2019年3月19日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
タグ: ハード・ロック
こんにちは。スタッフ増田です。
早くも年明けから3か月が経ちましたが、今年は2019年。かの伝説的大型ロック・フェスティバル、ウッドストック・フェスティバルが行われ、ロックという音楽がさらに大きな変動を迎えようとしていた1969年からちょうど50年という記念すべき年ですね。
エルヴィスやビートルズ、そしてフラワー・ムーヴメントが生んだサイケデリック・ロックが世の中を席巻した60年代から、ハード・ロック、そしてプログレッシヴ・ロックの70年代へ。この1969年には、それまでの60年代には無かった革新的な音楽性を持ち、その後の70年代を象徴していく数多くのバンドが華々しいデビューを迎えた「誕生の年」でもあります。
そこで今年のカケレコでは「ロック黄金時代回想企画【1969】」と題した企画を開催!ここカケレコWEBマガジンにおいては、1969年にデビューした様々なバンドのデビュー・アルバムを毎月ご紹介してまいります。どうぞお楽しみ下さい♪
さて、第一弾となる今回のデビュー・アルバムは・・・米国で1969年1月12日、英国では同年3月28日にリリースされたレッド・ツェッペリンによる1st『LED ZEPPELIN』です。
大音量のバンド・サウンドが生み出すヘヴィさと華やかさ、そしてブルースからトラッド、東洋音楽までもを内包した高度な音楽性で、70年代を通して世界中で圧倒的な人気を誇ったブリティッシュ・ハード・ロックの王者、レッド・ツェッペリン。そんな彼らの核となるのが、ご存知エリック・クラプトンやジェフ・ベックと並びギタリストの頂点に挙げられるミュージシャン、ジミー・ペイジの存在ですね。
60年代から売れっ子セッション・ギタリストとして名を馳せ、活動時英国で録音されたレコードの6〜7割には彼が参加していると言われるほど膨大なキャリアを積み重ねていたペイジ。しかし次第にバンド活動への意欲が生まれ、1966年、それまで何度か勧誘を受けていたヤードバーズに正式加入。そこで彼はセッション・ミュージシャン時代に温めていた長いインプロヴィゼーションやヘヴィなサウンドの導入、ジェフ・ベックとのツイン・リード体制など新しい試みに取り組むも、ペイジとの熱量の差についていけずメンバーが続々と脱退してしまいます。
バンド存続のため、また自身の描く理想のバンドの実現のために、ペイジは新たなメンバーを招集しヤードバーズ再編を決意。そこで集められたのがペイジと同じくスタジオ・ミュージシャン出身でアレンジャーもこなすベーシストのジョン・ポール・ジョーンズ、バンド・オブ・ジョイで活動していたヴォーカリストのロバート・プラント、そしてプラントのバンドメイトでもあったドラマーのジョン・ボーナム。こうして68年、後のツェッペリンとなるニュー・ヤードバーズの布陣が揃ったのです。
初めて4人がスタジオで顔を揃え、リハーサルを行った時点でペイジは「ヤードバーズが最後に到達した次元を遥かに超えた」と確信。まもなく北欧ツアーを行った彼らはヤードバーズの名を捨てLED ZEPPELINと改名、68年10月にはロンドンのオリンピック・スタジオでファースト・アルバムの制作に入ります。ヤードバーズ時代に収録曲のほぼ全てが細かなアレンジに至るまで作り終わっていたという本作は、わずか30時間あまりで完成を迎えたそうです。
デビューまで順風満帆かと思いきや、かつてのヤードバーズのイメージが強く残っていた当時の英国では彼らの評判はあまり芳しくなかったとか。彼らは新たな活路を求め、英国でのデビュー前に渡米し米アトランティック・レーベルとの契約を果たします。VANILLA FUDGEやIRON BUTTERFLYといったヘヴィなバンドが人気を博していた米国ではツェッペリンへの期待はかなり高かったようで、契約金は新人としては破格の20万ドル(当時の日本円で約7,200万円)。こうして、期待の大型新人レッド・ツェッペリンのキャリアがスタートしたのです。
さて、燃え落ちる飛行船ヒンデンブルク号を大きくあしらったこちらが彼らのデビュー作『LED ZEPPELIN』。それまでのブルース・ロックとは似て非なる圧倒的音圧、重い鉛のようなバンド・アンサンブルで、ハード・ロック時代の幕開けを飾った記念すべき第一作。
彼らの代表作にも挙げられる有名曲「Good Times Bad Times」や「Communication Breakdown」が収録されていることからも、既にその音楽性が完成の域に達している事が伺えますね。
♪Good Times Bad Times
– キャリアの最初を飾る記念すべき1曲目。イントロから華やかに鳴らされるキャッチーで力強いギター・リフ、ダイナミックかつ予測不能なリズムを叩き出すドラムにどこか親しみのあるヴォーカル&コーラス。サビ後にはベースのソロ・パートも用意されているなど、全員に見せ場が作られた構成が見事。ロックのワクワク感がこれでもかと詰め込まれた2分46秒です。
「Babe I’m Gonna Leave You」、「You Shock Me」、「I Can’t Quit You Baby」などフォーク、ブルース曲のカヴァーも多く、また既存の楽曲からの引用なども指摘されるものの、恐るべきは思いもよらないアレンジ、録音方法、そして独自の奏法や歌唱法を駆使して原曲とは全く異なるヘヴィな「ツェッペリン・サウンド」を生み出していること。
ジェーン・バエズの録音を原曲にし、アコギとブルージーな歌を主体したフォーク・バラードかと思いきや、突如破壊的なドラムによって雰囲気を一変させる「Babe I’m Gonna Leave You」、そしてヤードバーズ時代のレパートリーだったジェイク・ホルムズのカヴァー「I’m Confused」を更に改作した作中一のヘヴィ・ナンバー「Dazed And Confused」…。
既存のものを素材にしつつ、それらを吸収し自分たちのオリジナルな音に昇華する。後の『III』におけるトラッドやアコースティック・サウンド、『HOUSES OF THE HOLY』や『PHYSICAL GRAFFITI』におけるレゲエや東洋音楽など、多彩で多様な音楽性を巧みに導入していく彼らのスタイルは既にこの時から出来上がっていたと言えるでしょう。
♪Dazed And Confused
– 静謐なベースをバックにヴォーカルがソウルフルなフレーズを歌い上げたかと思えば、多重録音によるギター・アンサンブルが激しく切り込む。「静」と「動」の過剰なまでのコントラストが生み出すダイナミズム、そしてスリリングな速度で繰り広げられる長尺のインプロヴィゼーション…クリムゾン『宮殿』にも先んじたプログレの目覚めとも言えそうです。中盤ではペイジがギターの弦を「弓弾き」し奇妙な音響を創り上げています。
レッド・ツェッペリンはペイジが自身の理想の追求のため編成したバンドであり、よって本作も彼のイニシアティブによるところが大きいものの、そんな彼のアイディアを具現化させたのは紛れもなくメンバー全員の功績。
当時無名ながらも大音量のバンド・アンサンブルに全く見劣りしないパワフルな歌唱力を持ったロバート・プラント、未だかつてない暴力的なまでのドラミングで「ハード・ロック・サウンド」を確立したジョン・ボーナム、ベースにオルガンと持ち前のマルチな才能を発揮するジョン・ポール・ジョーンズ。彼ら3人の類稀なるプレイヤーがいたからこそ、ペイジが思い描いた新たなるサウンドが実現したことは間違いありません。
雄叫びのように上げられるシャウト、叩きつけるようなドラムに地を這うベース、そして掻き鳴らされるギター・リフ。ハード・ロックの伝説は、まさにここから始まったのです。
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ビート・ブーム、サイケデリック革命、シンプルなバンド演奏へと回帰したブルース・ロック・ブームを経て、テクノロジーの発達とともに60年代末にいよいよ花開いた「ブリティッシュ・ハード・ロック」!胎動の67年からメジャーシーンを席巻した70年まで、年代を追って英ハード・ロックの名作をピックアップしながら、英ハードの進化と深化を探ってまいります。
2枚組DVD、デジパック仕様、NTSC方式、日本語字幕あり、スリップケース付き仕様、帯・解説付仕様、16Pカラーブックレット2冊付き、定価6300
盤質:傷あり
状態:並
帯有
帯に折れあり、スリップケースに色褪せあり
DVD2枚組、デジパック仕様、スリップケース付き仕様、PAL方式、リージョン23456
盤質:全面に多数傷
状態:並
若干折れあり、スレあり、破れあり
ブルース・ロックからハード・ロックへの流れの中で、圧倒的な音圧で他のバンドをなぎ倒し、一気にシーンの先頭へと躍り出た怪物デビュー作。冴え渡るJimmy Pageのギター・リフ、Robert Plantの超絶シャウト・ヴォーカル、鋼のようなリズム隊。たった4人で生み出しているとは信じられない鋼鉄のサウンドで迫る傑作。
全米、全英で同時にチャート1位を獲得したセカンド・アルバム。ヘヴィかつメタリックなサウンドは、ハード・ロックの雛型と言われ、ビルボード・アルバム・チャート最高位は堂々の1位(69年)!セッション・ミュージシャンとしてのキャリアを持つJimmy Pageのリフ、John Paul Jones、John Bonhamのリズムがとても奥深い作品です。轟音の「Whole Lotta Love」がトップ5入りするヒットとなりました。「Bring It on Home」は、イギリスの白人ブルースの激しさと迫力が鬼気迫る、英国ロックの歴史的大傑作です!
ペーパーケース仕様、14年デジタル・リマスター、定価2000+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
側面部に色褪せあり
イギリスを代表するロック・バンドによる、名曲「天国への階段」を収録した71年リリースの4thアルバム。ジャケットにクレジットや情報が一切記載されなかったため、「Four Symbols」「The Runes」「ZOSO」「Stairway Album」など様々な名称で呼ばれ、話題を集めることにもなりました。1st、2ndで確率したハードサウンドと、3rdで見せたアコースティックな一面との融合を試みた今作は、彼らのサウンドを名実ともにロック史に燦然と輝くものへと昇華させており、「この作品の登場によりロックの進化が早まった」とも言われるまさに伝説的な作品となっています。中でも彼らを語るうえで欠かすことができないT4「Stairway To Heaven(天国への階段)」は、エレクトリックギターとアコースティックギター、まさにハード・サウンドとアコースティック・サウンドの融合が究極の完成形をみたと評される名曲で、すべてのロックファンによる名曲投票を行えば間違いなく上位にランクインすることでしょう。アルペジオとリコーダーが奏でるどこか懐かしさと寂しさを感じさせる静かな冒頭から、エレクトリック・12弦ギター、エレクトリック・ピアノ、エレクトリック・ベース、ドラムが入り、壮大に広がった世界は徐々に音圧を上げクライマックスへ。高音のシャウトで最高潮に達した感情は、独唱で静かに幕を閉じます。ロック以外の音楽業界からも評価が高く、フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤンは、この曲を「編曲を変えなくてもオーケストラで演奏できる」と評したそうです。ロックの教科書があれば、ロック史のターニングポイントとして誰でも記載する一枚。全てのロック・ファンに捧ぐ必聴の1作です。
2枚組、リーフレット付き仕様、定価3378
盤質:全面に多数傷
状態:並
帯有
ケースにスレあり、若干汚れあり
紙ジャケット仕様、2枚組、ジミー・ペイジ監修によるデジタル・リマスター、2つ折りのカバー・カラーブックレット付仕様、定価2600+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
イギリスを代表するロック・バンドによる76年リリースの7thアルバム。本作は、ギター、ベース、ドラム以外の楽器がほとんど使われない非常に硬質な音造りとなっており、シンプルで荒々しい演奏が存分に味わえる作品となっています。初期作品の特徴でもあるブルースを主体とした攻撃的なロックは骨の髄まで響きます。パンク・ロックが流行し始め、時代の流れに翻弄され自分達を見失ってしまうバンドも多くあった中、迷いを捨て敢えて初期の作風に戻ることで、彼らが彼らたる所以をさらに強固なものとすることに成功しました。T1「Achilles Last Stand(アキレス最後の戦い)」ではこのような特徴が顕著に表れており、ゴリゴリと突き進むベースと硬く力強いドラム、幾重にオーバー・ダビングされたギターと時にしっとりと歌い上げるボーカルに、グッと心を掴まれます。75年11月に録音を開始したスタジオは12月からローリング・ストーンズによっておさえられていたそうなのですが、オーバー・ダビングが完了する直前に期限切れとなってしまい、ストーンズに頼み込みスタジオ使用期間を融通してもらったと言われています。ヒプノシスとジョージ・ハーディーが担当したジャケット・アートワークも印象的です。使用された計10枚の写真全てに、オベリスクと呼ばれる黒い物体が写り込んでいるのですが、これは彼らの持つパワーと存在感というテーマを視覚化したもので、彼らの存在感(Presence)を示す印象的なアートワークとなっています。
ペーパーケース仕様、デジタル・リマスター、カラーブックレット封入、定価2000+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
ドラマーのジョン・ボーナムが他界し、バンドの活動に終止符を打ったツェッペリン。69年〜78年に録音された楽曲をジミー・ペイジが選曲したボーナムへの追悼盤的作品。オリジナル・アルバムから漏れた未発表音源集ながら、各楽曲は驚異のクオリティ
ペーパーケース仕様、デジタル・リマスター、定価2000+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
ペーパーケースに色褪せあり
4枚組ボックス、デジタル・リマスター、付属の三方背ケースに入れ替えられており、ボックスとブックレットは付いていません
盤質:傷あり
状態:不良
帯無
ケース不良、解説無、帯無、ケースにスレあり、カビあり
70年1月9日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールにおけるライヴを収録。1st&2ndの主要ナンバーを中心とする全14曲。
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