2017年8月9日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: プログレ
いよいよ8月12日と13日にクラブチッタ川崎で開催される、「ザ・ベスト・オブ・イタリアン・ロック VOL.5,6」。
毎回イタリアを代表するバンドたちが来日して素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれる本フェスですが、今回も70年代のイタリアン・ロックが好きな方なら堪らない3バンドが出演!
今回はフェス直前ということで、来日する3バンドの経歴と魅力をご紹介していまいります☆
「世界の七不思議」の一つにも数えられる「バビロンの空中庭園」を建造したとされる古代バビロニアの女王をグループ名に冠した5人組グループがSEMIRAMIS。唯一のアルバムとなる73年作『Dedicato A Frazz』は、今もイタリアン・ロック屈指の名盤としてファンに愛されます。
その内容は、当時弱冠16歳だった天才ギタリストにしてコンポーザー、ミケーレ・ザリッロの才能が全編でほとばしる、攻撃性と神秘性と哀愁が渦巻くヘヴィー・プログレッシヴ・ロック。
イタリアン・ロック・シーンの早熟ギタリストと言えば、同じ16歳で傑作『MELOS』を残したチェルヴェッロのコラード・ルスティチが思い浮かびますが、ゴリゴリと熱気あふれるプレイで畳み掛けるコラードに対し、ミケーレは重厚なリフワーク、ハードロック由来の疾走感みなぎるソロプレイ、そして哀愁を湛えたアコースティックギターパートを巧みに弾き分けており、プレイ作曲ともにかなり大人びた知的な印象を受けます。
74年に解散したバンドですが、2014年に再結成し活動を開始。
ミケーレは不在ですが、彼の兄マウリツィオ・ザリッロをはじめとする3人のオリジナルメンバーが在籍しています。
今回のステージでは、『Dedicato A Frazz』の全曲演奏を披露してくれるとこと!
5人のオリジナルメンバーのうち3人がいるということを考えると、往年のセミラミスらしさはかなり期待できるのではないでしょうか!
ニュー・トロルスと同じ港湾都市ジェノヴァ出身のグループ。
フォーク、ジャズ、時にクラシック要素も交え展開する並々ならぬセンスを感じさせる洗練のサウンドに、イアン・アンダーソンを思わせるエネルギッシュに舞うフルートをフィーチャーした同時代のブリティッシュ・ロックにも通じる比較的落ち着いたスタイルは、71年のデビュー作『DOLCE ACQUA』の時点でほとんど完成されています。
1stリリース後に中心メンバーのフルート奏者Ivano Fossatiが脱退、そのスタイルも失われるかに思われましたが、新加入したフルート奏者/マルチプレイヤーのMartin GriceがIvano Fossatiのフルートを見事に継承し、よりサウンドをダイナミックかつ多彩に発展させた2nd『LO SCEMO E IL VILLAGGIO』、3rd『III: VIAGGIO NEGLI ACRIPELAGHI DEL TEMPO』を残しました。
彼らも96年に再始動して、2枚の作品を発表する現役バリバリのバンド。Martin Griceの他に、オリジナル・メンバーが2人在籍しています。そして来日好演では、Fabbio Zuffanti率いるIL MASCHERA DI CERAのAlessandro Corvagliaがヴォーカルを務めることになっており注目です。
今回のフェスでは、なんと2日間にわたって出演し、1日目に2nd『LO SCEMO E IL VILLAGGIO』の全曲演奏、2日目に3rd『III: VIAGGIO NEGLI ACRIPELAGHI DEL TEMPO』の全曲演奏を披露するという、ファンならどちらも見逃せないステージとなる予定!
こってりと濃厚な音楽性の多いイタリアン・ロックの中で異彩を放つ、時に優雅ですらあるスタイリッシュに洗練されたサウンドを楽しませてくれることを期待したいところですね☆
「到着返信書留郵便」を意味する舌を噛みそうなバンド名を持つこのバンドも、72年に唯一作『PER…UN MONDO DI CRISTALLO』をリリースし解散、2010年に復活を遂げ同年にはアルバム『IL PITTORE VOLANTE』をリリースしており、復活後7年のキャリアを誇っています。
72年の作品『PER…UN MONDO DI CRISTALLO』は、オザンナ『PALEPOLI』やムゼオ・ローゼンバッハ『ZARATHUSTRA』よりも早くイタリアン・ヘヴィ・シンフォを体現した金字塔と呼ぶべき一枚。アコギ、フルート、ピアノなどで綴られる哀愁あるアコースティックなパートと、オルガン&ギターがヘヴィーにのたうつ邪悪で迫力あるパートを組み合わせ、初期キング・クリムゾンにも通じる薄暗くもドラマチックな世界観を見事に築き上げています。音と音の間を印象的に聴かせる独特の作風が生み出す、そこはかとない「無常感」に心惹かれる名作です。
そんな彼らも、ヴォーカルとベースにオリジナルメンバーを擁した6人編成で来日!もちろん72年作『PER…UN MONDO DI CRISTALLO』の全曲演奏を披露してくれる予定となっています。この名盤を生で聴ける日が来ようとは!
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リリース当時、全曲の作曲を手がけているMichele Zarrilloは若干15歳であり、他メンバーも全員10代であったと言うイタリアのへヴィー・シンフォニック・ロックグループの73年唯一作。変革する社会に対応できなくなったひとりの人間をコンセプトに掲げたトータル・アルバムとなっており、バタバタと暴れるリズム・セクションに荒々しいギター・ワーク、そしてクラシカルなアンサンブルを聴かせるキーボードがイタリアらしい熱気を伝えます。強引に引っ張り変化する展開や多少荒削りで垢抜けない雰囲気は感じるものの、当時の彼らの年齢を考えれば若々しいエネルギーが暴走するサウンドは非常に魅力的なものであり、起伏に富んだスリリングな作品と見ることが出来るでしょう。
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