2022年3月18日 | カテゴリー:カケレコ新品棚お散歩隊,世界のロック探求ナビ
タグ: フォーク
ひとつのキーワードを頼りに新品棚前を散歩し、メジャー盤、ニッチ盤を問わず、独断と多少の偏見まじりで新品タイトルをご紹介させていただいている新品棚お散歩隊。本日は、「待春フォーク」をキーワードに作品をピックアップ!
日陰のような陰鬱さの中に垣間見える素朴で温かなメロディー。清々しい晴天の中に潜む背中合わせの哀愁。三寒四温を繰り返し冬から春に向かう、もうちょっとで春なこの時期に聴きたい作品達、どうぞご視聴ください!
■PAUL ADOLPHUS / PAUL ADOLPHUS
京都在住のオーストラリア人が、京都の卑弥呼レコードに残した76年作。原盤は超激レア。憂いのある柔らかい声で歌われるアシッド/サイケ・フォークを基本に、尺八、琴、フルートなどによる「和」のテイストをセンス良く織り交ぜています。古木の風合いの落ち着いた和室、そこに差し込む柔らかい陽光。そんなひっそりとした景色が目に浮かびます。今までほとんど知られていなかったのが不思議なくらい、えもいわれぬ空気感に包まれた幻の逸品。
■MARIA BARTON / RAINFUL DAYS
ブリティッシュ・フィメール・フォークSSW、80年のデビュー作。ちょっとハスキーだけど透明感があって無垢さに溢れた歌声、しっとりと紡がれるアコギ爪弾き、英国的な翳りのある流麗なメロディ。飾らないジャケットの雰囲気に良いなぁと思って、ヴァシュティ・バニヤンやブリジット・セント・ジョンが好きなら間違いなく気に入るでしょう。タイトルは「レインフル」ですが、木漏れ日感もあって本当に愛すべき作品です。
■PROAGE / DIFFERENT STATE OF REALITY
カリフォルニアのフォーク・グループ。77年作。カリフォルニア出身というのが信じられない、張りつめた空気感のトラッド・フォーク・サウンドが印象的。言われなければ、イギリスのグループだと思ってしまうでしょう。緊張感溢れるアコギ・アルペジオをベースに、ピアノやフルートが繊細なタッチでリリカルなメロディを奏で、男性Voと女性Voとが静かな歌を聞かせています。かなり良い出来だと思います。英フォーク・ファンは聴いて損はない好盤。
■GASLIGHT / GASLIGHT
70年に自主制作され、わずか99枚しかプレスされなかった幻の英フォーク作品。男性6人の編成で、メンバーの楽器クレジットにはチェロやリコーダーやピアノの表記があるとおり、メランコリックなギターのバッキングを基本に、ストリングスがもの悲しくも叙情的な旋律を奏で、ピアノもそっとリリカルなメロディを奏でます。ヴォーカルも魅力的で、ヘロンのメンバーの一人として居ても違和感がないような、素朴でいて切ない歌声が印象的。流麗なメロディも特筆。この儚い美しさはただごとではありません。英国の深い森の空気感いっぱいで、ヘロンなどメロディが美しいフォークのファンから、イサカなどドリーミーなサイケ・フォークのファン、90年代以降で言えばゴーキーズあたりのファンまで、これは掘り出し物の一枚!
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