドにいきなり痺れてしまいます!うんとスローなテンポで鳴らされるアコギのストローク、空中に溶けていきそうなキーボードやピアノの浮遊感あるサウンド…。その中を、ソウルフルかつまろやかに歌い上げるボーカル。なんと芳醇な楽曲でしょうか!終盤に向けて熱さを増していく展開もいいですね。続く「Time Slips Away」はグレイトフル・デッドの「アメリカン・ビューティー」に出てきそうなアーシーでフォーキーな楽曲。「Woman」ではタイトなリズム・セクションとツイン・ギターのヘヴィなサウンドで、ジェスのボーカルはポール・ロジャースを思わせるワイルドさです。「New Day Avenue」はまた一転して、繊細で哀愁あるメロディにギターとボーカルが溶け合う、英国のどっぷりと曇った音世界。ついつい何度もリピートしてしまう、見事な展開、かつ奥行きある作品です。
名ギタリストAlbert Lee、後にCHAS & DAVEを結成するフィドラー&バンジョー奏者CHAS HODGESが在籍のグループ。71年作の2nd。1曲目から強烈にカッコ良し!グルーヴィーなリズムから入り、哀愁と男気に溢れたヴォーカルがソウルフルな歌を聞かせ、ピアノが芳醇なフレーズでかぶさり、そして2コーラス目から入るギターによるリズミックかつメロディアスな必殺リフ!さらにハモンドが加わり、バンド全体がウネリを上げで聴き手をなぎ倒します。ものすごい名曲!その後も、次から次へとグルーヴィーかつメロウかつ英国的な叙情に溢れたメロディ&アンサンブルで畳み掛けられ、バンドに飲み込まれます。これは素晴らしいアルバム!英スワンプ・ロックを代表する興奮の名作!
後にクラプトンとも活動する敏腕ギタリストAlbert Lee率いるブリティッシュ・ロック・グループ、73年の3rdアルバムにしてラスト作。英国的な叙情性溢れるメロディ、スワンプやカントリーのエッセンスを取り入れた芳醇なアンサンブルが印象的。ストリングスやピアノがフィーチャーされていることもあり、土臭さはなく全体的に流麗なところがいかにも英国。PARRISH & GURVITZ BAND、MARK ALMOND、PROCOL HARUMなどと通ずる哀愁が滲む好グループ。
英国プログレッシヴ・フォークの名バンドMR.FOXの女性ヴォーカリスト/フィドラーCAROLANNE PEGGによる73年のソロ唯一作。ゲストには、カントリー奏法を修めた名ギタリストALBART LEEやMR.FOXのドラマーALAN EDEN、のちにCHAS & DAVEを結成するベーシストDAVE PEACOCKらが参加しています。アコギやフィドル、バンジョーなどをフィーチャーしたMR.FOXに通ずる土着的なトラッド・ナンバーはもちろん、ALBART LEEのマイルドなエレキが味わい深いカントリー・テイストの爽やかなナンバー、CAROLANNEの奏でるハルモニウムが郷愁を誘う美しいナンバー、さらにはLEEのギターが重厚&ソリッドに炸裂する10分越えの楽曲などなど、多彩な音色を用いたヴァラエティ豊かなサウンドが魅力。なおかつどの楽曲でもちょっぴりアクのあるCAROLANNEのヴォーカルが重たくミステリアスな雰囲気を加えており、実に個性的。男女二声ヴォーカルのMR.FOXとはまた違った彼女の魅力を味わうことのできる一枚となっています。
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