2018年3月15日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
フレンチ・プログレの雄MAGMAでの名演を皮切りに、フレンチ・プログレ/ジャズ・シーンで華麗な活躍を見せてきたヴァイオリニストDidier Lockwood。
2018年2月に62歳でこの世を去るまで、バンド作品/ゲスト参加作品ともにクオリティの高い演奏を数多く残してきました。
その偉大な功績は、同郷フランスの世界的ヴァイオリニストJean Luc Pontyにも匹敵するものと言っていいでしょう。
今回は、そんな名手が残した名演の数々を振り返っていきたいと思います。
75年、総帥Christian Vander率いる異形のフレンチ・プログレ集団MAGMAへ加入し、プログレ史上の傑作ライヴ盤と誉れ高い『Live』でプレイします。弱冠17歳にして緊張感みなぎる圧倒的にスリリングな名演を披露しており、一躍フレンチ・プログレ・シーンにおける注目プレイヤーに躍り出ました。
MAGMA脱退後、かつてDidierと実兄のキーボーディストFrancis Lockwoodが組んでいたバンドを再結成させ、76年に唯一作をリリース。メンバーは2人に、Al Di MeolaやChick Coreaとの活動で知られるベーシストBunny Brunel、後にWEIDORJEを結成する2人であるキーボーディストPatrick GauthierとドラマーKirt Rustの5人。当時はDidier Lockwood名義でリリースされましたが、CD化に際しバンド名義のVOLKORへと変更されています。そのサウンドはタイトルがずばり示す通り、各プレイヤーの技巧が炸裂する攻めのジャズ・ロックで、RTFばりのギラギラしたプレイが終始繰り広げられていて圧巻。Didierによるスリリングにしてメロディアスに舞うエレクトリック・ヴァイオリンも冴え渡っています。
同年、MAGMAを脱退した名サキソフォン奏者Yochk’o Sefferを中心に結成されたジャズ・ロック・バンドZAOに参加。Sefferによる技巧的かつジャジーな艶のあるサックスのプレイと、時に鮮やかにユニゾンし時にソロバトルで火花を散らせる、ロック・ヴァイオリニストとしての縦横無尽な活躍ぶりが特に際立つのが本作。Didierは同76年のライヴアルバム『Live!』にも録音を残しています。
77年、MAGMA~ZAOを経たDidier LockwoodとZAOのドラマーJean-My Truong を中心とするジャズ・ロック・バンドSuryaを結成。実兄のkey奏者Francisも参加し同年に制作されたのが唯一作の『Surya』です(リリースは80年)。サウンドはVOLKORに近いスリリングに疾走するテクニカル・ジャズ・ロックですが、音がシャープに研ぎ澄まされた印象があり、より気品あるファンタジックな色合いを強く感じさせます。名盤。
ドラマーChristian Vander、ベーシストJannic Top、キーボーディストBenoit Widemannという、黄金期MAGMAを象徴するミュージシャンにDidierを加えた4人の連名アルバム、81年作。Weather Report彷彿の浮遊感を纏った洗練のフュージョン・ミュージックをメインとしますが、ただ根っこがMAGMAなので時々暑苦しく暴走しかける(特に総帥)のが個性的。ひんやりと涼しげな音色で美しく奏でられるDidierのヴァイオリンが聴きもの。
フランスの作曲家Jean-Pierre Massieraによるプロジェクトで、ジャケットに描かれた通り地球外生命体をテーマにしたコンセプト作品の74年作。
Lockwood兄弟を含む総勢20名近くのミュージシャンが参加した意欲作で、コーラスも多用したフランスらしい厳かで耽美的なサウンドをベースにコズミックな音響感覚なども散りばめた前衛色も漂う孤高の作風が特徴。MAGMA加入前年のDidierは当時まだ16歳。にもかかわらず切れ味鋭く切り込んでくる堂々たる演奏ぶりは見事というほかありません。
76年に録音されながら、四半世紀後の01年まで日の目を見なかったシンフォニック・ロックの逸品。実にフランス的と言える、華麗な中にも緊張感と狂おしさが同居するアーティスティックなサウンドを構築しており素晴らしいです。CLEARLIGHTのCyrille Verdeauxと共にゲスト参加するDidier Lockwoodのヴァイオリンは、まさにその狂おしさを生み出す格調高くも不穏な空気を孕んだプレイで存在感を発揮。
Didierを含む20人以上のミュージシャンが参加したプロジェクト・バンドの76年唯一作。ブラス・セクションを大きくフィーチャーした、ビッグ・バンド風の洗練されたジャズ・ロック・サウンドがカッコよし。Didier参加の2曲目「Vane」では彼らしいスリル満点のプレイでばっちり曲を締めます。
前年にAPHELANDRAでDidierと共にゲスト参加したキーボーディストCyrille Verdeauxによるプロジェクト。GONG人脈が参加したことで75年デビュー作『Clearlight Symphony』が一般的によく知られますが、この77年作も何ら劣らぬ名作。Cyrille Verdeauxの叙情的なピアノと絡む気品高くドラマチックなヴァイオリンの旋律が感動的に響き渡ります。彼は続く78年作『Visions』にも参加。
黄金期MAGMAのドラマー/打楽器奏者Pierre Moerlen主導のもと発足したPIERRE MOERLEN’S GONGによる第3作目となる79年作。前々作でも客演した元ROLLING STONESのMick Taylorに加え、Mike OldfieldやSteve Winwoodといったビッグネームが参加。種々の打楽器を用いた緻密で複雑なリズムワークに、Didierのヴァイオリンをはじめとするリード楽器のメロディアスなプレイが乗ると、両者がカッチリと噛み合いしなやかに躍動を始めるようなサウンドは独特の快感を生じさせます。Didierは2曲目「Crosscurrents」、6曲目「Emotions」に参加。
MAGMA以前のBernard Paganottiが在籍したことでも知られるCRUCIFERIUSのメンバーだったキーボーディストが放った79年ソロ作。前78年作『Sons Optiques』に続いてDidier Lockwoodが参加していて、エレクトロニクスとカラフルなシンセサイザーを前面に出した、80年代を目前とした時期らしいフュージョン・サウンドに、普段とやや趣を異にする柔らかなヴァイオリンの旋律を添えています。
「孤高」の呼び名が相応しいフランス人アヴァンギャルド・アーティスト/シンガーの79年作では、1曲目に収められた「L’ode Aux Rats」に参加しています。問答無用のテンションで突っ走るアンサンブルとアクの強すぎるヴォーカル、それに呼応するようにいつも以上に熱っぽくソロを紡ぐDidierのプレイは必聴。
アフリカン・パーカッションなども取り入れた技巧派エスノ・ジャズ・ロックを聴かせるグループの唯一作、Didierは4曲目「Danse Sacree」でバンドのカラーを反映したエキゾチックなフレージングを散りばめた好演を聴かせてくれます。全体にそこはかとなく漂うMAGMA的な緊張感も素晴らしく、その点でもDidierは適任と言えるでしょう。
ブリティッシュ・トラッドを代表する存在である彼らが、ケルティック・アーティストAlan Simonの楽曲を録音したプロジェクト・アルバムが本作。JETHRO TULLのMartin Barre、PENTANGLEのJacqui McShee、John Wettonなどと共にDidierもゲスト参加しています。ライヴでの共演音源が収録されていて、メランコリックなアコースティックギターの調べに寄り添う、美しくも哀感漂うエレクトリック・ヴァイオリンのプレイが涙を誘います…。
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MAGMAのメンバーであったYochk’o SefferとFrancois Cahenが73年に結成したジャズ・ロックグループの76年4th。前作でバンドとしての個性を手に入れることに成功した彼らですが、本作では超絶ヴァイオリニストDedier Lockwoodが参加し、Yochk’o Sefferとの凄まじいインタープレイを聴かせています。楽曲自体も前作の構築性は影を潜めており、よりメンバーの力量に頼った即興色とソロパート押し出しており、彼らの超絶技巧を余すところなく収録したテクニカル・ジャズ・ロック最高峰の1枚と言えるでしょう。
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元々はシャンソン系を得意とした歌手としてスタートし、時代に反応するようにプログレッシブな作風へ化学変化を起こしたアーティスト。本作は、MAGMAのDidier Lockwoodなどフレンチ・ロックを代表するプレイヤーが大挙して制作された74年2nd。William Shellerによる大胆なオーケストレーションを取り入れ、バンド陣に加えてオーケストラやコーラスを従え、一気にプログレッシブ・ロックの世界に足を踏み入れた1枚であり、EMMANUEL BOOZの演劇的に吠えるボーカルは同郷ANGEのようなシアトリカル・ロックのような迫力に満ちた素晴らしいものです。よりロック色を押し出した4thと並びフレンチ・プログレッシブ・ロックの名盤です。
盤質:傷あり
状態:並
帯有、帯に小さい破れあり、紙ジャケに若干圧痕・角潰れあり、小さい汚れあり
ドラマー&コンポーザーのクリスチャン・ヴァンデ率いるフランスを代表する、というよりユーロ・ロックを代表する巨星グループによる記念すべき1970年デビュー作。幼少時代にクラシックをはじめ、R&Bやソウルに親しんだ後、ジョン・コルトレーンのフリー・ジャズに心酔したヴァンデ。コルトレーンの死後、生きる活力を失い、2年をさまよい歩いた後、神の啓示を受け、精神世界を追求したコルトレーンの意志を受け継ぐことを決意し、マグマを結成します。非西洋的な土着性をクラシックに取り込んだストラヴィンスキーなど近現代クラシックの流れを汲みながら、米R&Bやソウルのダイナミズム、コルトレーンの精神性をグツグツと煮炊きながら生まれたのがマグマ独自のサウンド。彼らの代名詞と言える独自言語コバイア語も既にあり、英米が主導する資本主義や利己主義による均一化を憂う壮大な叙事詩=コバイア・ストーリーを核に、フランスならではのロックをめざしたのが本作です。いきなりの一曲目「Kobaia」から、彼らならではの音世界が爆発!圧倒的なスピード感で疾走するドラム、超低域でうねっては暗黒を表出させるベースによる屈強なリズム隊。デビュー作のみ居るギタリスト、クロード・アンゲルによるザラついた歪みの猥雑&ブルージーなギター。そして、ビッグバンド・ジャズ風から突如暴力的に牙をむくブラス隊!オープニングから圧倒的な音圧で聴き手に迫ります。対照的に煌びやかなトーンで格調高さを加えるピアノも絶品。なお、ピアノは後にザオを結成するフランソワ・カーン!呪術性、神秘性、クラシカルな静謐さ、エキゾチズムが代わる代わる押しては引く展開は、す、すさまじすぎるテンション・・・。後の暗黒オペラティック・サウンドが強烈なだけに、初期は地味な位置づけですが、ヴァンデの精神性と音楽的野心はすでに最高潮ですし、ユーロ・ロック史上に残る作品と言っても過言ではないでしょう。大傑作!
廃盤、紙ジャケット仕様、2枚組、SHM-CD、デジタル・リマスター、定価3800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
若干折れあり、帯に軽微なウォーターダメージあり、軽微な圧痕あり
ドラマー&コンポーザーのクリスチャン・ヴァンデ率いるフランスを代表する、というよりユーロ・ロックを代表する巨星グループによる71年作2nd。前作から、ギターが脱退。後にザオを結成するサックス奏者ヨシコ・セファーが加入しています。前作の延長線上にあるブラス隊をフィーチャーしたエネルギッシュなジャズ・ロックが基本ですが、ギターが抜けたことにより、ベースの役割が増え、ウネリをあげるベースとヴァンデのドラムとの超人的リズム隊が前面に出ることによる暗黒面が強まっています。クラウス・ブラスキのヴォーカルもより一層の呪術性や神秘性をまとって存在感抜群。何と言ってもヴァンデが作曲した20分を越えるオープニング・ナンバーが出色。疾走するベース、荒々しく牙をむくブラス隊、強迫的なコバイア語のヴォーカルと密教的パーカッション!狂躁の後のフランソワ・カーンによる静謐なピアノもまた絶品。後の暗黒オペラティック・サウンドが強烈なだけに、初期は地味な位置づけですが、ヴァンデの精神性と音楽的野心はすでに最高潮ですし、ユーロ・ロック史上に残る作品と言っても過言ではないでしょう。1stと並び大傑作!
73年作の3rd。本作よりヤニック・トップが加入。重厚かつエキセントリックなバンド・アンサンブルとオペラ風の男女混声コーラスが爆発的なエネルギーを放つ、あのマグマ・サウンドが確立。傑作。
74年作の4th。新たなる「コバイア物語」の生誕。Emehnteht-Reの序章。M.D.K同様に彼等の代表作でもある大作KOHNTARKOSZを中心にした作品。神秘的な鎮魂歌のような静寂な響きが続いた後に、激情的に展開するテンションの高揚は肉体をも超越した凄まじい作品。
Christian Vnderを中心に「コバイア」という架空の文化を生み出し、凶暴にして荘厳、エキセントリックなアクの強い作風で70年代を駆け抜けたグループ。非常にメンバーの出入りの激しいグループであり、そのファミリー・トゥリーを辿るだけでも一苦労と言う、まさにモンスター・バンドです。Janik Topに代わり、Bernard Paganottiをベースに迎え、加えて当時まだ10代であったDidier Lockwoodも参加して録音された75年ライブ作であり、彼らの代表作と言える1枚。Christian Vnderのドラムをはじめ、バンドの肉感的に迫る名演はスタジオ盤の音圧をはるかに凌ぐ凄まじいものであり、何もかもが圧倒的な傑作となっています。
Christian Vnderを中心に「コバイア」という架空の文化を生み出し、凶暴にして荘厳、エキセントリックなアクの強い作風で70年代を駆け抜けたグループ。非常にメンバーの出入りの激しいグループであり、そのファミリー・トゥリーを辿るだけでも一苦労と言う、まさにモンスター・バンドです。バンド変革期であった76年リリースの本作は、技巧派ベーシストJanik Topを再びバンドに呼び戻して録音された作品であり、一般的には過渡期のMAGMAサウンドという評価ですが、なんと言ってもアルバム最後に収められた代表曲であり、Janik TopがMAGMAへと戻ってくるきっかけになった「De Futura」の存在がこの作品を名盤として押し上げており、スリリングなヘヴィ・プログレが炸裂します。
コバイア思想に基づくコンセプトは継承しつつ、ベースの高音がうねりまくり、コバイア・コーラスにロックとファンクが均衡と破壊の狭間で見事に融合された作品。78年発表。ソウル的パッセージが染みこんでくる「LAST SEVEN MINUTES」は、数あるMAGMAの中でも重要曲。
デジパック仕様、直輸入盤(帯・解説付仕様)、17年リイシュー、定価2600+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
ケース不良、トレーに小さいヒビあり、若干圧痕あり
2枚組、プラケース仕様、ブックレット付仕様
盤質:傷あり
状態:並
スレあり、ウォーターダメージあり、ケースにスレあり
2枚組、プラケース仕様、ブックレット付仕様
盤質:傷あり
状態:並
若干カビあり、ケースに若干スレあり
MAGMAの中では最も激しい曲、Retrovisionを収録したファンク色が強く滲み出た作品。従来のイメージである暗さは無く、呪縛から解放された奔放さに満ちあふれ、クリスチャン・ヴァンデの魂の肉声が精神の深みを凍てつく美しくも暴虐的な内容
MAGMAのメンバーであったYochk’o SefferとFrancois Cahenが73年に結成したジャズ・ロックグループの76年4th。前作でバンドとしての個性を手に入れることに成功した彼らですが、本作では超絶ヴァイオリニストDedier Lockwoodが参加し、Yochk’o Sefferとの凄まじいインタープレイを聴かせています。楽曲自体も前作の構築性は影を潜めており、よりメンバーの力量に頼った即興色とソロパート押し出しており、彼らの超絶技巧を余すところなく収録したテクニカル・ジャズ・ロック最高峰の1枚と言えるでしょう。
廃盤希少、紙ジャケット仕様、K2 24bitマスタリング、内袋付仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
「シャマール」から「ダウンウインド」までの四作のアルバムの中から彼らの代表的な作品を収めたライヴ盤。80年作。スタジオ・レコーディング・アルバムとは一味違ったライヴ・バンドとしての迫力ある演奏を 前面に出した内容。ゲストとしてマイク・オールドフィールドが参加。ピエールのドラム・ソロも圧巻。
BVCM37765(88697021832)(BMG JAPAN)
廃盤、紙ジャケット仕様、K2 24bitマスタリング、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
アリスタでの最終作。81年作。ピエール・モエルランを中心にハンスフォード・ロウ、ボン・ロザガ、フランソワ・コースの4人編成による煌びやかなジャズ・ロック・サウンドが冴える秀作。タイトル曲は17分にも及ぶ大作。
BVCM37766(88697021842)(BMGファンハウス)
廃盤希少!紙ジャケット仕様、K2 24bitマスタリング、内袋付仕様、定価2200+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
軽微なスレあり
元々はシャンソン系を得意とした歌手としてスタートし、時代に反応するようにプログレッシブな作風へ化学変化を起こしたアーティスト。本作は、ZAO/CLEARLIGHT/HELDON等で活動したミュージシャン陣をバンドに加えて制作された75年3rd。深遠なリフレインが印象的なシンセ、重厚なギター、ドラマティックなヴァイオリンらが織りなす安定感抜群のアンサンブルをバックに、Boozの朗々とした演劇的ボーカルが映えわたる、非常に完成度の高い歌物アルバム。同郷ANGEのようなシアトリカル・ロックをも彷彿させます。彼の出自を窺わせる、ギターと歌のみによる楽曲も深い味わい。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、11年デジタル・リマスター、ボーナス・トラック3曲、定価3143+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
小さい圧痕あり、若干色褪せあり
元々はシャンソン系を得意とした歌手としてスタートし、時代に反応するようにプログレッシブな作風へ化学変化を起こしたアーティスト。本作は、MAGMAのDidier Lockwoodなどフレンチ・ロックを代表するプレイヤーが大挙して制作された74年2nd。William Shellerによる大胆なオーケストレーションを取り入れ、バンド陣に加えてオーケストラやコーラスを従え、一気にプログレッシブ・ロックの世界に足を踏み入れた1枚であり、EMMANUEL BOOZの演劇的に吠えるボーカルは同郷ANGEのようなシアトリカル・ロックのような迫力に満ちた素晴らしいものです。よりロック色を押し出した4thと並びフレンチ・プログレッシブ・ロックの名盤です。
盤質:傷あり
状態:並
帯有、帯に小さい破れあり、紙ジャケに若干圧痕・角潰れあり、小さい汚れあり
女性ボーカリストSandy DennyとギタリストRichard Thompsonを擁し、トラッド・フォークの最高峰の1つに上げられるイギリスのグループによる69年4th。69年に彼らは3枚ものアルバムをリリースしており、本作は連続リリースの3作目となります。事故によりドラマーのMARTIN LAMBLEが急逝、DAVE MATTACKSを新ドラマーに迎え、フィドル奏者DEVE SWARBRICKも正式に加入。彼ら代表作の1つであるその内容は、前作では1曲のみだったトラッド曲をアルバム8曲中5曲まで増やし、飛躍的な発展を遂げたエレクトリック・トラッド・フォークの路線にさらに磨きをかけた記念碑的名盤となっています。英国叙情が際立ったトラッド・フォークの代表作と言えるでしょう。
デジタル・リマスター、スリップケース付き仕様
盤質:傷あり
状態:良好
スリップケースついていません、ケースにバーコードシールが貼ってあります
サンディー・デニーを迎え制作された2ndアルバム。68年作。彼女の儚くも凛としたヴォーカルは別格の美しさで、「FOTHERINGAY」などコンポーザーとしても一流。そんな彼女の加入が化学反応を引き起こしたのか、リチャード・トンプソンもギタリスト/コンポーザーとして見事にその才能を開花させています。楽曲、演奏とも新人離れした風格すら感じさせる出来栄えで、英国フォークロックを代表するグループとしての地位を早くも確立した名作。
英フォーク・ロックの代表格、71年7th。Sandy Denny、Richard Thompsonが抜け、4人編成となった時期の作品。殺人事件の犯人の半生をモチーフにしたコンセプト作。重い題材を扱っていながら、カントリー・ロックの影響も感じさせる親しみやすい楽曲群で構成。フィドル奏者Dave Mattacksが主導権を握り、男所帯ならではの温もりを感じさせるフォーク・ロックに仕上がっています。伸びやかなヴォーカル、表情豊かにスイングするフィドルを中心として、哀感を漂わせるアコーステイッック・ギター、幽玄なダルシマー、整然としたリズム隊などが一丸となり締まった演奏を展開。心浮き立つような軽快なアンサンブルを奏でており、素朴な男声コーラスと溶け合う様は心地よくリラックスさせてくれます。ピリピリした緊張感を持っていた「LIEGE & LIEF」「FULL HOUSE」の時期とは異なる、朗らかな魅力に溢れるこの時期のフェアポートも良いです。
73年作の9thアルバム。本作でのメンバーは、前作「Rosie」と同じく、トレヴァー・ルーカス(Ag、Vo)、ジェリー・ドナヒュー(Eg、Ag)、デイヴ・スウォーブリック(Vln、Mdln、Vo)、デイヴ・マタックス(Dr)、デイヴ・ペッグ(B、Vo)。肩の力の取れた、穏やかで軽快なトラッド/フォーク・ロックが心地よい好盤。
スリップケース付仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック4曲
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ケースツメ跡あり
フォザリンゲイよりトレヴァー・ルーカスとジェリー・ドナヒューをメンバーに迎えて制作された8th。73年作。リチャード・トンプソン、サンディ・デニーがゲスト参加した、スウォーブリック作の美しいバラード「Rosie」をはじめ、トラッド色は薄れ、ジャケットの印象通りの開放感溢れるメロディアスな楽曲が印象的。
イアン・マシューズとサンディ・デニーのツイン・ヴォーカル体制だった68年から69年にかけてのBBC音源。カヴァー曲中心ながら、その演奏はフェアポートそのままで、リチャード・トンプソン、サイモン・ニコル、アシュリー・ハッチングスが極めつけの名演を繰り広げています。イアンとサンディによるヴォーカルもたいへん素晴らしく、特に2人が掛け合う曲ではあまりの存在感に鳥肌が立ちます。トラッドがあまり肌にあわない方でも本作はおすすめできます。
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