2021年10月7日 | カテゴリー:カケレコ新品棚お散歩隊,世界のロック探求ナビ
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新品棚をブラっとお散歩して気になるタイトルをまとめてご紹介させていただく「新品棚お散歩隊」、今回は「世界のオルガン・ロック」を探しに新品棚を散策してきました。
まずはこれぞ「オルガン・ロック」な1枚をご紹介。
■ATOMIC ROOSTER/ATOMIC ROOSTER
後にNICEのKeith Emerson、KING CRIMSONのGreg Lakeと共にEL&を結成することになるCarl Palmerが在籍していたことで知られているイギリスのハード・ロックグループの70年デビュー作です。Vince Craneのクラシカル且つハードなオルガンとNick Grahamのへヴィーなギター、そしてテクニカルなCarl Palmerのドラムが躍動するワイルドな作風であり、所々でブルース・フィーリングやジャズのアプローチを取りながらハード・ロックでまとめた音楽性が個性的で素晴らしいんです。
そうしましたら、まずはイギリスから、キーボード・トリオ編成のハード・ロック・グループ70年作!オルガンの響きがこれぞブリティッシュ!
■QUATERMASS / QUATERMASS
後にSUN TREADERを経てBRAND Xへと加入することとなるPete Robinson、HARD STUFF、ROXY MUSICなどで活躍するJohn Gustafson、STRAPPS、GILLANへと参加するMick Underwoodによるキーボード・トリオ。Harvestレーベルからの70年作。その内容はハード・ロックを基本にクラシックやジャズなどの手法も使い分けるPete Robinsonのオルガンをメインに据えたヘヴィー・ロックの名作であり、オルガンのほかにピアノやハープシコードなどで巧みに表情を変え、楽曲によってはストリングスも導入したシンフォニック・ロック的な音楽性も聴かせます。
お次はアメリカ北東部コネチカット州を拠点に活動したオルガン・ロック・バンド、70年リリースの2ndアルバムです。
■CHARISMA/BEASTS AND FRIENDS
手数多く疾走するドラムスとシャープなカッティングを繰り出すギターを従えて、ファンキーかつスリリングなオルガンが炸裂するインスト・ジャズ・ロックがカッコよすぎます。基本はブルースやR&Bを土台にしたサウンドですが、突如デイヴ・スチュワートみたいなキレのあるソロを含むEGGばりのオルガン・ロックが繰り広げられたりと、プログレ前夜のアート・ロック感覚も数曲で発揮されているのが印象的です。
続きましては73年発表の2nd『INFERNO』が名盤と誉れ高いイタリアン・ロックの名グループ、72年のデビュー作などいかがでしょうか。
■METAMORFOSI / E FU IL SESTO GIORNO
クラシカルな荘厳さに満ちたピアノとハモンド・オルガン、手数多く前のめりに突っ走るドラム、音の奥行きを広げるギターとベースによるキーボード・プログレが魅力的。端正な歌いまわしから、エネルギッシュなシャウトまで、表現力とエモーションに溢れた歌声で聴き手の胸に切々と響くヴォーカル、叙情と哀愁に溢れたメロディも印象的です。ちょっぴりアンデスも想わせるような素朴なフルートなど、「歌」への純朴な愛に溢れているのも特筆です。
ん?あれ?あんなところにトラフィックやプロコル・ハルムを彷彿させるオランダのオルガン・ロック・バンドの69年作が!
■FAIRY TALE / ONCE UPON A TIME
オープニング・ナンバーを聴いて驚きました。スティーヴ・ウィンウッドばりのソウルフルな歌声、キレ味鋭いリズム隊をバックにピアノとオルガンとエッジの立ったギターが疾走するR&B/サイケなアンサンブル。淡いオルガンをフィーチャーした曲はクレシダの1stも思い出しますし、R&B~サイケを通過して、プログレ&ハード・ロック前夜の69年の空気を刻んだ野心に満ちたサウンドはかなり完成度高いです。
忘れちゃいけない、スウェーデン出身、ハモンド・オルガンが厚みのあるトーンで荘厳に鳴り響くヘヴィ・インスト・アート・ロックをどうぞ。
■SOUND EXPRESS / SOUND EXPRESS
ほの暗く厚みのあるトーンで荘厳に鳴り響くハモンド・オルガン、重く力強いリズム・セクションを中心とするヘヴィ・インスト・アート・ロック。曲によっては、歪んだトーンのサイケデリック&ブルージー&ヘヴィなギターが炸裂し、ハード・ロック前夜の煙のような空気が充満します。クラシカルなエッセンスを感じさせる曲では、ヘヴィに歪んだ音の向こうにある透明感あるリリシズムも印象的です。
ラストを飾るのはこちら、POLIFEMOやESPIRITUに参加したkey奏者在籍のアルゼンチン・ロック・バンド、お蔵入りになっていた73年録音2ndです。
■SACRAMENTO II / MOVIENDO LA CARRETA
スペイン語の野性味あるヴォーカルこそ辺境らしさたっぷりですが、オルガンがこれでもかと唸るハード・ロックから軽快なパブ・ロック調まで、70年代初頭の英国ロックを下敷きにしたサウンドが特徴的。白眉は4曲目「Puerto De Lluvia」で、南米版CRESSIDAと呼びたくなる哀愁ほとばしるオルガン・ロックにはただただ胸が熱くなります。ラストで情熱的にひた走るギターソロもお見事。オルガン・ロック好きならこれは是非!
いかがでしたか?
見慣れた散歩道にも新しい発見があるように、新品棚にだってまだ見ぬ1枚が眠っているかもしれません。
新品お散歩隊がそんな作品とのめぐり逢いの機会となれますように。
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