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【プログレ温故知新】イタリアン・ヘヴィ・シンフォ【定番】MUSEO ROSENBACH -> 【新鋭】LA COSCIENZA DI ZENO

【定番】MUSEO ROSENBACH -> 【新鋭】LA COSCIENZA DI ZENO



重厚かつ荘厳なサウンドメイクにイタリアらしい哀愁を帯びた叙情性が映えるイタリアン・ヘヴィ・シンフォをテーマに、70年代の伊ヘヴィ・シンフォを代表する名作中の名作、MUSEO ROSENBACHの『ZARATHUSTRA』と、そのMUSEOを始めとする往年の伊ヘヴィ・シンフォを継承する注目バンドLA COSCIENZA DI ZENOの1stをご紹介たします。

70年代初頭、P.F.M.やBANCO、NEW TROLLSなどのバンドたちが数々の質の高い作品を生み出し、イタリアン・ロックの王道ともいうべき一つの形を作り上げました。しかしその他にも、LOCANDA DELLE FATE、MAXOPHONEなどに代表される、西洋音楽の中心地イタリアらしいクラシックの要素を大幅に取り入れたクラシカル・シンフォニック・ロック、そしてハードロック由来の荒れ狂うヘヴィネスにドラマティックな叙情性や力強い歌の魅力が加わった、イタリアン・ヘヴィー・シンフォと呼ぶべきサウンドが登場し、イタリアならではの多様性を持つプログレシーンが広がっていったのでした。その伊ヘヴィ・シンフォに属する主なバンドはOSANNA、CERVELLO、MUSEO ROSENBACH、IL BALLETTO DI BRONZOなどですが、中でもとりわけ王道的なサウンドで聴きやすい内容を持つのが、今回ご紹介するMUSEO ROSENBACHです。

彼らが73年に発表した当時としては唯一作『ZARATHUSTRA』は、その名の通りドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェが著した名著『ツァラトゥストラはかく語りき』をテーマにとった作品で、超人思想や永劫回帰など彼の哲学的思想を反映させた内容となっていますが、その難解なテーマとは裏腹なキャッチーかつドラマティックなメロディと、時に荒々しく時に情緒たっぷりに繰り広げられる緩急自在の演奏が素晴らしい、重厚さとスリリングさ、そして濃厚なドラマ性が共存した質の高い作品に仕上がっています。では本作の目玉、A面全てを使った20分に及ぶ組曲をお聴きいただきましょう。

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重厚なクラシック作品を思わせる圧倒的な説得力を持つオープニング。ここからどんな音世界が広がっていくのか、期待せずにはいられない導入です。そこから叙情的な歌メロを歌い上げるガリフィの切々とした歌唱が胸を打つテーマ部、どこか神秘性を帯びたクラシカルで静謐なパート、そこから一転食らいつくように凶暴なハード・ロック・パートへなだれ込み、そしてメロトロンが物悲しく鳴る叙情味溢れる終盤へと至る。20分という長丁場を、卓越したメロディ・センスと濃厚なドラマティシズムを織り込んだ楽曲構築によって、破綻なくまとめ上げた傑作組曲です。

ヴォーカルを務めるSTEFANO “LUPO” GALIFIによる個性的な歌唱も、彼らの音楽性を特徴づける重要な要素となっています。まさに「LUPO=オオカミ」の呼び名に相応しい野性味と知性が絶妙にバランスした歌声は、熱唱タイプが多いイタリアのシーンにあって一際異彩を放っていますよね。

何度聴いても、完成されきったメロディー、演奏、アレンジ、そしてドラマティックな構築美に打ちのめされる大名盤です。これは文句なしに素晴らしいですね~

なお本バンド解散後、ドラマーGIANCARLO GOLZIは、唯一作で知られる名バンドJETのメンバーらとともに、超人的な歌声を持つ女性ヴォーカリストANTONELLA RUGGIEROを擁したバンドMATIA BAZARを結成します。音楽的には概ねANTONELLAの歌声を生かしたポップス路線ではあるのですが、時折プログレ出身者らしい複雑な演奏や凝ったアレンジが聴かれたりもしますので、プログレ・ファンにとっても面白いバンドと言えるかもしれません。興味のある方は是非どうぞ。

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さてそれでは新鋭にまいりましょう。現代のイタリアにおいてもヘヴィー・シンフォの力作は数多く生まれているのですが、とりわけ感・・・、という作品がございますのでここでご紹介したいと思います。

LA COSCIENZA DI ZENOは、07年にジェノヴァにて結成されたイタリアン・ヘヴィ・シンフォの新鋭バンド。とは言えメンバーは新人というわけではなく、先にご紹介したMUSEOのVoガリフィが近年参加していた新鋭グループIL TEMPIO DELLE CLESSIDREを始め、FINISTERREやNARROW PASSなどでそれぞれ活動したメンバーが集結したバンドなんです。いずれも現在のイタリアン・ロックを率いるグループ出身者なだけに、実力的にはスーパーグループと呼んでも差し支えないものを持っているんですよね。では早速本作からのナンバーをお聴きいただきましょう☆

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いかがですか?さすがMUSEOなど往年のヘヴィ・シンフォを受け継ぐバンドなだけあって、轟々と押し寄せてくる大スケールのメロトロンが何より強烈ですよね~。そのメロトロンとともにへヴィに唸るオルガンやシンセ、格調高いピアノなどが登場する目くるめくキーボード・サウンドに彩られたサウンドは、手本となっている往年の伊へヴィ・シンフォ傑作群にも肉薄する完成度を誇っています。

そうは言っても決して懐古的なヴィンテージ観にとらわれているわけではなく、70年代の名グループからヒントを得たサウンドを洗練されたモダンな質感の中に溶け込ませて「現代のプログレ」として違和感なく聴かせる作風は、ANEKDOTENなどにも通じる部分と言えますよね。静動の対比を鮮やかに演出する構築性も特筆なヘヴィ・シンフォ傑作です。

これは近頃イタリアに続々と登場しているヘヴィ・シンフォの新鋭の中でも、間違いなく最上級に位置する一枚ですね!



今回はイタリアン・ヘヴィー・シンフォをテーマにお送りしてまいりましたが、いかがだったでしょうか。邪悪さと神秘性、荒々しさと厳かさを合わせ持つ、ダークな魅力に溢れたヘヴィ・シンフォ。今後も往年のサウンドを継承しつつも新たなエッセンスを加え独自に練り上げた、傑作の登場を期待したいところですね。

MUSEO ROSENBACHの在庫

  • MUSEO ROSENBACH / EXIT

    70”s伊ヘヴィ・シンフォの最高峰バンド、00年復活作

  • MUSEO ROSENBACH / ZARATHUSTRA

    イタリアン・ヘヴィ・シンフォの大傑作、73年作

    イタリアン・シンフォニック・プログレッシブ・ロックの頂点に君臨する名盤であり、イタリア然とした叙情とへヴィネスで迫る傑作73年作。その内容はロマンに溢れるメロディーと、キーボード・サウンドをメインに据えた爆発的な熱気を感じるへヴィー・シンフォニック・ロックであり、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」テーマに掲げた壮大なコンセプト・アルバムです。儚げなフルートや溢れ出る洪水のようなストリングスなど、メロトロンの長所を生かしきった名盤としても別格の出来であり、へヴィーなギターやせわしない手数を誇るドラムが彩るパワフルな音像に、深みのあるシンフォニック性とイタリアン・ロックの風格を加味することに成功しています。入門編にも最適な必聴名盤。

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