【ユーロロック周遊日記】北欧のカンタベリー直系ジャズ・ロック名作、KULTIVATORの81年唯一作『BARNDOMENS STINGAR』

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KULTIVATORは、70年代よりKAIPAやDICE、SAMLAなどの名バンドを輩出してきた北欧プログレの中心地スウェーデン出身、78年に結成されたジャズ・ロック・バンド。TUNNELBANANというYES/GENESIS系シンフォ・バンドの元メンバーを中心としており、70年代にそれなりのキャリアを積んできた実力派たちによるグループだと言うことが出来ます。

そのハイレベルなサウンドは、作品を聴けばすぐにお分かりいただけると思います。叙情的にたなびくオルガン、洒脱なエレピ、ファズの効いた音数多めのギター、よく歌うベース、ジャジーでクールなドラムス、おまけにスウェーデン語の透明感抜群の女性コーラスまで、NATIONAL HEALTHやHF&N直系ながら、彼らに引けをとらないメロディアスで芳醇なジャズ・ロックを展開。

そこにリコーダーがもたらすミスティックなトラッド風味や同郷SAMLAに通じるアヴァンギャルドな忙しなさなどの北欧プログレらしさがプラスされると、まさに北欧版カンタベリー・ミュージックと言える独特の世界観が悠然と立ち上がってきます。

ではそんな本作より、その辺の持ち味がよく現れたナンバーをお聴きください♪

1.HOGA HASTAR

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まるでNATIONAL HEALTHとSAMLAが合体したような知的さと狂騒感を合わせ持つオープニング・ナンバー。つんのめり気味の忙しないリズム隊の仕事も素晴らしいですが、ギター、オルガンともにフィル・ミラー＆デイヴ・スチュワートに匹敵する技巧とセンスの持ち主ですね。

2.VEMOD

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「悲しみ」を意味するスウェーデン語のタイトルで思い出されるのがANEDOTENの1st。基本的には前曲を引き継ぐカンタベリータッチのジャズ・ロックながら、中盤ヘヴィに暴れだすアンサンブル、特にリズム隊のうねり方は本当にあのANEKDOTENを彷彿させる代物だから驚きです。クリムゾンからの影響ばかりが語られがちなANEKDOTENですが、実は本作からもヒントを得ていたのかもしれないと思わせる演奏ですよね。全体としては女性ヴォーカルをはじめアヴァンギャルドな表情が増え、NATIONAL HEALTHよりHF&Nっぽさが強く出たナンバーと言えるでしょうか。最後は北欧らしいリコーダーの凛とした高らかな音色で締め。

TUNNELBANAN MEDLEY

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ボーナストラックより。タイトルからして前身バンド時代の楽曲のようです。YES/GENESIS系バンドだったというだけあって、まるでYESをジャズ・ロック化したようなクールな中にもほのかなファンタジーが香るナンバーですよね。

81年と言うと、英米は勿論ユーロシーンでさえプログレの全盛期はすでに過ぎ去った時期。そんな時代にこんなにも芳醇で知性あふれる生粋のジャズ・ロック作品が誕生していたとは感激ですね～。

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