2018年6月8日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ,今週のカケレコFacebook
雨の多い地域と言えば、イギリスですよね。しとしと細かい雨の多い英国では、音楽もどこか陰りを帯びている感じがします。
さて今週は、「アメリカ愛の強い英バンドランキング」というテーマで、facebookに投稿してまいりました。
60年代初頭に米国から渡ってきたR&Bやロックン・ロールが英国の若者を魅了し、60年代半ばになると英国のバンドが米国の音楽チャート上位を独占する「ブリティッシュ・インヴェイジョン」が起こり・・・と、相互に影響を与えてきた米国と英国のロック・バンドたち。
さらにロックの多様化が進んだ60年代後半や70年代になると、今度は英国で「自分達の伝統」とは異なる「アメリカのルーツ・ミュージック」への憧れが一種のブームとなり、著名なミュージシャンたちがこぞってその要素を取り入れていきました。
アメリカに憧れながらも、音にイギリスの哀愁が滲み出てしまう、そんな愛すべき作品をピックアップしてまいります。
本日最初にご紹介するのは、他のバンドに先駆けて「アメリカ愛」を貫き自分たちの音楽を構築したグループ。
ご存知ローリング・ストーンズです。
元々チャック・ベリーなどの黒人音楽を愛聴していたキース・リチャーズやミック・ジャガー、ブライアン・ジョーンズらが意気投合して結成されたストーンズ。
さらにキースは68年にバーズのアルバム『ロデオの恋人』で「カントリーロック」というジャンルを確立させたグラム・パーソンズとも親交があり、アメリカの白人ルーツ・ミュージックであるカントリーにも関心を強めていきました。
そんなストーンズが69年にリリースした『レット・イット・ブリード』は、ブルース、ゴスペルからカントリーまでアメリカ音楽からの影響を余すところなく閉じ込めた彼らの「アメリカ愛」のひとつの完成形。
ゲスト・ミュージシャンもライ・クーダーやレオン・ラッセル、アル・クーパーなどアメリカン・ロックの第一人者が集まっており、たいへん豪華!
その中からキースのスライド・ギターとライ・クーダーのマンドリンが交わり合う、まさに「英国(ストーンズ) meets 米国」!なロバート・ジョンソンのカヴァー「Love in Vain」をどうぞ。(増田)
本日は、UNICORNの76年作『TOO MANY CROOKS』を取り上げたいと思います。
ライヴで演奏したニールヤング「Heart of Gold」のカバーがピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアの耳に留まり、彼のプロデュースでデビューしたという彼ら。
CSN&Yなどアメリカのフォーク・ロックに強い影響を受けたサウンドで、リズミカルで爽やかなギターカッティングが心地よいです。
そして、そんなアメリカンなアンサンブルからも、憂愁を帯びた英国らしいメロディが少し滲み出ていて、たまらない味わいがあります。(みなと)
今日取り上げるのは、シカゴ・ブルースへの飽くなき憧憬をその名に刻む、CLIMAX CHICAGO BLUES BANDの記念すべき69年デビュー作『CLIMAX CHICAGO BLUES BAND』です。(のちにあのシカゴから要請を受けCLIMAX BLUES BANDへと改称。)
バンド名だけでもアメリカのバンドだと勘違いしてしまいそうですが、音を聴いてもアメリカのバンドだと信じて疑うことはないであろう、超本格派ブルース・ロックを鳴らすのが彼ら。
ご機嫌に跳ねるピアノにワイルドなオルガン、熱くむせぶブルースハープ、そして素晴らしく味わいのあるスライドギター!当時ブルース・ロック・ブームが巻き起こっていたイギリスにおいても、ここまで本場のブルージーさをその音に宿したバンドはなかったのではないでしょうか。
後にアメリカへと拠点を移す彼らですが、このイギリス時代の1stが最も本場ブルースに近接しているのが面白いところです。
憧れは何物にも勝るモチベーションということですね。(佐藤)
本日はLESLEY DUNCANの74年作『EVERYTHING CHANGES』を取り上げます。
ピンク・フロイド『狂気』のバックコーラスに参加したり、エルトン・ジョンの「LOVE SONG」を作曲したりと、ブリティッシュ・ロックを陰ながら支えてきたレスリー・ダンカン。
彼女の魅力は何と言ってもそのコク深い歌声です!まるで香り豊かな紅茶のように芳醇なその歌声は、数多くいる女性SSWの中でも群を抜いて素晴らしいです。
そしてキャロル・キングにも匹敵する、メロウで味わい深いソングライティング。その中にも英国らしいしっとりとした陰影あるメロディーが滲んでいて、米憧憬の英国SSWものとして間違いなく最高峰の一枚と言えます。(みなと)
最後にご紹介するのは、1971年に唯一作がドイツのみでリリースされたという超ニッチなブリティッシュ・ロック・バンド、LITTLE BIG HORNです。
バンド名の由来は19世紀に起こったアメリカ軍vs先住民インディアンの「リトルビッグホーンの戦い」。ジャケはご覧の通り丸ごと星条旗。
見るからにアメリカ愛の強そうなバンドですが、内容は英国臭と米国臭が絶妙にブレンドされた芳醇なハード・ロック。
増田のオススメは最終曲「Another Man’s Song」!ゴスペル・フィーリングのある女性コーラスなどのアメリカ色に英国らしい哀愁漂うメロディ、ちょっぴりビートルズを思わせるブラスやストリングスを取り入れたサウンドは、英ロック好きと米ロック好き両方のツボを刺激することうけあい。
当時英国本国でリリースされなかったのが不思議なほどの、隠れたブリティッシュ・ロック名品です!(増田)
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アメリカン・ロックへの憧れを滲ませたアーシーでコクのあるサウンドを持ち味とする英国ミュージシャンの中から、特に完成度の高い米憧憬サウンドを聴かせる名作をご紹介いたしましょう!
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デレク&ザ・ドミノス『レイラ』やジョージ・ハリスン『オールシングス・マスト・パス』など、華々しいトップ・アーティスト達による英スワンプ名作の裏に、マイナーながら、米ルーツ・ミュージックのコクと英国的な叙情性や牧歌性が絶妙にブレンドされた愛すべき作品が数多くリリースされています。そんな愛すべきニッチなブリティッシュ・スワンプ作品をピックアップいたしました。
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