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netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』連動 ハンガリーのプログレッシブ・ロックを束ねるPeriferic Records特集

本記事は、netherland dwarf のコラム『rabbit on the run』第39回 NOSTRADAMUS / Testament (Hungary / 2008)に連動しています

プロデューサーGregory Boszormenyiによって1990年に設立されたのが、ハンガリーのプログレッシブ・ロック・レーベルPeriferic Recordsです。Periferic Recordsが初めて手がけた作品はシンフォニック・ロック・グループAFTER CRYINGによる90年のデビュー作『Overground Music』であり、AFTER CRYINGはその後、2000年代の東欧プログレッシブ・ロックを象徴する存在へと大きな成長を遂げました。また、Periferic RecordsはRUMBLIN’ ORCHESTRAやFUGATO ORCHESTRAをはじめとするハンガリーの新世代プログレッシブ・ロック・グループたちをデビューさせる一方で、SOLARISやEASTといった80年代のハンガリーを代表するグループの関連作品も積極的にリリースしています。Periferic Recordsを知ればハンガリーのプログレッシブ・ロックが分かると言っても、過言ではないでしょう。


AFTER CRYING / Overground Music (1990)

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Periferic Recordsが初めてプログレッシブ・ロック・シーンに送り出した作品が、シンフォニック・ロック・グループAFTER CRYINGによる90年作『Overground Music』です。最初期のAFTER CRYINGにはベーシストやドラマーはおろか、ギタリストすら在籍しておらず、オーボエやフルート、トランペットやトロンボーン、ヴィオラやバスーンの各奏者を擁した編成で、キーボーディストVedres Casabaを中心にチェンバー・ミュージックの色濃い音楽性を聴かせていました。彼らはその後バンド・セクションを増強し、KING CRIMSON とEMERSON, LAKE & PALMERを同居させたようなヘヴィー・シンフォニック・ロックを生み出すロック・バンドへと変貌していくことになります。


TOWNSCREAM / Nagyvarosi Ikonok (1997)

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94年の傑作『Fold Es Eg』を発表後、キーボーディストVedres CasabaはAFTER CRYINGを脱退し、新たなプロジェクト・グループTOWNSCREAMを結成しました。グループのシンフォニックな音楽性に大きな貢献を果たしたVedres Casabaの名に恥じない出来栄えとなっており、ゲストにフルート、トランペット、トロンボーンの各奏者を配し、アグレッシブに畳み掛けるクラシカル・ロックを聴かせます。Keith EmersonやRick Wakemanを筆頭とするキーボード・ロックの側面からも楽しめるでしょう。


Kollar Attila / Musical Witchcraft (1998)

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80年代のプログレッシブ・ロック・シーンに登場したSOLARISのフルート奏者であるAttila Kollarは、優れたソロ・アルバムもリリースしています。彼が98年に発表した『Musical Witchcraft』は、SOLARISメンバーをバックに従え、トラディショナルなサウンドからクラシカルなシンフォニック・ロックまで、幅広い音楽性を聴かせます。なお、2002年には『Musical Witchcraft II : Utopia』、そして2006年には『Musical Witchcraft III : Psalms & Soundtracks』がリリースされており、作品をリリースするごとにアコースティックな質感が増しています。


RUMBLIN’ ORCHESTRA / Spartacus (1998)

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AFTER CRYINGに続いてハンガリーから登場したRUMBLIN’ ORCHESTRAは、ヴァイオリン、チェロ、フルート、オーボエ、トロンボーンの各奏者を擁するメンバー編成からも明らかなように、AFTER CRYINGに通じる本格的なクラシカル・ロックを奏でます。しかし、へヴィーな音作りも見られるAFTER CRYINGに比べて、より正統的なクラシカル・ロック・サウンドと言えるでしょう。彼らはデビュー・アルバムとなる98年作『Spartacus』、そして2000年作『The King’s New Garment』をPeriferic Recordsからリリースしています。


SOLARIS / Nostradamus – Book Of Prophecies (1999)

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84年作『Marsbeli Kronikak(The Martian Chronicles)』で知られるSOLARISの99年作『Nostradamus – Book Of Prophecies』は、Periferic Recordsからのリリースとなりました。彼らは95年に、アメリカのプログレッシブ・ロック・フェスティバルであるProgfestに招かれ名演を残しますが、その後ギタリストのIstvan Cziglanが急逝。ピンチを乗り越えるべくデビュー・アルバムにもゲスト参加していたギタリストCasaba Bogdanを正式メンバーに迎え、世紀末に相応しい重厚なコンセプト・アルバムを作り上げました。


Robert Erdesz Featuring Marta Sebestyen / Meeting Point (2000)

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SOLARISでスペーシーなキーボード・サウンドを操るRobert Erdeszは、2000年にソロ・アルバム『Meeting Point』をリリースしました。SOLARISメンバーを含む多数のゲスト・プレイヤーのサポートによって製作された本作では、特に女性ヴォーカリストMarta Sebestyenをフューチャーし、SOLARISとはまた違ったエキゾチックなサウンドを聴かせます。とは言え、東欧独自の冷ややかさを持ったシンセサイザー・オーケストレーションは健在であり、SOLARISファン必聴の作品となっています。


MINDFLOWERS / Improgressive (2002)

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テクニカル・ジャズ・ロック・グループMINDFLOWERSは非常にユニークな作風のグループです。軽やかなジャズ・フュージョンからメタリックなエレキ・ギターがリードする変拍子セクションにつなぐなど、緩急を巧みに使い分けたサウンド・メイクは圧巻の一言でしょう。例えばインドネシアから登場し世界中のプログレッシブ・ロック・ファンを驚愕させたDISCUSにも通じるような質感ですが、一般的な辺境プログレッシブ・ロック作品とは異なり垢抜けた音楽性を提示しています。MINDFLOWERSは、2006年にもPeriferic Recordsからセカンド・アルバム『Nuances』をリリースしています。


KORMORAN / Balvanyosvar Legendaja (2008)

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ハンガリーを代表するトラディショナル・ロック・グループであり、プログレッシブ・ロック・ファンから高い評価を獲得しているのがKORMORANです。数え切れないほどに膨大な彼らのディスコグラフィーの中でも特にプログレッシブ・ロック・ファンに聴かれているアルバムは、2008年にリリースされた『Balvanyosvar Legendaja』でしょう。ヴァイオリニストGaspar Almosが中心となり製作された本作は、トランシルヴァニアを舞台にした壮大なコンセプト・アルバム。組曲形式を採用した、同郷AFTER CRYINGに勝るとも劣らないシンフォニック・サウンドが収められています。


JANOS VARGA PROJECT / Elixir (2009)

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SOLARISと並んで80年代のハンガリアン・プログレッシブ・ロックを代表する存在なのが、80年作『Jatekok』、82年作『Huseg』で知られるシンフォニック・ロック・グループEASTです。EASTでギタリストを務めるVarga Janosは、JANOS VARGA PROJECT名義で2000年に『The Wings Of Revelation I』、2002年に『The Wings Of Revelation II』、そして2009年に『Elixir』をPeriferic Recordsからリリースしました。Varga Janosのメロディアスなギターワークが全編に冴え渡る、民族色を強く感じさせるトラディショナル・ロックが印象的です。


FUGATO ORCHESTRA / Noe (2010)

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90年にAFTER CRYINGがデビューを果たし、世紀末の98年にはRUMBLIN’ ORCHESTRAが登場。そして2000年代を迎え、2004年にFUGATO ORCHESTRAがデビューを飾ったことによって、新世代のハンガリアン・プログレッシブ・ロックに対する「大所帯のクラシカル・ロック」というイメージは決定的なものとなったはずです。バンド・セクションに加え、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、フルート、オーボエ、トランペットなどの奏者を擁するFUGATO ORCHESTRAは、民族色を感じさせつつも垢抜けたクラシカル・ロックを奏でます。


TOMPOX / Hungarian Eclectic (2011)

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SOLARISは2000年代を迎えると、活動スタンスの違いが原因となりベーシストTamas PocsとドラマーLaszlo Gomorが脱退。彼らはSOLARIS FUSIONを結成し、2007年にシングル『Mystica』をリリースしました。さらにSOLARIS FUSIONはグループ名をNOSTRADAMUSと改め、2008年に『Testament』をリリース。その後、Laszlo GomorはSOLARISに再び合流し2014年作『Marsbeli Kronikak II』にも参加しましたが、一方のTamas Pocsはリーダー・グループTOMPOXを結成しました。SOLARISやNOSTRADAMUSがそうであったように、TOMPOXにもフルート奏者が在籍しています。


NOSTRADAMUS / Testament (Hungary / 2008)

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