2018年7月23日 | カテゴリー:世界のロック探求ナビ
『雪景色にぴったりの幻想プログレ紀行』と題しまして、透明感あるファンタスティックでリリカルな作品を求めて、イギリスを出発点に、ユーロ各国から北米、南米へと世界中を巡ってまいりましょう。
まずはイギリス!定番からまりましょう。
雪景色にぴったりのブリティッシュ・プログレといって真っ先に思い浮かぶグループといえば?
はい、そうです、やっぱりCAMELですよね。
『SNOW GOOSE』はもちろんのこと、次作の『MOONMADNESS』も雪景色にピッタリですよね。
柔らかなキーボードを下地に、流れるようなフルート、リリカルなギターが幻想的な絵を描く。
アンディ・ウォードの歌心ありつつ、シャープに引き締まったドラミングも特筆ですね。
さぁ、それではイタリアにひとっ飛びしますよ~。
はい、なんでしょう、そもそもイタリアに雪が降るのかって?
たしかに暖かいイメージがありますが、イタリア北部はアルプス山脈に接してますし、緯度でいうと北海道と同じなんです。
こんな景色が見られますよ~。
紹介するのはLOCANDA DELLE FATE。彼らもイタリア北西部はピエモンテ出身なので、ナポリなど南部の暑いグループとは違う、しなやかな幻想美が印象的ですね。
どうです?静謐なタッチのリリカルなピアノ、繊細なタッチのギター、シャープなドラミングが雪景色にピッタリでしょう?
さてお次は、オランダのCHRISをご紹介!
出世作となった2012年のクリスマス・アルバムで、タイトルはずばりの『SNOW STORIES』!
ジャケット通りのしんしんと雪が降り積もるような幻想的な演奏から、一転して艶やかなストリングス・シンセとギターが躍動感いっぱいに飛び出していくオープニングからまばゆすぎです。
CHRISにその溢れる創造性の源についてインタビューをお願いしたところ、快く受けてくれました!
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オランダと言えば、透明感あるキラキラしたキーボード・ワークでクラシカルかつポップなサウンドを奏でるトレースもまた冬にぴったり。
あのリッチー・ブラックモアにも敬愛される天才キーボード奏者のRick Van Der Lindenによる、クラシックからR&B~ジャズまで吸収した演奏は躍動感たっぷりで、ハード・ロック的なスピード感とダイナミズムを持ったリズム隊と相成って、彼らのサウンドを一言で言うならば、ずばり「踊れるクラシカル・プログレ」!
まるで雪が降ってきたときのどうにもワクワクしてしまう子供心のような音と言えますね!
やっぱり雪の降る冬のクリアな青空には、クラシカルなピアノやオルガンがぴったりだなぁ、ということで、東欧はチェコへとひとっ飛びしまして、COLLEGIUM MUSICUMを紹介!
バンドを率いるKey奏者のMARIAN VARGAは、トレースのRick Van Der Lindenにも劣らぬ東欧を代表する名プレイヤー&コンポーザーですね。
東欧というとロック後進国というイメージがありますが、西洋音楽史で考えれば長く中心に位置していたわけですし、共産圏のロック、というより、ハプスブルク帝国の文化遺産が息づくブラチスラバという土壌で育まれたロック・ミュージックという方がしっくりきます。
格調高いクラシカルな調べは雪景色にぴったり。
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チェコからお隣ハンガリーへ!
たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!
極めつけは、美声の女性ヴォーカル!
ファンタスティックなシンフォニック・ロックとして一級品の傑作!
この新鋭グループはずばり必聴です!
ハンガリーからはドナウ川をひたすらに東へと進みロシアへ!
ジェネシスやキャメルやイエスのDNAを継いだ一級品の新鋭グループをご紹介!
もうオープニング・ナンバーのイントロからキてます。
リック・ウェイクマンとアンディ・ラティマーが共演!?っといった感じで、全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!
雪降る幻想的な景色にぴったりのプログレといえば、北欧プログレをはずすわけにはいきません!
ということで、スウェーデンへLet’s Go!
まずは『指輪物語』からバンド名を取ったISILDURS BANEをピックアップ。ファンタジー文学の世界を北欧ならではの透明感ある空気で包み込み、音に紡いだようなファンタスティック極まるサウンドは絶品の一言。
彼らの84年のデビュー作と、デビュー前の『指輪物語』をモチーフにした楽曲を再レコーディングした88年作とのカップリング。どちらも手工芸のような精緻で温かな逸品。
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スウェーデンから海をはさんで、エストニアへ。
ジャズ・ロックの新鋭グループながら、透明感あるサウンドが幻想性たっぷりなPHLOXをピックアップ。
硬質さとリリシズム、それを包むエストニアならではの透明感。
まさか00年代のエストニアに、こんなにも幻想的でテクニックも抜群なジャズ・ロック・バンドが登場するとは!
絶品です。
冬にぴったりのジャズ・ロックを世界中からセレクトしたこちらの記事もあわせてチェック是非!
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世界中より、シャープに引き締まったテクニカルかつ流麗なジャズ・ロック作品をセレクトしてまいりましょう。
エストニアからバルト三国を南下し、ポーランドへ!
ポーランドと言えば、近年、ピンク・フロイドのDNAを継いだ幻想的でいて映像喚起的なグループが続々と登場してきています。
筆頭格のグループ、MILLENIUMをピックアップいたしましょう。
ジェネシスの叙情美とフロイドの内省感を合わせたようなメロディーを東欧的なメランコリーいっぱいのアンサンブルが包み込んだこの13年作、ドラマティック過ぎっ!
東欧を後に、お次はフランス~。
昔からユーロ・ロックのファンに大人気のグループで、キャメル直系幻想プログレ最高峰と言えるグループと言えばASIA MINORですよね。
うわ~、やっぱり雪景色には、フルートと柔らかに広がるキーボードがあいますね~。
クールで幻想的なジャケも良いです。
さぁ、北米大陸にも行ってみましょう。
おやおや、カナダにこんなファンタスティックなジャケが!
なになに、アルバム・タイトルは『NI VENT NI NOUVELLE』・・・フランス語?
ということは、ケベックのグループですね!
キャメルに通ずる幻想性と、カンタベリー・タッチの愛らしい偏屈精神がブレンドしたサウンドはオリジナリティありますね。
コロコロとした叙情美は、北欧プログレにも通じています。
冬のケベックと言えば、世界最大の雪祭りと言われるウインターカーニバルが有名ですね!
北米大陸をあとに、雪景色にあうプログレをもとめて、なんと南米はアルゼンチンへ!
はい、「詩情」を紡がせたら世界有数のソングライターと言えるチャーリー・ガルシア率いるグループをピックアップ!
天上からひらひらと降りてくるような奇跡のメロディはまるで粉雪のよう!?
センチメンタルなヴォーカル、フュージョン・タッチの流麗な演奏も雪景色にあいますよね。
『雪景色にぴったりの幻想プログレ紀行』のラストは、どうしてもこのバンドにしたくて、もういちど、北欧はスウェーデンへひとっ飛び!
2010年作3rdの『LOVER’S END』で大ブレイクしたMOON SAFARI!
その次の4thアルバムもまたメロディとハーモニーの洪水なんですよね。
雪景色というより、雪解けとともに春の訪れを感じる、そんな希望に満ちた景色が目に浮かぶサウンドです。
フィナーレを飾るにピッタリでしょう?
『雪景色にぴったりの幻想プログレ紀行』、お楽しみ頂けましたでしょうか?
みなさまにぴったりの一枚が見つかれば幸いです。
単発ながらイタリアン・シンフォニック・プログレッシブ・ロックの頂点に君臨する名盤を生み出したグループによる77年作。テクニカルでタイトなリズム・セクションをボトムに、アコースティック・ピアノやアナログ・シンセサイザー、チェンバロ、ギター、フルートといった楽器がふくよかなサウンドを彩る作風であり、ツイン・キーボード、ツイン・ギター編成で聴かせるその叙情性とファンタジアはイタリアン・シンフォニック・ロックの中でも飛びぬけたクオリティーを誇ります。PREMIATA FORNERIA MARCONIやMAXOPHONEといった叙情性と牧歌的な雰囲気を持ったグループにも全く引けを取らない奇跡の1枚であり、且つスリリングな技巧に裏打ちされた名盤となっています。
紙ジャケット仕様、デジタル・リマスター、ボーナス・トラック2曲、内袋付仕様、定価2039+税
盤質:傷あり
状態:良好
帯有
帯中央部分に色褪せあり、若干スレあり、帯に若干折れあり
エストニアのジャズ・ロック・グループ、2010年の4thアルバム。手数多くシャープでアグレッシヴなリズム隊、流麗なフェンダー・ローズ、たおやかに飛翔するサックス!リズム隊の硬質さとエレピや管楽器のしなやかさとのバランスが絶妙。カンタベリー・ミュージックの遺伝子を受け継ぐ正統派グループ!これは素晴らしい作品です。ジャズ・ロックのファンにはかなりオススメ!痺れますよ。
非常にフランスらしい冷ややかな質感を持ち、流麗なメロディーとフルート奏者によるリリカルな調べでCAMEL系の名グループとして知られるバンドの80年2nd。基本的な路線は前作から受け継がれたものですが、よりバンドとしてメリハリがつき、フルート、ボーカルのメロディーの洗練も素晴らしい名盤となっています。また、もともとトルコ系の人物を中心に結成されていることから、前作よりもエキゾチックなフレーズが目立ち、物悲しく郷愁を誘っています。はかなくも美しい美意識の詰まったシンフォニック・ロックの傑作です。
紙ジャケット仕様、SHM-CD、09年デジタル・リマスター、定価3300
盤質:傷あり
状態:並
帯有
紙ジャケに若干汚れあり
直輸入盤(帯・解説付仕様)、定価2500+税
盤質:無傷/小傷
状態:良好
帯有
解説にケースツメ跡あり
Andrew Latimerを中心にファンタジックなアプローチでプログレッシブ・ロックの重要バンドに位置づけられるイギリスのバンドの76年4th。前作「スノー・グース」と並んでファンタジックなCAMELの音楽性をダイレクトに伝える作品であり、Andrew Latimerの消え入るような儚げなフルート、Peter Bardensの堅実かつ時に奔放なキーボードの妙技、そして軽やかに変拍子を紡ぐリズムセクションのトータル感で聞かせます。シンフォニックに、そしてジャジーに、肌触りの良いマイルドさを持った傑作であり、ゆったりと身を任せられるような自然なサウンドが一貫して個性的な1枚です。
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ケース不良、トレー一部に割れによる欠損あり、スリップケースに黄ばみあり
元EKSEPTIONのRick Van Der Linden率いるオランダのキーボード・トリオ。75年作2nd。クラシカルな美しさはそのままに、ロック的なダイナミズムを増した重厚なアンサンブルは驚異的な完成度。全プログレ・ファン必聴の傑作。Darryl Wayがゲスト参加。
ロシアの新鋭グループ、2011年のデビュー作。もうオープニング・ナンバーのイントロからキてます。リック・ウェイクマンとアンディ・ラティマーが共演!?っといった感じで、マイルドなトーンの流麗なギターとクラシカルなピアノが美しい旋律で幕を開け、一転して、マイク・オールドフィールド『チューブラー・ベルズ』を彷彿とさせるような緊張感あるピアノに切り替わったかと思うと、ドラムが走りだし、視界が一気に広がり、ギターとキーボードから次々とメロディが溢れ出る!この展開に心躍らないプログレ・ファンは居ないでしょう。さぁさぁ、ヴォーカルはどんな感じかな、と待っていると、透明感のある歌声と包み込むような歌唱が素晴らしい男性ヴォーカルが伸び伸びと美しいメロディを歌い上げる。バックではコロコロとリリカルなピアノがサポート。それにしても、全パートのどこを切り取ってもメロディが溢れ出る、と言っても過言ではないメロディアスぶり!これはGENESISやCAMELやYESなど70年代プログレの遺伝子を受け継いだ正統派プログレとして一級の出来映え!往年のプログレ・ファンは必聴の大傑作です。
ハンガリーのグループ。06年のデビュー作。たおやかなアコギをバックにフルートがリリカルに舞い、溢れんばかりにメロトロンが鳴らされる!極めつけは、流れるように美しいメロディとスッと入ってくる美声の女性ヴォーカル!全体的に柔らかな音像でハードさは無いものの、タイトなリズム隊のせいか、演奏はダイナミズムに溢れています。全員がテクニック抜群ですが、特にアコギ奏者はかなりの腕前で、格調高くリリカルなリードは必聴。ファンタスティックなシンフォニック・ロックとして一級品の傑作。本当に素晴らしいです。
ペーパーケース仕様、新装ジャケット&オリジナル・オーディオでの2014年新規リイシュー盤。バンドサイトでは、MUSEA盤と異なる06年にハンガリーでリリースされた音源で、LPのようなアナログのフィーリングを最大限に活かし、アコースティックやメロトロンが魅力的に響くようにミックスされているそうです
レーベル管理上、ペーパーケースに若干圧痕がある場合がございます。ご了承ください。
ジェネシスやイエスやジェントル・ジャイアントなど英国プログレのファンだったメンバーにより76年に結成されたスウェーデンのグループ。84年のデビュー作と、デビュー前に制作してカセット販売し完売していた初期音源を元にリメイクした88年作3rdとをカップリングした2in1CD。幻想的に広がるキーボード、流麗なタッチのメロディアスなギター、優しい音色のリリカルなフルート。どちらの作品もジェネシスやキャメルなど英プログレのエッセンスとJ・R・R・トールキンの『指輪物語』などから影響を受けたコンセプトとがブレンドしたファンタスティックなサウンドが印象的です。北欧らしい透明感いっぱいのリリシズムが溢れるサウンドは、まるでキャメルやジェネシスのファンタスティックな要素のみを抽出したようです。アルバムのどこを切り取っても零れ落ちる美しいメロディ。本当に素晴らしい出来映え。傑作です。
2in1CD
盤質:無傷/小傷
状態:良好
ケースツメ跡あり、ケースに価格シールあり
99年結成のポーランド屈指のプログレ新鋭バンド。ネオ・プログレとピンク・フロイドの影響の元に、メランコリックで映像喚起的なサウンドでデビューし、徐々に洗練させながら、前々作、前作で到達した、「プログレ」の枠を超えた、ピンク・フロイド『ウォール』ばりのスタイリッシュな「ロック」サウンド。2013年作9thである本作では、スタイリッシュさはそのままに、叙情性を増し、シンフォニック・ロックとして孤高のサウンドを聴かせています。映像喚起的なSEから入り、中欧の森を思わせるアコギのリードが静かに鳴るイントロ。その静寂を打ち破って轟くヘヴィなギターとキーボードによる音の壁とギルモアばりに伸びやかに泣くリード・ギター。そして、何より素晴らしいのがメロディーとヴォーカル。ピンク・フロイドの内省感とネオ・プログレの叙情美とが出会ったような美旋律、そして伸びやかさの中に翳りを感じさせるハイトーンが魅力のヴォーカルは、もう絶品の一言。99年のデビュー作での「空間的な音響センスに溢れたシンフォニック・ロック」を、これまでの作品で培ったテクニックとサウンド・メイキングのセンスにより圧倒的な強度で聴かせた一大傑作。熱くも透徹としたロマンティシズム。これはずばり最高傑作!
東欧のキース・エマーソンと言えるKey奏者、Marian Varga率いる旧チェコスロバキア(現スロヴァキアのブラチスラバ出身)を代表するグループ。オリジナルは2枚組で全4曲という大作の71年作2nd。旧A面は、ジャズ・ロック寄りの手数多いスリリングなドラムの上を、端正な音色のオルガンが伸びやかにリフを奏でたり、時に変調したトーンでソロを奏でたり、ギターも負けじと流麗な早弾きで切れ込む、というスタイルのキーボード・プログレ。EL&Pのファンは「おおっ」となること間違いなしな展開。なお、ギタリストは、後にFERMATAを結成するFrantisek Griglakで、ジミヘンやペイジからの影響が色濃いブルージーなフレーズで楽曲にロック的ダイナミズムと陰影をもたらしています。旧B面は、リムスキー=コルサコフの交響曲『シェヘラザード』をモチーフにした楽曲で、トレースばりにクラシカルなキーボードが躍動するナンバー。キレのあるバンド・アンサンブルも圧倒的なテンションです。旧C面は、後に連名作も出す盟友、ヴォーカルのPavol Hammelを迎えた陽光溢れるようなリリカルなヴォーカル・ナンバー。格調高くもファンタスティックなピアノが絶品です。旧D面は、どんどんと無調のアヴァンギャルドな音世界へと展開・・・。80分にわたり、Marian Vargaのキーボード奏者&コンポーザーとしての才が爆発したキーボード・プログレの傑作です。
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