2022年3月23日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
英国5大プログレの中でも、おそらく最も多くのフォロワーを生み出しているのがGENESIS。
そして90年代以降で見ると圧倒的な数のジェネシス系バンドを輩出しているのがイタリアです。
今回は、そんなイタリア新鋭たちから特にジェネシス愛が溢れんばかりの作品を見てまいりたいと思います☆
まずは、直近で入荷した作品を先にチェックしてみましょう~。
デビュー前はGENESISやCAMEL、SUPERTRAMPのカバーをレパートリーにしていたという16年デビューのシンフォ・バンド、22年3rd作。
バンクス彷彿のつややかなシンセやハケットを重めにした感じのギターが彩る、GENESIS愛満ち溢れるこれでもかとファンタスティックなアンサンブル。
と来ればヴォーカルもピーガブ直系か!?と思いきや、こちらは風格たっぷりのいかにもイタリアン・ロックな朗々と歌い込むタイプ。
でもこの組み合わせが、GENESISライクでありつつイタリアン・ロックのアイデンティティもしっかり主張していて堪らないのです。
これはGENESIS好きにも往年のイタリアン・ロック好きにもアピールするナイスな一枚だなぁ。
続いては「GENESISよりGENESISらしい」とまで謳われたこのグループの21年作♪
現イタリアのジェネシス・フォロワー筆頭格、21年作!
ジャケットの趣味がちょっとよろしくありませんが、中身は『トレスパス』や『静寂の嵐』あたりの格調高い幻想美を帯びたジェネシスを受け継ぐ、しっとりリリカルに紡がれるサウンドに心奪われます。
もちろん相変わらずピーガブにそっくり過ぎるヴォーカルも聴き所ですよ~♪
そのWATCHと双璧を成す現イタリア産ジェネシス・フォロワー・グループによる21年作もとんでもない出来栄えでしたね!
この1曲目、多分あらゆるGENESISフォロワーの中で最も深いGENESISリスペクトを示した名曲ではないでしょうか。
初期GENESISファンならば「よくぞここまで…」と拍手を送りたくなるはず。
いやはや、こりゃ凄すぎです。
90年代イタリアにおけるジェネシス系シンフォの原点となったこのグループも、相変わらずのジェネシス愛ぶりですなぁ。
イタリアのジェネシス愛バンドの中では代表格と言える存在ですね。
エッジの立った力強いモダン・シンフォに、ジェネシスへの愛情をたっぷりと含ませた貫禄の18年作、もうオープニングから音の張りが違います。
Cristiano Roversiと双璧を成すトニー・バンクス直系キーボーディストがCorrado Sardella。彼が率いるプロジェクトDORACORもGENESIS愛が凄まじい!
アルバムのどの部分、どのフレーズを切り取っても溢れ出る「泣き」のリリシズム。
ジェネシスの遺伝子を受け継いだ伊キーボード・シンフォ名作ですね。
現時点で最新作の16年作は、I POOHのレッドも参加した2枚組の一大コンセプト・アルバム!
イ・プーのレッド(Bass)をはじめ、ヴォーカルとしてLA MASCHERA DI CERAのAlessandro CorvagliaやMANGALA VALLISのRoberto Tirantiが参加するなど、多数のゲストが参加して制作された9thアルバム。
まるでジェネシス時代のスティーヴ・ハケットのプレイをキーボードで再現するようなリードがさすが過ぎ。
変わらぬジェネシス愛を湛えつつ、そこに「プログレ・ハード」的ダイナミズムとフックあるメロディを合わせるセンスも魅力的だし、長丁場ながら完成度高く聴かせきる大充実作!
20年作が圧巻の傑作だったこの人気グループも、初期はジェネシス憧憬がたっぷりだったんですよね~。
アコギやフルート、そしてトニー・バンクスを想わせるファンタジックなキーボードから滲むリリシズム。
それらと劇的に対比するメロトロンの洪水!
GENESISの繊細さとMUSEO ROSENBACHばりのダイナミックな構成で一気に聴かせる06年の傑作!
こちらもGENESISタイプの実力派バンド。ジェネシス愛では上記有名バンドにも負けてません!
GENESIS系伊シンフォ新鋭の代表格と言えば?この12年作がまたまた傑作!
ハケット調の気品高いギターワークからトニー・バンクス直系のファンタスティックなシンセまで、もうこれでもかとGENESISへの憧れに満ち満ちた名品なんです☆
ジェネシスタイプの有力バンドといえば、彼らもですね!
ジャケはアレですが、内容はGENESIS憧憬と明快かつスケール大きく広がるモダンな音作りが見事に共存する、聴きやすくも風格に満ち満ちたシンフォニック・ロック!
GENESISはもちろん、BIG BIG TRAINやSPOCKS BEARDやECHOLYNがお好きにもこれは是非!
マイナーながら、こちらもジェネシス&キャメルを受け継いだ良い作品です♪
暗く恐ろしげなジャケットからへヴィなプログレを予想していたら、純度100%のファンタスティック・シンフォが広がって驚き!
GENESISの端正な英国叙情とCAMELの溢れんばかりのリリシズムを正当に受け継いだこれぞ珠玉の一枚です♪
いかがだったでしょうか。
いずれ劣らぬジェネシスへのリスペクトっぷりに、同じジェネシス・ファンとして親しみすら湧いてきそうです。
今後、一体どこまでジェネシス愛を極めていくのか、目が離せませんね!!
FINISTERREを率いた奇才Fabio Zuffantiを中心に、ムゼオ・ローゼンバッハやイル・バレット・ディ・ブロンゾなど70年代のグループに敬意を払い、そのサウンドを再現することをコンセプトに結成したグループ。03年作2nd。70年代イタリアン・ロックへのオマージュに溢れていた1stに比べ、ぐっとモダンに仕上がっています。哀愁を幾分抑え、その分、ダークな攻撃性や現代的なヘヴィネスが増した印象。ただ、メロトロンの洪水やむせび泣くフルートは相変わらず。現代版イタリアン・シンフォの一つの完成形と言えるでしょう。圧倒的なスケールで聴き手に襲いかかる名作。
イタリア出身、FINISTRREの別プロジェクトとしてスタートしたグループによる04年発表のライブ盤。70年代イタリアを彷彿とさせる邪悪なムードたっぷりのヘヴィ・シンフォ。焦燥感を煽るピアノの速弾き、寂寥感を漂わせるフルート、不気味に高鳴るメロトロンによる1曲目のインスト「IL CANTO DELL’NVERNO」で期待感を煽ると、2曲目「IL GRANDE LABIRINTO」では、激しく舞い上がるフルート、これでもかというくらい湧き上がる幻想的なメロトロン、ノイジーなギター、パワフルなドラムによる凶暴なアンサンブルがうねりを上げて襲いかかります。情熱的なヴォーカルも素晴らしい。全編ドラマティックな本格ヘヴィ・シンフォが楽しめる名ライブ盤です。
現イタリアン・プログレ・シーンきっての鬼才Fabio Zuffantiが率いる人気グループ、スタジオ作としては7年ぶりとなった2020年作6th。20分超の大作+10分前後の2曲を配した重厚な構成となっています。ヘヴィに唸るベースと硬質なドラムがゴリゴリと突き進み、邪悪さが滲むオルガンがスリリングに疾走する嵐のようなヘヴィ・シンフォにオープニングからいきなり圧倒されます。嵐が過ぎ去ると、雄大に沸き上がるシンセとメロトロンをバックにフルートが切なく美旋律を紡ぐ堂々たる王道イタリアン・ロックへと着地。この冒頭3分間でMUSEOやBANCOなど往年の伊プログレ・ファンなら歓喜に震えること必至!そこから歌い出す雄々しさの中に枯れた味わいを秘めた哀愁のヴォーカルも変わらずの素晴らしさで胸を熱くさせてくれます。シンセ、メロトロン、オルガンが渾然一体となり荘厳に鳴り響く中を、DERILIUMのMartin Griceによるサックスが舞い上がるパートも感動的だなぁ。これはきっと7年間募らせた期待を大きく上回る完成度ですよ。傑作!
ジェネシス系伊シンフォの名バンドとして知られるMOONGARDENのギタリストとキーボーディストによるプロジェクト・バンド、13年作2nd。分厚く荘厳なシンセとピアノソロが連なっていく冒頭部を経た次の瞬間。躍動感いっぱいに弾むリズム・セクションに乗って、伸びやかに尾を引くロングトーンのギター、ひたすら柔らかくファンタスティックに広がるシンセが駆け抜けていくこのアンサンブル!GENESISの名曲「Watcher Of The Skies」を重ねずにはいられない素晴らしい演奏に、思わず胸が震えます。一音一音が凛とした美しさを放つピアノ、繊細な叙情美を添えるフルートもやはりGENESISを想起させる素晴らしいもの。前作にはなかったヴォーカルが加わっているのも特徴で、パッションと深みをあわせ持つ劇的な歌唱を聴かせます。全14曲切れ目なく展開していく演奏に最後まで圧倒される、見事な完成度のシンフォ絵巻。初期GENESISのファンタスティックさ、幻想性、叙情美を理想的に受け継いだ文句なく素晴らしい一枚です。おすすめ!
ジェネシス系イタリアン・シンフォの名バンドとして知られるMOONGARDENのギタリストとキーボーディストが結成したバンド。2016年作3rd。繊細なタッチの伸びやかなロングローンが魅力のギターときらびやかなトーンのムーグ・シンセが紡いでいく時にリリカルで時に緊張感を持ったメロディ。その上でたなびく幻想的なメロトロン。シアトリカルなヴォーカルとフックに富んだメロディ・ライン。そして、目の覚めるようなめくるめくファンタスティックかつダイナミックな展開。ドラマティックなシンフォニック・ロックのファンにはたまらないサウンドがこれでもかと続きます。さらに、しとやかなエレピ、クラシカルで格調高いピアノやクラシック・ギター、エモーショナルに歌い上げるヴォーカルなど、イタリアならではのサウンドのまばゆさ・艶やかさも特筆。ジェネシスへの憧憬がベースにありますが、イタリアらしさや、突き抜けるようにかっ飛ばすプログレ・ハード・テイストなどを織り込んだ多彩なサウンドにはオリジナリティがあります。1st、2ndもプログレ・ファンに大好評でしたが、本作にも間違いなく心奪われることでしょう。傑作です。
GENESIS系イタリアン・シンフォの名バンドMOONGARDENのギタリストとキーボーディストが結成した別働グループ、待ちに待った2020年4thアルバム。まずはとにかくこの1曲目を聴いて欲しい!Hackettそのものな繊細なタッチのアコギに、声質・抑揚までPeter Gabrielのヴォーカルが歌声を重ね、シンセが彼方から薄もやのように広がっていくと、幽玄のメロトロンも交えGENESIS憧憬のシンフォニック・ロックがゆったり立ち上がっていきます。一音一音が気品に満ちた輝かしいエレキギターのソロもHackettの客演かと思う完成度。醸し出されるあのデリケートな幻想美までも再現した、まるで発掘された初期GENESISの未発表曲だと言われてもまったく不思議に思わないほどのクオリティにびっくりします。古今東西のGENESISフォロワー達の中でも、最も深いところまでGENESISリスペクトを示したサウンドと言って間違いないでしょう。『TRESPASS』収録曲や名曲「ENTANGLED」に通じる浮遊感あるリリカルなサウンドにグッとくる2曲目や5曲目、GENESIS憧憬はそのままにオルガンやギターが切れのあるダイナミックな掛け合いで疾走する3曲目など、他のナンバーもGENESISを下地にドラマチックなサウンドを構築していて素晴らしいです。1曲目を筆頭に、初期GENESISファンならば「よくぞここまで…」と拍手を送りたくなるはず。傑作!
ギタリスト、ヴォーカリストを迎え、ソロ・プロジェクトからバンドとなって録音された05年作。きらびやかな音色のファンタスティックなキーボードを中心に、硬質なギター・リフやスリリングなリード・ギターがダイナミズムを注入する、スケールの大きなシンフォニック・ロック。力強くエモーショナルなヴォーカリストが歌い上げるメロディもたいへん叙情的で胸を打ちます。ヴォーカル・メロディに被さるギター・ソロも「泣き」に溢れていて印象的。アルバムのどの部分、どのフレーズを切り取ってもリリシズムが溢れ出る、「歌」好きにはたまらない逸品。
90年代から活動し、シンフォ・ファン必聴の名作を数多く残しているキーボード奏者Corrado Sardella率いるグループ、2011年作。スケールが大きくきらびやかなキーボードを中心に、エッジの効いた硬質なギター、手数多く焦燥感を煽るドラムがスリリングに畳みかけるダイナミックなシンフォニック・ロック。荘厳なメロトロン、優雅に舞うヴァイオリン、リリカルなピアノ、詩情豊かなメロディなど、イタリアらしい叙情性も魅力的。ドラマティックなシンフォニック・ロックのファンは必聴の力作です。
90年代後半から活動し、シンフォ・ファン必聴の名作を数多く残しているキーボード奏者Corrado Sardella率いるグループ。2016年作9thアルバムで2枚組の一大コンセプト・アルバム。イ・プーのレッド(Bass)をはじめ、ヴォーカルとしてLA MASCHERA DI CERAのAlessandro CorvagliaやMANGALA VALLISのRoberto Tirantiが参加するなど、多数のゲストが参加して制作されており、これまで以上にダイナミズムに溢れたシンフォニック・ロック大作に仕上がっています。透明感あるトーン、温かくファンタスティックなトーン、激しくアグレッシヴなトーンを駆使し、ヴィンテージ・キーボードとピアノを操って幻想と現実を行き交うようなスケールの大きな音世界を描きだすセンスとテクニックは相変わらずの素晴らしさ。まるで往年のスティーヴ・ハケットをキーボードで再現するような、そんな伸び伸びと奏でられるドラマティックなキーボードのリードにも心躍ります。時にカンサスも彷彿させる「プログレ・ハード」なダイナミズムとフックあるメロディも魅力的。リリカルなギターや視界がパッと開けるような展開などはムーン・サファリも頭に浮かぶし、いや〜、これは良いアルバム。文句なしに最高傑作と言える大充実作です。
キーボード奏者Corrado Sardellaによるプロジェクト。97年作の1stアルバム。トニー・バンクスを想わせるキーボードをフィーチャーしたファンタスティックなシンフォニック・ロック。柔らかい光に包まれたような叙情性溢れるパートと、変拍子の中シンセがスリリングなフレーズで畳みかけるアグレッシヴなパートとを織り交ぜたダイナミックな展開も聴き所。ギター、ベース、ドラムなど、すべてシンセによる音作りのようですが、軽さは感じられず、力強いサウンドに驚きます。オール・インストです。
イタリアのMellowレーベルが送り出したシンフォニックロックバンドの99年3rd。元々リーダーのCorrado Sardellaのソロプロジェクトとして誕生したバンドであり、初期は典型的な「1人シンフォニックロック」でしたが、本作でサポート陣も充実したバンドスタイルによって製作されています。さて、本作は10分超えの楽曲を含む4曲で構成された大曲主義な作品となっており、さらに4曲中3曲はオリジナルのコンセプトに基づいた組曲形式という気合いの入れようです。ダレることなく緩急を巧みに切り替えて演奏される優美なシンフォニックサウンドはなかなかのもので、Tony BanksやRick Wakemanの影響を感じさせるCorrado Sardellaのキーボードがやはり素晴らしいですが、要所で取り入れられるスキャットやクワイア、そして効果音が、楽曲によりゴージャスな魅力とファンタジックさを与えている点も見逃せません。また、前作まではギターサウンドもシンセサイザーで代用されていましたが、本作では生ギターを導入し、「1人シンフォニックロック」の弱点を払拭することに成功しています。イタリアンシンフォニックロック中堅バンドの出世作として、押さえておいて損は無い作品です。
キーボード奏者Corrado Sardellaによるプロジェクト。99年作の2nd。ファンタスティックな1stに比べ、ダーク&アグレッシヴに畳みかけるハード・シンフォの要素やEL&P的要素など、だいぶプログレ寄りにシフトした印象。メロディ・センスはそのままにアレンジの引き出しが増えたサウンドは、ジャケットの如くに多彩で実にダイナミック。それにしてもシンセ一本でこれだけ力強いバンド・サウンドを作り上げる才能は見事。ギター、ドラム、ベースともに一聴では本物と区別がつきません。キーボード・プログレの名作。インストです。
キーボード奏者Corrado Sardella率いるグループ。07年作。サウンドは前作と同傾向で、清涼感溢れるメロディアスなキーボードを中心に、「静」と「動」の対比鮮やかに、ダイナミックかつドラマティックに展開する壮大なシンフォニック・ロック。メタリックなリフ、ハイ・ポジションを多用し美しく駆け上るソロともに素晴らしいギターもたいへん魅力的。エモーショナルなヴォーカル、美しいメロディも胸を打ちます。たおやかに舞うヴァイオリンも絶品!ドラマティックなシンフォニック・ロックのファンは聴いて損はない逸品です。
現イタリアのジェネシス系シンフォ・バンドの筆頭格と言える彼らの17年作7th。霧の中から立ち上がってくるようなメロトロンとオルガンが幻想的に揺らめき、相変わらずのピーガブそっくりのヴォーカルが耽美にメロディを歌い上げ、ギターは往年のハケットのプレイをなぞるかのようにデリケートな美旋律を紡ぎ出します。折り重なる柔らかなシンセのトーンも美しく、従来にも増して70年代憧憬のヴィンテージ感が強まっている印象。とは言え他の多くのジェネシス系バンドのように大仰には展開することはなく、3〜7分台の楽曲にドラマ性とポップな聴きやすさを詰め込んだWATCHならではのセンスが光っています。そしてスティーヴ・ハケットの1st収録「THE HERMIT」のカバーには、ハケット本人がゲスト参加!古楽器のような典雅な調べを鳴らす12弦ギターでロマンティックに楽曲を彩っており好演を披露。シンフォニック・ロック然とした長尺ナンバーで聴かせることが多いジェネシス憧憬の新鋭とは一線を画する、よく練り上げられた無駄のない構成でスタイリッシュに聴かせてくれる力作です。
現イタリアのジェネシス系シンフォ・バンドの筆頭格と言える彼らの21年作8th。勿論今作も変わらぬジェネシス愛っぷりが堪能できる作品ですが、『FOXTROT』『SELLING ENGLAND BY THE POUND』などのガブリエル期全盛の作品よりは『TRESPASS』や『WIND AND WUTHERING』あたりの格調高い幻想美を帯びたジェネシス・サウンドを志向している印象。まどろみを誘う淡いアコースティック・ギターの調べに流麗に絡むオルガンとピアノ、そしてそれらを包み込むようにゆったりと流れゆくメロトロン。あえて派手な展開を抑え、上記ジェネシス作品を思わせるしっとりとリリカルで格調高いサウンドを目指しているようで、他のジェネシス・フォロワーとは一線を画するスタイルを打ち出していると言っていいでしょう。そんな中にあってもPeter Gabrielにそっくり過ぎるヴォーカルにはやはりニンマリとしてしまいます。ジェネシス的世界観を壊さない程度にセンス良く散りばめられたエレクトロニックなアレンジも特徴で、ただのジェネシス・フォロワーに終わらない仕掛けも見事。『TRESPASS』『WIND AND WUTHERING』などしっとりめのジェネシス作品が特にお好きという方には是非聴いて欲しいです!
GENESIS、CAMEL、LOCANDA DELLE FATEなどのメロディアスなグループから影響を受けたイタリアン・シンフォ・グループ。08年作の4thアルバム。シアトリカルなヴォーカル、丁寧に音を紡ぐ繊細かつ歌心溢れるギター、柔らかく広がるキーボードが印象的。変拍子によるキメのパートもドラマティックで胸を打ちます。
GENESISタイプの伊シンフォの代表格バンドによる12年作5thアルバム。冒頭から、2本のクラシック・ギターがスティーヴ・ハケット直系の気品に満ちたアンサンブルを繊細かつ優雅に奏で、フルートやファンタジックなシンセが折り重なりながらジャケットのイメージ通りの世界を描いていきます。GENESISの73年作『月影の騎士』を受け継いだ完璧なオープニング。リリカルかつ繊細さが光るエレキ・ギターとダイナミックなリズム隊が入ると、現代プログレらしい鮮やかなダイナミズムも聴かせ、「静」と「動」を巧みに行き交いながらドラマティックに駆け抜けます。特筆はキーボードで、多彩な音色で楽曲をカラフルに彩るシンセ、叙情的なピアノ、幽玄に広がるメロトロンなど、トニー・バンクスを継承する変幻自在のサウンドが印象的。英詞ながら、力強くエモーショナルなヴォーカルなど、イタリアならではの劇的なドラマティックさも聴き所です。GENESIS的叙情シンフォにイタリアならではの高いドラマ性が加わった傑作!
イタリアのグループ、03年作の1st。ジャケのイメージ通りのファンタスティックで歌心溢れるシンフォニック・ロック。ふわーっと広がる優美なキーボード、丁寧に紡ぐアルペジオ&ロング・トーンの伸びやかなソロともに素晴らしいギター、線の細さが逆にメロディの繊細な美しさを引き立てているヴォーカルが印象的。歌詞は英語です。ジャケに引っかかったら是非聴いてみてください。良質なメロディに溢れる好盤です。
02年にデビューしたイタリアン・プログレ・バンド、2020年作4thアルバム。BIG BIG TRAINやSPOCK’S BEARDあたりのグループに通じる、GENESISをはじめとする70年代プログレ的ヴィンテージ・テイストと、明快かつスケール大きく広がるモダンな音作りが見事に共存する、聴きやすくも風格に満ち満ちたシンフォニック・ロックは、8年というブランクを微塵も感じさせない素晴らしさです。どっしり安定感のあるリズム・セクションを土台に、新加入のキーボーディストによるジョワーっと芳醇に鳴るヴィンテージなオルガンと艶やかで輝かしい音色を響かせるシンセ、シャープながらエモーションいっぱいのメロディアスなプレイで躍動するギター、スタイリッシュさと繊細さが絶妙に共存する男性ヴォーカルらが力強く紡ぐシンフォニック・ロックには、終始感動が収まりません。パワフルなアンサンブルが不意に静まり、アコギやピアノによる気品あるパートへと切り替わるしなやかさを持つ演奏も特筆。上記2バンドやアメリカのECHOLYNなどがお好きな方ならグッとくる事間違いない傑作です!
イタリアの新鋭シンフォニック・ロック・グループ、18年作2nd。ダークなジャケットからは想像できない、とにかく前編にわたってクリアで格調高いアンサンブルが繰り広げられるシンフォ・ファン必聴作!ピアノを中心とするきらきらと輝くようなキーボード、伸びやかなタッチで次々と美しいフレーズを紡ぎ出すギター、そしてあまりにリリカルで可憐なフルートらが作り上げる、純度100%のファンタスティック・シンフォは絶品の一言に尽きます。テクニカルに疾走するようなパートはありませんが、ひたすら丹念にひたむきに織り上げられていくアンサンブルにじわりと感動が押し寄せてきます。ヴォーカルレスということもありイタリアらしさはさほど感じられないものの、GENESISの端正な英国叙情とCAMELの溢れんばかりのリリシズムを正当に受け継ぎ雑味なくアウトプットした珠玉の一枚に仕上がっています。傑作!
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