2021年7月27日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
スタッフ佐藤です。
中古棚にひっそり佇んでいる「これは!」という一枚を見つけ出してご紹介。
今日は、イタリアン・ロックの代表格グループの一つ、NEW TROLLSによる72年のアルバム『UT』を発見しましたので、ピックアップ!
NEW TROLLSと言えば何と言ってもクラシカル・ロックの超名盤『CONCERTO GROSSO』なわけですが、それに次ぐ必聴盤2作品がこの『UT』と、その翌年にリリースされた『ATOMIC SYSTEM』。
『CONCERTO GROSSO』のクラシカルな部分に魅せられたなら「はげ山の一夜」などクラシック引用も見事な格調高い『ATOMIC SYSTEM』を、そしてストリングスに絡む泣きのバンド・アンサンブルやB面のゴリゴリしたハード・ロックにやられた!という方は『UT』を聴いてみるのがいいかもしれません。
今回取り上げる『UT』は、ギタリストNico Di Paloがリーダーシップを執って制作された作品で、彼のハード・ロック志向が全面に現れているのが特徴です。
泣きのハード・ロックが満載の必殺の名盤なのですが、中でも注目したいナンバーが6曲目の「C’è troppa guerra」。
本作中最長の9分超えの曲なのですが、これが同時期の英米ハード・ロックも含めて、72年当時としては最も重量級のサウンドを誇る驚異的な一曲なのです。
いかがですか?重戦車級のリズム・セクション、ザクザクと刻むあまりに重くソリッドなリフワーク、そして金属的なハイトーン・ヴォーカル!
『CONCERTO GROSSO』ではジミヘンやレッド・ツェッペリンからの影響が容易に見て取れましたが、この曲では既にそこを通過し、下手をするとNWOBHMすら見据えているようなヘヴィ・メタリックな轟音アンサンブルが襲い掛かってきて、思わずのけぞってしまうほどです。
以前こんな記事をアップしましたが、ここで取り上げている多くのレジェンド作品を凌駕するヘヴィネスを誇っていて、ヘヴィ・メタルの源流にまつわる議論の、イタリアからの刺客と言っていい作品ではないかと思っています!
イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドの71年の作品。Luis Enriquesz Bacalovのアレンジにより、彼らがオーケストラを従えてクラシックとロックの融合を成し遂げた不朽の名作である本作は、イタリアン・シンフォニック・ロックを代表する名盤であり、彼らの代表作の1枚。ストリングスによるバロック・アンサンブルとバンドサウンドが華麗に重なり合い、表情を変えながらクラシカルに、ハードに盛り上げます。バンド、またオーケストラ共に叙情的な旋律の応酬であり、非常にイタリア然とした凛々しさに溢れています。LP。
紙ジャケット仕様、04年版デジタル・マスター採用、定価2800+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
側面部に軽微な色褪せあり、軽微なスレあり
イタリアを代表するプログレッシブ・ロックバンドの72年の作品。Nico Di Paloのハードな音楽性の色濃い作品となっており、純ハードロック然とした楽曲から哀愁のバラード、キーボーディストMaurizio Salviが大活躍のシンフォニック・ロックまでを放り込んだイタリアン・ロックを代表する1枚。もともと雑多な音楽性を持ちながら咀嚼能力に優れたNEW TROLLSらしい作品となっています。本作を発表後にバンドは分裂、Nico De Paloは新バンドIBISを結成、一方Vittrio De ScaltiはN.T. ATOMIC SYSTEM名義でクラシカルな音楽性を追求した名盤「ATOMIC SYSTEM」をリリースします。
イタリアを代表するプログレッシブロックバンドの74年の作品、ライブ盤。「ATOMIC SYSTEM」を作り上げたN.T. ATOMIC SYSTEMのメンバーによる演奏が収録されているのですが、ここで聴けるのは大曲2曲のジャズロック。NEW TROLLSとジャズロックというのは意外な組み合わせであり、事実このアルバムが彼らの作品群の中で特異な位置にあるのは昔から語られてきたことですが、本作はNEW TROLLSのテクニカルな演奏が存分に堪能できる素晴らしい内容となっています。途中でConcerto Grossoのフレーズが飛び出すなど聴き所が多い作品となっており、やはり名盤「ATOMIC SYSTEM」を生み出したメンバー達の基礎体力は並大抵のものではないのだと認めざるを得ません。4分の7拍子、8分の13拍子という変拍子をそのまま楽曲タイトルに採用し、Soft MachineやNucleusにも劣らない超絶なサウンドで畳み掛けつつ、サックスが登場すればKing Crimsonのようなへヴィープログレにも表情を変える、白熱のライブ作となっています。
映画音楽界を代表する作曲家ルイス・エンリケ・バカロフとの共作である71年作「N.1」と76年作「N.2」とをカップリングした2in1。どちらの作品もクラシックとロックがこれ以上無いほど自然な形で融合した傑作。映像音楽家という、映像が放つメッセージを音により増幅させることに長けたバカロフだからこそ、クラシックの優雅さを保ちつつ、ロックのダイナミズムをさらに高めることに成功したのでしょう。必聴作。
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